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まだ紹介してない少し際どいコスプレ部はR18版でそのうち
アンケートのご協力ありがとうございました 略称は感想でとてもいい案を頂いたのでそれ採用しちゃいました 割とマジですいません
代わりといってはなんですが今回の最後には本編に直接関与するアンケートがあるのでよかったら
武器だなんだと騒ぎ立てるラスボスをなんとか宥めてから少し経って。
俺はキッチンで料理をしており、噂の彼女は居間でゲーム機片手に寛いでいる。パジャマ姿でアイリールや朝陽と戯れるその姿は年頃の女の子そのものだ。
「うあぁァァやめろぉ!? それはハメ技というヤツなのではないか!? ズルいぞォ!!」
「求めるは勝利。ただそれのみ」
「この鬼畜外道め……ッ!」
「……あ、あのアイリさん? もう少し手加減してあげた方が……」
居間の状況を言葉で表すとすれば“騒がしい”の一言に尽きる。格闘ゲームに勤しむワールドクラッシャーとそれをコテンパンにやっつけるアイリール、その二人を宥めながら間を取り持つ朝陽といった図だ。
「ぐぬぬっ……! 卑怯な女だ……!」
「勝てばよかろうなのだ」
「あばぁっ!?」
紫髪を揺らして悲鳴を挙げる少女。どうやら決着が着いたらしい。容赦ねえなアイツ。
「……こ、この我が十戦十敗……そんな……」
「どやぁ」
「アイリさん煽らないで!」
そんなこんなで、夜にい特製オムライスが完成する頃には、ラスボス系少女の戦意は完全に打ち砕かれていた。わなわなと震える自分の手を見つめて「バカな……馬鹿な……」と呟いている。かわいそう(小並感)
「夕飯できたぞー、ゲームしまえー」
「はーい」
出来立てのオムライスを居間のテーブルに置きながら声をかけると、いの一番に朝陽が飛んできた。
「わっ、オムライス。久しぶりだ!」
「最近は父さんに任せっぱなしだったからな。……おーい、そこのお二人さん」
ドヤ顔と悔し顔でにらめっこをしているそっくり少女二人に声を掛ける。
「ゲームはまた後でリベンジすりゃいいだろ? とりあえず飯にしよう」
「うん、わかった」
「お前あとで覚えておけよ! 絶対泣かすからな!」
どうやら彼女の削がれた戦意はものの数秒で戻ってきたらしい。メンタル強いなこのラスボス。
三人が席についたところで俺は一旦キッチンに戻り、冷蔵庫を開けて中を確認した。
「んー……麦茶と牛乳とミックスジュース、みんなどれがいい?」
「ボク麦茶で」
「私も」
二人の希望する
「お前は?」
「さっき最後に言ったヤツだけ飲んだことがない。それがいいぞ」
「ミックスジュース?」
「そう、ミックチュズース」
…………うん?
「なんて?」
「わ、わざとだ、勘違いするなよ。ミックシュズーシュを貰おうか」
また間違えてんじゃねぇか。小学生でもそんな言い間違いはしそうにないぞ。
「……みっ、みっくちゅじゅーしゅ」
「うん」
「みっくちゅじゅーす……!」
「惜しいな」
「みっくちゅ!! じゅーちゅッ!!!」
「お前わざとやってないか?」
「何を貴様ァッ!!」
うおぉぉやめろ! テーブル揺れるから暴れんな! 自分でわざとって言ってたじゃん!
……少し時間を掛けて彼女を落ち着かせた。
ようやく悔し涙が引っ込んだクラッシャーは今、満面の笑みでオムライスを頬張っている。感情の上下が激しすぎない?
