戦姫絶唱シンフォギア 輝ける星の聖剣   作:茶久良丸

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始めに言っておきます。
作者(茶久良丸)はクリスちゃんがシンフォギアで一番可愛いと思っています。なので別にクリスちゃん嫌いだから今回の話はこんな風になったとかではないのでご理解をお願いします。
それでは続きをどうぞ!


覚悟を決めた瞬間は誰しも強い

 数日後の事、状況にまた変化が出た。

 

 以前青いピチピチスーツの女の子がいたけど今度はオレンジ色のピチピチスーツの女の子が出てきた。初めは工場地帯に群がっていたノイズの中にその子ともう一人小さい女の子が居て助けようと[痛哭の幻奏(フェイルノート)]に手を掛けるようとした時、その子がさっき言ったピチピチスーツに変身してぎこちないながらもノイズを倒していたそこに青いピチピチスーツの女の子もやって来てその場の事態は終息した。

 

 その後もノイズが出るたびに二人が戦いに来てるんだけどオレンジ色の子はたどたどしくて見てられない。多分だけど戦う覚悟ってヤツが未だに出来て無いんじゃないかと思う。ノイズに襲われそうになった時、何度か[痛哭の幻奏(フェイルノート)]で援護射撃してあげたりもした。

 

 しかもオレンジ色の子と青色の子はどうやら仲が悪いらしく二人は全く共闘しようとしない。いやちょっと言い方が悪かった。どちらかと言うと青色の子が一方的に嫌ってる感じがある。現に一回だけオレンジ色の子にライダーキックの感じでドデカイ剣を叩きつけようとしてたし。その時はあの男の人が止めてくれたから難を逃れてたけど。てかあんなデカイ剣を素手で止めるって本当に人間あの人?最早サ◯ヤ人にしか見えないんだけど!?

 

 そして本日も[直感]スキルがノイズの出現を知らせてくれる。嫌だな~…他人同士の仲違いを端から見続けないといけないなんてどんな罰ゲーム?外道麻婆神父みたいに「愉悦」とか思えないよ。

 

 と思いつつ現場に到着。今回はあっちの子達の方が速かったみたいだね。これなら私の仕事は無いかな?

 

 …なんてフラグを建てたのがいけなかったのかな?

 

 ノイズを倒した後、白色の鎧を身に纏った女の子が出てきた。(オレンジ色の子と同い年位なのに胸デカ…とかちょっと考えた)

 

 何か喋ってるけどここ(ビルの屋上)からじゃ聴こえなかった。だけど青色の子が何やら驚愕って顔をしている。そして白色の鎧の子と青色の子が戦闘を始める。オレンジ色の子は白色の子が持っていた杖みたいな物から出したノイズに拘束されている。

 

 てか何あの白くてベタつくナニか。事案?事案なの!?

 

 てかあれ?ノイズって自然現象じゃなかったの?いやいや今そんなこと考えるのは後回しだ!ノイズを出したって事はあの子が元凶かもしれないなら青色の子達に加勢しよう。ただ[痛哭の幻奏(フェイルノート)]で援護しようにもあんなに動き回ってたら誤射しかねないよね。仕方ない。

 

 私は[痛哭の幻奏(フェイルノート)]を[騎士王の宝財(ゲート・オブ・キャメロット)]にしまい、代わりに[約束された勝利の剣(エクスカリバー)]を取り出し[魔力放出]で一気に現場に急行する。

 

━━━━━━━━━━

 

「出て!出て来い!アームドギア!!」

 

 [立花響]は叫ぶ。ノイズに拘束された彼女は打開策として自身のアームドギアを呼び出そうとする。しかしその叫びも虚しく彼女の身にはなにも起こらない。

 情けなさと無力感で涙を浮かべる響。その間にも翼とネフシュタンの鎧を身に纏った少女は熾烈を極める。

 

「鎧に振り回されるわけではない、この強さは!」

「ここでふんわり考え事たぁ度し難ぇっ!」

 

 一見して互角に見える攻防だが徐々に押され始める翼。戦況は最悪と言って差し支えない。

 だがそこに特異な風が舞い込む。

 

 ザシュンッ!

