魔法科高校の妖精遣いだよ……え?そんなにチートかな?   作:風早 海月

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今日は少し短めです。


九校戦練習

 

九校戦は1校での、同競技出場者は最大6名だ。本戦・新人戦の計6人だ。男女共通競技なら合わせれば12名となる。

 

冷却能力の問題からそうそう何度も行えないアイス・ピラーズ・ブレイクや、チーム戦であるため全員が揃わないとチームワークの向上を図れないモノリス・コードの2種目を除いて、メンバーは放課後を思い思いの競技を練習して良い。もちろん1種目だけの人はそれだけだが。

 

[じゃあ行きますよ?]

〔お願いね。〕

 

栞は車椅子から水の中のように浮き上がる。

 

 

ミラージ・バットの練習場となっている屋内競技場。その中心にはミラージ・バットの会場のような高さの異なる円柱が複数立てられている。

 

予めくじ引きで決められた初期位置にたどり着くと、立っていることが難しい栞は円柱に腰掛けて魔法を遮断する。

 

「御巫、準備はいいか?」

「はい、お待たせしました。」

 

今回練習に来ているメンバーは4人。

一高三巨頭が一角にして十師族並と称される力量もつ風紀委員長、渡辺摩利。

三巨頭と同じ年代で他校には知名度は高くないがそれでもかなりの実力を持つ、小早川景子。

未知数な魔法特性のイケメンな少女でありミラージに持ってこいな『跳躍』を得意とする、里美スバル。

そして、古式魔法の中でも全ての方向性で強力な適性を見せる妖精遣い、御巫栞。

 

以上だ。

 

着替えに思ったより手間取り、他の人を少し待たせてしまっていた。

今日は衣装合わせも兼ねているので本番さながらな衣装で試合をする。そのため、多数の衣装姿の美少女たちを見るために見学に来る男子があとを立たない…と言うより100人ほどが座れる観客席が満席である。立ち見もかなり多い。ちなみに女子もチラホラ…いや、まあまあいる。

 

かわいい系の栞。

かっこいい系の摩利とスバル。

 

様々な層を呼ぶメンツである。話に聞くところ、生徒会と部活連に『しおりたんを見守り隊』なる部活の申請が80人ほどの部員数(署名数)であったらしい。

ちなみに、中条あずさ、御巫栞、明智英美の3人は、一高三大マスコットと言われており、既に『あーちゃんマジ天使部』なるものがあり、あーちゃん部は120人の部員がいる。(殆どは兼部してる。)

 

なお、去年12月頃にあーちゃん部は真由美の強権もあり設立された。(真由美が部長)

 

ちなみに、それに較べると小規模だが、既に『エイミィがぐうかわつらたん会』(部員48名)や『雫のジト目に見つめられ隊』(部員21名)、『柴田美月のやわらかおっぱいおっきい会』(部員18名)、『ドジっ娘ほのかちゃんをフォローし隊』(部員17名)が設立されている。(一高が病気)

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

 

 

試合開始のブザーが鳴ると共に、一斉に飛び出す。

 

栞は周りの飛んでる姿を確認しながらコースを選択、最適な目標をステッキで叩いていく。

 

この中で1番有利なのは圧倒的に栞だ。なぜなら飛べるから。だからこそ、上級生2人からのコース妨害も多い。目標となる光球に先に3m以内に入った方に優先権があるので、後から来た人はたたらを踏むことになる。

 

だが、栞の機動性は3年生2人の想像を遥かに上回っていた。第一ピリオド15分を終える頃には、マイペースに跳躍していたスバルを除いて、かなりの負担を強いていた。

しかも、スバルとて栞への妨害をしていない訳では無い。持ち前の認識阻害がたまたま妨害になったということもあるが。

 

 

ブザーが鳴り、ピリオドの終わりを告げた。

 

たった15分で、大きく差が出ていた。

 

1位 御巫栞 241点

2位 里美スバル 121点

3位 渡辺摩利 108点

4位 小早川景子 100点

 

その点差に、ギャラリーはざわついていた。

 

「嘘だろ?風紀委員長が108とか。いつもなら150は堅いのに。」

「妨害しすぎたな。結果後半失速したんだ。」

「いや待てよ。妨害しなきゃいいってことでもねぇぞ?妨害集中されて241点だぞ?」

「景子たんhshs。」

「キモイ。小早川先輩のどこがいいのよ。」

「なんだと?貴様、渡辺党だとでも言うのか!?」

「私、渡辺先輩の方がかっこいいと思うもの。」

「…里美スバルちゃん……かっこいい……」

「貴様ら!栞たんの儚さには勝てぬ!目を覚ますのだ!」

 

途中からミラージ・バットの話ではなくなっていたので、これから先は割愛するが、下校時間まで『推し』の話が続いたらしい。

 

 

「いやー凄いな。飛行魔法がどれほど有利か身にしみたよ。」

 

車椅子に戻った栞に摩利が話しかける。

 

「私はもちろん、小早川だって強い。私たち2人の妨害でもあれだけの点数だ。新人戦なら当たるところ敵無しだな。」

「ありがとうございます。とはいえ、飛行魔法は私自身の魔法ではないので……」

「妖精だって契約してるお前の実力のひとつだろう?気にすることはない。胸張ってしゃんとしろ。三巨頭…の最弱とはいえ打ち破ったんだからな。」

「いえ、そんなこと…」

「こんなに強ければそのうち十師族から縁談でもあるんじゃないか?御巫家が一人娘なのは知られてるから婿養子か。」

 

摩利の話した縁談という言葉。今の栞には、ズーンとのしかかる重しと感じられるのだった。

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

「紗奈、ただいま。」

 

 

とある普通の家。女の子が家に帰ると、そこには1人の妖精がいた。

 

[おかえり。ご飯にする?お風呂にする?それとも―?]

「じょ、冗談はやめてください…」

 

たったひとつのイレギュラーが、ここにあった。

 

 

 

 




最後、気になりますよね!?
この女の子が誰なのか、伏線は張っております。

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