優しい嘘つきのIS奮闘記 《完結》   作:乙女座

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遅くなって申し訳ない。

今回は少しバーニィがバーニィじゃないかも。
ごめんなさい。
では本編です。


ジーク・ジオン

『我々は一人の英雄を失った。』

 

俺が初めてその言葉を聞いたのはジオン公国の兵士養成学校でだった。

 

当時、講堂にいきなり召集を掛けられた俺は何が起こるのかわからなかった。

 

静まり返る講堂で流される映像。音声。それを見ていた俺たち訓練生みんな異常だったんだ。

 

『しかし、これは敗北を意味するのか!否!始まりなのだ。』

 

ギレン総帥による演説。

ザビ家のガルマ・ザビの国葬。サイド3及び各コロニー。そして地球にも放送されたものである。

 

『地球連邦に比べジオンの国力は30分の1以下である。にも関わらず今日まで戦い抜いてこられたのはなぜか?

諸君!我々の戦争目的が正しかったからだ!』

 

正しい戦争目的。そんなものあるはずがなかった。

殺すやつがいて殺されるやつがいる。それが戦争ってもんだった。だけど当時の俺はわかっていなかった。

 

『一握りのエリートが宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して54年。宇宙に住む我々の自由の要求を何度連邦に踏みにじられてきたことか思い起こすがいい!』

 

悪いのは連邦軍。本当に当時はそう思っていた。アースノイドは地球の重力に縛られた哀れな奴等。そう教えられてきた。

 

『ジオン公国が掲げる人類一人一人のための自由のために戦っている我々を神が見捨てる訳がない!

私の弟!諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ!何故だ!』

 

死んだのはガルマ・ザビだけじゃない。

沢山の兵士が死んだ。

卒業後俺も兵士になった。そして死んだんだ。

 

『戦いはやや落ち着いた。諸君らはこの戦争を対岸の火と見過ごしてるのではないか?それは罪深い過ちである!』

 

………違う。誰もが生きることに必死だったんだ。

戦ったのは何かを守りたかったから。

 

『地球連邦は清雅唯一の地球を汚して生き残ろうとしている。我々はその愚かしさを地球連邦のエリートどもに教えねばならんのだ!』

 

違う…皆同じ人間なんだ!今なら分かるアースノイドもスペースノイドも!

 

『ガルマは、諸君らの甘い考えを目覚めさせるために……死んだ!戦いはこれからである。我々の軍備は、ますます整いつつある。地球連邦軍とて、このままではあるまい。諸君の父も兄も、連邦の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ!この悲しみも怒りも忘れてはならない。それをガルマは死をもって我々に示してくれたのだ。』

 

聞きたくない!

 

『我々は今!この怒りを結集し連邦軍に叩きつけて、初めて真の勝利を得ることができる!』

 

………やめろ。

 

『この勝利こそ、戦死者全てへの慰めとなる!』

 

違う。戦死者は………隊長達はそんなの望んでない!

 

『国民よ!立て!悲しみを怒りに変えて!立てよ国民!』

 

やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ!

 

『ジオンは諸君らの力を欲している!』

 

やめろおおぉぉおぉおおおお!

 

『ジーク!ジオン!!』

 

『『『ジイィイイク!ジオオオオオオン』』』

 

だぁぁまれぇえええ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!何だよあれ…」

 

バーニィの纏っているプレッシャーが変わった。止めようと近づいた俺は止まってしまった。いや………近づけなかった。鈴もバーニィのプレッシャーに圧されて止まっていた。

 

 

「ハハ……ハハハハハハハハ!!!」

 

ば、バーニィ??いや違う!こんな戦い方はバーニィじゃない!

 

「くらえ!」

 

バーニィはグレネードの束を展開し敵ISに投げつける。

瞬間、バーニィはハンドガンを展開しグレネードの一つを撃ち抜き誘爆させる。とてつもない爆発が起きた。どう考えても普通のグレネードの爆発ではないのは見てとれた。おそらくバーニィの手作りの手榴弾だろう。

爆発により敵ISは吹き飛ばされ地面を転がっていく。両手はもげてもはや抵抗できない状態となっている。

バーニィは斧の武器を展開してゆっくりと黒いISに近づいていく。その様子を黙って見るしかできなかった俺と鈴の横を蒼い綺麗なのが横切った。

 

 

 

バーニィは黒いISの側で止まる。機能は殆ど停止したガンダムに似たIS。まるで何かに取り憑かれたかのようにバーニィは笑う。そしてゆっくりとヒートホークを振り上げるそして降り下ろそうとした。

