ガンドォ!   作:brain8bit

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 もう、相澤先生でいいんじゃないかな? 何とは言わんけど。



第12話「心の叫び」

 ふう、肩に触れたとき『全体強化』を仕掛けておいて正解でしたね。今は体操服に自前でフードを付けた服を着ているから、ほぼ無詠唱で魔術の出力をルーン文字に切り替えられるんですよ。アニメで活躍したキャスニキ様様です。おかげでイメージがすっごく楽。

 

 あの魔術、クロギリさんに対しての対策だったんだけど、みんなからのサポートが予想以上に手厚かったね。結果、単純なスピードアップに使わせてもらいましたよ。これが功を奏して、早めに救援が到着することを祈りませう。

 

 さて、お茶子ちゃんの個性で、クロギリさんの本体部分と思わしきところを無重力にして、瀬呂少年がテープで固定。その後、佐藤少年のパワーで吹っ飛ばしたわけですけども。クロギリさん、あれでどうにかなるわけないよなぁ……。気絶ぐらいしてくれてたら有難いんだけど、そう簡単にいきませんよねぇ。

 

 

「奏ちゃん……わたしたち、どうするべきかな?」

 

 

 ん、何も余計なことはしなくていいんじゃないかな? とにかく今は周囲を警戒しつつ、13号先生の介抱を優先すべきでしょ。多分、背中の皮が剥がれてる。正直あんまりグロ耐性ないから見たくないんだけど、やれることはやらせてもらおう。はいじゃあ、よっこらせっと。

 

 

 

 

「……はぁッ!? ちょちょちょ萬實黎ィ!? 何してんのォ!?」

 

 

「う、うぉおおぉおお!? 見てない! 俺は見てないからなァ!!?」

 

 

「……!? ……ッ……!?(ガン見)」

 

 

 

 うっさいわこの童貞共ォ!!

 

 

 人が一枚服脱いだぐらいでいちいち鼻息荒くするんじゃありません! ギャーギャー騒がしいんだよ発情期ですかコノヤロー!

 

 あ、女子2人が鉄壁のディフェンスに入った。え、乙女が気安く異性に肌を晒すな? ええやん別に減るもんじゃないし。てか、脱がないと意味ないんですがそれは。ズボンも脱ぐからちょっとどいて……ん? 何してんの芦戸ちゃん? え、あの手を離してく貰えます!? ちょ、出てる! 出ちゃってる!!弱酸性のナニカが手から出ちゃってるからぁああぁぁあ!!?

 

 

「……離して?」

 

「絶対離さないよ!? 脱ごうとしたら、もっと強めのヤツ出すからね!」

 

 

 ガチの脅しだコレ!?

 

 なんでよ! 上着類脱ごうとしただけじゃん! え、それがダメ? いやいや、別に脱いだからって下着を見られる訳じゃないし。これ? 下着じゃないよ水着だよ? ほら、布の生地見てみなさいって。ね?

 

 

「……いや、そうだとしても何で脱いだん? 今はふざけとる場合とちゃうよ?」

 

 

 個性を使うためだよ!? 至極真面目なんですが!? はい? なんで個性使うために脱ぐの……? え、えっとー……その、あれなんですよ。や、やべぇ! 個性に服が関連すること隠してるんだった……!! 確かに理由を知らなかったら、ただの痴女だよコレ!? むむむ、何か上手い言い訳を考えなければ……ダメだそう簡単に思いつかぬぅ!? え、ええい! こんなときは――!

 

 

「……今回使う個性は脱いでいた方が効率的なの。だから離して」

 

 

 へ、下手に誤魔化さないようにするべし! 嘘は言っていないからね! 取り繕ってボロ出すより、開き直って堂々とした方が怪しまれない……はずだよね? これで見逃してくれたり――。

 

 

 

 

 

 

「…………はぁ。なんやもう、ちゃんと事前に説明してや? そしたら男子だって後ろ向いたりできたんよ?」

 

 

 

 

 勝ったァ!!

