ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~目覚めるその魂~   作:シエロティエラ

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個人的にはやっとという印象。
ではどうぞ。

なんで熱出てるのに書いたんだろう?(夏風邪です)




34. 業炎

 

 

「仮面ライダー? 何だそれは?」

 

「気にしなくていい。そら、奴さんも復帰したみたいだぞ」

 

 

 マゼンダと白黒に彩られた鎧を着た男が、気怠げにゴライアスを指さす。先程まで痛みでもだえていたが、もう傷も治ったらしい。加えて顔に攻撃を受けたことにより、先程よりも怒りに力をみなぎらせている。

 

 

「まあ、怒ったところで独活(うど)の大木なのには変わりない」

 

ATTACK-RIDE. BLAST!!

 

 

 男がバックルにカードを差し込むと機械的な音声が辺りに響き渡り、男が手に持つ妙な機械から弾のようなものが何発も発射され、ゴライアスの体を打ち抜いていく。

 

 

「あれは、ロストエイジの道具か?」

 

「そう言えばあの謎の襲撃者も同じように変身していた」

 

「ごちゃごちゃ言っていないで、さっさと隊列を組みなおせ」

 

ATTACK-RIDE. SLASH!!

 

「す、すまない。弓矢隊、魔法隊!! 一斉砲撃!!」

 

 

 男に叱咤されながらもフィンは気を持ち直し、部隊に指示を出していく。命令を受けた弓矢隊は一斉掃射し、魔法隊は詠唱を開始する。無論ゴライアスも抵抗を試みるが、それを阻むように謎の男が斬撃を入れてそれを阻む。そしてゴライアスにとって質の悪いことに、踵の筋や膝裏など嫌な場所を狙って切りつけられ、しかも刃が弾かれることもないので痛みが走っていく。幸い筋が切られることはないが、痛いことには変わりない。

 

 

「ベル君!!」

 

「ベル様!! 起きてください!!」

 

「回復魔法が……!!」

 

 

 救護エリアでヘスティアとリリの声が響く。ポーションとレフィーヤの回復魔法の併用で治療を施していくが、ベルの意識は未だ戻らず、傷の治りも悪い。

 

 

「レフィーヤ、交代だ!!」

 

「リヴェリア様……」

 

「お前は隊列に入り、ゴライアスの攻撃を頼んだ」

 

 

 リヴェリアと交代したレフィーヤは隊列に入るが、何度かベルに向かって振り向く。しかし他の者と混じってゴライアスに向かって詠唱を始めた。リヴェリアもベルの治療に取り掛かるが、それでもやはり遅々として進まない。

 

 

「何故だ!? 何かが魔法を拒んでいるように……」

 

「ヘスティア様、リヴェリア様!! あれを!!」

 

 

 リリの指さす先を確認すると、ゴライアスの左胸に刻まれた文字が光を放っていた。同時にリヴェリアの回復魔法は愚か、魔法隊の魔法も威力が極端に落ち込み、効果が低くなってしまっていた。

 

 

「……余計な知恵ばかりつけるな」

 

KAMEN-RIDE. BULD!!

 

FORM-RIDE. HORK-GARTERING!!

 

「変わった!?」

 

「飛んでる!!」

 

 

 再度変身をした男の容姿は、初めは青と赤のツートンカラー。それからすぐに黒と橙のツートンカラーへと変化する。背中から絡繰りじみた橙の羽を生やした男はそのままダンジョンの空へと舞い上がり、手に持つ妙な道具で何発も弾を顔に当てていく。やがてゴライアスが痛みにもだえたとき、その左胸が無防備にあらわになった。

 

 

「ここだな」

 

FINAL-ATTACK-RIDE. BU-BU-BU-BUILD!!

 

VORTEX-BREAK!!

