今回の展開の補足は後書きにあります
突然街に姿を現し、街の中で暴走しながら人々を襲い始めた怪人がいた。
眩い光線で建物を破壊し、逃げ惑う人間たちを洗脳し、高笑いをしながら悪の所業を成していく男だった。無力な人々は為す術もなくタガの外れた獣にされ、光線によって発火した建物の火は瞬く間に広がっていった。
逃げ遅れた私は、丁度その怪人の標的にされて。指先に光線を発し始めた怪人を前にして、もはや迫り来る死を待つだけの存在となった。
容易に建物を破壊し燃やし尽くす光線をその身に受ければきっと即座に命を落とす。目の前にいる醜悪な怪人の事を考えれば、きっと体中穴だらけになる程死体蹴りをされ、ただ無意味に死にゆくだけだということが理解できてしまった。
故に目を閉じた。
失禁しながら、意識を容易く手放したのだ。苦しまずに死にたいという自分自身の本能が、私を無防備な気絶へと追いやったのだろう。
しかし気がついた時には、私は五体満足の傷一つない状態で生還をしていた。
そして自室で目を覚ました自分の傍らには、透き通るような銀色の髪を持つ、不思議な雰囲気の少女が佇んでいた。
兄に聞いてみれば、彼女はたった一人であの怪人に抗い私を庇ってくれていた、と。
信じられなかった。自分よりも幼く見える小さな彼女が、強大な悪を前にして果敢に立ち向かったという事実が。
だが、私は微かに覚えていた。思い出したくもない記憶が濁流の様に混在する脳内の片隅には、勇敢に戦ってみせるどころか、私の頬にキスをして怪人を煽る彼女の姿があった。私の兄が間に合うことを知ったうえで、不敵に微笑を浮かべていたのだ。
──強い人だと、そう思って。気がつけば彼女を抱きしめていた。助けてくれた恩やまだ息をしている嬉しさなど、様々な感情が混じり合って爆発してしまい、ただその少女に薄っぺらい感謝を伝えることしかできなかった。
リア。
リアちゃん。
アイリールさん。
美咲さん。
……リアちゃん。
結局私は何も変わっていない。ずっと昔から、兄に守られていた無力なあの時から、何一つとして成長してない。
あの光線を操る怪人が再び現れたときも、悪の組織が街を支配したときも、帰路の途中で怪人に襲われたあの時も。
いつも、いつも。
私は守られるだけの存在だ。
……
…………
………………
あまりにも突然のことだった。兄と田宮さんとリアと私の四人でファミレスに寄り、昼食をとっていたそのとき──店内で爆発が起きた。
咄嗟に兄が氷の壁を生成したことで私たち三人は助かったが、店内にいた他の客や店員たちは大怪我を負っていた。
視線を移した爆発の発生源には、背中から大きな黒い羽を生やした男が一人佇んでいた。虚ろなその瞳で此方を見つめながら、ゆっくりと私たちの方へ歩いてきている。
──すると、兄が周囲を見渡して素っ頓狂な声を挙げた。
「なっ、なんだ!?」
彼に釣られて周囲を見てみると、大怪我を負ったはずの店員や他の客たちが、謎の男と同じように黒い羽を生やしてこちらを見ていた。負っていた筈の大火傷も無くなっており、全員が微妙に浮遊しながら虚ろな目をしている。
焦った兄が田宮の方を向くと、彼は大量の汗を流しながら引きつった笑みを浮かべていた。
「は、はは……マジ、かよ」
「田宮、これは……!」
「……あいつ、本来のリアルートのラスボスだ。周囲の人間を感染させて自分と同じような悪魔を増やす、トップクラスにヤバいヤツ……っ!」
田宮のその言葉を聞いた瞬間、兄が私の手を握って叫んだ。
「今は逃げるぞ!」
兄の言葉通り、半壊したファミレスからなんとか抜け出し、街の中まで私たちは走った。
しかし羽根を生やした悪魔の男は未だ後ろから付いてきており、その周囲には先程とは比べ物にならないほど人数を増やした悪魔たちがいる。
「小春たちは下がってろ!」
もはやただ逃げるだけでは解決にならないことを察したのか、兄は左手に冷気を、右手に光を宿しながら私たちの前に出た。
すると、田宮が焦って兄の肩に掴みかかって叫んだ。
「待てって! リアルートでお前がアイツに勝てたのはタイマンだったからだ! しかもめちゃくちゃギリギリでだ! このまま戦っても勝ち目なんてない!」