 

 やはり信頼こそ最大の武器なりィ! いやぁ、この場にいたのがお茶子ちゃんで助かったわ。またもやあられもない誤解を招いて学校生活に支障を来すところだったよ。「おいアイツ人目憚らず脱ぐ変態だぜ」とか言われたら号泣するわ。シモ系統の噂って一生付いてまわるから洒落にならんし。まあ、そんなこと言うやつが雄英にいたら、一番被害大きいの言った本人だろうけどね。ヒーロー目指すやつが陰口とかする訳ないよなぁ?(ゲス顔)

 

 

「水着かよ……安心したぜ。いやホント安心したわ、うんうん」

 

「そ、そうだな。下着じゃなくてよかった……な?」

 

 

 欲望に素直かよ。そこまで分かりやすいと逆に面白いわ。まあ、先月まで男子中学生だったもんね。そういう妄想は一番膨らむ時期でしょうし大目に見ますよ。

 

 さて、着替え終わった訳ですし、早速打てる手は打っとこうか。

 

 

 

 

Load personality( 個性起動 )......Mystic code:Interact(礼装魔術回路:接続)...

 

 

 

 

 うぅむ、今日も今日とて魔術回路が激熱だぜ。今回はちゃんと段階踏んでゆっくり構築できるからマシではあるけども。毎度普通にやってるけど、魔術回路をその都度構築するってイミフすぎるよね。感覚? なんだろう……こう、頭の中で服のイメージを浮かべて、そこから発動する魔術のイメージを浮き上がらせるんですよ。イメージが固まって前者と後者が一致したら、今着ている服から魔力の奔流みたいなものが流れ込んでくる感じ……かな。

 

 元から魔術回路があって、それに魔力を通している訳じゃないんです。そもそも、わたしがこの個性で生成される力を『魔力』と仮定して使ってるだけなので、正確には何が起こっているかは知りません。医者も匙を投げたってことは、科学では証明できない何かが起きてるって事だと思うんですよ。それで、都合のよかった事象が魔術礼装だっただけのことで、わたし自身もこの個性の全貌は詳しくは知らないのです。イメージっていう感覚的なモノに頼る以上、説明にも人間の理解が及ばないものを使用した方が丸く収まる。なんとも歯切れの悪い話ですな。

 

 

「奏ちゃんそれは……?」

 

「なんか幻想的で綺麗~!」

 

 

 はい? なんのこっちゃ……OH YEAH!? 肌の露出が多いから魔術回路が見えちゃってるぅ!? 全身に巡ってるのが丸分かりだこれぇ……ええ、原作通り碧色に光り輝いてますとも。元からなのか、それともわたしがそうイメージしたからこの色なのか気になる。あー、まあ、うん。個性発動するとこんな感じになるよ。恥ずかしいからあんまり見ないで貰えます?

 

 

「堂々と脱ごうとしてた人が言うセリフじゃないよ!?」

 

 

 ソウダネ。マッタクモッテソノトオリダヨ。

 

 細かい事は気にしないの! さ、二人ともどいたどいた! 13号先生に手当てするから周囲の警戒は任せますよ。そこな男子3人も階段下とか死角になりそうなとこ見ときなさい。わたしのぱーふぇくとぼでーを見たい気持ちは分かるけど非常事態なんだから我慢しなさい。おい、誰だ今鼻で笑ったやつ。お前らきょぬーが全員八百万ちゃんクラスだと思うなよぉ!? あの歳であれは育ち過ぎだかんなぁ!!?

 

 ……はぁ。昨今の女の子は発育が良過ぎるよ……これも超人社会の影響か(違う)。まあ、いいや。とりあえず今は魔術に集中しよ。

 

 

Setting "Image"(概念承認)......All complete(魔術発動)......