 

「はっ!!」

 

 

 幾度目ともわからぬ機械音声に驚きつつも、周りは攻撃の手を緩めない。それはひとえに、謎の男が胸の模様を狙っていることを察し、攻撃しやすくするためである。周りの攻撃もあってかゴライアスは攻撃に悶えはするも左胸を隠すことができず、地面に縫い付けられている。そしてその胸に向かって、男の強力な一撃が過たずに模様を貫き、それを消し去った。

 

 

「模様が消えたぞ!! 魔法隊、ぶち込めええ!!」

 

 

 これにより、魔法を阻害するものがなくなったことで魔法攻撃が激しくなり、また回復魔法の効力も元に戻っていく。

 

 

「ベル君、聞こえるかい? 皆が一丸となって脅威に立ち向かっているよ」

 

「ベル様だけに背負わせないように、みんなで戦っています!! だからベル様……」

 

「アギトかどうかなど関係ない!! 君はこの戦いの要だ!!」

 

 

 ヘスティアたちの声が響く。そしてその声は、確かにベルに聞こえていた。

 

 

(神様、リリ、リヴェリアさん。レフィーヤさん、アイズさん、フィンさん、ベートさん)

 

(みんなが戦っている。なのに僕はなんで倒れているんだ。動け、動くんだ!!)

 

 

 しかしベルの意志に反して彼の体はピクリとも動いてくれない。それがたまらなくもどかしい。

 

 

……聞こえるか、少年!!

 

 

 その時戦場から一つの声が響く。それは唐突にこの場に現れた、幾度も姿を変えている男のものだった。

 

 

「俺たちは時に、自分一人で戦うこともある!! この手で……だが、この手で相手の手を握ることもできる!! その時俺たちは、弱くても、愚かでも決して一人じゃない!!」

 

「折れてもいい、挫けてもいい!! でも忘れるな!! ある人が言った……俺たちは正義のために戦うんじゃない、俺たちは人間の自由のために戦うんだと!!」

 

仮面ライダー(おれたち)の意思を継ぐならば、今立ち上がらないでいつ立ち上がる!? 今ここで脅かされているのはなんだ!!」

 

「己を賭せ!! 願いを貫き、思いを叫べ!! 人間の未来を守り抜け!!」

 

目を覚ませ、ベル・クラネル!! 俺たちの新たな同胞、仮面ライダーアギト!!

 

 

 男の叫びが終わると同時に、復活したゴライアスが再度雄たけびを上げた。最早左胸の紋様はなくなってしまっているが、それでも依然として強化された状態なのは変わりない。

 変わらず手に持つ斧を振り回し、自身に誰も寄せ付けず且つ真空の刃で部隊を崩していく。

 

 

「……ッ!?」

 

「ベル様!!」

 

「ベル君……」

 

 

 一瞬先程の声で戦場に気をとられるが、その間にベルは起き上がっていた。そして彼女らが気付かぬ間に戦場に舞い戻っていた。

 

 

「……誰も。誰も人の未来を奪うことはできない!!」

 

 

 ゴライアスの前に立ち、一つ鬨の声を上げたベル。その腰にはドラゴンズネイルの生えたオルタリングが巻かれていた。いつのも動きとは異なる構えをとるベル。そして一度顔の前で、伸ばし切った腕を交差させた。

 

 

「変身!!」

 

 

 掛け声とともに両脇のボタンが押され、一つの火柱が地面から燃え上がる。余りの熱さにゴライアスは腕を焼かれ、悲鳴を上げた。そして焔が収まった場所に立っていたのは、爛々と黄金の目を光らせた赤き角の竜戦士だった。

 

 

「ハァァァァアアアアアアアッ!!」

 

 

 変身と共に構えをとった戦士の足元には、床を埋め尽くすほどの大きさのアギトの紋章が浮かび上がり、ゆっくりとベルの右足へと収束していく。しかしその余りもの大きさに時間がかかっており、それがゴライアスにとってはいい的になっていた。

 

 

「させねえ!! 火月!!」

 

 

 ベルの方に向かおうとしたゴライアスだが、剣を構えたヴェルフが飛び込み、それを強制的に砕いて極大の炎を作り出して妨害した。実はヴェルフが鍛えていた魔剣であり、強制崩壊による一度限りの攻撃である。

