お前のハーレムをぶっ壊す   作:バリ茶

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間が空いちゃっ……たァ!


海夜兄妹を癒したい【蓮斗編】

 小春が家に帰ってきてから数時間後。

 彼女にハッスルされた分の疲れが後になってから響いてきてしまったため、俺はとある助っ人を呼んだのだった。

 

 

「……夜? だいじょぶ?」

 

「や、やばい……かも」

 

 

 小春に後背位でパンパンされすぎたせいで腰が砕けてしまい、何もできずソファに横たわっている俺を見た助っ人──アイリール・ダグストリアは呆れたようにため息を吐いた。

 

 いや、頼む怒らないでくれ。今回は誰も悪くないんだ。

 小春は今日までずーっと頑張ってたわけだし、あの子がえっちしたいなら全力で答えねばならなかったのだよ。

 

「すまんアイリールぅ……」

 

「いいよ別に。こうなることは予測できてたし」

 

 なんと。流石は俺のリアだ。

 全部お見通しってワケかい。

 

「で、あとは何が残ってるの?」

 

「夕飯はなんとかできたから、あとはお風呂沸かして……それから──」

 

 蓮斗のお世話。

 

「……できるか?」

 

「むしろ私一人でやっていいの?」

 

 ちょ! それは待って!

 

「ぉ、俺もやるから! 一緒にやろう! なっ!?」

 

「焦りすぎだよ、ばーか。……ふふ」

 

 

 そんなこんなで。

 俺がリアになることでこの世界にアイリールの存在を認識させたあの日から、ようやく自然に笑うようになった彼女と共に、今夜の蓮斗くんお癒し大作戦の準備に取り掛かるのであった。

 

 

 

 

 

 

「つ、つかれた……書類手続きは強敵だったぜ……」

 

 時刻が夜の九時を回った頃に、ようやく蓮斗が帰ってきた。

 ていうか帰宅してからの第一声が小春とほとんど一緒だ。さすが兄妹。

 俺はまだソファで休んでいるため、出迎えにいくのはアイリールだ。

 

「おかえり。蓮斗くん」

 

「ただいまリア……って、あれ? アイリ?」

 

 一瞬で俺たちの違いに気がつくとは。

 やっぱり元主人公は違うな。

 

「夜はまだ休んでるから代わりに」

 

「なるほど。サンキュな、アイリ」

 

「んっ……」

 

 むむっ、アイリールが妙な声を──

 ──なっ、何だ!? 玄関で何してるんだ!? コラーッ!!

 

「あたま撫でられただけ。夜うるさい」

 

 なんだ……頭を撫でられただけかぁ。よかった。

 俺のアイリールに淫らな事しやがったら許さんからな。そこんところよろしくな。

 

「……? アイリ、急にどうした?」

 

「別に。夜の心の声を読んだだけ」

 

「おまえら二人ってどういう仕組みになってんだ……?」

 

 心を読むくらい俺たちなら出来て当然だぞ。

 それよりほら、お風呂とご飯どっちにするんだ。

 

「お風呂もご飯も用意できるよ。蓮斗くんはどうする?」

 

「あー……先に飯を食うよ。もうお腹ペコペコだ」

 

 

 というわけでご飯になった。あとリビングに入った蓮斗は、ソファで休息を取っている俺を見て苦笑いした。何故この状況になったのかを、小春が先に帰ったという情報から察したらしい。きみの妹さん性欲ヤバイっすよ。

 

「……ふぅ、ご馳走様」

 

 俺が作った肉じゃがをアイリールと仲良く食べ、ごちそうさまをした後は五分ほど何もせず椅子に座ったまま小休止。

 

 それからアイリールが蓮斗や自分の分の着替えも持ってきたので、そのままお風呂へ入ることになった。

 

 さて、俺も腰の痛みが引いてきたようなので、蓮斗のリラクゼーションに参加しようと思う。

 彼は長いことこの街を守ってくれていたヒーローなのだから、美少女二人からのご奉仕があってもバチは当たらないはずだ。

 

 というわけで疲れ切った蓮斗を癒すために、今回はお風呂のお世話も全部俺たちリアでやることに。

 いっぱい頑張ったご褒美だからな。任せておきなさい。

 

「よーし蓮斗。夜ちゃん秘伝の極上シャンプーをしてやっから動くなよ~」

 

「お、おう」

 

「じゃあ私は……柔らかいタオルにボディソープを染み込ませて、っと。このアワアワで身体を洗うね」

 

