「作戦結果を報告します」
作戦本部となった居間では重苦しい空気の中で始まる帰還報告。参加しているのはセシリア、シャルロット、ラウラ、箒である。
「織斑くんが福音により戦闘不能、今も意識不明の重体です。ワイズマンくんは殿となり3名を離脱させるが福音に撃墜、行方不明です。福音も戦闘終了後作戦海域から離脱、行方はわからない状態です。なお密漁船は警察に引き渡しました」
結果は失敗。一夏は重体、バーニィは行方不明で最悪の結果となってしまった。各自部屋に戻るように指示され作戦本部を後にする。
◇
「……………」
どうして………絶対に戻ってくるって…死なないって約束したのに……部屋の窓から夕焼け色に染まった海が見える。バーニィの捜索は全く進んでいない。
「……………」
僕には待機命令が出てるけど……僕には出来ることがある。2度も助けてもらったんだ。今度は僕の番だ。
「準備が整ったぞシャルロット」
後ろからラウラの報告を聞く。
「バーニィを探すぞ!」
箒も一夏が撃墜されて取り乱していたけど今は落ち着きを取り戻してる。
後は………セシリア……
◇
約束したのに………貴方はいつもそうですわ。わかりやすい嘘をついて…………。
もう……嫌です。自分の大切な人が居なくなるのは。
こんな思いをするなら人を好きになるんではなかった。
帰還報告を聞いたあと、部屋で待機していましたがじっとしているのが我慢できなくなり旅館を出て砂浜で座りながら海をずっと見ている。この海のどこかにバーナードさんが居ると考えながら……
「やーっと見つけた」
鈴さん?
「何をうじうじしてるの?」
そう言って鈴さんはわたくしのとなりに座りました。
「ずっとそうやってるつもり?」
そんなこと言われたってバーナードさんは………
「あーあ…この勝負シャルロットの勝ちじゃないかしら?」
え?
「あの子、探す気満々で準備してるわ。バーニィを見つけるって」
……………そんなことしたって
「いい加減にしなさいよ!セシリア!私の知ってるあんたはもっとしぶとかったわ!バーニィは行方不明なだけ!まだ死んだって決まったわけじゃないわ!」
胸ぐらをつかんで引っ張りあげられる。
「あたしは…あんたがずっと作戦中待機してる時、神様に祈ってるのを知ってた!震える両手でずっとずっと!そんなあんたがこんな簡単に諦めるなんて思いたくないのよ!」
…………………鈴さん。
「バーニィを見つけるわよ!どんな状態でもあたしたちの大切な友達なんだから!誇り高きイギリスの代表候補生なら意地を見せなさい」
……そうですわね……
―ごめん、オルコットさん―
―逃げるわけにはいかないんだ―
―おる……セシリア―
―俺だってええええ!―
―そりゃないぜ―
―任せとけって!―
今助けにいきます!バーナードさん!
◇
「どこだ?ここ?」
目を覚ますと真っ暗な空間にいた。
いや………正確には真っ暗ではなかった。小さな光がついたり消えたりしてる。
「死んじゃったのか………」
そうだ……ここはきっと死後の世界なのだろう。本来なら俺はあの戦いの後ここに来るべきだったんだ。作戦を失敗して、仲間を失って……でも、今回は俺の役目を果たせた。皆を離脱させた……目の前で大切な人が死ぬことはなかったんだ。でも……悔しいな。もっとあの世界で生きていたかったな。約束もまた破っちまった………
「まだまだ、新米のままだなバーニィ?」
「え?」
そんなことを考えている俺の耳には懐かしい声が聞こえてきた。
◇
「お、お、織斑先生!」
一夏が治療されている部屋に居た千冬の元に真耶が血相を変えて飛び込んできた。
「どうした?」
「篠ノ之さん達専用機組が待機命令を無視してバーナードくん捜索に向かいました!」
分かってはいた。多くの生徒にバーニィは慕われている。ひたむきに努力する姿勢、誰にでも手をさしのべる彼が慕われない筈がない。特に代表候補生は彼と関わりが多く、大きく心境が変化している。中心となっていた彼がいなくなったとなれば動くのは当たり前である。
「……」
「お、織斑先生?」
千冬はどうすればいいか分からなかった。引き返せと言えばいいのか……まずこの作戦に代表候補生や一般生徒のバーニィを駆り出したのは日本政府だ。それに逆らおうと思えば逆らえた筈だ。だが千冬には出来なかった。心のどこかに何時ものように帰ってくると思ってしまったからだ。そんな自分が命令できるのか。
「……………一夏……」
未だに目を覚まさない弟の頭を優しく撫でる。
―俺はいつか、千冬ねぇや皆を守るために強くなる!―
誘拐され、大会2連覇を果たせなかった千冬にまるで許しを請うように決意した一夏を思い出す。
「…………やらせてやりましょう。彼らの思うままに。止めても止まらない奴等だ。その代わり帰ってきたら……
じっくりお説教だ。ワイズマンも含めてな」
◇
「どこだここ?」
俺は来たことはないが、どこか懐かしい場所に来ていた。水平線が永遠に続いているような……青い空の下。
少し歩いていくと空を見上げながら歌っている少女がいた。しかし、たった一回の瞬きの間にいなくなっていた。
「………」
「…力を欲しますか?」
後ろから声が聞こえ振り向くと一人の女性が立っていた。
「力を欲しますか?」
「力?」
「何のために?」
力を欲す……何のために?
「大切な人たちを守るため」
「では何故、密漁船を守ったのですか?」
なぜ守ったのかか…………確かに犯罪者で悪いのはその人たちだ。バーニィ達は作戦のために仕方なく見捨てることにしたんだろう。でも
「確かにあの時の俺の行動は間違ってた。確かに間違ってた。でも…作戦だから……どうしようもないからって人が目の前で死ぬのをただ見ていたくなかった。だって…………
死んでも仕方のない人間なんて一人だって居ないんだ。例えそれが犯罪者でも………」
まっすぐ目の前の女性の目を見てそう答えた。
「成る程、君の答えは聞かせてもらった。なら私は君の剣となろう」
そう言って彼女は消えていった。
「貴方は優しいのね」
先程空を見ていた白いワンピースを着た女の子が後ろにいた。
「あの人にそっくり。臆病で、嘘つきで、見栄っ張り。だけど優しくて、そして誰よりも他人が傷つくことを恐れた優しい人に…………早く助けにいってあげて」
少女が笑った瞬間。目の前が真っ白になった。
「大丈夫よ。貴方なら出来るわ」
さてさて
次回で最終回です。(多分)
バーニィは一体誰と出会ったのか!
感想、評価、アドバイスお待ちしています!
活動報告で次回作について書きました。よろしければコメントなどよろしくお願いします。