理想 ガンダム
現実 ジ・O
「もしもし?」
『………私だ』
電話の向こうからあの人の声が聞こえてきた。
自分でもわかるぐらいに体が震えているのがわかる。
でも、逃げないって決めたんだ。一歩踏み出すって……バーニィとセシリアに背中を押してもらったんだ。
「ねぇ、どうして………僕を養子に出したの?」
『…………それは………お前が私のもとにいても役に立たないからだ』
ズキンと胸が痛む。わかっていた。こう言われるのを……でも……ナオミさんを見ると真剣な表情でうなずく。
「嘘………言わないで」
『嘘ではない。だからお前をワイズマンさんのお宅に養子に出した。考えてみろ?養子を受け入れてくれれば世界で数少ないIS操縦者の男性に近づけるだろ?まさかまんまと罠にかかって…』
「嘘を言わないで!」
怒鳴ってしまった。電話の向こうで驚いているあの人の顔がわかる。でも、言ってやるんだ。今まで疑問に思っていたことや伝えたかったことも!
「ねぇ、お母さんが死ぬ前に僕に渡してくれたものがあったの、何かわかる?」
そう死ぬ前にお母さんから渡されたもの。
『……………』
「お母さんがいつも肌身離さず着けていたネックレス。綺麗な青色の宝石が付いたネックレス。これを渡したのあなたでしょ?」
そう、お母さんがぼくにくれたネックレスについていた宝石。この宝石はパパラチアサファイアと言うらしい。
『それがどうした?』
少し声が変わっているのがわかる。
動揺してるんだ。
「この宝石の意味って『一途な恋。あなたを守る』だよね?これをお母さんに渡したのは貴方ですよね?」
『……それがどうしたというのだ?私が渡したと言う証拠が』
「あなたがずっとつけていた腕輪についてる宝石もそうですよね…」
『……………だからなんだと』
初めてあったときから気になっていた。自分の母親と同じ宝石を付けた腕輪をしていたことに。それに……
「その腕輪をすごくいとおしそうに見ていたこともあった……本当は好きだったんだよね!愛してたんだよねお母さんのこと!」
「…………ッ!」
「僕のことは愛してなくてもいいの!お母さんのことは愛してるって言ってよ!貴方にわかる?毎晩毎晩お母さんがあのネックレスを大切そうに見ていたのを!物心ついたときに……誰からもらったのと聞いたときお母さんは『世界で一番私を愛してくれて、私があなたと同じように愛した人から貰ったもの』って………何で見捨てたの……どうして最後まで愛してあげれなかったの!!」
あぁ……涙がまた出てきた。電話の向こうからは全く声が聞こえてこない……こんな人だったの?お母さんを愛してくれてなかったの?
『………初めて映画を観に行った日だった』
「え?」
『映画館の近くに………出店が並んでいた。そこに映画を見終わった私とリュシルは一緒に見て回った』
お母さんとの昔話?
『品物を見ている彼女があるものを見つけた。それがパパラチアサファイアのネックレスと腕輪だった』
ぽつりぽつりと昔の二人のことを話す。
『彼女はそれを欲しいとは言わなかった。言えなかったんだろう。だから私は内緒でネックレスを買って彼女に渡した』
初めて楽しそうに話している声を聞いた。こんなに優しそうな声ができるんだ……
『その時の彼女は……とても幸せそうだった。ずっと大切にする。絶対に手離すことはしないと言ってくれた。その後日に彼女から一緒に売っていたブレスレットを私にプレゼントしてくれた。2つで1つだから貴方にもプレゼントだと………これでニブンノイチから1つになったね!って………あぁ、愛していたさ。二人ならなんだってできると思っていた!無愛想な私の手を握ってくれた!世界で誰よりも彼女を愛していた!だが………守れなかったんだ』
向こうで涙声になっているのがわかる。
『彼女が死んだと聞いたとき……私も後を追いたかった。だが、お前がいると聞いて私はどうすればいいかわからなくなった。リュシルを守れなかった私がお前を守ってやれるのかと……会わせる顔があるのかと……でもお前を見捨てることなんかできなかった!』
はっきりと………言ってくれた………
『世界で一番愛した人との間に産まれた子を見捨てることなんてできなかった!まだ彼女が私の目の前から消える前から……お腹に身籠ったことを知ったときから……お前の名前を二人で考えていたときから……』
あぁ…よかった僕はこんなにも
『二人でお前を愛し、育てたいと………世界で一番の宝物だと』
愛されていたんだ。
◇
そのあとお母さんの話や、どういう事情かを話してもらった。本当に………不器用なんだから……助けてって言えないのは僕も同じなんだけどね。変なところ似てるなぁ。
『お前には幸せになってほしい。だからワイズマンさんのところにいきなさい』
優しい声でそう言ってくれた。今まで僕のためにここまでしてくれて…一人で戦い続けて……とっても嬉しい。でもね
「その話は断るよ……」
『何を……』
「だってそうしたら『お父さん』が一人になっちゃうから………それにこのネックレスとお父さんのブレスレットは2つで1つなんだから……
私はお父さんと家族のままでいたい。だから私はお父さんが出てくるまで待ってる!」
『っ!』
「だから……早く出てきてね?出てきたあとはうんと甘えるから!」
『ありがとう………ありがとう………』
◇
話が終わり電話が切られる。
シャルロットはナオミにことの次第を説明する。
「お父さんとお話の機会を作ってもらいありがとうございました!」
「ふふっ…いい笑顔じゃない。さて、じゃあもう一度聞くわね。私たちのところに来るかしら?」
「私はお父さんを待ちます!だから養子にはなりません!ごめんなさい!」
そう言って頭を下げるシャルロット。それを微笑ましそうにナオミは見ていた。
「わかったわ。あの人にはそう言っておくわね。これからも頑張ってねシャルロットちゃん。バーニィをよろしくね?」
「はい!………って、うええ?!」
悪戯が成功した顔をするナオミと顔を赤くするシャルロットだった。
◇
「そうそう。バーニィにお客さんよ。入ってらっしゃい」
「え?俺に?」
いきなり話を振られて困るバーニィ。そんな彼に扉が開いたとたん飛びかかってきた黒い影。
「お兄ちゃん!」
「エ、エリナじゃないか!」
アメリカのお隣に住んでいたウォーカーさんの娘さんのエリナだった。
地面滑走しながら移動したい。
肩は赤く塗りません
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