ガンドォ!   作:brain8bit

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 コメント返す暇なくて申し訳ない。ちゃんと読んではいるから安心して欲しい。


第11話「USJ ~私と飯田と時々緑谷~ 」

「奏ちゃん……奏ちゃん……!」

 

「んぅ……?」

 

「もうすぐ着くよ! 起きて奏ちゃん!」

 

 

 むぅ、後3分……この絶妙な揺れをもう少しだけ……ぶぇ!? く、空気の供給が死んだ!? うぇあーずまいおーつー!!? 何が起こって……あの、お茶子ちゃん? なんでわたしの鼻を摘まんでるのかな? ふむふむ、全然起きないから荒療治したと。なるほど悪くない。相澤先生的に言わせれば、実に合理的ですな。うんうん、実に素晴らしい。

 

 なんて言うと思ったかぁ! 乙女の体の一部(色気0)を摘まんだからには、そっちも摘ままれる覚悟をあるって事だなぁ!? ちょっと面貸せぇい!!

 

 

「ふみゅ~……?」

 

 

 なにその反応。可愛い過ぎかよ。

 

 どーゆー状況なのかって? 無言のわたしに為されるがまま頬っぺたむにむにされてるお茶子ちゃんが横にいます。目を細めて「やめてや~」なんて言ってるけど、撫でられて喉鳴らしてる猫にしか見えん。家で飼えないかなこの子。心の広い母上なら許してくれ……る訳ないですね。バックドロップからの説教が目に見えてる(白目)。

 

 

「奏ちゃん、バスに乗った瞬間に寝ちゃったわね。そんなに眠かったの?」

 

 

 いや別に? ただこれは習慣というか(前世から)ずっとやって来たことだし、癖みたいなもんだから。寝れるときに場所を選ばず寝ること。貫徹した後の登校、通勤間における必須スキル。人間、過剰な睡眠不足に陥ると血の気が引いて、寒気がしてくるからね。そんな時は10分でも20分でもいいから仮眠をとろう。血液が循環して、少しはマシになるぞい。なんのステマだこれは(迷走)。

 

 まあ、今はそんなこんなで蛙吹ちゃ「梅雨ちゃんと呼んで?」……梅雨ちゃんの言うとおりバスに乗っております。今回のヒーロー基礎学は災害救助訓練。その訓練会場にバスで移動中ってなわけですよ。そんでもって、いつもの癖で揺れの少ない後方の座席を真っ先に陣取り、爆即睡眠をかましてたところを鼻摘み食らって今に至る。

 

 あ、なんか今のわたしがアウェー食らったみたいに聞こえるな。え、あながち間違ってない? やだなぁ、平々凡々なわたしがクラスメイトからそんな事されるわけないじゃないですかぁ。あっはっは……なんですか、その冷めた視線は。やめて下さいメンタルクソ雑魚にその無言は効くから。

 

 

「……で、どうして鼻摘まんだの?」

 

「全く話聞いてへん!? もうすぐ着くんやって!」

 

 

 おぉう、さいですか。眠りが浅かったゆえに、時間感覚がさよならばいばいしてたわ。そっかー、もう着くのかー。まあ、災害救助訓練だから、いつもよりは気が楽なんだけどさ。個人技になるとキツいのは相変わらずですが。それでも、直接的な戦闘がないのはありがたいよ。

 

 

「もうまもなくで到着だ。降りる準備しとけよ」

 

 

 あらほらさっさー。今日は平和な日でありますように……。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

 

 

「全員一塊になって動くな……

 

         あれは、ヴィランだ!

 

 

 

 

 グッバイ心の安寧。

 

 

 

 はい、割と本気でふざけてる場合じゃないんでこれだけにしときます。只今、演習地のウソの災害や事故ルーム(U S J)なる場所で訓練前の講習を、プロヒーローの13号先生から聞いてたところなんですが……いよいよ来てしまったか襲撃イベント。先日のヴィラン職員室事件(奏命名)の時点で嫌な予感はしてましたけど、誰がこんなに早いと思うのよ。賊はひい、ふう、みい、よお……うん、めっちゃいるわ。そもそも何が目的で攻めてきたんだろうこの人たち。

 