まぁ、ともかくこうやって食事の時間まで無事に漕ぎ着けられて安心した。
クラッシャーも今は大人しく食べてるし、余計な心配をすることなく俺も食事ができる。ひとまず休憩だな。
「そう言えば……夜にい」
「ん、おかわり?」
オムライスを食べ終えそうになっている朝陽が声を掛けてきた。
残念ながらオムのおかわりは無いが、町内会へ向かった父親の作り置きのおかずなら残ってるし、それを出そうか。
「そうじゃなくてね。……えーと、その」
言い淀んでいる朝陽の視線は、彼の隣にいるクラッシャーへと注がれている。
……なんだろう、本人には言いづらい事かな? 確かにクラッシャーは少々勢いよく食べているけども、食器を強く鳴らしているわけでも五月蠅い咀嚼音を響かせているわけでもない。意外と行儀よく口を閉じてモグモグ噛んで、皿からもオムライスを零すことなく食べている。真岡の教育の賜物だろう。
……んー、だめだ、朝陽の気持ちを察することができない。悪いけど直接聞いちゃおう。
「クラッシャーがどうかしたか?」
「んぐんぐっ?」(喋れない)
「えと、それ。その“クラッシャー”って、少し呼びづらいかなって」
「そうか?」
まぁ、言われてみれば確かに。少々名前が機械的すぎる気がしなくもない。俺や真岡といった関係者の前ならともかく、外でこの名前を呼ぶのは……コイツの見た目が背の小さい少女というのも相俟って、些か気が引ける。
実際俺の父親にも「もう少し良いニックネームがあるんじゃない?」と苦笑いされたくらいだ。
あの人がワールドクラッシャーという名前を信じていない、というのもあるがそもそも“クラッシャー”という響きが物騒なのだろう。少なくとも少女を相手に呼んでいい名前とは言い難い。
……まぁ、こいつが少女なのか少年なのか、そもそも性別が元から存在しているのかは知らないが。
ともかく今の見た目は少女なのだ。外面を考えてもクラッシャークラッシャーと連呼するのは考え直した方が良さそうではある。
「んぐ………ゴクンっ。我は別にこのままで良いぞ」
ようやく口の中の物を飲み込んだクラッシャーがあっけらかんと発言した。
「まぁ別段この名前に愛着があるわけではないが」
「そうなのか?」
「ハッキリ言えば……名前なんて大層なものではなく、ただの固有名詞に近い。お前たちが『人間』なら、我は『ワールドクラッシャー』というだけの話だ」
ワールドクラッシャーという名前なのではなく、ワールドクラッシャーという存在。“人間”ではなく“ワールドクラッシャー”という生物……ってことか? よく分からんけど。
「とはいえ我を現す唯一の言葉でもある。全く関係の無い名称で呼ばれるくらいならクラッシャーのままでいい」
そう言いながら再び食べ始めたクラッシャーの隣で、朝陽がなにやら思いついたように顔を上げた。
「……あ、じゃあ略称とかどうかな? ほら、アイリさんみたいに」
「
朝陽の言いたいことは分かる。全く別の名前が嫌なら、ワールドクラッシャーという文字を縮めて呼びやすい名前で呼ぶのはどうか、という話だ。
例を挙げるとすれば、既に朝陽のみならずレンや小春、デスゲーマーズの皆もアイリールの事を『アイリ』と縮めて呼称している。確かにアイリールという名前も微妙に長いし、短くて呼びやすい名前で呼ぶ方が自然なのかもしれない。そのせいもあって彼女の名前を縮めることなくそのまま呼んでいるのは俺一人だけだ。
「んくっ。……うむ、よかろう。好きに縮めて呼ぶがよい」
「ありがとう。夜にいは何か案ある?」
「えぇ……」
ワールドクラッシャーを縮めて、かつ呼びやすくなればいいんだよな? んんー、どうしたもんかね。
俺ってネーミングセンス無いんだよな。俺が名付け親のあのデスゲーマーズってチーム名も成り行きでそうなっただけだし。………そういえば、アレって確か多数決採用してたら『リアさん守護り隊』になるはずだったんだっけ。あっぶねぇ多数決取らなくてよかったァ……!
