ガンドォ!   作:brain8bit

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 主人公がピンチを乗り越えるときのワクワクがジャンプ作品の要。逆説的に言えば俺つえーするなろう系の主人公はジャンプの敵役として最も最適な素材である。中ボス的なポジで。

 後、何故この日に投稿したかは、数日前に某ゲームで水着ガチャ爆死して凹み、今日も爆死してヤケクソで書き上げたから。


第7話「覚悟はできてるか?俺たちは――」

 

 瀬呂が俺に礼を言ってきた。だが、正直そんなことに構っている余裕はない。俺たちが今相手にしてんのはオールマイトだ。油断なんて微塵も出来ねぇ。けど、どうすんだ……!? 俺たちの戦略は見ての通りの既に崩されちまってる。俺たちの勝利条件は、ヴィラン側を拘束か核の回収だ。オールマイトが相手の時点で正面からかかる選択肢はねえ。ここで打てる最善の策は……!

 

 

「……瀬呂! プラン通りだ! 俺らでオールマイトの相手すんぞ!」

 

「は、はぁッ!? 正気かよ轟ィ!!?」

 

 

 至って正気だ。確かに状況は圧倒的に不利かもしれない。けど、俺たちが見つかることも計画の内だったはずだ。オールマイト相手に15分間逃げ続けるなんて不可能に近いことは最初から分かりきっていたこと。なら俺たちはそのときに出来る最大限を発揮するだけだ。

 

 

「行くぞ……当たんじゃねえぞ瀬呂!」

 

「クッソやるっきゃねぇのか!!」

 

 

 瞬時に氷を部屋全体に這わせる。そして、合わせるように瀬呂がテープを巡らせた。まるでジャングルジムだな。これで一応の準備は整った。

 

 

「ふむ……それで、どうするのかな? まさか、これで私を封じれたとは思っていないよね?」

 

 

 訝しみながら辺りを見回すオールマイト。だが、もう遅い。俺たちは既に準備を終えている……!

 

 

「……! なるほど、考えたね」

 

 

 遮蔽物を壊されたのなら、また作り直せばいい(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)。俺ひとりでは無理だが、瀬呂の個性があれば話は別だ。本来なら、俺の個性は出力を変えられるだけで、局所的に凍らせたりは出来ねぇ。けど、瀬呂のテープを使えば、這わせた冷気の方向ぐらいは決められる。瀬呂の裁量次第にはなるが、氷の擬似的な氷の通路ぐらいは即席でも十分作り出せるはずだ。

 

 

「いい個性の使い方だ! けどそれだけで身を隠せたつもりなら……大間違いさッッ!!!」

 

 

 轟音、それにともなって、一部の氷の壁が吹き飛ばされる。オールマイトが氷を破砕したことは明確だろう。あの人も茶目っ気こそ大いにあるがバカじゃない。俺たちがそこにいると予測がついての行動だろう。

 

 

「壁を作ろうと結局は氷の塊! 透明で位置も丸見え…………ってあれ?」

 

 

 そこに俺たちはいない。氷越しに見えたソレは幾重にも重なった氷が見せた幻。周囲の氷で光が屈折し合って、あたかもその氷越しに俺たちがそこにいるように見せただけだ。

 

 

「なら手当たり次第に行くしかないね!!」

 

 

 そう言って本当にバカスカ破壊し始めやがった。けど、問題はねぇ。その時の対処法も確立済みだ。

 

 

「ストップ。オールマイト、あんたが今壊そうとした氷の裏にはすぐこのビルの壁がある。自分で言ったように牙城の損壊を招く。それでもいいんですか?」

 

「HAHAHA! そんなハッタリに脅かされる私じゃないさ! 体感でどの程度までなら吹き飛ばしていいか分かるからね!!」

 

「へぇ……じゃあ、仮に壁を吹っ飛ばしたときのペナルティを聞かせて貰おうか。俺たちには点数のマイナスっていうデメリット背負わせて、自分は何も無しじゃ通らないでしょう!」

 

「えぇ!? あー、そうだね……確かに公平じゃあないし……ヤッバどうしよう考えてなかった

 

 

 ……なんか、割りと効いてるな。とりあえず今はそれで十分だ。決めた通り俺たちが時間を稼いで、娃吹が核を見つければ十分どうにかなる。先手こそ取られたが……持ち直せた。

 

 

