翌朝、砂浜に並びISの整備などをする実習中の生徒たち。バーニィは自身のIS『ラファール・リヴァイヴ改』をシャルロットに手伝ってもらいながら改修していた。
「すごいね。ここまで自身で修理して使ってもらえるISをあんまり見たことないよ」
「そうなのか?」
「うん。大体の人って古くなったりボロボロになった物って捨てるでしょ?でもバーニィは何とか修理して使ってるから」
以前整備の女の子にも言われたこともあった。古いラファールに替えて新しいのが支給されるからそちらにしてはどうかと。しかし、なぜかそれを受け入れることができないと考えそれを拒否した。
「そうかもしれないな。でもさ、結構愛着沸くんだよな。ISは意思があるって山田先生も言ってたじゃないか。強さだけじゃないんだ。こいつの期待に応えるようにはしないと。どれだけ自分が弱くてもさ。苦楽を共にしてきた相棒を…無下には扱えないだろ?」
そう言って作業に戻るバーニィ。シャルロットはそれ以上何も言わず彼の作業を手伝っていた。それを影から見ている一人の女性がいた。
「へぇ~……ISのことちゃんと見てくれてるんだ……ふふ……ISをそういう風に見てくれる人って少ないからね~……ふふふふふふふふふ」
ウサミミを着けた女性であった。
◇
「よし。あらかた作業は終わったな」
生徒を見回し次の指示を出そうとする千冬。多くの生徒が注目する中、浜辺から砂を巻き上げ走ってくる人物がいた。千冬はその正体にすぐさま気付き構える。彼女が構えているとは知らず突っ込んでくる人物。
「ちぃいいいいちゃああああああああん!」
突っ込んできた女性に対し千冬は攻撃を放った。
「オリムラフィンガアアアアアアアアアア!」
「ぎゃああああああああああ!」
突っ込んできた女性は吹っ飛ばされ海へと落ちていった。
「さて、話の途中だったな」
何食わぬ顔で説明を始める千冬を生徒たちは唖然としながら見ていた。そんな彼女の足下の砂が少しずつ盛り上がる。
「まだだ!まだおわらんよ!」
声と共に砂の中から出てきたのは
「はぁ………何のようだ束」
ISの開発者である篠ノ之束だった。
◇
「久しぶりだねちーちゃん!さぁ!愛しの束さんとはぐはぐしよう!」
テンションの高い束とは違い頭を抱える千冬。そんな二人のやり取りを見ている生徒たち。そんな中顔を真っ赤にした箒がいた。無理もないだろう。自身の姉がこのような人間なのだ。
「おろおろ?箒ちゃーん!久しぶり!」
生徒の目が一斉に箒を捉える。
「むふふふ………箒ちゃん一段と可愛くなって………」
手をわきわきさせながら近づく束。そんな束を止める人物がいた。
「ここは部外者以外立入禁止だ」
束の後頭部をメガバズーカランチャー並みの威力を持つ出席簿ではたく。
「いったーい!」
頭を涙目になりながらさする束。
この光景を見ていたバーニィは一抹の不安が過っていた。
◇
バーニィの予感は的中した。
束は箒に対し第四世代型のISを開発、渡しに来たのだった。
「さぁさぁ!箒ちゃん!新型のISだよ!」
笑顔で紹介し終えた束は箒に近づく。
周りの温度が下がっているのを気付かずテンションが高い。
「姉さん………」
箒は初めて声を出す。
「姉さんの気持ちは嬉しいですが私には荷が重すぎます。受けとることはできません」
少し悲しそうにそう伝える箒。
それを聞いた束が固まる。
「今の私には打鉄で充分です。私はISを使いはじめてまだ数ヶ月の人間です。そんな人間が……今まで努力していた人たちを差し置いて専用機、まして圧倒的性能を持つことなんて………その性能を使えるほど私は強くない……覚悟も無いんです。それを気づかせてくれた人を裏切ることも……姉さんの気持ちは嬉しいですが……受け取れません。でも……私を思ってくれたのはとても嬉しいです」
そう言って微笑む箒。
拒絶されるとは思ってもなかったのか顔を俯いたまま動かない束。
嫌な沈黙が流れる中、真耶が血相を変えて旅館から出てきた。千冬のもとへ行き情報が載せられている端末を手渡し息を整える。千冬は端末情報を確認する。確認し終えたあと千冬は険しい顔で生徒たちに指示を出した。
「お前たち!直ちに旅館にもどれ!あと専用機持ちとバーニィは私と共に宴会場へ来い!」
ただ事ではないと感じた生徒たちはすぐさま指示に従い旅館へと入っていく。バーニィは千冬のあとを着いていこうとしたときふと束が視界に入った。
悪戯が成功したような顔をしていたのを見逃さなかった。
◇
「今入った情報によるとアメリカ、イスラエルが共同開発していた新型のIS、銀の福音が暴走、基地を破壊し逃走したようだ。我々は日本政府の要請によりこれを発見し、捕獲、または撃破する」
多くの機材が運び込まれ指令室のようになった宴会場は昨日の楽しい夕食がまるで幻であるかのように思わせるような有り様になっていた。
「詳しいことはアメリカから連絡がもうじきくる」
「織斑先生、通信入りました。モニターに写します」
一人のオペレーターの操作によりモニターに人影が映った。
「イ、イーリスさん?!」
バーニィの驚いた声が響く。驚くのも無理はない。画面に映し出されたのはアメリカでバーニィをよく面倒を見てくれていた人物であるイーリス・コーリングであったからだ。画面に映った彼女は額から少量の血を流していた。
『バーニィ、久しぶりだな…再会を祝って稽古をつけてあげたいんだが今はそんな事を言ってる場合じゃなくてな』
少し笑いながらモニターに映る彼女は笑うが苦悶の表情を隠しきれていない。彼女の後ろからバーニィがよく知る人物がまたも出てきた。
『いきなりだが状況を説明する。アメリカのグランダーエレクトロニクス社《GE》が開発した銀の福音が突如試験中暴走、味方機及び基地、施設を攻撃した。我々も何とか反撃したが返り討ちにあった。今回は君たちにこの福音を止めてもらいたい………捕獲あるいは撃破だ……最悪搭乗者の生死は問わないとアメリカ政府及び軍、日本政府もそれで了承した』
ローガンである。冷静に仮面を付けて話しているつもりだろうが辛そうにしているのがバーニィには分かる。
『敵の情報はそちらに転送した、好きにしてくれて構わない。もう情報漏洩など気にしてる余裕ではないのでな。本当なら我々アメリカがどうにかしないといけなかったんだが………許してくれ』
モニターの向こうで頭を下げるアメリカの面々。イーリスも頭を下げていた。
「わかりました。では後は我々にお任せ下さい」
そう言って通信を切ろうとしたときイーリスが止める。
『バーニィ!頼む!勝手を言ってるのは分かるが福音には
ナタルが乗ってるんだ!助けてやってくれ!』
バーニィの物語もクライマックスです!
この先彼はどのような未来を作るのか……
次回!バーニィ!暁に死す!
嘘です。