で、なんだっけ? ……あぁ、そうそう、略称ね。
ワールドクラッシャー、ワールドクラッシャーか。
「んー……ワッシャーとか?」
「クラッシャーから大して変わってない気がするぞ」
ご本人からの至極まっとうな指摘を受けました。
「アイリールは名前の候補ある?」
「ワル」
「……なんかやだ」
これはクラッシャーが駄々こねているというより、単純に俺たち二人のネーミングセンスがカスだというだけだな。ごめんね。
「あとは任せたぞ朝陽っ!!」
「えぇ!?」
名付けは全部朝陽に丸投げし、俺は皆が食べ終わった食器を回収して台所へ行き、皿洗いを始める。
アレじゃないコレじゃないと唸りながらいろいろ考えている朝陽をそのまま台所から眺めていると、数分後に朝陽が自信なさげに口を開いた。
「……ワー
おずおずと本人に尋ねる朝陽。
さて、どうだ──
「……ふむ」
口に手を添え、朝陽に言われた名前を脳内で咀嚼する紫少女。
だが、意外にも答えはすぐに出てきた。
「良いな、いかにも名前っぽい」
「え、ほんと」
「誇るがいい美咲朝陽。貴様は我の新たな名付け親だ」
「あ……あり、がとう?」
果たして誇ることなのかどうか見当がつかない朝陽は困惑しているが、当のクラッシャーは───いや、『ルクラ』は少し嬉しそうに微笑んでいる。
直接関わったことが無いからなのか、はたまたこの家に来てからずっと優しくされているからなのかは解らないが、ルクラは朝陽に対しては比較的物腰柔らかだ。俺やアイリールと違って恨みなどが無い分受け入れやすいのかもしれない。
「撫でてやるぞ~」
「わわっ」
いや単純に懐いてるだけか。まぁ仲良くしてくれるならそれに越したことはない。
「ちょ、ルクラさん……」
「ふふふ。どうだ美咲朝陽、今夜は我の寝かしつけ係に任命してやってもいいぞ」
聞き捨てならんな?
「ダメ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「わッ! 何だお前!?」
「両親以外で朝陽と一緒に寝ていいのは俺だけだ。ましてや貴様なんぞと寝させたらどんな悪影響を及ぼすか分かった事ではない」
「我をなんだと思っているのだ!!」
とにかくダメですぅぅぅぅぅぅ!! 海夜兄妹がギリギリ許容範囲なのでお前は論外ですぅぅぅぅぅ!! 残念でしたぁぁぁぁぁ!! はい5963ごくろうさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!
★ ★ ★ ★ ★
夕食が終わって数時間後の、もう時計の針がまっすぐ上を向く頃。
朝陽や町内会から帰ってきた父親が布団でスヤスヤしているそんな時間帯。
俺たちもそろそろ寝ようか、と言ったところでルクラが「ゲームのリベンジがまだだぞ。あと今日の分のアイスよこせ」とおっしゃりやがったので、俺とアイリールは近所のコンビニへと駆り出された。
家にアイスが無かったのでわざわざコンビニまで来たわけなのだが、季節が冬ということもあって外は肌寒く、隣にいるアイリールが外に出た時からずっとプルプル震えていた。
というわけで、お目当ての品であるアイスキャンディーと、寒がりな彼女を温める為のホットミルクティーを買って帰り道を歩いているのが、現在の俺たちだ。
二人並んで歩きながら、肌を刺すような寒風に抗って帰宅を目指している。
「くっそぅ……寒いなぁ」
「夜もミルクティー飲む?」
「サンキュ。貰うわ」
気を遣ってくれたアイリールから受け取ったミルクティーのボトルはまだ温かい。今の俺にとってはカイロもいいところだが、冷めないうちに飲まなければ。
「はぁぁ~、温まる。……ぁっ、わり、飲み過ぎた」
「全部飲んでいいよ。夜が買ってくれた物だし」
「俺より寒がってたやつが何を言う。ほら返すよ」
半分ほど飲んでしまったミルクティーをアイリールに返した。
気持ち的には少しだけ飲んだつもりだったが、やはり温かいボトルは内容量がそもそも少ないのが難点だ。
「…………ねぇ、気づいてる?」
キャップを絞めていないボトルを両手で持ち、それの飲み口をジッと見ながらアイリールが呟いた。
「え、なにが」
「さっきの──間接キス、だよ」
…………あぁ、言われてみれば、確かに。自然に受け取ってそのまま飲んだから、ほとんど意識していなかった。
──ちょっと、急に恥ずかしくなるような事言うのやめてくれません?