 

 

 

だが、彼のヒートホークは振り下ろされることはなかった。

 

「バーナードさん!もうやめてください!」

 

何故ならブルー・ティアーズを纏ったセシリアがバーニィを後ろから抱き締める形で止めていたからである。

 

「もう相手も戦える状態ではありません!所属不明のISは無力化しました!お願いします!やめてください!もうそんな目をした貴方を………見たくありません。」

 

必死にバーニィに訴える。返事をしないバーニィ。

それでも彼女は訴え続ける。

 

「貴方はそんな戦い方をする人じゃないです!ISを雑に扱ったりしません!」

 

涙を流しながら訴える。

 

「貴方はいつも弱気で、少し不器用で、嘘が下手なひとですわ。でも………優しくて、他人のためならなんでもして、困ったときにはいつも側にいてくれる人です。」

 

セシリアは彼と過ごした時間は少ししかない。けれどそその中でセシリアはバーナード・ワイズマンと言う人間をしっかりと見てきた。共に生活してきたなかで彼を隣で見てきたからだ。セシリアにとって彼はかけがえのない友人の一人であり、自分を救ってくれた恩人。

そして彼の存在が自分の中で大きくなっているのもわかっていた。

そんな彼がいつもとは違い見たことない目つきをして、恐れた。怖かった。

 

でも止めたかったのだ。

 

優しいバーナード・ワイズマンであってほしかったから。

これは自分のエゴを彼に押し付けているのかもしれない。でも、セシリアはこれ以上殺意、憎しみを目に含んだ彼を見たくなかった。

 

そんな彼女の声が届いたのかバーニィはヒートホークを手放す。

そしてISが解除された。倒れそうになったバーニィをセシリアは優しく受け取め支える。

 

「バーナードさん?」

 

不安になったセシリアが声をかける。

 

「うぅ………。」

 

「よ……よかった…ですわ……」

 

気絶しているだけだとわかりセシリアはISを解除しバーニィを優しく抱き締めていた。

 

こうして、多くの謎を残したままクラス代表戦は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園地下室。

そこは一般の生徒及び特別な教員以外の立ち入りを禁止している場所。そこに千冬は居た。

 

 

「山田先生どうだ?」

 

「織斑くんが破壊した方のISはコアが破壊されわかりませんが、ワイズマンくんの大破させた方はなんとかなりました。やっぱり登録されていない物でした。」

 

山田麻耶の返答を聞き千冬は溜め息をつく。

 

「山田先生…………ジーク・ジオンと言う単語を聞いたことがありますか?」

 

もうひとつの疑問。侵入してきた所属不明のISはもちろんだが、バーニィの豹変。そしてバーニィの発していた言葉。

千冬はそれがバーニィの抱えている問題ではないのかと思ったのだ。

 

「いえ………そのような単語は聞いたことありません。」

 

「そうですか………一応、ジーク、『sieg』と言うのはドイツ語で勝利をと言う意味になる。しかし、どの言語を調べてもジオンと言う単語は出てこなかった。」

 

「バーナードくんのつくった言葉じゃないでしょうか?」

 

「わからん。ただの造語かもしれんがどうもひっかかる。このISと関係しているかもしれん。」

 

千冬は黒いISを見た。

 

「まだ、なにもわからないが…………」

 

 

 

 

 

 

『もしもし?あぁ、お前か。久し振りじゃないか。元気にしてたか?お前が軍隊を辞めると聞いたときは驚いたよ。そう言えば彼女は元気か?…………亡くなっただと?

…………そうか。あの子はどうなった?……お前が引き取ったのか。母親が亡くなってしまうとはそ気の毒だ。……

後悔しているのか?自分の選択に…………そうか…していないんだな。ならいいんだ。それで?何の用で電話してきたんだ?こういうことは言いたくないんだが確かイグニッションプランが危ないらしいじゃないか?………なに?お前それは本当か?………バカ野郎!親が子供にする行為じゃないだろ!そんな道具みたいに扱って!何?あの子を助けてほしい?……………わかった。できる限りのことはしてみよう。その子の部屋割りをバーニィと一緒にすればいいんだな?IS学園の理事長に話を通してみよう。………任せておけ。お前は目の前のことをすればいい。後はこちらで何とかしておこう。………ひとつ聞きたい。娘から何を思われてもいいのか?…………そうか。お前はいつもそうだな。自分から憎まれ役を演じて………わかった。もうやめておこう。ではまた何かあれば連絡する。それでは。

 

 

 

アンドレ・デュノア』




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ジーク・ジオン!
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