 

 

 

 

 

Summer cord Ⅲ: Sea House Shower(   シーハウス・シャワー   )

 

 

 

 

 

 

 これ効いてんのかなぁ……? お察しだとは思いますけど、今の礼装は水着型礼装の『ブリリアント・サマー』。そんでもって、使ってるのは回復スキルの『シーハウス・シャワー』。手からシャワーみたいに治癒力がある魔力を放出する感じの魔術……なんですけどね? 如何せん傷が癒えるというより、鎮痛の効果の方が強いんですよ。というのも、わたしがこのスキルに抱いたイメージがですね、名前的に「夏の海で遊んだ後に風情あるシーハウスで体に突いた潮を洗い流す心地よいひととき」……的な? うん、いやすごくイメージしやすいから良いんだけどね? でもちょっと待って欲しいかなーって思うわけでして。

 

 

 

 

「……えっ、傷が少しずつ綺麗になってる! スゴい! スゴいよ奏ちゃん! 」

 

 

 

 

 

 うん、そうだよね?わたし今治療してんだよね?

 

 

 

 

 

 

 ……なんでこんな風流な事イメージしながら魔術行使してんのぉ!?

 

 

 傍目から見たら真面目に治療しているように見えるかもしんないけど、目の前の事象と想像のギャップ&違和感で死にそうだからね!? 主に表情筋の崩壊的な意味で!! シュール過ぎて笑い堪えるのに必死すぎてヤバい。腹筋がつりそう。 早く、早く全体に行き届いて……そろそろ限界来るから! 治療しながら笑うサイコパス認定されちゃうからぁ!! 頼むからホントマジで……(切実)。

 

 

 

 

「……ぅう? 皆さん……無事、ですか?」

 

「13号先生! よ、良かったぁ……意識が戻ったんですね!?」

 

 

 

 お、起きたぁ! 個性解除ぉ……!

 

 ちゃ、ちゃんと効果あったみたいですね(震え声)。手応えとか全く感じないし、なんなら別の事に必死すぎて本当に良くなってるか不安だったよ。てか、今個性がまともに人の役に立つ初めての瞬間じゃないですか? 嬉しい……嬉しいけど、わたしの心情は今それどころじゃない事が死ぬほど悔やまれる……。

 

 ……はぁ。うん、まあとりあえず治癒は終了。応急処置程度だけど、マシにはなったかな。うむ、そしたら服着よう。春先とはいえこんな格好でずっといたら風邪引いちゃうし。え、お茶子ちゃんジャージ持ってくれてたの? しかも畳んで? 嫁力が高ぇ……うん、着替えさせて頂きます。ありがとね。あ、男子帰ってきた。

 

 

 

「……悪い、やっぱつれぇわ(水着拝めず)」

 

「そりゃつれぇでしょ」

 

「ちゃんと言えたじゃねぇか」

 

 

 

 聞けて良かった(大嘘)

 

 

 引きずり過ぎだろぉ!? どんだけ見たかったんだよ!?

 

 まったく……ヒーロー目指す卵がそんなんでいいのかねぇ? まあ、男子高校生の日常ってそんなもんだよね。変な方向に突っ走って、色々歪まないといいけど。

 

 ……というか、女子なのに割りと筋肉質なわたしの体を見たところで大して面白くもないでしょうに。男ってスレンダーとかより、少しお肉あった方が好きなんでしょ? 偏見じゃなくて統計的なデータで見てさ。どーじんしにはそーゆー女の子が一杯描かれてるの知ってんだかんな。

 

 

 

「萬實黎さん……治療、本当に助かりました。プロが真っ先に倒れるなんて……相当な不安で辛かったことしょう。心配をお掛けして申し訳ありません」

 

 

 あぁ、いえいえ。大したことはしてませんので。まだ、起きずに安静にしてた方がいいですい。完全に直した訳じゃないですし、なんなら沈痛の作用で痛みが鈍くなってるだけですので。それに動きすぎると、また傷が開きますから。

 

 

「そうですか……様子を見る限り、委員長は無事脱出できたんですね?」

 

 

「は、はい! 皆で力を合わせて、なんとかあのモヤモヤした人を撃退できました!」

 

 

 おう、めっちゃ前のめりだねお茶子ちゃん。そういえば、13号先生のファンなんだっけ? あー……だからあんな過剰にわたしの行為に反応してたのね。憧れの人がが重症負ってる横で、脈絡もなく脱ぎ出すバカがいたそりゃキレるよ。軽率な行動を取っちゃったな。すまぬ。

 

 

「……流石先輩が認めた生徒たちですね。それに比べて僕は……不甲斐ないばかりです」

 

 

 ちょっとぉ! まーたネガティブ思考だよ!? そんなショボくれたところで雰囲気悪くなるだけだから! 周りも気をもむんですから控えて下さい! あっ、あっ、ほらぁ!! みんな困ってるじゃないですかぁ! なんでヒーロー目指す人ってすぐ卑屈になるん!?