 え、なんですか相澤先生。アイツに見覚えあるかって……あ"!? 手だらけマンともやもや紳士じゃん! そーですそーです! あの2人が職員室にいたヴィランですよ! たしか、手だらけマンがシガラキで、もやもや紳士がクロギリってお互いに呼び合っていました。本名なのかは知りませんけど。

 

 

「なんでアイツら雄英に……バカなのか!?」

 

 

 バカって。切島少年がド直球過ぎる。いや、確かにその通りなんだけどさ。わざわざプロヒーローが屯ってる場所に襲撃かますとか正気の沙汰じゃない。捕まえてくれって言ってるよーなもんですよ。余程の考えなし、あるいはそうするだけの意味があるのか。

 

 まあ、なんにせよわたしたち学生は避難だ避難。電波障害が起きてる……いや、起こされてるみたいだし、他の先生方を呼ぼうにも一度学校に戻る必要があるしね。

 

 

「相澤先生、迅速な演習場からの離脱を提案します。指示を」

 

「……ああ。お前たちは13号の指示に従え。俺は殿をやる」

 

「え……はい? 残るの……ですか?」

 

 

 

 マジで言ってんの? 思わず素の口調戻りかけたわ。残る? 少なく見積もっても50人以上はいるのに? 個性を封じれるとはいえ、流石に無理がありますよね? 相手の戦力が分からない以上、相澤先生も一緒に退いた方がいいと思うんですけど。

 

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん。生徒は任せた13号」

 

 

 飛んでった!? え、強すぎィ!? なにその身体能力!? 時代劇並みに一騎当千するじゃん!? あ、アングラヒーローってバカにできないね……。目立たないだけで実力が……いや、実力がありすぎるからこそ目立たないようにしてるのか。考えてみれば当たり前だよね。『個性を消す個性』って最強の初見殺しだもの。殆どの個性持ちに対抗出来得るジョーカー的存在……わたしと同じだ。手札を晒したくない合理主義者(捻くれ者)

 

 

「皆さん、避難します! こちらへ!」

 

 

 ……っとと。考え込みすぎた。そうだよ、早くここを離れなきゃ。状況への対処はプロに任せるしかない。未熟者は邪魔にならないよう退避せねば――。

 

 

 

 

 

 

「――そうはさせません」

 

 

 ……あぁ、もうなんか、うん。そんな事だろうと思った。そう易々と増援なんて呼ばせてもらえる訳がない。寧ろ、そんな事を許すぐらい見通しの甘い連中だったら、どんだけ良かったことか。

 

 

「多くの方にはお初にお目にかかります、雄英高校の皆様。我々はヴィラン連合。僭越ながらこの度はヒーローの巣窟、雄英高校に侵入させて頂いたのは――」

 

 

 

 で、あなた1人でわたしたちの足止めするんですか。学生相手とはいえ、随分大きく出ましたね。モヤモヤ紳士、改め――

 

 

「――平和の象徴オールマイトに、息絶えて頂く為です」

 

 

 ――ヴィラン連合の保護者(クロギリ)さん。

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ 

 

 

 

 

 

 

 どどど、どうしようどうしようどうしよう!?

 

 ヴィランが雄英に侵入って……どうすればいいんだ!? いや、そもそもなんでそんな事を!? か、考えるんだ緑谷出久……! オールマイトに息絶えてって……そんな無鉄砲な事が本気で出来るなんて思ってるのか? そんな訳ない。本当の目的を隠すブラフ……だとしたら、何が当てはまる? 雄英に入ることでしか得られないメリットがあるはずだ。彼ら(ヴィラン)が動く原動力……だ、ダメだ分からない。まさか、本当にオールマイトを――。

 

 

 

 

 

 

『――私のヒーローとしての活動時間は、今や1日3時間程度なのさ』

 

 

 

 

 

 ……ッ!?

