ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~目覚めるその魂~ 作:シエロティエラ
――嗚呼、美しい
――白、金、深緋(こきひ)、紺碧、紅蓮、白金
――こんな様々な色をはらむ魂なんて初めて
――知りたい、知りたい、知りたい、知りたい
――貴方が欲しい
酒場に赴いた翌日、ベルはギルドに行く前にヘスティアに相談を持ち掛けることにした。そのために、ヘスティアが起きるまで自室で待っていた。
「神様、すこしいいですか?」
「どうしたんだい、ベル君?」
「一昨日、ミノタウロスに対処するために、緊急的に変身したと報告しましたよね」
「うん、確か周りに誰もいないことを確認したってベル君は言っていたけど……」
ベルが一つため息をつく姿に、ヘスティアは怪訝そうな顔をする。しかしその表情は、すぐに驚愕したものに変わった。
「実は物陰から見られていたみたいで、別のファミリアに存在を知られてしまいました」
「なんだって!? まさか、変身前の姿も見られたのかい?」
「いえ、アギトの姿しか見られてないです。でもロキ・ファミリアに知られたのと、僕のアドバイザーに疑われています」
「そうかい……よりによってロキか……」
ヘスティアとロキは仲が良くない。決して殺し合いをするほど憎悪しているというわけではないが、それでも顔を合わせれば口喧嘩するほどには悪い。だからもしベルがアギトだと知れれば、何かしらアクションを起こすだろう。
「ロキはアギトに関しては中立だ。余り良くは思っていないみたいだけど」
「となると……」
「……うんロキの派閥には、ベル君がアギトということは知られないようにするんだ。アギト自体は知られたからこの際諦めよう」
「はい」
「問題はアドバイザー君だけど……」
ここでヘスティアは頭を悩ませる。できるなら、ベルのことは隠密に済ませたい。しかしアドバイザーが疑うということは、相応に証拠乃至、情報が揃っていると考えていい。となると、下手に隠すよりかは、そのアドバイザーだけに知らせ、広めないようにすればいいかもしれない。
ヘスティアとベルにとって幸いなのは、ギルドの主審がウラノスという神であり、彼はアギト肯定派の神であるということだ。少なくとも彼の容認があれば、少しはベルが動きやすくなるかもしれない。
「ベル君のアドバイザーは、
「職務上、少しは読めると言ってました」
「ならそのアドバイザー君に背中のステイタスを見せるといい。ただし、くれぐれも胸の内に留めるか、報告するにしても主神だけにするように忠告してくれ」
「分かりました。それじゃあ神様、いってきます」
ヘスティアの言うことを聞くと、ベルは準備をしてギルドへと出発した。
昨日よりも遅い時間に出発したためか、道は人で溢れかえっている。活気にあふれた街中を縫うように歩を進め、ベルはギルドに足を踏み入れた。案の定エイナはベルを見つけると、鬼気迫る顔で近寄ってきた。
「ベル君? 昨日のことについてお話が……」
「ええ、僕もエイナさんにお話がありました」
「え?」
軽く注意をしようとベルに近寄ったエイナは、ベルの言葉に気をそがれてしまった。そして彼の目を見て何事か察したのだろう、すぐに昨日使った個室に案内した。
「それで、どうしたのベル君?」
「ええ、昨日途中で逃げたことと、それについてのお話で」
「えっと、なんで逃げたか話すってこと?」
「はい。というより、僕のステイタスを見れば、全てわかると思います」
「ちょっと待って!?」
エイナはベルの発言に、驚き一色の表情を浮かべた。本来アドバイザーであっても、他の冒険者のステイタスはギルドに提出されたものしか見れない。刻まれた大元のものなんてもってのほかである。
「ステイタスを見せるなんて、ベル君本気?」
「はい。神様にも許可をいただいています。ただし、見るからには他言無用です」
「それは分かっているけど……わかったわ。もし仮にベル君のステータスが明るみに出る様な事があれば、私が全責任を負う。それこそ、貴方に絶対服従する」
「え?」
「冒険者にとってステイタスはね、一番バラしちゃいけないものなの。それを見るということはね、相応の対価と信頼が必要なの」
「……わかりました。じゃあお見せします」
ベルはそう言うと、上着を脱いだ。服の下から現れたのは、およそ十四歳とは思えぬほどに無駄のない肉体と、そこに刻まれた無数の傷跡。
裂傷、刺傷、火傷、切傷、弾傷。
今全て回復して跡になってはいるものの、目を背けたくなるものばかり。
「ベル君……その体……」
「……ここに来る前についたものです。さぁ、どうぞ見てください」
ベルはエイナに背を向け、彼女にステイタスを見えるように立つ。エイナはそれを見て、すぐに用紙に書き写した。その側には、すぐに燃やせるように、金属の盆とマッチが置いてある。
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ベル・クラネル
Lv, 1
力:D21
耐久:F56
器用:E43
俊敏:D37
魔力:I23
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書き写したエイナは用紙に目を移し、そして口を押えた。
ベルは一昨日冒険者になったばかり、その時提出されたステイタスは、全て(I)のランクであった。それが僅か一日二日で、魔力以外が二つも三つもランクが上がっているのだ。常人では、あまり考えられない状況である。
そしてスキル欄に目を移した時、文字通りエイナは卒倒しかけた。
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≪スキル≫
【
光の力/火のエル・プロメスの系譜を示すもの。
【
無限の可能性を秘めし者。
【
整いしもの。進化はここから始まる。超越肉体の金。
【???】
???
【???】
???
【???】
???
────────────────────-
「ベル君……君の言ったことがわかったよ。確かにこれじゃあ、知られたくないよね」
「……」
「大丈夫、これはこの場で燃やすわ」
そう言うや否や、エイナはステイタスの写しにマッチで火を点け、盆の上に置いた。紙の火は止まることを知らず、燃えカスは塵となり、空気に紛れていく。
「神様から、ウラノス様にだけは報告していいと言われています。そこらへんはエイナさんにお任せします」
「分かったわ。ありがとう、私を信頼して見せてくれて」
「……たった二日ですけど、エイナさんにはお世話になってますから」
服を着直したベルは、笑顔でそう返した。その顔を見たとき、エイナは自分の体の内から、何物にも例えがたい衝突のようなものを覚えた。
心臓が五月蠅いほど鼓動を響かせる。この心音がベルに聞こえているのではと思えるほど、エイナの胸を打っている。顔が熱い、否全身が熱い。燃えるように火照りだす。
「じゃあエイナさん、行ってきます」
「ウェッ!? あ、うん。行ってらっしゃい……」
咄嗟に返事を返すも、ベルが出ていったと築くのはしばらくたってからだった。それも同僚が呼びに来てようやく気付くという事態だった。
いやはや、最早最初はアイズルートと言っても過言じゃないくらい独走してますね。そして驚きなのが、ギルス登場よりもやはり他アギトはいらないと考えている方が多いということ。
何れのアンケートもまだ票を受け付けておりますので、振るってご回答ください。
ヒロインアンケートについて、現在の票でいったんしめ、新しく取ったほうがいいかと思案中です。無論現在の票を加算してルートの順を決めていこうかと。
設定にヘスティアとロキの項目を追加しました。