優しい嘘つきのIS奮闘記 《完結》   作:乙女座

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今日はなんの日か………

今回は本編よりも少し先のもしかしたらあるかもしれない未来のお話

ではどうぞ


12月25日 if…

12月25日。

 

全世界が特別な日であり、暖かに包まれるこの日。

町はイルミネーションに彩られ、様々な人が行き交う。恋人と愛を深める人、家にいる子供と妻のもとへ帰るもの、友達と楽しい思い出を作ろうとするもの、そんな人たちを見ながら大きなクリスマスツリーの前で人を待つバーニィの姿があった。

 

「はぁ~………寒いな。」

 

時刻は午後5時、空は夜から雪が降ってくると言われており曇り空が広がり辺りはもう暗くなっている。

 

「クリスマス…か……」

 

クリスマス。彼にとってはこの日ほど胸を締め付けられ苦しく、悲しい思いをする日はない。

 

「…なぁ、アル。俺は………俺はあの日こんな幸せな一時を一瞬にして消してしまったんだよな……俺に二度目の人生なんて……そんな資格があるのか?」

 

1年戦争で、多くの人を殺してしまった。大人も、子供も、老人も………そんな自分がのうのうと生きていていいのか?暖かい両親、地元の悪友、IS学園でできた新しい友達。こんなに暖かく、優しい居場所に手を血で汚してきた自分がいていいのか。この手で連邦の軍人を殺してしまったこと。罪のない民間人の亡骸、どれだけ言い訳をしても、戦争だから仕方がないと言ってもこの罪は消すことはできない。もしかすると神が己に与えた罰なのだろうか……

 

 

「……………………。」

 

考えれば考えるほど自分を許せなくなる。

 

「バーナードさーん!」

 

「バーニィ!」

 

ふと思考の海から意識を戻すと小走りでこちらに走ってくるセシリアとシャルロットが居た。

 

「すいません!寒い中お待たせしてしまって!」

 

「ごめんね?待たせちゃって……僕たちが誘っといて」

 

肩で息をしながら謝罪してくるセシリアとシャルロット。

 

「……いいよ、俺もさっき着いたところだからさ。」

 

二人に微笑みながら返答をするバーニィ。

そのあと二人の服装をよく見ると二人ともいつもとは違い気合いの入った服装をしているのが見てわかる。

 

「二人とも…服、よく似合ってるよ……」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「あ、ありがと…。じゃあ!ここじゃあれだし行こう!」

 

シャルロットに促され先を歩く二人の後ろをゆっくりと付いていくバーニィだった。

 

 

 

何かがおかしいですわ。ここ数日はいつものバーナードさんの様子じゃありません。時々こう……なんと言いますか…かなしい雰囲気と言うのでしょうか。いつもはそれもすぐに治るんですけど今回は……いや、今日は特別……なんと言うのでしょうか……何処かへ消えてしまいそうな、何処かへ帰ってしまいそうな…………。

 

「バーナードさん。」

 

彼とシャルロットさんに聞こえないようにそう呟く。何が貴方をそこまで追い詰めているのですか?わたくしは助けになれないのでしょうか?わたくしは貴方のためならなんだってします。あの日、救われた。そして貴方を隣で見てきましたわ。今ならはっきり言えます。わたくしは貴方を愛してる。心の底からあなたを愛してますわ。だから………だからわたくしをもっと頼ってください。わたくしに助けを求めてください。世界に敵と言われてもわたくしは貴方の味方になりますから。

 

 

バーニィ……どうしたの?凄く悲しそうで、辛そうだよ。バーニィと同室の時にバーニィは何度かうなされてたよね。ねぇ、僕じゃあダメなのかな。バーニィのおかげでここまでこれたの。真っ暗だった僕の未来を、バーニィのおかげで光が見えたんだ。だから、今度は僕がバーニィを助けたいよ。だって、あの日から僕はあなたしか見えてない。好きで好きでたまらない。だからもし、耐えられなくなっちゃったらいつでも頼ってね。僕は君の味方だから。

 

 

 

『何故だ!何故ララァを巻き込んだ!彼女は戦う人ではなかった!』

 

『チィ!』

 

『その力もララァが与えてくれたものかな。』

 

『貴様がララァを巻き込んだ!』

 

『もうすぐ僕もララァのもとにいける……』

 

『3年………我々は3年待ったのだ!散っていった多くの英霊達が無駄死にでなかったことを証明するために!ジオン再興のために!ソロモンよ!私は帰ってきた!』

 

『ガトォオオオオオオオオ!!!』

 

『行け!ガトー!私を宇宙の晒し者にするつもりか!』

 

『貴様!たくさん……沢山人が死んだんだぞ!』

 

『お前もその仲間に入れてやるってんだよ!』

 

『遊びでやってるんじゃないんだよ!命は…命は力なんだ。命はこの宇宙を支えているものなんだ。それが、こうも簡単に失っていくのはそれは、それはとても悲しいことなんだ!何が楽しくて戦争なんかするんだよ!貴様のようなやつはクズだ!生きてちゃいけない人間なんだ!』

 

『貴様には分かるまい!俺の体を通してでるみんなの力が!』

 

『動けジ・Oなぜ動かん!』

 

『ここからいなくなれぇ!』

 

『彗星かな?違うか…だって彗星はこうバァーって感じだもんな!』

 

『何者だ!ジオンか!アクシズか!』

 

『そんなつまらないものではない…………我々は青の部隊。』

 

『我々は6年まったのだ! 』

 

『ハマーン様!ばんざああああい!』

 