「でもこの状況で逃げ場なんて無いしっ、やるしかないだろ……!」
制止を振り切って能力を発動した兄を止められず、頭を抱える田宮。
二人の言い分はきっとどちらも正しくて、逃げ続けることもできないが戦えば負けるのだろう。ただ敢えて選択肢を取るとすれば、兄が時間を稼ぐ隙に私たちが逃げるこの方法くらいしかない。
しかし逃げたところで敵の数が増えていくだけであり、この状況を一言で表すとすれば『詰み』だ。
「おぉ、いい感じだね」
その場にいる誰もが歯痒い思いをしていると、悪魔男の前にフードを被った男性が現れた。
フード男のその顔を見た瞬間、兄がゴクリと唾を飲んだ。その様子とこの状況から察するに、あのフードの男はリアが言ってたクロノという人物なのだろう。
つまり、黒幕だ。
「いやぁ~デビルを洗脳するのは骨が折れたけど、その甲斐あったなぁ」
「お前なんのつもりで……!」
「え? もちろん君のせいだよ、海夜蓮斗君。君がルート外で覚醒するとかいうバグを起こすから、こうやって修正しに来たんだ」
怪しく笑いながらそう言うと、クロノは自分の隣にドアの様なものを出現させた。そのドアノブに手をかけて扉を開けると、ついでのように私たちの方へ顔を向けた。
「あの時は知らなかったけど、どうやら海夜小春の生存で生じた歪みが君の覚醒で明確なバグになってしまったようでね。つまり僕が生きる上で君たち兄妹は邪魔ってわけ」
「勝手な事を言うな! この世界の人々を巻き込むくらいならさっさと元の世界に帰れ!」
「ひどいなぁ、僕は君たちの親みたいなものなのに。……まっ、分かってくれなくてもいいけど。まぁ修正が終わったら悪魔たちには自殺させるからさ、君たちが死んだ後の世界の事は安心して任せてよ」
それだけ言い終えると、クロノはドアの向こうに向かって進んでいった。
──その瞬間、私の隣にいたリアが彼に向かって大きめの石ころを投げ、クロノの頭部に見事的中させた。
「い゛っ!?」
不意打ちをされたクロノは驚いて転倒し、頭を押さえながら慌てて此方を向く。
「……っ゛~! ひっ、いっ、痛いじゃないか! 急に何するんだ!」
「うっさい、バーカ」
涙目で怒鳴り散らすクロノを一蹴するリア。
そんな相変わらず無表情な彼女を睨みつけながら、クロノはドアの向こうへ体を移した。
「本当にかわいくないな君は! 今度会ったとき覚えとけよ!」
「もう忘れた」
「こんの……! ほらデビル! あんな奴ら早くやっちゃって!」
小物くさいセリフを吐き捨てたクロノがドアを通って姿を消すと、それと同時にデビルと呼ばれた悪魔の男が空に飛びあがった。
「俺と田宮でこいつらはなんとかする! リアはフィリス達に連絡を取りつつ小春を守ってくれ!」
「えっ、ちょ、俺も戦うのかよ!?」
「わかった。二人とも、気をつけて」
兄の指示を聞いたリアは軽く頷くと、私の手を握って走り出した。
「小春、いこう」
「……う、うん」
そのまま彼女に引かれるがまま、私はその場から逃げ出した。
──いつも通りの展開だ。
やはり今回も、私は守られるだけでいいらしい。自分にはなんの力もないのだから、これは仕方の無いことなのだ。ただ状況に流されて、足を動かして逃げればそれでいい。
兄に頼って、先輩に任せて、自分よりも体の小さい少女に縋って、ただ生き延びればいい。
それが私だから。無力で何も成せない存在こそが、海夜小春という人間だから。
……なんだ、それは。
「小春っ、危ない……っ」
「わっ!」
急に立ち止まったリアに正面から突き飛ばされ、私は尻餅をついた。
前を見ると、そこには黒い羽を生やした女性が立っていた。いや、女性だけではない。デビルから感染した人々が数十人、既に私たちを包囲していた。
そして今、私の目の前にいる悪魔がリアの首を片手で掴み、そのまま持ち上げた。
「うぐっ……」
「リアちゃん!」
首の根元を絞められながら苦しげな声をあげるリアのもとへ駆け寄ろうと立ち上がると、いつの間にか他の悪魔が背後にいた。
「っ!」