 

 あっ、またお茶子ちゃんが前のめりに。生徒に励まされるプロってどうなのよ……しっかりしてクレメンス。

 

 

 

 

 

「……ッ!? あれは!?」

 

 

 

 

 

 今度はなんだぁ!? どうした障子少年唐突に驚いて……え、ヴィランに押されてる? まさか他の皆がやれてるんです!? それは流石にまずいのでは!? 誰かしら救援に向かわせ……え、違う? じゃあ誰が――。

 

 

 

 

 

「相澤先生が……ヴィランに組伏せられて……両腕を――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………は?

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 ――ホント、腹が立ちます。自分の不甲斐なさに。

 

 

 

 プロとして……ヴィラン相手にあれだけの啖呵を切っておいてこの醜態。さらに、今は怪我で動けずに先輩の救護にも行けず……!

 

 

 

「ちょ、奏ちゃん!? 何処にいくの!?」

 

 

 なっ……! 萬實黎さんが階段を!? 瀬呂君! 彼女を止めてください!! まだ、下にはヴィランが残ってます! 迂闊に近づけば殺されてしまう!!

 

 

「え、あ、はい! 止まれ萬實黎ィ!」

 

 

 ま、間に合いましたか……ってこれは!? 瀬呂君ごと引っ張っている!? 身体能力は高いと聞いてはいましたが……さ、佐藤くん、瀬呂君を援護してください!

 

 

「……ッ……!」

 

 

 ふぅ……流石に止まりましたね。ですが、どうしてそこまで……? 確かに人を助けるために動くことは立派ではあります。しかし、これはあまりにも無謀過ぎる。最初の印象から、理知的な人間だと判断していたのですが……現に、未だに下に向かおうともがいている。

 

 

「萬實黎さん……悔しくて仕方ない気持ちは分かります。不甲斐なさで自分に腹が立つ気持ちの分かります。ですが、今すべき事は命を投げ捨てることではありません!」

 

「離して、下さい……!」

 

「無茶をして怪我をして動けなくなった時はどうするつもりですか!? そして、状況も鑑みずに、突っ走った所で状況はよくなりません!! どう考えても今は援軍が来るまで待機するべきです!! 違います――」

 

「ぐ、ぁ……それでも!」

 

「ダメです! 先輩は……イレイザーヘッドは僕に君たちを守ることを託しました!! 死地に飛び込んでいった彼の唯一の望みです……貴方はその思いを踏みにじるんですか!?」

 

 

 

「……あの人は(・ ・ ・ ・)!!」

 

 

 

 

 

 

「……あの人は自分の事なんか犠牲にして……まるでそれが当然のような顔して……自分が一番危険な役目の癖に! それが一番合理的だって言い聞かせて!! ……だけど、それでも……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――もう、泣くな(無理するな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな言い訳なんて認めない!! あの人を助けない理由になんてならない!! わたしは絶対に助ける……救わなきゃいけないんだ――」

 

 

 

 

 

 

 

「――あの人を、相澤先生を!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドゴォォォオオン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 その叫びと同時に、入り口が吹き飛ばされた。それはまるで、彼女の思いが届いたかのように。

 

 

 

 

「――もう大丈夫」

 

 

 

 

 見紛うはずもないその姿を、誰もが望んだそのフレーズを、五感全てで体感する。ここに悪は潰えるのだと、戦いは終わりを迎えるのだと確信を得る。何故なら――

 

 

 

 

「私が来た……!」

 

 

 

 

 ――平和の象徴が、そこに舞い降りたのだから。

 

 




 ギャグ書いてたらいつの間にかシリアスになってた……次の話の冒頭に繋げるためには仕方がなかったのだ。カムバック日常編。オール茶番でやれてた最初の頃が懐かしい。
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