「何で改めて言うんだ……」
「顔、赤いよ」
「うっせ」
お前が言わなきゃこうなってないよこの野郎。変に意識させやがって。
「……どうして恥ずかしいの?」
「わっかんねぇよ。てかアイリールだって顔赤いじゃないか」
「さ、寒いだけ。別に恥ずかしがってない」
苦し紛れな言い訳を言ってプイッと顔を逸らす銀髪少女。変につつくと怒るかもしれないから、とりあえずこのままにしておこう。
──ほぼ毎日一緒に風呂に入ったり添い寝もしてるのに、間接キス程度でここまで互いに赤面するとは思わなかった。
もちろん風呂の時だってしっかり裸を見てるわけじゃないし、添い寝だって密着してるわけじゃないけども……やっぱり近いようで近すぎない、妙な関係だ。
「あっ」
気がつけばもう家の前だった。どうやら気がつかない内に、前も見ず歩いたまま思慮に耽っていたらしい。細かいことばかり考えてしまうのがぼくの悪い癖っ☆
「アイス溶けちゃうよ、早く入ろ」
「おう」
そういやルクラのこと待たせてるんだった。
早く俺の部屋に戻らないと下手すりゃキレられる可能性もある。いそげー!
「あ、そうだアイリール」
「ん?」
「ルクラのやつ、ゲームのリベンジって言ってただろ? 次はちゃんと手加減してやってくれ」
「うん、了解」
そんな約束を取り付けて数十秒、俺たちはあっという間に俺の部屋の前に到着した。
──しかし、ちょっと違和感が。
「……あれ、ゲームの音しないぞ」
ルクラは俺たちが出かける前、たしかゲームを起動してトレーニングモードで肩慣らしをしていた筈。さほど時間も経ってないからまだ続けてると思ったんだけど。
「寝ちゃったのかな」
「人をパシリにしておいて……先に寝てやがったら許さんぞアイツめ」
まぁ相手をしないのが一番楽だから寝てもらってた方が助かるんですけどね。できれば寝ててくれよな!
「ただいま。アイス買ってき───」
「うーむ、やはり膣内射精という漢字をナカダシと呼ぶのは間違いなのでは──おやっ、あぁ二人とも。おかえり」
───前に呉原からプレゼントされたエロ同人誌を、ルクラが真剣な目で読書してやがる。
「時に美咲夜。あぁダグストリアでもよいのだが……『アクメスイッチON!』とは何だ? 辞書には載っていない。意味を教えろ」
「………………い、いや」
いやいやいやいやいやいやいやいやいや。
アクメスイッチON! とは何だ? じゃないが。
何してんの? その同人誌は誰にも見つからないように鍵付きの引き出しに封印しておいたはずなんだけど。
「──あ゛ぁ゛ッ!!?」
「ぴっ!?」
机の引き出しぶっ壊されてるゥ!? それどころか机ごと真っ二つになってんじゃねぇかァァッ!?
「何してんだ馬鹿テメェ!?」
「……だ、だってあの引き出し、全然開かなくて生意気だったから……」
だからって机ごと破壊はしねぇだろ!? お前の思考回路どうなってんだよマジで!!
「わ、我が従者からも教わったぞ! 気になることは何でも調べてみろと!」
「他人の家の家具ぶっ壊して私物漁っていい理由にはならねぇよ!? ていうかそれ返せ!」
「読書の邪魔をするとは何様だお前は!」
「その本の持ち主様だよチクショウ! さっさと返しやがれこの強盗犯がァッ!」
真岡さんの教育はまだ不十分だったようですわね!
よくコイツ連れて外出できたなあのオカマ!?