気がつくのが一瞬遅かったのだろう。私はすぐさま悪魔に押さえつけられ、体を地面に落とすことになった。
うつ伏せの体勢で拘束されたまま両手を後ろに押さえられ、身動きが取れない。これではリアのもとへ行くどころか、自分の身すら守れない状態だ。
「こっ、こは……ぇぐっ」
眼尻に涙を浮かばせながらリアがスマホを取り出すが、すぐさま悪魔の女性に手で弾かれてしまう。聞いた話ではリアの生命線でもある筈のスマホは、虚しく地面に転がる結果になってしまった。
敵に抗える最後の希望だったスマホを手放してしまったことで、リアはただ絞殺されるのを待つだけの存在へと成り果ててしまう。
拘束されて動けない私と酸欠で意識が朦朧とし始めているリアを、悪魔たちは醜悪な笑みで見つめている。
「シネ、シネ」
「バグ、バグ」
「キエロ、キエロ」
悪魔たちは口ぐちに簡素なセリフを吐き捨てながら、どんどん距離を詰めてくる。
そして三人の悪魔が私の前に来ると、二人が私を起き上がらせながら拘束し、もう一人が私の目の前に膝をついた。
そして紫色の光を帯びている右手で私の頭を掴むと、うわ言の様に虚ろな声音で喋り始めた。
「痛みに悶える」
「激痛に苛まれる」
「命が潰えるそのときまで、苦しみながら死ね」
複数人が同じ言葉を繰り返すと、頭を掴んでいる右手の紫色の光が更に強く発光し始めた。
──その瞬間、全身に極太の針が突き刺さったかのような激痛が走った。
「っ゛っ゛!? あぁ゛っ! う゛ぁ゛アあぁァ゛!!」
「小春っ……!」
血は出ていない、外傷もない、なのに体には耐えることなど到底不可能な苦しみが渦巻き続けている。
頭を思い切り金属バットで殴打されたかのような衝撃が、鼓膜の奥まで鉛筆を突っ込まれたかのような感覚が、目玉をスプーンで抉られるかのような激痛が、内臓をミキサーで掻き回されるような──想像しきれないほどのありとあらゆる苦痛が次々と押し寄せてきて止まらない。
「痛い! 痛い痛いいたいいたいィ゛!!」
滝のように流れ出る汗や涙を止められないまま、涎を撒き散らして叫ぶ。一体何をされているのかも理解できないまま、子供の駄々のように情けなく喚くことしかできない。
大昔の拷問など子供の遊びに感じる程の激痛に全身を蝕まれ、脳の思考回路が次々と破壊されてしまう。現実的な時間で換算するとすれば、この状態をあと十秒続けられれば私はいとも容易く廃人へと成り果てるだろう。
「やめっ、ろ……うぐぇっ、カヒッ……」
小さな手を此方に伸ばすリアも、最早意識が途切れる寸前の状態で。涎なのか吐瀉物なのか見分けがつかない液体を口の端から零しながら、それでもなお彼女は私の方へ手を伸ばす。
お互い数メートル離れていて、手を伸ばしたところで届くはずなど無いのに。自分自身も死に直面している筈なのに、それでもリアは今でも私の身を案じている。
なんで、どうしてこんな目に合わなくちゃいけない。
自分だけじゃなく、敬愛する恩人すらも巻き込んで、私は何をされている。
「しね、シネ、死ね」
「バグ、異物、不必要な存在」
「生存は間違いだ、お前は死ぬことが正解なのだ」
黙れ、勝手なことを言うな。
うるさい、うるさい。
どうしてお前らなんかにそんな事を言われなくちゃいけないんだ。
「こ、は……ぁ……ぐっ」
「うあぁ゛! やめろ! 離せ! その人から離れろ!!」
触れるな、私の恩人を苦しめるな。何度も私を救ってくれた英雄を──
「離せ、はなせ───」
……
…………
………………
「……っ?」
いつの間にか、知らない場所に立っていた。
悪魔も、リアもいない。建物が崩れ空が暗雲に包まれている荒廃した街の中で、私だけが一人佇んでいた。
「──あっ」
違う、私だけではない。
もう一人、数歩先にある瓦礫の山の上に、誰かが立っている。
フードで顔が見えないが、黒い羽が見当たらないということは、あの人物は人間だ。
「……」
誰だ、と、そう聞こうと思った。
しかし口を開く直前で踏みとどまり、ただ黙ってその人物を……
何も言わない私の方を向いたその人は、ゆっくりとフードを後ろに倒した。
そうして見えてきたのは──私と瓜二つの、顔。
