ガンドォ!   作:brain8bit

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 難産だけど道は開けた。


第22話「ダブルミーニング氷点下」

 劇的な変化とは、正しく今の状況を言うんだろう。僕自身、さっきよりも格段に動きは良くなっているし、文句の着けようが無いぐらい相手を圧倒している。

 

 

「こんのッ……クソデクが調子乗るんじゃねェ!!」

 

 

 豪、と爆風が舞う。顔面スレスレの近距離爆破。本気でノックダウンを狙った攻撃だろうけど、副次効果もかなり強い。実際に、避けこそ出来たものの視界は硝煙で不良だ。態勢を立て直す為には打ってつけの一手だと思う。だけど、相手方の思考は見切っている。僕が今すべきことはコレ(・ ・)以外無い。

 

 

「全身で……力を纏って……分散させて……!」

 

 

 全てが充填されたのを機に、一気に回転した。風を切る様な感覚を身に受け、止まる寸前にはたらいていたベクトルが重みとして襲ってくる。そして、それらとは異なる鈍い感覚が足に残っていることを確認し、目論見が成功していることを実感した。

 

 降り向けば、腕をクロスさせて距離を取る……いや、取らされた相手(かっちゃん)がそこにいた。

 

 

「それは、最初の戦闘訓練で見た……だから、対応できる!」

 

「~~~~ッがぁぁあああ!!!」

 

 

 吠える様な悲鳴。キレる一歩寸前。人によっては冷静を欠いている様にも見えるかもしれない。けれど、アレは違う。精神を落ち着かせるための行動だ。威嚇の意味もある。昂った感情をそのままぶつけるような戦い方はしない。狡猾な狼。それが、僕の幼馴染だ。

 

 

「……感謝しなくちゃ、いけないな」

 

 

 才も、個性も、勉学も、何もかも上にいるかっちゃんに、ここまで食らい付けている。

 

 全身に微力なOFAを一瞬だけ纏わせて、身体能力を上げる技……僕が今後、身に付けるべき技の理想系である『フルカウル』の試作品。命名するなら『ハーフカウル』だろうか。

 

 今までは一部にアクセルベタ踏みの力を入れることで、部位を犠牲にした超パワーで戦ってきた。けれど、それじゃあ、何時かは倒れてしまう。それなら、今の器で扱えるだけを全身に纏わせてしまえば良い。扱うのが難しいのであればスイッチのオンオフのように、一瞬だけ使えば問題ない。まあ、急拵えもいいところだから扱える出力なんて3%程度だけどね……それでも、凄まじいパワーだけどさ。

 

 そう気づかせてくれた彼女には謝意を述べたい。今すぐにでも、ありがとうって。でも、こればっかりは難しい。正直なところ、僕がこうして冷静でいられるのも、それが原因だったりする。幸か不幸か、この場において酷く有意義なものになっているんだ。それは――

 

 

 

 

「ワーオ! スゴいよ出久っち!! やればできるじゃーーん!! ガンガン行こうよファイトー!!」

 

 

「うるっっっせぇええええぇえぇんだよ能面女ぁあああぁあ!!!!!」

 

 

 

 この状況に対する指摘(ツッコミ)放棄、及び他人行儀(しらないふり)です(諦観)。

 

 

 

 

 うん、触れちゃいけないと思うんだ。

 

 

 唐突に怪我をしていたクラスメイトが饒舌になったこととか。

 

 口調がバリバリの陽キャパリピになったこととか。

 

 それでいて表情は今までと変わらず無表情なこととか。

 

 

 もう、僕に出来ることはないよ……きっと、明日になれば全てが元通りなんだ。大丈夫、だって人が明るくなることは良いことじゃないか。あんなにピョンピョン跳ねて応援してくれてるんだし、僕は微笑み返すだけで良いんだと思う。うん、そうに違いないよ。

 

 

「わわっ、表情が完全にヴィラン~~! もっと笑わないと損するよかっちゃん??」

 

「だぁれがかっちゃんだコラァ!? おい、デクその女黙らせろ!! テメェの相方だろうがァ!?」

 

「何ヲ言ッテルンダイカッチャン。萬實黎サンハイツモ通リデショ」

 

