ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~目覚めるその魂~   作:シエロティエラ

13 / 57


 メインであるハリポタですけど、中々納得のいく続きが掛けないんですよね。
 書いては消し書いては消しを繰り返し、息抜きのはずのダンまちばかり下書きが完成していく状態です。

それではどうぞ。





11. 剣と顎

 

 

 

 砕けた氷の破片も全て消え、静かに立っていたベルも変身を解除した、途端に襲い来る疲労感に一瞬ふらついき、ベルは思わず膝をついてしまった。

 

 

「大丈夫?」

 

 

 最初に駆け寄ったのはアイズ。次いでヒュリテ姉妹とレフィーヤが彼に駆け寄った。レフィーヤの手にはポーションの試験管が握られている。

 

 

「これを飲んでください。少なくとも肩の傷は治療できます」

 

「でもこれ……結構上等なポーションじゃ……」

 

「助けていただいたんです。これくらい安いものですよ」

 

「そうそう。それに君の助けが無かったらあのモンスター倒せなかったしね!!」

 

 

 妹のティオナが笑いながらそう言う。何も言わないが、ティオネとアイズも同意するように頷いている。それを見たベルはあきらめ、大人しくポーションを口に含んだ。すると服の破れた穴から見えていた傷が、みるみるうちに塞がっていく。それを見たアイズたちは、とりあえず安堵の表情を浮かべた。

 

 

「ここまでしていただいて何ですが、一つお願いしてもいいですか?」

 

「ん~内容次第ね」

 

「申し訳ないですけど、僕がアギトというのは秘密にしてほしいんです」

 

「え? どうして?」

 

「この力は……『神の加護(ファルナ)』が一般的になった今でも異質です。それに、神様たちの中には、この力を快く思わない人たちもいます」

 

「成程ね……」

 

 

 勿論ティオネたちも、むやみやたらと言いふらす気は無かった。しかし彼女らの主神や団長には報告すべきと考えていた。しかし彼はそれすらもやめてほしいという要求をしている。

 しかしベルの要求も筋が通っているのも事実。それに今回食人花を討伐できたのも、ベルの力によるところが大きい。その対価が「秘密」というのならば、まだ安い方だ。

 そう考えた彼女らは話し合い、彼の望みを飲むことに決めた。ただし互いに所属と名前を明かすという条件で。

 

 

 

 

 

 ──────────────―

 

 

 

 

 

 そんな様々なことが起こった怪物祭だったが、ベルの周りは概ね円満に終えることができた。シルもアイズたちと別れた後無事発見し、祭りは中止になったものの、財布を渡すことができた。

 そして現在は早朝。まだ日も登らぬ時間にオラリオの外周を囲う城壁の上で、ベルは一人で鍛錬をしていた。と言っても過去に修業を付けたロード、エルロード相手にイメージのシャドーをしていた。本来ならばそのまま一人で鍛錬をしていたのだが、彼の後方では一人の少女がその様子を見ていた。

 

 

「……あの~アイズさん? 余り見ていても面白くないですよ?」

 

「大丈夫。結構参考になるところがある」

 

「そうですか……」

 

 

 そう、アイズ・ヴァレンシュタインである。たまたまベルが走って城壁に向かうところに出くわし、時間の空いていたアイズが付いてくる形で修業を始めたのだった。

 

 

「……ねぇベル。私と一回手合わせしてくれない?」

 

「え!? 僕じゃ相手になりませんよ!?」

 

「? 変身しないの?」

 

「……あれはむやみにするものじゃないです」

 

「そう、残念」

 

 

 そう言ってアイズは無表情ながらも、若干落胆した雰囲気を纏わせた。そんな様子を見たベルは一つ結論を出す。周りから如何に剣姫だの第一級冒険者と言われていても、彼女は人の子であると。

 

 

「分かりました。変身しないですが、手合わせをお願いします」

 

「うん。わかった」

 

 

 アイズはそう言うと愛剣デスペレートを構え、ベルは小太刀をしまってグランドフォームの時と同じ構えを取った。

 お互いに黙ったまましばらく動きがなかった。そして太陽の頂点が地平線から顔を出した時、初めにアイズが動いた。

 無論相手はアギトとはいえレベル1の冒険者、アイズなりに手加減をしていたが、それでも一般の冒険者では避けるどころか見えもしない速度の突きを、アイズは放った。

 

 

(ッ!? 速くて鋭い!?)

 

 

 ベルもそれは変わらず、反撃などできなかった。だが訓練の賜物か、咄嗟に判断し、避けることは出来た。単純な突きのならビーロードのほうが鋭さも速さも勝っていた。もっとも、彼のロードに関してはテオスの命とは言え、殺気が篭っていたのが一番の理由だが。

 

 

「くっ!? ハァアア!!」

 

 

 突き出される斬撃と突きを避け捌き、時折生じる隙に拳打を打ち込むが、それも悉くいなされてしまう。やがてベルに合わせるように放たれてた攻撃が激しくなり、ベルも反撃するタイミングをなくしていく。

 どれほど時間が経ったか、アイズが大きく下がり今までで最も勢いのついた刺突を放つが、その顔は驚愕に染められた。彼女の剣をくぐるように突き出された拳は、アイズの腹の前で寸止めされていた。

 

 

「……狙ってた?」

 

「はぁ、はぁ……最後の一撃が大きな動きなのは、以前見て学んでいたので」

 

「そんなにわかりやすい?」

 

「ええ。僕が言うのもなんですが、アイズさんはただただ力任せにやっているように感じます。『心技体』という、『力』に必要なもののうち、かけているものがあります。僕と同じように」

 

「それはなに?」

 

「……こればかりはアイズさん自身で見つけるしかありません。何故そこまで『力』に固執してるか知りませんが、それが理解できない限り、あなたは今のままです」

 

 

 ベルの言葉に不満そうな雰囲気を出すが、ベルはそれを気にするまでもなく帰り支度を始めた。その様子をアイズはじっと見つめている。

 

 

(そう。戦う理由も、力を持つ意味も、誰かに答えを出してもらうものじゃない。自分で出さなくちゃいけない、己が己であるためにできること。それは、最後には自分で見つけるしかないんです)

 

 

 






 今回は息抜きプラス、オラリオに来る前に人外に鍛えられたベルが生身で戦えばどうなるかを想像して書きました。
 俺TUEEしても良かったのですが、どうしてもそれじゃあ私が納得できなかったので、アイズがそれなりに手加減した状態で対応できるというレベルにしました。

それではまた次回。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。