 上は俺。下はアイリールの隙がない二段構えだ。

 蓮斗は見るからに全体的にぐったりしてる。

 そんな彼なので体を洗うことすら億劫に感じているかもしれないから、蓮斗を疲れさせないようこうして俺たちで洗ってあげる、というわけである。

 

「かゆいとこはございませんか~」

 

「だ、大丈夫……」

 

「蓮斗くん、腕あげて」

 

「はい……」

 

 もはや彼は為されるがままだ。

 ちなみに俺もアイリールもバスタオルを体に巻いているし、体をこすりつけて洗うだとか、流石にそういう大人のお店みたいなことはしてない。

 

 蓮斗に頼まれた場合であればやぶさかではないが、こっちからエロいことを仕掛けたら余計に疲れさせてしまう可能性があるからだ。

 

 なので健全に。

 彼に()()()()()()をするのは、彼の下半身のあの子がお元気になっちゃった場合だけだ。

 

「……な、なぁ二人とも? なんつーか、別にここまで何でもやってくれたりしなくても……」

 

 むっ。この合法ハーレムを遠慮すると申すか。贅沢なやつめ。

 

「蓮斗くんの頑張りは真岡さんから聞いたよ。過労で倒れちゃう寸前だったそうだね」

 

「あ、えと、それは……」

 

「私も夜も、できるだけ蓮斗くんを労ってあげたいの。これまでだってデスゲームやアカシックレコードのことで、命を張って戦ってきたじゃない。蓮斗くんはもっとワガママを言ってもいいんだよ」

 

 その通りである。こいつはちょっと命かけて頑張りすぎ。

 もう主人公ムーブはやめて、俺たち身近な人間にもっと甘えてほしい。

 そんな俺の気持ちを、半身であるアイリールが代弁してくれた。サンキュー!

 

「……うん。二人とも、ありがとう」

 

 言えたじゃねえか……。

 

「ほれ、泡ながすぞ~」

 

 シャワーでささっと泡を洗い流した。

 俺とアイリールが隅々まで洗った甲斐もあって蓮斗は全身ピカピカだ。

 バスタブに張ってあるお湯もいい感じだし、そろそろ入ろうか。入浴剤も入れてあるぞ。

 

「あれっ、リアとアイリも入るのか?」

 

「ダメか?」

 

「いやダメってことはないけど」

 

 なら入らせてもらうぜ。寒いし。

 なにより海夜家の浴槽は元エロゲ主人公の家のものということもあってか結構大きいので、三人で入ってもギュウギュウで苦しいってことにはならないのが良い。

 

 蓮斗を挟む形で、右に俺。左にアイリール。

 実際に入って見ると、きつくはないが肩は少し密着する感じだった。

 

「湯加減いい感じだね、夜」

 

「そだな。三人で入ってるからより温まれて丁度いいかも」

 

 ふぅー、と一息。とても気持ちいい湯加減だ。

 やっぱり浴槽につかると疲れがドッと抜け落ちていく気がする。

 

「あっ、これ見ろよ蓮斗。まだ溶けてない入浴剤の欠片だ。ブクブクしてんな」

 

「…………」

 

 ん?

 

「蓮斗?」

 

「──えっ? ぁ、あぁ、そうだな。泡がブクブクーってしてるな」

 

 何だ。様子がおかしいぞ。もしかしてのぼせたか。

 

 

(ちょっとちょっと、美咲さん)

 

 心の中でアイリールが話しかけてきた。もはやアクセスしてなくてもテレパシー会話くらいは余裕だ。

 

(どうしましたかダグストリアさん)

 

(あのですね。蓮斗くんが顔を赤くして腰を引いてるのです。これ完全にアレですよ)

 

(なるほど……。然しもの蓮斗でもこの美少女サンドウィッチには、やはり興奮を隠しきれなかったか)

 

(自分で美少女って言うのはどうなの?)

 

(え? だってこれ、そもそもアイリールの姿だし。おまえ美少女じゃん)

 

(っ!)

 

 アイリールの顔が赤くなった。かわいい。

 単純というかチョロいというか。

 

(う~……。そ、そんなことはいいからっ)

 

(お前から言い出したんだろ)

 

(うーるーさい! ……で、蓮斗くんはどうするの?)

