ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~目覚めるその魂~ 作:シエロティエラ
メインよりもこちらの方が話を思いついたため、更新することにしました。
相変わらず地の文多めの拙い文ではございますが、よろしくお願いします。
それではどうぞ
女神のホーム、廃教会の地下に移動してすぐに眷属化の儀式をしたが、案の定というべきか、女神の悲鳴が響き渡った。
「な、ななななな、何だいベル君、このステータスは!?!?」
「へ、ヘスティア様? どうかしましたか?」
「どうもこうも、君のステータスがヤバいから驚いているんだよ!?」
女神、ヘスティアの悲鳴にも近い叫びが響き渡った。そしてベルに向かい、一枚の羊皮紙を突き出した。
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ベル・クラネル
Lv, 1
力:I0
耐久:I0
器用:I0
俊敏:I0
魔力:I0
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文字を見る限り、そこまで異常という印象を受けない。
「えっと神様? いったいこれのどこが?」
「ああ、数値は問題ないよ。寧ろ余程特例じゃない限り、数値はその値で問題はない。問題なのはスキルさ!!」
ヘスティアは声を張り上げると、羊皮紙の下のほうを指差した。
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≪スキル≫
【
光の力/火のエル・プロメスの系譜を示すもの。
【
無限の可能性を秘めし者。
【
整いしもの。進化はここから始まる。
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「いったいどういうことだい!? 君はもしかして、
「……はい。そう聞かされています」
「で、でも……プロメス様はすでに亡くなっているはずじゃあ?」
「ええ、僕を鍛えてくださったお方は、自らを闇とおっしゃってました」
「テテテッテテ、テ、テオス様ァァァアアアアア!?!?」
ギャーッと叫び混乱するヘスティアを横目に、ベルは逃げるように廃教会を出ていった。背後で叫ぶ声に若干の罪悪感を感じつつも、ベルはギルドへと足を速めたのだった。
ギルドにてアドバイザーからダンジョンの講習を受けた後、早速ベルは探索に出ていた。出現するモンスターたちを小太刀、又は蹴りや拳打で応戦し、魔石やドロップ品を集めていく。自然己の力に合わせるように、階層を下へ下へと足を進めていった。
しばし探索すること数刻、荷物も魔石でいっぱいになり始めたため、ベルはそろそろ帰ろうと後始末を始めた。まだまだ一日目、無理をしなきゃいけないほどではない。
「でもいつまでもあの教会に神様を住まわせるのも……もう少しだけ集めるかな」
しかし今日見たホームの様子だと、食事すらも偏った物になる可能性が高い。主神ヘスティアは、今日自分が来るまではじゃが丸くんの店でバイトをして食いつないでいたという。流石に毎日そんな食生活だと、こちらの健康が損なわれてしまう。それは避けないといけない。
「たぶん今から帰ると、ギリギリお店は開いているかも。そこで野菜やお肉を買うのも良いかもしれない」
義祖父と生活していたとはいえ、料理ができる者はいなかった。だから自然、ベルは料理を覚え、修行と共に腕も上げており、一応一通りの家庭料理は作れる。最近では、新レシピ開発にも少し力を入れていた。何故か新レシピは不評を買ってしまうが。
そんな考え事をしていたが何かを察知したのか、ベルはダンジョンの奥を険しい顔で見つめていた。果たして飛び出してきたのは、憔悴しきった顔をした、三人の冒険者だった。
「大丈夫ですか?」
「み、みの……」
「みの?」
「ミノタウロスだ!! ダンジョン上層で、ミノタウロスが……ヒィッ!?」
一人の冒険者の悲鳴に顔を上げると、そこには筋骨隆々としたミノタウロスが、巨大な剣を携えながら立っていた。ギルドの講習を聞く限り、本来五層という上層に、ミノタウロスは出現することはない。とどのつまり、下層で発生したミノタウロスが上層に逃げ込んで、今駆け込んできた冒険者を追いかけてきたのだろう。
「皆さん、走れますか?」
「む、無理よ、足が震えて……」
「俺が抱えて走れる!! でもそれだと追い付かれる……」
「大丈夫です、僕が殿を務めます。早く逃げて!!」
「す、すまない!!」
一人の男性冒険者が仲間だろう女性冒険者を抱え、もう一人の男性冒険者と一緒に駆けていった。恐らく、すぐにでもギルドに知らせに行ったのだろう。気配を探る限り今このエリアにいるのは、ベルと目の前のミノタウロスだけだ。ミノタウロスは鼻息荒く息をつき、目の前に佇む
「ごめんね。でも君を放っておくと被害が多くなりそうなんだ、だから……」
ベルはそう言うと左腰で両手をクロスさせると、右手だけを一瞬前方に突き出した後顔の右側で固定した。その瞬間、ベルの腰に絡繰りじみたベルトが巻かれており、待機音みたいなものが鳴り響く。律儀にも待っているミノタウロスの前でゆっくりを右腕を突き出すと一気に溜めていた空気を吐きだした後、一気に己を変える言葉を叫ぶ。
「変身!!」
掛け声とともにベルトの両脇を押すと、眩い輝きがベルトから発せられ、薄暗いダンジョンを照らし出す。ミノタウロスも突然の輝きに思わず目を覆う。次第に輝きが弱まり、ミノタウロスが目を庇った手をどけたとき、目の前にいたのは先ほどまでの小柄な人間ではなかった。
全身を覆う黒い肉体に、上半身は黄金に変化した筋肉に覆われている。特徴的なのはその頭部であり、顔面の半分を占める真っ赤な複眼に頭頂部を飾る二本の黄金の角だった。しかし獣の勘なのか、ミノタウロスは先ほどにも増して戦意をみなぎらせていた。そんな様子を、輝く人型はその様子をを静かに見つめると、ゆっくりと構えを取った。
今この時、オラリオに
【本作の世界観】
アギト本編から何千年も経過し、栄枯盛衰を繰り返した。その際、僅かに残った人類とアギトがそれぞれ進化し、尚且ついろんな神が降臨した世界。
エルフやドワーフ、アマゾネスといった種族は、アギトの因子を持った過去の人類が、独自の進化を経た結果生まれた種族という設定。そのため種族によっては、アギトの伝説が残っているのも存在する。