 

 風はまず響を拘束していたノイズを横一線に倒す。

 

「え…」

 

 突然拘束が外れたことにより困惑し放心状態となる響。そして状態の変化に真っ先に気づいたのはネフシュタンの鎧を纏った少女だった。

 

「っ!?なんだ!!」

 

 捕獲を命じられた対象の拘束が突如無くなったことにより驚愕する少女。だがここから更に不可解な現象発生する。

 

「ゴハッ!?」

 

 右横からの突然の衝撃に体をくの字にさせられ顔を歪ませる少女。衝撃を例えるなら猛スピードのダンプカーが真横に突っ込んで来たと思うほどだ。少女は吹っ飛ばされされながらも態勢を立て直し状況を確認しようとする。たがそれは叶わない。

 

「ガッ!グッ!グハッ!」

 

 吹っ飛ばされ状態から立て直し静止した瞬間、四方八方から斬撃を喰らう。

 

「いったい何が!?」

 

 翼も突然のことに動揺し動きを止めている。だが冷静に状況を確認するとある事を思い出す。

 

鎌鼬(かまいたち)の正体は[セイバー]と名乗った少女だった。彼女は何らかの聖遺物もしくはそれに類似した物を使用して己の姿を隠蔽していた」

 

 それは弦十郎がセイバーと接触し交戦した後、弦十郎の口から直接報告を受けた時だ。

 

「まさか!?そこにいるのか!」

 

 弦十郎の報告通り、セイバーが自身の姿を隠蔽出来るなら今ネフシュタンの鎧を纏う少女が一方的にやられているのにも説明がつく。

 そして翼が思考を巡らせている間も斬撃が止まることなく少女を襲っていた。

 

「グッ!ガバッ!この、いい加減にしやがれ!!」

 

 少女はその場から跳躍しネフシュタンの鎧一部である鞭を回転させエネルギー弾を作り出しそれを自身の真下に投げ込む。

 

【NIRVANA GEDON】

 

 投げ込まれたエネルギー弾は地面に当たると同時に爆発、土煙が広範囲に広がる。

 少女は着地し周囲を警戒する。すると一部の土煙の気流が乱れるのが見えた。

 

「っ!そこか!」

 

 少女は両手で二本の鞭を持ち気流が乱れた箇所に向かって鞭を振るう。一直線に伸びた鞭は一度何か(・・)に衝突しその勢いのままソレに絡み付く。

 やがて土煙が晴れ巻き付いたモノの正体が露になる。そこには[風王結界(インビジブル・エア)]によって隠された[約束された勝利の剣(エクスカリバー)]に鞭が巻き付き動きを止められたセイバーの姿があった。どうやら先程の爆発で被っていた[ギネヴィアの隠れ布(ハイド・オブ・ギネヴィア)]が脱げてしまったらしい。

 

「テメェが噂の都市伝説様ってヤツか!姿隠してネチネチと斬り付けてきやがって姑かってんだ!」

 

 独特のニュアンスを発しながらセイバーを睨み付ける少女。この時少女は自身の雇い主から融合症例である響と同じくセイバーの捕獲も命じられていた。獲物がわざわざ自分から来てくれたことに内心では笑みを浮かべる少女。だがその笑みは直ぐに消え失せる事になる。

 少女はこのまま力の引っ張り合いなるだろうと鞭に力をいれていたが、セイバーは逆に[魔力放出]によって一気に少女に接近してきた。

 

「なっ!?」

 

 想定と違う行動によって思考が停止し動きを止めてしまった少女。だがセイバーはそんなことはお構い無しと間合いに入った瞬間、左腕にも同じく[魔力放出]を行いアッパーカット状のみぞおち砕きを少女に叩き込む。

 

「ゴっ!?」

 

 接近してきた際の全身の[魔力放出]による速力に加え、アッパーカットを行うため初速として使われた左腕の[魔力放出]、更に筋力:Bによるステータスによる補正が合わさった攻撃により少女の体は宙を浮く。そのまま後方へ飛んで行き地面を数回バウンドして止まる。

 

「ガッ――ゲッホ、ガッホ、ガハッ!!」

 殴られた衝撃で肺の中の酸素を一気に外に出された少女は過呼吸気味に咳き込む。

 そんな少女にゆっくり接近するセイバー。だがその歩みは強引に止められる。

 彼女の顔前を縦一文字のエネルギー弾が通り抜ける。セイバーはエネルギー弾が放たれた方向に首を向ける。そこには身の丈以上に刀身が大きく変化した[天羽々斬]を持つ翼の姿があった。

 

【蒼ノ一閃】

 

「止まれ!セイバーと名乗るもの!」

 

 翼は[天羽々斬]を元の刀身の大きさに変化させながら切っ先をセイバーへと向ける。

 

「この場は防人の戦場(いくさば)なり!故に手出し無用!!」

 

 翼とセイバーの間に静寂が生まれる。だがお互いにその瞳を反らさず、その奥にあるモノを見極める。やがてセイバーは大きく後方へ飛びその場で棒立ち状態であった響の隣に降り立つ。そして手にしていた[約束された勝利の剣(エクスカリバー)]を地面に突き立てその柄頭(ポンメル)に両手を重ねて置く。それはまるで獅子が他の動物達の前に立ち威風堂々する様のような姿だ。

 翼はそれを見届けた後少女の前えと歩み寄る。

 