 

 真実を知ってる人物が……ヒーローだけとは限らない? ヴィランの中にオールマイトが弱っている事を知っている奴がいるのか? ヴィランの誰かが情報をリークして、大勢を焚き付けた。そして、オールマイトの活動限界時間の隙を狙っての襲撃……辻褄は合う。だとしたら、彼らが本当の目的って――。

 

 

 

 

「てめぇが死ねやァ!!」

 

 

 

 

 えぇっ!? か、かっちゃんがいきなり仕掛けたぁ!? って、切島君まで!? この状況下で躊躇なく動けるのは流石だけど……これでやられるような敵なのか!?早く離れた方が――。

 

 

 

 

 

「……ふぅ、危ない危ない。流石は金の卵と言ったところでしょうか」

 

「……ッ!? 2人共どきなさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 13号先生の声が聞こえた瞬間、目の前が闇に包まれた。その異質さから思わず目を瞑り、数秒の後に、眼前に広がったその光景は――。

 

 

 

 

 影ひとつ無い、青一色の世界だった。

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 靄が、晴れた……!何をされ……なっ、緑谷君がいない!? いや、他にも人が消えている!? 萬實黎君は……ほっ、良かった無事か。

 

 いったい何が……いや、仕掛けた本人が「散らしてなぶり殺す」と言っていた。みんなどこかに飛ばされたのが妥当だろう。分散させて各個撃破が狙いか! くっ……靄が広がった瞬間にレシプロを駆動させ、麗日君と芦戸君は救出できたが……。すまないみんな、俺に力があればッ……!

 

 いや、切り替えろ飯田天哉……今は悲観こそすれども、そこで足踏みをしている場合ではない! 奴が仮にワープの様な個性だとして、みんなの安否を確認する必要がある。確認を出来そうな個性を持っているのは――。

 

 

「障子君! みんなの様子を個性で分からないか!?」

 

「……屋外に設営されているゾーンなら確認できる。視認できる限り、他のゾーンに飛ばされているようだ」

 

 

 良かった……ひとまず無事か……! であれば、少なくとも外に飛ばされてる奴はいないようだな。楽観はできないが、これでハッキリしたこともある。

 

 

 

 ――ヴィランが襲撃しているのはこのUSJの中だけだ。

 

 そもそも、オールマイトがこの演習場にいると踏んでこれだけの戦力を集めた連中だ。学校全体を襲撃してるなら、わざわざ生徒が何人か逃げたところで些細な問題のはず。大体、他に襲撃地があるなら、我々が援軍を呼ぼうと無駄なのは知っているだろう。

 

 よし……不安だが、それだけ分かれば充分に動ける。今はとにかく、状況の立て直しを――。

 

 

「委員長、君に託します。学校まで走ってこの事を伝えてください」

 

「……なっ!?」

 

 

 曰く、赤外線式の警報器が鳴らないのは、そういう事が出来る個性がいる。相澤先生が個性を消して回っているのにも関わらず、未だに反応はみられない。恐らく今は何処かに隠れている。故に、この状況なら俺が走った方が早い。

 

 り、理屈こそ理解は出来る……だが、みんなを置いて脱出するなど委員長の所業ではない!! そんな事が許されるはずが――。

 

 

「行けって非常口! 外に出れば警報がある。だから、こいつらこん中だけで事を起こしてるんだろ?」

 

「お前の足でこのモヤを振り切れ!」

 

「食堂のときみたくサポートなら私超できるから!する!から!!」

 

「うんうん! お願いね委員長!」

 

「……(コクッ)」

 

 

 せ、瀬呂君に、佐藤君!? 麗日君に芦戸君、それに障子君まで……!? みんな、俺を信じてくれるのか……? まだ、委員長になって日が浅く、未熟者であるこの俺を? 振り切れる確証もないのにどうしてそこまで――。

 

 

 

 

 

――ポンッ

 

 

 

 

 

 

 肩を……ば、萬實黎君!? キミも、キミさえも『僕』を……? 入試1位かつ、現状同級生として最も尊敬しているキミですら、『僕』に託すと言ってくれるのか――?

 

 

 

 

「覚悟決めなよ。男の子でしょ」

 

 

 

 

 ……ああ、そうか。今、理解できたよ。心の内にのし掛かるモノの正体が。それに対して燻り逸る焦燥の理由が――。

 

 

 

 

 ――これが『信頼』……託された者が背負う重みなのか。みんなを纏める者が、背負わなければならない重み……!

 

 

 

 

「……あぁ! みんな俺に任せてくれ!」

 

 

 

 

 踏み出すんだ、ここで! ヒーローになるための、第一歩を――!!