「……よぅし! 仮に私が壁を破壊してしまったら、君たちの誘導勝ちということで評価に加点するとしよう! まぁ、そう易々とは行かないと思うけ、どぉ……ッッ!!?」

 

「誰が逃げるだけって言いましたか。アンタと言えど、体が凍ればただじゃすまないはずだ……!!」

 

「なるほどね、そりゃそうだよ!」

 

 

 避けられた。だが、時間稼ぎにさえなればこっちのアドバンテージだ。瀬呂に指示出しつつ、場所の移動、障壁の修復、そして適度に反撃を繰り返す。後は核発見の報告が入り次第、瀬呂は入口から脱出して外で蛙吹と合流だ。あいつらの個性なら外壁を登って窓から侵入できる。俺はオールマイトの相手をしつつ、注意を引き続ける。そうすりゃ、情報ほぼ皆無の萬實黎にも人数差で保険をかけられるはずだ。必然的にこの作戦の要は俺になっちまうが、オールマイトを止められる現実的な策はこれしかねえ。今は耐えて、状況が好転するのを待つ。

 

 

 

 蛙吹、後は頼んだ……!!

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

 

 

 

 

 

 さすが推薦組。個性や身体能力だけが抜きんでているだけじゃ、学校も推薦なんてしないよね。そりゃ、状況への対応力を推進させる頭脳だって持ち合わせてるでしょ。上手くオールマイトを凌いでる。素の身体能力も案外馬鹿にできないみたいだし、昔から鍛えた……もしくは鍛えられてきたんだろうなぁ。こんな強い人と対戦することになるなんて、わたしもよくよく運がないよ。認めよう、お前がナンバーワン(暫定)だ。

 

 

 

 

 

 

 って違ぁう!! 敵褒めてる場合じゃないでしょ! 確かに、わたしの作戦には彼がオールマイトと対面することが必須だけどー……そうじゃないんですよ! 実際に戦ってもらわないと意味ないんですよ! 正面切っての殴り合いじゃないと意味がないんですよ!!

 

 はぁ……でもまあ、そのうち隠れきれなくなるでしょ。逃げの一手じゃないだけマシというものです。幸い、ちょくちょく凍らせようと攻撃してるようですし、隙はいくらでもできるはず。とりあえず今、問題があるとすれば……。

 

 

「あぶなっ」

 

「よく避けるわね、奏ちゃん」

 

 

 蛙吹ちゃんに速攻で見つかったことかな!!

 

 ひぇーーッ!! やっぱり、身体能力が人間様のそれじゃないですぅ!? 蛙をそのまま人間大にしたらこんな感じなんですね! 舌の速度とかもはや目で追えんよこれ! 壁に張り付くし、自由自在にあらゆる方向から舌が飛んでくるしで、とんでもねぇぜ!! これが核部屋だったら速攻でケリがついてましたね。今は避ける事に全振りしてるからともかく、あんなの止めるってなったらわたしの力じゃどうしようもありませんでした。はい。

 

 

「あなたがここで守っていたってことは、核も近くにあるって事かしら? 教えてくれたら嬉しいわ」

 

「聞かれて答えるとでも?」

 

「いいえ。でも、個性を使わないで私と戦うのは不利になるだけよ。それとも、使えない理由があるのかしら」

 

 

 めっちゃ問答するね蛙吹ちゃん!? どうして絶え間なく質疑応答を求めてくるのかな!? あ、もしかして余裕ない事にかこつけてボロ出すの待ってる? あらやだいやらしい! お姉さん大分困っちゃうわぁって、うぉッ掠ったぁ!? ふざけてるとマジで捕まりますね。かれこれ数分経つけど動きっぱなしでだいぶ息もあがりかけてる。かと言って突破口があるようにも見えない。くぅ~キツイわぁ!!

 

 

「……わたしを捕まえたところでオールマイトがいる。捕縛なんて現実的じゃないし、早く核を探しに行った方が有意義だと思うのだけど?」

 

「ケロッ……確かにそうね。でも、奏ちゃんの個性が分からない以上、リスクが計り知れないのも事実よ。それに、あんな索敵を見せられて、放っておくわけにもいかないわ」

 

 

ちぃがぁうぅのぉぉぉぉ!!!