「なに諦感決め込んでんだテメェエェエエェェェ!!!」

 

 

 爆発が顔面スレスレを掠めるけど避ける。いや、避けれるようになってる。これもニコニコしながら何かを発動させてる萬實黎さんのお陰なんだろうか。いやぁ、流石だなぁ(白目)。

 

 

「とっとと現実と向き合えクソがぁ!!」

 

「僕の目には手のひら爆発させてるヴィラン顔負けのクラスメイトしか写ってないよ? 少し冷静になろうよ」

 

 

 HAHAHA。思わずオールマイトみたいな笑いが出ちゃいそうだ。論点がずれているよかっちゃん。考えるような事態なんて起きてないんだ。イイネ? そんな事より、今は試合に集中しようか。僕たちが優勢なんだから対抗策を練らなくて良いのかい?

 

 

「心なしかデクが毒舌になってやがる!? オイ、能面女ァ! デクに何しやがったァ!!?」

 

「む、そんなダサいアダ名付けないでよー! もっと可愛い感じじゃなきゃNOだからネッ! ほら、Thinking Together!!!」

 

「表情筋鍛えてから出直してこいやぁああぁあああ表情筋壊死女ぁああぁぁあああ!!!!!」

 

 

 あ、スゴい。状況における立場って、誰かが勝手に代役してくれるんだ。良いこと覚えたかもしれない。これは、今後で必要になってくるスキ「ストップそれ以上はいけない緑谷少年ッ!!」ふぁ!? いまオールマイトの声が聞こえた様な気がする……!? ぼ、僕は一体何を……?

 

 そ、そうだ! 試合だよ! 萬實黎さんに言いたいことは山ほど有るけど、今は目の前のレクリエーションに集中すべきだよね! かっちゃんもホラ、えーっと……ぼ、僕が相手だ……?

 

 

「最後まで言い切れや!! クソッ……何だか知らねーが後ろのヤツも本気出したらしいなァ。だったら、文句はねェ。コレで遠慮なく潰せる」

 

「ちょ、本気!? まだ本選が控えてるし、なんならまた戦うかもしれないのに――」

 

「ハッ、決勝まで残るつもりかよテメェ。オイオイオイ随分と舐められてんなぁ、半分野郎はァ?」

 

 

 違うからね!? 仮定の話だから!! なんで味方を煽ってんのかっちゃん!? うわぁ、轟君の目がヤバい! ヒーローの卵がしちゃいけない顔になってる!? かっちゃんと良い勝負出来る……って冗談言ってる場合じゃないし! と、とにかく今は場を取り成さなきゃ――。

 

 

「んー……でもさ、しょーがないじゃん? ドッキーが本気だしてないのは事実なんだし」

 

 

 

 爆 弾 投 下 ぁ!?

 

 

「第一種目が終わった後ね、ドッキーのパパに会ったんだけどさ。ヤバいよあの人。なんていうかこう……自分の事しか頭に無いぜーってかーんじ? もう『手段なんぞ選んどる場合かーーー!!』みたいなオーラが出まくりだったもん」

 

「……! 会ったのか……」

 

 

 

 ちょちょちょちょぉおぉおお!!?

 

 めっちゃ扱き下ろすじゃん!? 人様の親にそんな酷評を本人の前で言う!? 僕も確かに顔合わせしたし、何なら偉そうなこと言ったけどさ! だからって、それを噯にも出さないで、いけしゃあしゃあと進言するかなぁ!?

 

 後、ドッキーて誰!? まさか轟君のこと言ってるんじゃないよね!? センスが独創性の運動会過ぎるでしょ!!?