「このっ!」
「あぁっ! 我の本!」
「俺の本だよ! いつからこの家の住人になったんだお前は!」
ほんっっとに信じられねぇコイツ。世間知らずとかそういうレベルじゃないぞ。
とりあえず机の弁償は真岡に請求しよう、そうしよう。
「ぐぬぬ……ま、まぁ? 四回ほど読み直したから別にいいが」
「お前この本を四周もしたの? マジで?」
約一年前に呉原から誕生日にプレゼントされた本で、絵は綺麗な部類なのだが内容がハードすぎて俺でも一回読み終わった後少し怖くなった品である。『アクメスイッチON!』なんて台詞はまだまだ序の口。もっとヤバいのがいくつも散らばっている性癖のごった煮本がこの同人誌なのだ。
それを四周だと……こいつ人間か……。
「その本によればそういった行為が交尾というものなのだな」
「交尾いうな!」
「それにはそう書いてあったぞ? えーと、確か……異次元アクメ脳内ショート赤ちゃん無限製造ケダモノファックという言葉もあったが、そっちが正しいのか?」
「んなわけねぇだろうが!?」
どこまで読み込んでんのこの子!? こわい! 今のセリフを恥ずかしげもなく言ってのけるのヤバい!
「いや……しかし驚いた」
「そりゃそうでしょうね、えぇ」
「特殊な道具を必要とせず、なおかつ美味しい食べ物などを摂取せずとも、肉体さえあれば言語能力が低下してしまう程の幸福感を得られる活動があるとは知らなかった」
いやいやそんな高尚なもんじゃねぇぞ? きみちょっとあの本に洗脳されてません?
「お前たちもしたことあるのか? 言語能力が低下する程の幸福感を得られる交尾とやらを」
そんなの……………………………無い、と言えない自分が恨めしい。ぐぅぅ……!
ちくしょうあの兄妹!! あの兄妹がぁぁァァァァッ!!
クッッッソでも最後辺りは自分から誘ったし何も文句言えねぇちくしょう……っ!!
「ん゛ン゛ン゛…………っ!」
「あるよ、夜も。夜とは一つだったから、私も」
「ほほう」
アイリールちゃん余計なこと言わないでいいんだよ!? 伝える必要なくない!?
「つまり食事と同レベルで行う常識的な活動なのか。……にしては交尾をしている人間は見たことがないが」
「いや食事と比べないでくれ? そんな当たり前にやることじゃないから。全然違うから。少なくとも人前で堂々と言っていい単語でもないから」
「んん? 内緒でやることなのか? ますます解らんな……」
紫髪を抱えて唸るルクラ。できればそのまま解らないまま忘れて欲しい。
「……だが、興味があるぞ。本が駄目なら直接お前たちが教えろ」
満面の笑みで素敵に狂ったことを言いやがったぞこいつ。
「ばっ、馬鹿か!」
「至って真面目だ! お前らが知っているのに我が知らないのは不公平だろう!」
え、どういう基準!? お兄さんわかんない!!
「食事以外にも楽しい事があるなら知らなければ損! そもそもお前らには我に世界を教える義務があるんだぞ! あの時の償うという言葉は嘘か! 嘘なのか!!」
「それとこれとは話が別だろ!? んな気軽に「はいやりましょう教えましょう」って出来る事じゃねぇんだよ!」
「ああ言えばこう言う! 我が儘ばっかりだなお前は! いい加減にしろ!!」
ずっと我が儘言ってんのはお前の方じゃないのか!? 俺がおかしいのか!
「……フンっ、お前たちがそういう態度なら別にいいさ。我は隔離空間に戻って力を溜めるだけだ」
「なっ……!」
それを今出すのはズルい……ズルくない?
「……夜、このままあの子を帰らせるのは危ない」
「わ、分かってるけど……!」
今こっちの世界にルクラがいる事実こそが重要だという事は理解してるんだ。こっちにいることで力を溜められないのなら、是が非でも長くこっちの世界に居てもらわなければならない。
そして……このまま怒らせたまま帰らせると、此方に戻ってこない可能性も十分存在する。それはマズイ、とてもマズイ。人類が滅んでしまう。
腹を括るしかないのか! そうなのか!?
「待って、ルクラ」
「ちょっと待ってくれ!」
「何だ。気が変わったか?」
「ええっと……その……」
躊躇ってしまう。いや出会って初日の相手にアレを提案するのキツすぎるぅ!
「どうした? 正直に言え!」
ぐぬぬぅ……こいつぅ……! こいつめぇぇ……ッ!!
あ! やせいの ルクラ がとびだしてきた!
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俺が何とかする アイリールは俺が守る
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私が引き受ける 夜に手は出させない
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ルクラを黙らせて寝る
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あいぼうと 二人でやれば こわくない