 

 

「【今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々 。愚かな我が声に応じ、今一度星火の加護を。汝を見捨てし者に光の慈悲を……】」

 

 

 炎が収まると再度歩みを進めようとしたゴライアスだが、今度はリューが高速で動きながら体中を切りつけていき、同時に魔法の詠唱をしていく。

 

 

「この高速戦闘中に詠唱を!?」

 

「【……来れ、さすらう風、流浪の旅人。空を渡り荒野を駆け、何物よりも疾く走れ。星屑の光を宿し敵を討て】!!」

 

「なんて高い……!!」

 

 

 そのハイレベルな戦い方に、地表にいたアスフィと命が驚きの声を上げる。彼女たちにとってベルがアギトだったり、ゴライアスが強化されていたり、謎の救援が思った以上に強力だったりと、頭が混乱するようなことの繰り返しであった。しかしそこは腐っても冒険者、瞬時に意識を切り替え、己にできることをこなしていく。

 ペガサスの靴を履いていたアスフィはその能力を用いて空に舞い上がり、ゴライアスの目に攻撃を加え、一時的に視覚を奪う。

 

 

「【ルミノス・ウィンド】!!」

 

 

 更に追い打ちをかけるように、詠唱を完了させたリューの風魔法がゴライアスを襲う。無数の風を纏った光球によってゴライアスの動きは阻まれ、ダメージを与えていく。しかしその中でもゴライアスは無理やり体を動かし、アスフィを腕で弾き飛ばし、リューをその手で握りしめた。

 

 

「【掛けまくも畏きいかなるものを打ち破る我が武神よ、尊き天よりの導きよ。卑小のこの身に巍然たる御身の神力を!! 救え浄化の光、破邪の刃。払え平定の太刀、征伐の霊剣今ここに、我が命において招来する 天より降り、地を統べよ 神武闘征!! フツノミタマ】!!」

 

 

 痛みで苦悶の声を上げるリューだが、続いて放たれた命の魔法によってゴライアスの手から解放された。命が使った魔法は重力を操作する結界魔法。光のくいを打ち込んだ場所を中心に、一定範囲に作用する結界魔法である。しかしゴライアスがその馬鹿力に物を言わせて抵抗し、拘束時間はそれほど長くはなかった。

 

 

「……出血大サービスだ、先輩(こうはい)

 

FINAL-ATTACK-RIDE. DE-DE-DE-DECADE!!

 

 

 何度目かの機械音が響くとともに、ゴライアスめがけて二十枚の光の壁が形成される。男は飛び上がるとその光の壁に突き出した右足から突っ込んでいく。砕かれた壁はエネルギーとなり、男の右足に収束された。そして最後の壁を砕くとともに、男の蹴りがゴライアスにさく裂し、その身を大きく抉り取る。

 

 

「ハッ!!」

 

 

 抉り取られた部分からはゴライアスの禍々しく輝く魔石が露出しており、それを護るように肉体が再構成されていく。しかしその一瞬のスキを見逃すまいと、エネルギーを溜めきったベルが空に舞い上がった。

 

 

「タアアアアア!!」

 

 

 そして雄叫びと共に爆炎を纏ったキックがゴライアスの魔石にさく裂した。声なき叫び声と共に目映い光が戦場を満たしていく。暫く再生と破壊が拮抗していたが、更にベルが力を加え、肉壁を押し切っていく。

 そしてついに一際強い光に視界が包まれ、ゴライアスの魔石が粉々に砕かれた。

 

 

「また会おう。元気でな」

 

 

 

 

 

 

──ステイタス更新

 

──スキル:【燃え盛る業炎のもの(バーニングフォーム)

 

 





――まぁ、こんなもんかな。

――てめぇ、帰らせると思ってんのかよ。

――君にはどうにもできないよ。じゃあね。

――待て!! ……ちっ、なんだよあの幕は。

――……あっちはどうなったんだ。

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