 

 

「うん。いやもーホントにさ? あーゆー感じの人が親だったとして、あたしだったら絶対反抗しちゃうかなー」

 

「あぁ……。アイツは自分がオールマイトを越える事しか考えちゃいない。自分が限界を感じたのか知らねぇが、今度は息子の俺って事になる。無論、アイツの思惑に乗るつもりはねぇ。だから、俺は右の力だけで――」

 

「ウンウン。けどさ――」

 

 

 

 

 

「それって今必要かなー?」

 

 

 

 

 

 その言葉を折に、萬實黎さんの纏う雰囲気が一変する。見据えているのは、間違いなく同い年の少女。誰よりも堅実で、自分にできる最大限を常に走り続ける……尊敬しているクラスメイトが、そこに居たはずなんだ。認識は決して間違っていない。五感が正常であると、得た情報を脳へと伝達している。

 

 だけど、何故だろう。それ以外の何かが、酷くズレていく。何も変わっていないはずなのに、輪郭がフレームからはみ出していると錯覚してしまう。その正体が何なのか。僕の頭は、漠然と疑問点の周囲を行ったり来たりしていた。

 

 気持ち悪い。歯車が噛み合わないのが、本気に。まるで、コレは――。

 

 

 

 

「ねぇ……ドッキーの目にはさ。何が映ってるの?」

 

 

 

 

 

 蛇に睨まれた、蛙みたいだ。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 最後に自分が泣いた日を、俺はもう覚えていない。

 

 

 

 幼い頃は、頻繁に泣いていたと思う。物心がついたときにはもう、親父に血反吐を吐かされていたから。それが普通ではないことは、泣いていた母さんから察せられた。他の兄弟が外で好きに遊ぶ最中、俺だけが『特別』だと言い聞かせられ、自由を奪われていた。

 

 当然、嫌になった。どうして自分が、とも思った。けれど、兄弟を嫌ったりはしなかった。子供ってのは感情の起伏に機敏だ。家から母親が居なくなるような事が起きれば、未熟な思考でも異変には気付く。いつの間にか、上の兄たちと姉は俺を労うようになり、同じく「母を苦しめた存在」を憎むようになっていた。

 

 そしていつしか、俺は自信が正しい事を理解した。父親に反抗することが、自分がすべきことであると。父親の力は、戦闘において使わない。母親から貰った右だけで戦う。そうすれば、親父の目論見は潰せる。

 

 それらを含め、雄英でヒーローを目指すことを、兄弟には話した。無論、応援すると背中を押された。根が優しい姉は複雑そうな顔をしていたが、もう決めたことだった。俺は、親父の手を振り払って、自分で個性のトレーニングを始めた。忌々しい事だが、基礎は全て叩き込まれた後だったために、応用も難なくこなせた。

 

 それに、曲げれない想いもあったから続けられた。絶対に見返してやるっていう強い意思が。片時も忘れたことはない。起きたときも、登校中も、授業中も、昼休みも、下校中も、風呂に浸かっているときも、眠る寸前でさえも。全部、全部、全部――。それが間違っていないから。タダシイコトだから。ずっと、ずっと、ずっと……そう、信じてきた。

 

 

 

 

 ――信じて、きてたんだ。

 

 

 

 

「ねぇ、教えてよ。何を見てるの? 何処に行きたいの? 何時になったら満足するの? すごく、すごーーーく気になっちゃうなー?」

 

 

 

 

 そして、壊された。

 

 

 

 

 亀裂が広がった。崩されそうになっていた。いや、とっくに崩れ去っていたのかもしれない。あの日、最初の実戦訓練で、敗北したあの日から。見抜かれていたのかもしれない。オールマイトと対峙させられた、あの瞬間から。

 

 USJ襲撃事件では、それなりに動けたはずだった。アイツに劣らない成果を出せたと思っていた。

 

 けれど、緑谷を見て、考えを改めた。緑谷はあの瞬間に、ヒーローとして動いていた。救うために、がむしゃらに自分に出来る最大限を惜しみ無く、自分さえ犠牲にして。その瞬間に理解できた。自分の中の何かが、確定的に下であると。

 

 一体ソレは何なのか。いくら悩めど答えは出ない。こんなことでは、見返せるものも見返せない。それは、それだけはダメだ。全部が無駄になる。それじゃ、きっと報われない。

 

 

 

 …………誰が、報われないんだ?

