「箒!相手はいくつもの策を練っている!気を付けるんだ!」
ラウラは箒に忠告する。ラウラから見てバーニィの戦い方は正規の訓練を受けた軍人そのもの。そして代表候補生の訓練機を撃破するほどのゲリラ戦術。どれを見ても脅威的なものだった。
「ラウラ……悪いけど手を抜けないんだ。僕と付き合ってもらうよ!」
シャルロットがラウラの前に躍り出ていた。
「ふふ…ならバーナードの事は箒に任せよう。私の目から逃れられるかな?」
激突する黒とオレンジ。
一方、箒とバーニィは一切手の抜いていない攻防を繰り広げていた。
「はあああああああ!」
「クッ!うおおおお!」
隙を見せないようにバーニィに斬りかかる箒。バーニィもヒートホークを展開し受け止める。しかし、はじめの攻撃を許してしまったためにスモークを出す機械がダメになってしまっていた。
「いい加減にしろバーニィ!どうして一人で抱え込んでしまうんだ!どうして頼ろうとしない!」
箒は片手にもう一つ刀を展開。バーニィに斬りかかる。
「………関係ない」
そう言ってバイザーを顔に付け手にフラッシュバンを展開、箒の視界を奪う。
「くっ!小癪な……」
「終わりだ!」
バーニィはヒートホークを箒に降り下ろす。
しかし、その刃は箒に届かなかった。
「大丈夫か!箒」
ラウラがバーニィの攻撃を受け止めていた。
「シャルロットは片付いた!後は貴様だけだ!」
ラウラはレールカノンをバーニィに撃ち込む。バーニィは吹き飛ばされアリーナの壁に激突した。
「…………バーニィ……」
箒は悲しそうにバーニィを見ていた。一緒に訓練をし、たとえどれだけの性能差があっても勝敗を分かつ絶対条件ではないことを教えてくれた友人が変わり果て、このように戦っていることが悲しかった。
「終ったのか?」
一夏はバーニィがこのまま終わるようには思えずそう口にした。周りの生徒たちはもう立ち上がらないでほしい。そう考えていた。バーニィの初期の評価は低かった。情けない、自分を卑下している。この世の中によくいる女尊男卑の風当たりを受けた人間だと思っていた。しかし、実際はよく訓練し誰よりも優しい人間だと言うのを知っていた。だからこそこのような姿は見たくなかった。周囲の考えを否定するように立ち上がるバーニィ
「まだだ……まだ終わらない!」
割れたバイザーから見えた彼の瞳は不気味に光っていた。
これを見た二人は恐怖した。今まで体験したことのないような感覚、優しい彼がそのような目をするとは思わなかった。
「もう…もうやめてくれ……」
箒は悲しそうに刀を構える。
バーニィは新たな武装を展開。チェーンにいくつもの丸い形状をした物がくっついている鞭のようなものを手に持ちそれをラウラに巻き付ける。
「なっ!なんだこれは!」
ピピピッと不穏な音がしたのに気づいたラウラは片手で己のワイヤーブレードを操り箒に巻き付け投げ飛ばし自身から遠ざけた。その直後ラウラに巻き付いていた鞭に付いていた丸い物が全て爆発した。
「ラウラ!!」
箒は着地しワイヤーブレードを切りラウラの安否を確認する。
「す、すまない箒………」
ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンは片膝を着き動かなくなった。
「やった……俺は負けないんだ……なぁ、アル……クリス…もう負けないから……頼む……許してくれ…」
そう言って空を見上げ許しを乞うバーニィ。クリスとアルと言う単語を聞いたシャルロットはうなされている時に彼が言っていたことを思い出す。だいたい察しがついた。おそらく彼は二人を守れなかった……あるいは………。
「バーニィ!」
無意識に叫んでいた。このままでは彼の心が壊れてしまう…シャルロットはそう思ってしまう。
「最後は…箒さん」
バーニィはヒートホークを構える。
「………もういい。言葉では届かないなら」
箒も武器を構える。
「参る!」
◇
観客が見守る中、二機の訓練機がぶつかり合う。
バーニィのラファール改もボロボロになり 、箒の打鉄もボロボロである。互いに最後の一撃を繰り出すために武器を構える。
「うおおおおおおおおおおおお!」
「はああああああああああああ!」
緑と銀が衝突する。
互いの目の前にはシールドエネルギーが0になった表示が出ていた。
「ぐっ!」
目の前で箒が苦痛に顔を歪めたのが目に入った。
この瞬間バーニィはどうして戦っているのかという疑問が浮かんでいた。何のために?どうして?ここには敵になる脅威もない。戦争も起こっていない。ただの試合だ。今目の前で苦しんでいるのは友達だ。自分と共に訓練をし、共に成長した仲間の一人だ。なのにその友人を苦しめている。自分が望んだ力。みんなを守れる力。さっきまで自分が行使しているのは………ただの暴力。戦争で行ってきたものだった。
自分が求めた力はこんなものじゃない。
そっと頬に手が添えられた。
その手は箒だった。
「バーニィ……」
箒は微笑みながらそう答える。
「私は前のお前の考えが好きだった。お前は私の考えを否定し、あるべき道を示してくれたんだ。だから私はお前がそんな姿になるのを見たくなかった。昔の私みたいだったから……」
かつて箒も荒れた時期があった。ただひたすら力を求め、剣道の試合では相手を叩き潰した。しかし、我に帰ったとき目の前には恐怖を含んだ瞳で自分を見ている相手選手がいた。
「だから助けてやりたかったがお前は誰にも相談しない……私たちは仲間じゃなかったのか?」
バーニィの瞳が揺れる。ここまで自分を心配してくれているのに……信じれなかった。その事を恥じた。
「大丈夫だ。もう何も怖くはない。周りをゆっくりと見てみろ…お前を大切に想ってくれている人は沢山いるんだ。一人じゃない。一人じゃないんだ」
箒はそう言って気を失う。気を失った彼女をバーニィは受け止めた。
『試合終了!結果はドロー。この場合は両者とも敗北と見なします!』
こうして候補生達のトーナメントは終わりを告げた。
救われるのか?バーニィは!
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