それを見て、意外にも驚きはしなかった。何故か最初から、彼女の存在を知っていた気がしたから。
心の何処かで、ずっと彼女の存在を感じていた。
「私は選んだ」
瓦礫の上にいる私は、そう告げた。
右手に目に見えるほどの『電流』を走らせながら、真っ直ぐ私を見つめている。
「世界に、抗った」
彼女の声に、感情の色は無い。リアのものとは全く違う、真に喜怒哀楽を失った人間の声音なのだと、そう理解できてしまう。
「その先の未来に希望は無かった。世界を、仲間を、家族をも失い、得たものは自身の生存という事実だけだった」
「……後悔は」
私がつい口を挟むと、彼女は無表情なまま即答した。
「していない」
その言葉を告げると、彼女は瓦礫の山から飛び、私の目の前に降り立った。
青白い電流を纏った右手を前に突きだし、人差し指を私の胸の中央にトンと置いた。
「誰かの為に生きたのではなく、生きる為に生きた。ただ死にゆくだけの未来を拒絶し、自由を望んだ。故に後悔はない」
「でも、私は……」
「そうだ。お前は違う」
彼女の指先から、私の中に何かが流れ込んでくる。不思議と嫌悪感はない。ただ体の末端が少し痺れて、胸が熱くなってくるだけだ。
その感覚は、ずっと空いていた心の穴を埋めてくれた気がした。生まれた時から無くしていた、自分自身の大切な一部をようやく取り戻せたような、そんな感覚だった。
「守りたい人がいるのだろう。自身の無力を嘆くほど、傷ついて欲しくない人間が」
「……私じゃ守れない。貴方の言う通り、私は無力だから」
「いいや違う」
私の胸に当てていた手を離し、彼女は声音に少しだけ力を込めた。私の言葉は間違っているのだと、そう言いたいのだろうか。
何が違う。私は何も持っていない。現に悪魔たちには殺されかけている。もしかしたら、もう死んでいるかもしれない。
だというのに、何が違うというんだ。
「お前には……私たちには力がある。このくそったれな世界が、それを忘れさせていただけだ」
「……私にも、守れる?」
「そうだ。私たちの中には稲妻が宿っている。心の霹靂に従うことで、誰にも負けない
守りたい人を、守れる。
彼女のその言葉を受け止めた瞬間、心の中で何かが弾けた。枷が外れ、心臓から四肢の末端にかけて電流が流れた。
鳥肌が立つ様な感覚が全身に走り、気がついた時には体の周囲に青白い雷光が迸っていた。
「救われるために生きてきたわけじゃない。死ぬ為に生まれてきたのではない」
「……生きる為に、生まれてきたんだ」
彼女の言葉を私が続けた瞬間、街を包んでいた暗雲から爆発音のような雷鳴が轟いた。
そして私が右手を上にかざすと、天より十億ボルトの落雷が舞い降り、その全てがこの身に宿った。
「行け。大切な者を守ることがお前の生きる理由なら、最後まで守り抜け。そして絶対に負けるな」
「もちろん。……それに、負ける理由が見当たらないしね」
『そうだ、
……
…………
………………
「私は、最強だから」
気がついた時には、既に周囲の悪魔たちは倒れていた。感電した悪魔たちはビクビクと痙攣しており、もはやその場から一歩すら動くことも叶わない。
次は、リアを苦しめているあの悪魔だ。
「紫電、雷槍……」
右手に紫色の電光を発し、それを槍の様な細長い形へと変形させる。
そしてその槍を構え、悪魔女に向かって全力で投擲した。
「喰らえェっ!!」
叫びながら投げ飛ばした雷槍は見事悪魔の背中に突き刺さった。そこから更に電流を体内に流し込まれたことで悪魔は麻痺し、その手からリアの首を離す。
その瞬間、電光石火の速さでリアの傍まで移動し、彼女をしっかりとキャッチした。これは俗に言う、お姫様抱っこという形になるのだろうか。
「ぅげほっ! ケホッけほ! ……こ、こはる?」
「もう大丈夫だよ」
状況が飲み込めていないリアを一旦降ろし、彼女を安心させるために笑顔で告げた。
「私の後ろにいてね」
★ ★ ★ ★ ★
まったく状況が理解できない。マジで意味分からなくて頭痛くなってきた。
えっと、ちょっと待ってね。とりあえず今日起こった出来事を順番に並べていきますね?