 

 

 

 俺自身? いや、別に俺はどうでもいい。俺がどんな業火に焼かれようが、耐え抜いて見せる。兄弟に飛び火しなければ、俺は焼かれ続けてもいい。じゃあ、誰だ。誰が報われなくなる? そもそも、なんで俺は――。

 

 

 

 

 

『――のよ。――は……』

 

 

 

 

 

 モノクロの記憶が、視界に広がる。

 

 それは母との記憶。殴られる俺を庇い、俺の半身を疎み、俺に『消えない傷』を残した人。

 

 恨んじゃいない。あの人は何も悪くない。全部、親父のせいだから。あの人も被害者だから。だからこそ、俺はこの右側を受け入れている。母さんがくれた、この右側だけを。

 

 そうか。いや、そうなのか? 母さんが、報われないのか? 俺の意地で始めた反抗が。兄弟に正しいと言われたこの思いが。実らなかったら、母さんが報われなくなるのか?

 

 ……違う、違う、違う。何かが、決定的に足りない。この違和感を埋めるには足り得ない。分からない。何が、一体必要なんだ――?

 

 

 

「意味なんてないんだよ。だって、何も見えていないんだから」

 

 

 

 …………止めろ。

 

 

 

「私、聞いたじゃん。ちゃんと周り見えてるかってさ」

 

 

 

 …………黙れ。

 

 

 

「結局、ドッキーの目にはね?」

 

 

 

 …………これ以上、俺に――。

 

 

 

 

 

 

自分(パパ)の事しか、映ってなかったんだよ」

 

 

 

 

「ッッ……勝手に、土足で踏み込んでくるんじゃねぇ!!」

 

 

 

 気付けば、右足を踏みしめていた。それは故意か不意か。大量の冷気が吹き出す。行き場を選ばないソレは、一直線に気化しているはずの水分を一瞬で凝結させる。その動きに淀みは無く、「消し去りたい」と思ったモノへ伸びていった。

 

 

 

 

 彼女は

 

 

 

 それを

 

 

 

 受け入れて

 

 

 

 

 

 

 微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 ――――氷点下に、紅色が飛沫(しぶ)く。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 止めるべきだったと、後悔をした。

 

 

 悔いだけは残すような結果は出さねぇと決めていた。

 

 

 チャンスは今だって、目の前にあった。

 

 

 

 全部を、棒に振った。

 

 

 

「……んのクソがぁ!!」

 

 

 

 こんな状況でも脳だけはフルで回っていた。状況における最善策を実行に移す。目の前の『巨大なソレ』に対して個性を点火させた。

 

 

「かっちゃん何をッ!?」

 

 

 クソデクが目障りだが、説明する時間なんてあったらこんなことしてねぇ。そんでも無理してでも止めようとする姿勢が目に浮かぶから余計に腹が立つ。ぶち殺したろかとさえ思うが、この場は言うべきだ。

 

 

「邪魔だどけやァ!!」

 

「いやだから、なんで爆破しようとしてるの!? 危ないからダメだってば!」

 

 

「出血多量な上に『氷山に閉じ込められた愉快なオブジェ』にされてんだぞ!!!」

 

 

 

 要らねぇ部分削って半分野郎の熱循環促進させ腐って1秒でも早くしねぇとあの女死ぬだろォが!! 分かり殺したらさっさとどけクソデクコラァ!!

 

 

「な、なるほどッ!?」

 

 

 振り切ってそれの目の前へと駆ける。さっきまで動いてた人間が微動だにしやがらねぇ。そんなクソッタレな事実に、嘆息することすらアホらしい。

 

 爆破で体の両脇の掘削から始める。全長10メートルを越える氷塊だ。最初は大雑把で構わねぇ。人体に影響がなきゃスピードだけが今は重視される。ある程度削ったら細かい爆破に切り替えて、体に沿うように形抜けば問題ねぇ。

 

 

「オイ……なんで、笑ってんだテメェ」

 

 

 解答はハナから求めてねぇ。だが、遺憾なく素通り出来るような事でも無かった。最早、自問自答。んなこた分かりきってる。

 

 ――分かった上で聞いてんだよ。

 

 

「死なない程度ってのは何だったんだよ。テメェが死にかけてんじゃねぇか……えぇオイ? あんな啖呵切っといてこのザマとか恥ずかしくねぇのかよ。私はトラブル起こすだけの能無しってか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

――ざけんな

 

 

 

 

 

 

 

「ざっけんなよ萬實黎奏(・ ・ ・ ・)ェッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 こんな醜態認めねぇぞ!! テメェは雄英1年の現状トップ(・ ・ ・ ・ ・)だろうが!? 仮にも頭張ってるヤツが体育祭で『事故って死にました』だァ!? 本気すら出してねぇヤツ相手して、自己防衛出来ずにお釈迦なる様なヤツに……俺は、俺は負けた覚えはねぇぞオイ!!