「私は出来損ないだ…」

 

 翼は語る。己の不甲斐なさを。

 

「この身を一振りの剣と鍛えてきたはずなのに、あの日、無様に生き残った…」

 

 翼は語る。己の後悔を。

 

「出来損ないの剣とし、恥を晒してきた…!」

 

 翼は語る。己の生き恥を。

 

「だがそれも今日までの事だ。奪われたネフシュタンの鎧を取り戻して、汚名を灌がせてもらう…!」

 

 翼は語る。己の覚悟を。

 

「て、テメェ何を――ゴホッ!ゲホッ!」

「月が覗いているうちに、決着を付けましょう」

 

 少女の顔前にまで近づいた翼は雲の隙間から射し込んだ満月の光と言う名のスポットライトに照らされていた。少女はネフシュタンの鎧により傷自体は再生しているが今だに呼吸が整わずその場から動けずいた。

 そして翼は大きく息を吸い込み…

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el baral zizzl」

 

 [絶唱]を歌い始めた。

 

「その歌…!?駄目です翼さんその歌は!!」

 

 今まで状況についていけずにほぼ放心状態であった響が[絶唱]を歌い始めた翼に気付き、ようやく再起する。止めようと翼に向かって走り出そうとする。

 が、それを止める者がいた。響の隣に立っていたセイバーが左手を響の前に出し制止を促していた。

 

「ど、退いてください!このままじゃ翼さんが!!」

 

 響はセイバーに訴える。するとセイバーは首を動かし響の顔を見る。レインコートのフードから除いたライトグリーンの瞳が響を射抜く。

 

「っ!?」

 

 その瞳を見た瞬間、響は押し黙ってしまう。喉元まで出かかっていた言葉がどうしても出てこない。響は知る由も無いがこの時、セイバーの持つスキルの一つである[カリスマ]スキルが発動していた。そのランクはB、一国を率いるに十分な度量と言われ、逆に言えば一国を率いる程の卓越した資質である。つい最近まで一般人であった響が(セイバー)に具申しようなど滑稽でしかなかった。

 響は何もできずただ翼の[絶唱]を聴くしかなかった。

 

 そして…

 

「防人の生き様、覚悟を見るがいい!!」

 

 翼は[絶唱]を歌いきった。

 

━━━━━━━━━━

 

「私とて…人類守護の務めを果たす防人…です。こんな所で…折れる、剣…じゃ…ありま…せん…」

 

 翼さんがそう答える。全身のあらゆる場所から血を流して今にも倒れそうなのに。翼さんは笑っている。

 そして糸の切れた人形の様に翼さんが倒れる。

 

「翼!!」

 

 そこに先程の駆けつけてくれた弦十郎さんが翼さんを抱き止める。

 何も出来なかった。私はただ見ているだけで、ただ翼さんが二年前の奏さんと同じように[絶唱]を歌いきるのをただ見ているだけしか。

 すると私の隣にいたセイバーさんが踵を返して去ろうとしてるのが見えた。

 

「待て、セイバー!」

 

 すると弦十郎さんがセイバーさんを呼び止める。セイバーは足を止めて首だけを弦十郎さんの方に向けている。

 

「何故翼を止めなかった!お前ならアレ(絶唱)がどんなものか分かっていたんじゃないのか!」

 

 弦十郎さんがそう叫ぶ。大切な家族がこんなことになったんだから当然だと思った。

 

「…覚悟を感じました。その少女の瞳に」

 

 セイバーさんが静かに、だけどはっきりとそう答えた。

 

「例え自分の命を散らしてでも誇りと意地は突き通す。そんな覚悟を私は見ました」

 

 そしてセイバーさんが私に振り向く。あの綺麗な緑色の瞳がまた私を貫く。

 

「貴女にその様な覚悟はありますか?」

 

 答えられない。私はただ人助けがしたくて。でも人と戦うなんてしたくなくて。そんな色んな感情がごちゃ混ぜになって私を困惑させる。

 

「無いのなら、貴女はここにいるべきではない。元いた場所に戻るべきだ」

 

 その言葉で私の中の何が崩れた。

 セイバーさんはそのまま何処かに去っていった。私はその場で座り込んでしまう。私がしていた覚悟なんて到底甘かった事に。翼さんの様に命をかけるほどの覚悟が必要だった事に。

 

 月明かりが照らし出す中、私は一頻り泣いた。

 

 




案外コミケの待ち時間に書けるもんですね。
今回もアンケートの方にご協力ください。m(_ _)m

今回の戦闘でセイバー(オリ主)の戦闘力が分かった?

  • なるほど。だいたい分かった
  • もうちょい見極める必要がある
  • 分からん、もっと詳しく書いて
  • そもそも戦闘描写が下手すぎて読めない

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