『強い子に会えて…………』

 

『それじゃあ死んでいった連中はどうなる!えぇ?!ブライトさん!いっぱい死んだんだよ!いっぱい…』

 

『たかが石ころ一つガンダムで押し返してやる!』

 

『無駄だ!アクシズの落下は始まっている!』

 

『νガンダムは伊達じゃない!』

 

『やめろ!こんなことに付き合う必要はない!』

 

『地球がダメになるかならないかの瀬戸際なんだ。やってみる価値はありますぜ!』

 

『摩擦熱とオーバーロードで爆走している機体だってある!』

 

『νガンダムは!!!!!』

 

『まやかすな!』

 

『それは………それはセシリーの花なんだ!』

 

『この瞬間を待っていたんだ!』

 

『純粋に戦いを楽しむものこそ!』

 

『人が安心して眠るためには!』

 

 

 

 

昨日見た夢。あれは間違いない。俺の死んだ後の世界だ。結局………変わることができなかったんだ。変えることができなかったんだ。人は争い続け、血を流し、地球を汚染し、罪のない人たちが死んでいく。何のために…………世界が!コロニーが!家族が幸せになる。好きな人たちと共に過ごせる世界のために戦って死んでいった人たちは……隊長は……なんのために死んだんだよ!なんで……

 

手に激痛を感じ見てみると握りすぎて血が流れていた。

 

「バーナードさん!?」

 

「バーニィ?!」

 

駆け寄ってくる二人。

駄目だ!俺は………こんなにも優しい場所にはいてはいけないんだ!

 

「駄目だ!こないでくれ!俺は優しくされる権利なんかない!そうだ。俺は………俺は人殺しなんだ。今まで逃げてきたがここに来てようやくわかった。人殺しだったんだ!愛されることも!優しくされることも!友達を作ることも許されない……皆が思っている頼れる人じゃないんだ。ザクでコロニーのために戦ったのも自身の自己満足のためだったんだ!いい人になりたかったからだ!そうだとも!あぁ、そうだ!戦争だったからと言い訳してたよ!」

 

もう自分でも何をいっているか分からない。ただ今まで貯めたものがあふれでる。喚く俺を二人は黙って聞いている。

 

「もう……嫌なんだ。毎晩毎晩……頭の中に響くんだ。あの日死んだ人たちの声が!俺が殺した連邦の兵士の断末魔が!泣き叫ぶ子供の声が!なのに………自分を知る人がいないこの世界に甘えていたんだ!誰も責めないこの世界ほど残酷なものはないんだよ。誰か責めてくれ……もう不安と罪悪感で押し潰されそうなんだよ!もういっそのこと楽にしてくれた方が!「バーナードさん!」…………ッツ!」

 

バシンッ!

 

思いっきりセシリアにビンタされた。思考が追い付かず呆然とする俺にセシリアはゆっくりと口を開いた。

 

「やっと………やっと話してくれましたね。……この時をどれ程待ち望んだと思いますか?一人で抱え込んでいる貴方を見るのがどれ程辛いか………あなたの抱えている問題はわたくしではまったくわかりません。でも、それでも死にたいだなんていわないでください!」

 

セシリアは優しく語りかけてくる。なんで……俺なんかに

 

「バーニィ…………どんなことがあったか僕たちにはわからない。全然わからないよ……バーニィは自分がやったことを後悔しているならそれでもいい。でもね、自分から死にたいなんて言わないで………もう大切な人が死ぬのはいやなんだ…………」

 

シャル………

 

俺は…………俺は………。

 

頬に冷たさを感じ空を見上げる。空からは雪が降っていた。

 

 

ーーーーねぇ、バーニィーーーー

 

「!!」

 

「バーナードさん?」

 

「バーニィ?」

 

こ、これは……この声は……

 

ーーーーバーニィよりも年上になっちゃったよーーーー

 

アルの声……………

 

ーーーーこの頃になると思い出すーーーー

 

俺は………救うことができたのか……

 

ーーーー初めてザクを見た日のことーーーー

 

アル……

 

ーーーー止められなかったあの戦いのことーーーー

 

よかった………本当によかった……

 

ーーーーありがとうバーニィーーーー

 

こちらこそありがとう。

 

お前がいたから俺は『人間』でいられた。

 

偽善者と言われるかもしれないがコロニーを、そしてお前を助けたいと思えた。

 

ーーーー大好きだよ………僕を…僕たちを救ってくれたたった一人のーーーー

 

ーーーー僕の英雄ーーーー

 

 

 

 

 

「今のは………男性の声?」

 

「うん。とっても優しそうな男の人の声だった。」

 

二人にも確かに聞こえたアルの声。どうして聞こえたのかはわからない。

 

バーニィは1人静かに涙を流しながら目を閉じる。

自分が犯した罪は消えない。だけど確かに救うことができた。嘘をつき続けてきた自分がようやく一人の少年を救うことができた。自分の死が何かに影響できたのかは分からない。だが、彼の未来は守ることができたのだ。それだけで充分だった。

 

「ありがとう…アル。俺の大切な………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「親友」

 

クリスマスの日に起きた不思議な出来事。

 

それはこの世界で自身を責め続けてきた彼に対する神様からのささやかなクリスマスプレゼントなのかもしれない。




昨日ポケットの中の戦争を見て号泣したあと
世界仰天の病気の男の子の話を見て号泣
某笑顔の動画でポケ戦の『ひかり』っていう歌のMAD見て号泣して……………
どんだけ泣くねんって話だね。


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