 

 クッソ、個性明かしてないのが裏目に出てらぁ!! 仰る通りですよそりゃ! ぬぅ、予定ではもう少し後に戦うつもりだったのに……え? なんで戦闘になってるかって? いや、あの……窓際で頭についた埃を払ったら手の甲でおもっくそ窓ぶっ叩いちゃいましてね……そのとき、たまたま蛙吹ちゃんが近辺の壁を登っていたというかなんというか(滝汗)。わたしも蛙吹ちゃんも一瞬固まちゃったよね。なんとも言えない間ができた後、蛙吹ちゃんが無言で舌で拘束しようとした事を口火に戦闘が始まりましたとさ! 全く以てめでたくねぇわ!!!

 

 ともかく、アレが発動するまでは何としても耐えねばならん。伸るか反るかあっちの裁量次第だけども。なんか上から目線で戦ってて凄く引け目を感じる。オールマイトとかいうチート要素があるからかな。言い表すなら適度にヒーロー側に試練を与えてる的な感じ? 気分はバグまみれの小悪魔系後輩だぜ。

 

 萬實黎ぃぃ~~チャンネルぅぅぅ~~~!! イィィ~~ン……雄英ぃぃ~~~ッ!!! グレートデビルな(プロヒーローを従えた)奏ちゃんは、屋内でも無敵なのでした! でも今はそのヒーローさんとは別行動中なので、だ~~いピ~~~ンチ!! 1on1戦闘を強いられたわたしはどうなってしまうのでしょう~~~!!?

 

 

 

 

 

 

……あの、切実に限界近いんですけど。後、何分凌げばいいですか? え? 後1分弱? キツすぎワロタ。

 

 

「奏ちゃん、どうしたの? 百面相してるのはなぜ?」

 

 

 うん、不思議だね。でも娃吹ちゃんもその原因の片棒を担いでるからね? さも関係ありませんみたいな顔してるけど、あなたの猛攻が今一番の元凶だからね???

 

 

「言い忘れてたわ。私、言いたいことや聞きたいことは何でも言ってしまうの」

 

 

 知っとるわァ!!

 

 もー、なんなのこの子ぉ!? 天然なのか策士なのかどっちぃ!? なんとなく良い子なのは伝わってくるんだけど今はソレがつらい! 主に集中力的な部分がすこぶるつらい!! あ? そんぐらい無視しろ? 誰だって避けゲーやってる横でぶつくさ質問責めされたらキレるでしょうがぁ!!? ホントに娃吹ちゃんが妨害目的でやってるとしたらベストチョイスでぐうの音も――あ。

 

 

「ケロッ! 隙が出来たわね奏ちゃん……チェックメイトよ!」

 

 

 し、しまったあぁああぁぁあ!! 足もってかれたぁあああぁあ! 巻き取られる!? やっべテープ巻き付けらたら行動不能で詰み案件だぞこれぇ!? 時間は!? 後、10秒って……あーもー、誤差の範囲だ!! 四の五の言ってらんねぇ!!

 

 

Load personality( 個性起動 )......Mystic code:Interact(礼装魔術回路:接続)...!」

 

 

 後は、あなたの演技次第(・ ・ ・ ・)ですよ。ハマれば100点外せば0点。オールオアナッシングってやつです。手筈通りに頼みますよ……!

 

 

 

 

 

All reboot(凍結展開)......Lunatic cord:Full Open(全魔術発動)!!」

 

 

 

 

「ケ……ロッ……!?」

 

 

 緩んだぁ!! けど、流石異形系。Punishment(パニッシュメント)の効果が薄すぎる……! 抜け出せんというのならやることはひとぉつ! 娃吹ちゃんにコイツ(確保テープ)を使うように見せつけるんだよぉ! おっ、あっちも確保テープ構えてきた。行動不能にはなるけど、相討ちなら上等よ!

 

 

 

 さあ、往生せぇい!! 捕まって引き寄せられてるわたしが言っても締まんな過ぎて滑稽だけどなァ!!(やけくそ)

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

『娃吹さんと萬實黎さん、同時に互いを確保! 両者共に行動不能ですわ!』

 

 

 

 

 何ぃ!? それはマジで言ってんのか!? 個性でテープを射出しながらも、俺は叫ばずにはいられなかった。まあ、マジで叫ぶとオールマイトに場所が割れるから心の中に留めたけど。

 

 あ、ちなみにさっきの声は八百万な。オールマイトが講評で発揮した観察力に目をつけて、ジャッジを任せたらしい。

 

 そんで状況だが……ふたりが相討ちか。未知数な相手と戦りあって、五分に持ち込めただけマシなんだろうが、正直ヤバイ状況ってのは流石にわかる。どうすんだよ、このままだと時間切れになっちま……

 

 

「そこかァ!?」

 

 

 バキィイィィン!!