まず今日は休日ってことで、小春と海夜と一緒に三人で外食をすることにした。なんだかこの前俺が帰り道で怪人を倒したあの日以降、小春ちゃんの元気が無かったから、外食も兼ねて気分転換に遊び行こうとしてたんだ。
そんで道中田宮と偶然会ったから、ついでに一緒に食べようって話になって。皆で談笑しながらファミレスでゆったりランチタイムだったわけなんだよな。
そしたら急にリアルートのラスボスとかいうのが出てきた。意味分からん……。ムカついてぶん投げた瓦礫の石ころがクロノに命中したのは素直に嬉しかったけどね。
とりあえず勝てないとのことなので海夜の指示に従って逃げてみたけど、その先でも黒い羽を生やした奴らに襲われた。当然正面から戦っても勝てるわけなくて、しかもスマホを弾かれたから本当に詰んでしまった。だから今回ばっかりは真剣に死を覚悟した。どう考えてもその状況を打開する方法なんて無かったから。
で、あの、その……急に空模様が怪しくなりましてね。
ゴロゴロぴかぴかーって雷が鳴り始めたと思ったら、デカい落雷が小春に直撃したんですよ。それ見た瞬間心臓止まるかと思ったわ。
そこからは、気がついたら俺は小春ちゃんにお姫様抱っこされてた。なんか妙に顔が凛々しくなってたし、あんなイケメンに「後ろに居てね」とか言われたら「ひゃ、ひゃい……」ってなるのもしょうがないと思う。
あとはよく分かんないけどパワーアップしたっぽいビリビリ小春ちゃんが無双して、青白い電光を発して悪魔の人達をしっかり人間の姿に戻してた。ついでみたいな感じでやってたけどあの芸当なに? いつから魔法使いになったのきみ……。
最終的には小春と海夜が超絶コンビネーションを発揮してデビルを倒して、今回の騒動は幕を閉じた。ちょっと離れた場所から見てたクロノが口空けて真っ青になってたのは流石に笑ったけど、確かにあのアホみたいな強さの二人を見たらビビるのも分かる。
いや、ほんと、何が起きてるんですかね……?
【!】:ヒロインプロフィールが解放されました
名前:海夜小春
特殊な能力者である蓮斗を兄に持つ、至って普通の明るい少女。特にこれといった秘密はなく、正真正面の一般人である。
運動神経が良く、勉強もそこそこ出来る方。もちもちした物が好き。
原作のエロゲでは物語のターニングポイントとして、全てのルートにおいて怪人や能力者に殺害される。死因はさまざまだが全ルート共通して惨い状態で退場するので、原作プレイヤーからは『小春ちゃん生存パッチ』が望まれている。
能力名称:ライトニングブースト
原作エロゲで企画当初に考案されていた没設定。あまりにも主人公向きな能力すぎる他、戦えるキャラだと死なせにくいという理由から没になった。
能力的には非常に使い勝手が良く、迸る稲妻を駆使することでどんな状態異常やデバフでも解除することができ(自分以外にも使用可能)、単純な攻撃力で言えば作中トップの性能を誇る。
その存在は公式発売の設定資料集でのみ確認することができるのだが、設定資料集自体がまだ未発売の為、ライトニングブーストの存在を知っているのは企画当初から携わっている一部のスタッフのみ。
バグ:ライトニングフォーム
仮想世界の開発は『デスゲームに利用する』という部分を伏せて進められていたため、原作に携わったスタッフも協力していた。
それ故にこの仮想世界は没を含めた全ての設定を内包する特殊な空間として完成することとなった。
そしてプレイヤーのリアが小春を生存させたことで世界に歪みが生じ、更に蓮斗がルート外での覚醒をしたことで歪みが明確なバグに成長。
没設定のライトニングブーストが復活した。←?
そこから中央システムのシミュレーターによって様々な未来が想定され、その中の『小春が覚醒する世界線』という、現在リアたちがいる世界から見て1000万分の1にも満たない遥か彼方に存在する未来の小春と、無力を嘆く現在の小春の意識が心の中の雷光を通してリンク。
そこからバグとか奇跡とかが上手いこと重なってなんやかんやあって、小春が未来から『自分が覚醒する』という事実だけを引き寄せた結果、現在と未来の小春2人分のライトニングブーストが融合した『ライトニングフォーム』という最強形態が爆誕した。すごい。
必殺技は【小春ちゃんスーパー爆砕稲妻パンチ】
※ちなみにライトニングフォームを使い過ぎると発情する