 

 そんなの決まっておろう。

 本人に直接聞けばよい。

 今どうしてほしいのか、をな。

 

「蓮斗ー?」

 

「な、なんだ?」

 

「タオルの下、R18な事になってるみたいだけど……お前はどうしたい?」

 

「う゛っ。そ、それは……」

 

 回答時間は十秒です。早めにお答えください。

 じゅー、きゅー、はーち。

 

 

 さーん、にー、いち。

 

「ぜろ、ぜろ、ぜろ……っ♡」

 

「んひっ! さ、囁くなって……!」

 

「で、どうすんの?」

 

 俺の問いを受け、顔を伏せて逡巡する蓮斗。

 ──少しして、彼は顔を上げた。

 

「……ぉ、おねがい、します」

 

 よく言えました! えらい!

 

「じゃあ疲れさせない程度に……」

 

「うん。そうだね」

 

「あっ、え? ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

 なんじゃい急に。

 

「アイリはいいのか……? リアがいるとはいえ、恋人でもない俺を……」

 

 え、今更? という顔でアイリールは呆気にとられ、すぐさまフフッと小さく笑った。

 確かに蓮斗の意見も分かる。仮想世界の時のアレは淫紋があったので仕方ないにせよ、今は状況が異なるのだ。

 

 だが、俺からは何も言わない。

 俺にはアイリールの言おうととしていることが既に分かっているから。

 

「蓮斗くん、前に”ループ”の話をしたよね?」

 

「あ、あぁ……あれか」

 

 実はアイリールの過去の無限ループのことは、蓮斗にだけは話をしてある。

 最初は俺とアイリールの二人だけの秘密にしておくつもりだったのだが、アカシックレコードがこの世界に来てから何かが影響したのか、蓮斗にも断片的にだが『前回の自分』の記憶が蘇ってしまった。

 

 その記憶の正体に思い悩む彼を納得させるために、アイリールは過去のことを話したのだ。

 

 何度も人生をやり直し。何度も命を落とし。

 あらゆる可能性の未来を見てきたことを、包み隠さず全て。

 

「結局何十回も生きてきた私だけど……私と繋がってくれた人はアナタだけだった」

 

「おれ、が……?」

 

「ふふっ。蓮斗くんは私の初恋の相手だったんだよ? それにえっちな事もしたし、一年くらいの愛の逃避行だってしたんだ」

 

 その話を聞いて、手で額を抑える蓮斗。

 おそらくはその記憶を思い出そうとしているのかもしれない。

 

「……本当にぼんやりとだけど、覚えてる。きみと一緒に、全てから逃げていたことを」

 

「うん。だから、私は蓮斗くんなら大丈夫。もちろん蓮斗くんが無理だったら、私は先に上がるよ」

 

「……いや、俺も大丈夫だ。きみなら、俺は──」

 

「ストップ蓮斗!」

 

「いでっ!?」

 

 なんか蓮斗とアイリールが良い雰囲気になってしまったので、彼の頭をチョップした。

 あくまでアイリールは手伝いである。何となくの流れで俺のアイリールに直接手を出させるわけにはいかない。

 

「こら蓮斗。もしアイリールともっと()()()なりたいんだったら、ゲーム世界のときの俺みたいにちゃんと潔く二股発言しないと駄目だぞ」

 

「二股ってお前……」

 

「なぁなぁでハーレムは許さん! 俺のアイリールを毒牙にかけたかったらちゃんとハーレムに相応しい男になれ!」

 

「二股とか毒牙とかなんか言葉が刺々しくないか……?」

 

 うっせ。合法ハーレムしたかったらちゃんとそう言え。

 

 俺が良しとするまではあくまでアイリールは手伝いなのです。もし無断でヤろうものならアルティメットフォームで絞り殺します。

 

「なにそれこわ──うっ!?」

 

「はいはい夜もそこまで。とりあえず()()、ちゃっちゃと済ませちゃお」

 

「うむ。あんまり長居するとのぼせちゃうしな」

 

 

 ──では、蓮斗くん。

 

 

「「いまから二人で、癒してあげるから()」」

 

 

 

 

 そんなこんなでいろいろあって。

 

 お風呂を出たあとはアイスを食ってのんびりして。

 自室で膝枕しながら耳かきをしたあたりで彼の眠気が来たため、今回の海夜兄妹を癒す作戦はそこでひとまず幕を閉じた。

 

 無辜の人々の為に身を粉にして奮闘し続けた彼ら兄妹を労うには、きっとまだまだ足りないだろうけど。

 

 それはこれから取り戻していけばいい。

 

 俺たちはこの()()()()で、同じ時を生きているのだから。

 

 

 




次回は黒野博士(合法ロリ)IFルートか、もしくは呉原(親友)IFルートのどっちかになると思います~
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