 

 

 うぉおおぉい!!? こっちも見つかったぁ!? やべぇどうすんだよ状況が悪化一辺倒だぞ!?

 

 

「チィッ……!!」

 

 

 轟!? まあ、応戦しなきゃ負けるからしゃあねぇけど氷で直接攻撃すんのは愚策……うおぉ!? さっきとは比じゃねぇ勢いで凍ってんぞ!? まだこんな余力残してたのかよ……ってこっちまで凍ってきてるぅ!? あっぶねぇなオイ!!

 

 

「なっ……!? 悪ィ、やり過ぎた……」

 

「お、おう。へーきだから気にすんな」

 

 

 え、なんですげぇ驚いた顔でこっち見てんの? 避けるのが意外だったから? イヤイヤイヤそんな唐突な裏切りは流石にねぇだろ! つーことは氷の威力に驚いたのか? 個性をあんだけ使いこなしてるコイツが? それこそありえねぇと思うんだが……ってそんなこと考えてる場合じゃねぇ!

 

 

「おい轟! 視線を切ったなら引くぞ! とにかく今は策を考えねぇと……おいどうした?」

 

 

 振り向けば見たこともねぇような表情をした轟が立っていた。驚いている……いや動揺してんのか? 何を見たらそんな表情になるってんだ。

 

 

 

 

「くっ……やるじゃないか。有精卵共ォ……!!」

 

 

 

 

 凍ってるぅ!? オールマイトの腕がァ!!?

 

 

 ナンバーワンヒーローを捉えたってのか!? 本気出した轟強すぎんだろ!!? いやでも、それならなおさら好都合だぜ! これなら安全に体勢を立て直せる!そうすりゃ、まだ勝ち目は……。

 

 

「瀬呂、動けるか?」

 

「あぁ、大丈夫だ。早く壁を作って隠れようぜ」

 

「いや――」

 

 

 

 

 

 

「俺たちで、オールマイトを倒すぞ」

 

 

 

 

 

 

 ……は? なに言ってんだコイツ?

 

 え、ちょっと待て、倒す? 何を? オイ……オイオイオイ冗談だろォ!!? オールマイトを倒すって言ったのか!? 流石に無理があるだろ!? 何を! どうしたら!! その結論に至ったァ!!?

 

 

「核を見つけるにも、娃吹が捕まっちまった。かと言って、ここで二手に別れるのも良策とも思えねぇ。なら――」

 

「待て待て待て!! 言わんとする事は分かるが、無茶過ぎんだろ!! 相手はオールマイトだぞ!? ヒーローひよっこどころか、まだ卵の俺たちに勝てる道理はねぇだろ!!?」

 

「いや……原因は分からねぇけど、俺の冷気の出力が上がってる。現にオールマイトを凍らせて、危うくお前も凍らせかけた。調整をミスったような感覚はなかったはずなんだが……」

 

「は、はぁ? どういうことだよ?」

 

 

 仮にそうだとしても危険すぎるだろ。オールマイト相手に攻めるなんて。いやでも、腕を凍らせのは事実であって、可能性はあるかもしれねぇけどさ……いやでも……。

 

 

「それに――」

 

 

 

 

 

 

 

「いずれ越えなきゃなんねぇ壁だ……尻込みしてる暇はねぇ……!」

 

 

 

 

 

 

 

「…………だぁーーーーッッ!! 分かったよ!! やってやるよ!!!」

 

 

 なんで唐突に熱いキャラになってんだよ!! 訳が分かんねぇ!! 分かんねぇけど……分かっちまう部分もあるのが悔しいよチキショー!! くっそ今日ほど男に生まれてきた事を後悔したことはないぜまったく……!!

 

 

「俺は隙をみてテープで確保を狙う! 前線は任せたぞ轟ィ!!」

 

「……あぁ」

 

 

 

 授業前まではこんな事になるなんて予想すらしてなかった。正直、今も現実感が薄くて実感しきれてない部分が多い。けれど……けれども――

 

 

 

 この瞬間、俺たちが最強(オールマイト)に挑む覚悟を決めたことだけは、否定しようのない現実だった。

 

 

 




体育祭のやり取りが早まったのは書いてから気づいた。

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