Ζ見てたときはガブスレイが好きで何とも思わなかったのに。
泣きつかれてしまったのかバーニィのベッドの上で穏やかに寝息をたてるシャルロット。
バーニィは優しく頭を撫でながら考える。
偉そうに助けると言ったのはいいものの、打開策がない上に状況は絶望的だ。性別を偽って入学した。しかも国家機関であるIS学園に。
回転の遅い頭をフル稼働させ考える。
(どうにか助けてやらないと。でもどうすればいい?)
ひとまずシャルロットのことを黙っておくこと。
今はこれしかない。それにIS学園の特筆事項で他の企業や国家機関は手は出せないはず。デュノア社が手荒な真似をすることはない。それに一度は入学させたからにはIS学園にも非がある。
(でも………どう見ても女の子なのに……それにデュノアの父親の意図がかわらない)
バーニィは彼女から聞いたデュノア社長の考えの意図がわからなかった。入学することだけを言われた。他のことは追って連絡すると言われたが全く連絡してこない。
どうにもおかしいのだ。
どうして男として入学させたのか。
「今はとりあえず彼女が安心できるようにしてやらないとな……」
ベッドの上で眠る少女を守る。そう決心しバーニィはアルを連れて散歩に出ることにした。
◇
「さて、どうしたものか」
いつもの中庭のベンチに座りコーヒーを飲みながら考える。ちなみにアルは蝶々を追いかけ回している。
「うーん…………「バーナードさん?」」
声の方に視線を向けるとセシリアが居た。
「あぁ、おはようセシリア。どうしたんだ?こんな朝早くに。」
「少し早く目が覚めてしまいまして少し散歩をしようかと。あら、アル。おはようございます。」
セシリアの足元に駆け寄るアルをセシリアは持ち上げる。
「何か悩んでいるように見えましたが…」
「あ、あぁ。今日の朝ごはん何にしようかなって…」
「嘘ですわね。」
どうしてすぐにバレるんだろうと考えながら言い訳を考える。
「わたくしでよければ手助けいたします。それともわたくしでは力になれないですか?」
「ぐっ」
悲しそうに俯くセシリア。罪悪感が込み上げるバーニィ。そしてセシリアならと考えバーニィはセシリアにことの次第を打ち明けるため部屋につれていくことにした。
◇
『デュノア?起きてるか?』
その声で僕は目を覚ました。時間を見るともう7時になっていた。そしてあることに気づく。
僕………バーニィの布団で寝ちゃってたんだ……
顔が熱くなるのが自分でもわかる。それに加えバーニィに泣きついたり、怒鳴ったり、頭を撫でてもらったり抱き締めてもらったりしたことを思い出す。
『デュノア?』
「ふぇ?ダ、ダイジョーブダヨ!」
声が裏返ってしまう。うぅ~恥ずかしい。
がちゃりとドアが開く音が聞こえバーニィが入ってくる。そるに続いてアルを抱き抱えたセシリアも入ってきた。
「おはようございます。シャルルさん。」
「お、おはよう………」
セシリアさんを連れてくるなんてどうゆうことなんだろう。
「なぁ、デュノア……セシリアなら大丈夫だ。」
「え?」
「さっき言っただろ。一歩踏み出せばいい。」
そう……だよね…改めてセシリアさんを見ると真剣な表情で僕を見ていた。
怖い
もしかしたら嫌われるかも
軽蔑されるかも
打ち明けられない。
だめだ……また涙が出てきた。
うつむき震える手を見ていた僕を暖かい温もりが包み込んでくれた。
「大丈夫ですわ。」
セシリアが隣に座り抱き締めてくれていた。
まるでお母さんみたいな優しいぬくもり。思い出すのは死ぬ間際のお母さんの声だった。
◇
『シャルロット………ごめんねあなたを一人にさせてしまうのね…………』
ただ泣くことしかできない僕の頭を優しく撫でるお母さん。
『でもね………これだけは覚えていてちょうだい……きっとこの先辛いことや悲しいことがあるかもしれない。でもきっと誰かがあなたを導いてくれるわ……』
そう言ったお母さんの顔はとても優しかった。
◇
大丈夫。今なら打ち明けられる。
「セ、セシリア……」
「なんですの?」
「ぼくね………実は女の子なの…」
「………そうなんですか。」
「皆を騙してここに入学したんだ。」
「えぇ…」
「一緒に暮らしてたお母さんが死んじゃって……お父さんに拾われて……実は愛人の子供だと聞かされて」
「うん。」
「それからテストパイロットに選ばれて………お父さんにここに男として入学しろって…」
「…」
「逃げてたんだ……ずっと……でもここで過ごしていくうちに……みんなと仲良くするうちに……怖くなって……辛くなって……」
ダメだ涙が止まらない。止まって!
「バーニィにバレた時………安心したんだ……これで皆を騙さなくてすむって……でもここにいたいって思う僕がいて……」
……」
「そうですの……」
「ねぇ………僕はここに残りたい。皆と一緒にいたいよ!もう一人は嫌!」
セシリアの抱き締める力が少し強くなる。
「ねぇ………僕はここにいていいかな」
拒絶されるかもしれない。でもされても仕方のないことをしたんだ。ここで拒絶され学園から去ることになっても……自分の言葉で真実を伝えられたから後悔はしない。
「デュノアさん………」
セシリアが僕の顔を見る。
「よく………頑張りましたわね。」
そういわれた瞬間……また僕の中で何かが壊れ、涙が溢れ出す。
「怖かったでしょうに…辛かったでしょう。大切な人が居なくなり一人になる孤独ほど恐ろしいものはありません。」
セシリアも泣き出す。
「僕を怒らないの?」
「そんなことできるはずないでしょう!貴方はわたくしの大切な友人!その友人が困っているんです!助けを求めているんです。ここで貴方を見捨てるのは誇り高きオルコット家に泥を塗ることになります!デュノアさん!オルコット家が全力であなたを助けます!」
あぁ、バーニィの言ったとおりだった。
僕は一歩踏み出せなかった。
やっと踏み出せた。
暗闇の中に光が差している。
きっと僕を導いてくれるひかりなんだ………。
◇
「さて、どうやってデュノアをデュノア社から助け出すか。」
二人が抱き合って泣いて30分。
泣き止み本題に入ることができた。
「もちろんデュノア社を叩き潰してやりますわ!」
セシリアが鼻息を荒くしながら言う。
「いや、ダメだろ。イギリス政府とフランス政府が黙っちゃいないし。」
助けるなんて言ったが考えてみると代表として入ってきたと言うことはフランス政府も関係してくる。一学生の俺たちが何をいってもどうにもならない。
「………」
デュノアが俯く。
どうにかしてやりたい。何とか助けてやりたい。
「そう言えばデュノアのお父さんって何て名前なんだ?」
「えっとアンドレ・デュノア。」
「え?アンドレ?」
アンドレ…………
『君がバーナードくんだね?ワイズマン大尉には話を聞いているよ。なかなかいい目をしてるじゃないか。若いのに何かを体験した目だね。よかったら私の話し相手になってくれないか?』
昔に会ったことがある同名の人物が頭に浮かぶ。
関係ないよな。
ガンプラに変なポーズをさせて放置していたら、いつの間にかジョジョ立ちしていた。
調べたらおかんがしていたらしい。