 

 

「敵の前で策を語るとは……舐められたものですね!!」

 

「聞かれても問題ないから言ったんでしょうが! ブラックホール!」

 

 

 モヤが……吸い込まれている! やはり、13号先生の個性は強力だ……人には過ぎたる力と言われても頷けてしまうほどに。

 

 いや、今は俺がどうすべきかを考えよう。先生が敵を無力化するまで待機するのが最善か? それともこの隙に脇を通り抜けるべき……それはダメだ。切島君や爆豪君の二の舞になってしまう。彼らも決し悪意があった訳じゃないのは知っている。だが、結果として13号先生の対応を遅らせてしまったのも事実なんだ。ここは、確実に成功するタイミングを測って――。

 

 

「いやはや強力な個性です。が、戦闘方法が大雑把かつ、やや稚拙に過ぎる……!」

 

 

 わ、ワープホールが先生の後方に!? ブラックホールが13号先生自身を吸い込んで……あぁッ!? コスチュームが剥がれていく!?

 

 

「委員長何してんだ! 行けって!!」

 

「完全に先生がやられちまったら手が無くなる! 早く!」

 

「ぐッ……くそぉぉおぉおおお!!」

 

 

 悔しさで奥歯に力がかかる。エンジンを駆動させ地を蹴った。今はとにかく走るしかない!

 

 こうなるのであれば、少しでもこちらに意識が分散するよう走っていればよかった……! 雄英に来てから考えや行動が裏目ばかりに出る。立ち止まって考え過ぎだ……! 天晴兄さんだったら、こんなときも瞬時に判断して――

 

 

『天哉は真面目だからなぁ。俺みたいに何でもかんでも突っ込んでっちまう奴にはならねぇから安心だな!』

 

 

 憧れたんだろう!? 兄さんの愚直に人を助ける姿に……一瞬で人を助けるその『速さ』に! 思考で行動が停滞するなど言語道断! 飯田家の名を継いだ者としてあってはならない!! この失敗を払拭するために、そしてみんなを必ず助けるために……なんとしても、救援を呼んで見せる!!

 

 

「そう易々と……逃がすと思いますか!」

 

 

 目の前に!? クソッ、速度が関係のないワープ相手ではすぐに対処される……! カーブで振り切れ……ない!

 

 

「ぬぅ!!」

 

 

 障子君!? 複製腕で丸ごと包み込んで……いや、考えるのは後だ!! ありがとう、助かった! 扉まで後半分、このまま走りきれれば――!!

 

 

 

 

 

「……ッ! 調子に乗るなよ眼鏡ェ!!」

 

 

 

 

 な、後ろから声が!? まさか追ってきて……振り向いて迎撃をすべきか!? いやダメだ、爆豪君たちで物理攻撃の一切が通らないことは割れている! ここまでか? ここまでなのか!? 俺は結局、何も出来ずに終わってしまうのか!? そんな……そんな事は――!

 

 

「そのまま走って! 飯田君!!」

 

 

 な、なんだ!? 靄が遠退いて……麗日君か!? いったいどうやって……「大丈夫だから! 前だけ見てて!!」あ、ああ! 分かった! 本当にありがとう!! 状況は分からないが、君がそう言うのなら信じよう!

 

 みんなが俺を信じて戦っているんだ。なら俺も皆を纏める者としての責務を果たす! 待っていてくれみんな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……君に託すよ、委員長」

 

 

 

 

 

 ――声が聞こえた様な気がした。

 

 

 

 扉を開け、トルクの回転数を上げようとしたときだった。それはとても柔らかく、何処か親しみを覚える身近さを感じさせた。刹那、エンジンが唸りをあげ推進力を生み出す。そして感じる。今までにないほど、力の奔流がエンジンに流れている。俺はその感覚に、確かな覚えがあった。

 

 

 

 

 

「……そうか。俺は入試の時(あのとき)も、君に救われていたんだな」

 

 

 

 

 

 俺は走る。最も危険な場所に身を投じた師のために。信じてくれた仲間のために。託してくれた彼女のために。みんなの期待に応えるために、俺はギアを引き上げ突き進む。

 

 

 

 肩に残る、確かな温かさを感じながら――。

 

 

 

 

 






 スマホとパソコンそれぞれ書いたから、おかしな部分あったらすまぬ。

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