 

 それで本当に死んでみやがれ。そんなクソ相方を止められなかった自分(テメェ)はなんだ!? 結局は大局すら見れねぇゴミと変わらねぇじゃねぇか!!

 

 そんな評価下されるぐらいなら死んだ方がマシだ。だから絶対に赦さねぇ。俺の許可無く勝手に死んでじゃねぇ! 是が非でもブッ生き返すからなァ!?

 

 

「……チッ、これ以上は凍傷に響きやがる。オイデクゥ!! まだか半分野郎はァ!!?」

 

 

 クソが! 何もたついていやがんだ! 戦闘では使わねぇとか舐め腐ったこと抜かしてたが、それ以外だったら使えるんだろォが!! さっさと治せぇ!!

 

 

「い、行こう! 轟君!」

 

「…………」

 

「……! んのクソ舐めプ野郎ォ……!! 遂にただの腰抜けに成り下がったかァ!!? 」

 

 

 爆速ターボを起動させて、半分野郎に詰め寄る。そして――

 

 

 ガァン!!

 

 

 胸ぐらを掴んで『全力』で頭突きをかます。首をしならせる事がない様に襟を内側へと引き寄せる。言わば額を擦り合わせている状態。髪の隙間から焦点が合わねぇ目が見えるが関係ねぇ。

 

 

自分(テメェ)でメンチ切って挑んだ戦いだろォが!! それで『こんなことになるとは思ってなかった』てかァ!? んなもん通る訳ねぇだろ!!」

 

「…………爆……豪」

 

「事情なんざ知らねェ!! ただ、図星突かれてキレ散らかした挙げ句、殺しかけてブルってるチキン野郎のことなんざ知ろうとも思わねェ!! けどなァ!?」

 

 

 

 

 

「少なからず、今のテメェは『ヒーロー』じゃねぇ!!」

 

 

 

 

 

「何のためにテメェは雄英に入った!? 何のためにヒーロー科に来た!? 今のテメェは一体なんだ!!?」

 

 

 

 

 

「 今!!

 

 

   此処で!!

 

 

    行動で示せやァ!!! 」

 

 

 

 

 

 そのとこ、微かにだが、雫が落ちた音が響いた。刹那、熱風が頬を撫でる。気が付けば、蒸気が辺りから吹き出す音が木霊していた。その勢いは当然、ソコにも届いているに違いない。

 

 

「助……ける……! 絶対……死なせねぇ!!」

 

 

 ――ゴォォオオオォオオ!!!

 

 

 

 

 ……ハッ。遅ェんだよバカが。

 

 

 

 振り向けば、最も蒸気が覆っている存在が目につく。そこに慌てて飛び込んでいく阿呆(デク)も視界の端に留まった。

 

 なァオイ……テメェは、全部こうなる事が分かってやがったのか? 体育祭の最初(ハナ)っから……いや、顔を合わせたその日から。見抜いた上で、この体育祭っつう舞台で仕掛けた。そォなんだろ……でなきゃ全部天然ってか?

 

 …………だとしたら、これだけフザけた結果もねぇわな。別口で腸が煮えくり返るどころの騒ぎじゃねェ。殺す。絶対ェしばき殺す。今度は爆破で顔面整形の愉快なオブジェにしてやらァ。

 

 

「直ぐに医務室のリカバリーガールの元へ! このまま緊急搬送も視野に入れるべきだ!!」

 

 

 ……まぁ、それは別の機会にしたる。生きてりゃ何度でもブッ潰せんだ。精々死なねェ様に気張るんだな。じゃなきゃ――。

 

 

 

 テメェを、越えられねぇからな。

 

 

 

 




 クライマックスみたいな展開だろ?

 これレクリエーションなんだぜ(絶望)。


 後、誰ですかこの綺麗な爆発三太郎ゎ……。

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