本編です
「あれが……海か……」
初めて間近で見る海に俺は圧倒されていた。どこまでも続く青い海原。照りつける太陽。全てがとても美しく、綺麗だ。スペースノイドが地球に戻りたい、地球を残したいと考えていたのがわかる。こんなにも美しいのだから。しかし、そんな地球を戦場として戦っていたジオン公国、地球連邦軍。愚かなのは人間自身なのではないかと考えさせられる。
「どうしたのバーニィ?考え事?」
思考の海に沈んでいた俺に声をかけてきたのは隣に座っていたシャルロットだった。アメジストの瞳で心配そうに見つめてくる彼女。また不安にさせてしまったな。
「大丈夫だ。少し前の世界のことを思い出していたんだ。気にしなくてもいいぞ」
そう返事をして窓の外の景色へと視線を戻す。光輝く太陽に照らされた砂浜。もう少しで旅館に着く知らせが入り浮き立つ車内。本当に平和だな。
足元では連れてきたアルが体を丸めて寝ていた。
◇
「綺麗だ…」
水着に着替えたバーニィは目前に広がる海に圧倒されていた。隣では準備体操をしている一夏。バーニィも準備体操を始めるが、後ろから彼を呼ぶ声がする。
「あの………バーナードさん」
青い水着をまとったセシリアだった。彼女の白魚の様な綺麗な素肌、そして体つきを見て少し赤くなるバーニィ。そんな彼の視線に気がついたのか少し恥ずかしそうにするセシリア。
そんな二人を周りの人間はニヤニヤしながら見ていた。
「えい!」
バーニィの後ろから抱きつく人物がいた。
「シャ、シャルロット?」
「えへへへへ」
いたずらが成功したと言わんばかりの笑顔のシャルロット。背中に当たる二つの山にバーニィの思考が停止していた。
◇
「プハァ!」
海面へと顔を出すバーニィ。はじめて泳いだとは思えないような見事な泳ぎを見せながら楽しそうに泳いでいた。
「本当に塩の味がするな………」
かつて前世の友達に聞いた海。塩の味がすると言うのを聞いて半信半疑だったが一口飲んでみるととてつもなく塩辛い。友達が嘘をいっていなかったことが証明された。
「魚がいたな!」
「タツノオトシゴも居たわよ!」
シュノーケルを着けた一夏と鈴が楽しそうに話しかけ、バーニィは今までで一番楽しいと思える時間を過ごしていた。
「よし!バーニィ!浜まで競争だ!」
「待てよ一夏!ずるいぞ!」
「おっさき~♪」
「鈴さんまで!」
◇
一方黒い可愛らしい水着を着たラウラは連れてきたアルと砂浜でナニカを作っていた。
「出来たぞアル!ティーガーだ!」
「わん!」(すごいぞラウラ!)※アルです
謎の技術を駆使し砂でドイツの戦車、ティーガーを見事な造形で作っていた。周りの生徒はどうやったらあんなキャタピラや砲身が砂で出来るのかと驚愕していた。実際作ってしまうラウラの謎技術はどこで培われたのか。
「ラウラー!アルー!かき氷とお水貰ったから戻ってくるんだ」
白い水着を身につけた箒が海の家から呼ぶ。
「なんと!行くぞアル!かき氷はいいものだと部隊の仲間が言っていた!」
「わん!」
◇
「楽しそうだな」
「えぇ、バーナードくんも吹っ切れたみたいですしね」
生徒たちが遊んでいるのを優しく見守る千冬と真耶。ここ最近仕事が多く立て込んでいたため息抜きに出てきていた。黒いビキニを身につけた千冬。緑の水着を身につけた真耶。
「先生!ビーチバレーしませんかー!?」
そんな二人にも遊びの声がかかる。
「いいだろう。見せてみろ。私のクラスでどれだけ鍛えられたか!」
「織斑先生!物騒ですよ!」
◇
各自自由な時間を過ごし、時間は夕飯時だった。
「これが…サシミ!」
バーニィは人生で初めての刺し身を美味しそうに食べていた。そんな彼の横ではセシリアが何かモゾモゾと動いていた。
「どうしたんだ?痺れたのか?」
「え、えぇ…少しだけ…」
そう言って微笑むセシリアだが食事に手をつけていないことから相当痺れているのが目にとれる。
「………テーブルの方に移動するか?」
「だ、大丈夫ですわ!」
テーブルではラウラとアルがニンジンが出てないと騒いでいるが気にしてはいけない。
「うーん……でも食べられないだろ?何か出来ることはあるか?」
その一言を聞きセシリアの目が光る。かつて彼がシャルロットにしていたようにしてもらえると考えたのだ。
所謂『あーん』である。
「その……あの……」
しかし自身の口から食べさせてほしいとは言いづらく、言葉にできない。もじもじとするセシリアを見てシャルロットは助け船を出す。
「バーニィが食べさせてあげたらいいと思うよ」
同じ人を好きになったライバルであり友達である彼女たちの友情は強く、自分だけこうなればいいという考えは持ち合わせていなかった。
「そうなのか?」
「は、はい」
わかったと言って彼はセシリアに食べさせる為に刺し身に少量の醤油をつけ彼女の口に運ぶ。
「美味しいか?」
「はい……幸せです」
嬉しそうに微笑みながら返事をする彼女は誰がどう見ても恋をする乙女の表情だが、バーニィは刺し身が美味しくて微笑んでいると勘違いしていた。
◇
食事を終え、男性の風呂の時間になり一夏とバーニィは露天風呂に入っていた。
「ふぅ~」
「凄いな……海が見えるぞ」
「オーシャンビューってやつだな」
海を見る一夏とバーニィ。
「楽しかったな」
「あぁ……とても楽しかった。」
どこか寂しそうに話すバーニィを見て一夏は一抹の不安を覚える。彼の身に何か起きるような予感がしていた。
◇
向かい合う二つの影。
一つはアメリカの第三世代軍事用IS。
もう一つはもう装甲も剥がれ、火花を散らし額から血を流す搭乗者を守るラファール。
「一夏………皆……あと少し……あと少しなんだ………」
さぁ!
最終章に突入だ!
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