こあパチュクエスト3(東方×ドラゴンクエスト3)   作:勇樹のぞみ

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大魔王ゾーマとの最終決戦 そして紅魔館へ……

 度々現れるソードイド三体を多少のダメージは無視してグリンガムのムチと炎のブーメランでなぎ倒しながら進み、地下5階の階段へ。

 

「最後の決戦での装備だけれども、スクルトで守備力を上げられない私たちにとって、優先されるのは守備力」

 

 と、パチュリー。

 

「あなたと私の星降る腕輪と豪傑の腕輪を入れ替えましょう」

 

 素早さの1/2の数値が守備力に反映されるドラクエ3では、素早いパチュリーが使った方が、より守備力を上げられるということ。

 まぁ、各能力値はアイテムを使って上げても255までなので、パチュリーに星降る腕輪を使った場合、カンストしてしまうのだが。

 

「それと、あなたは草薙の剣と賢者の石を持って。万が一の時のための世界樹の葉と祈りの指輪も」

 

 そして、

 

「私は賢者の杖を。あとは世界樹の葉と、まず使わないとは思うけれど復活の杖を持つわ」

 

 

名前:パチェ

職業:しょうにん

性格:タフガイ

性別:おんな

レベル:41

 

ちから:186

すばやさ:255

たいりょく:211

かしこさ:58

うんのよさ:70

最大HP:425

最大MP:114

こうげき力:296/191

しゅび力:290/280

 

ぶき:せいぎのそろばん/はやぶさのけん

よろい:光のドレス

たて:ふうじんのたて/まほうのたて

かぶと:ミスリルヘルム

そうしょくひん:ほしふるうでわ

その他:けんじゃのつえ、せかいじゅのは、ふっかつのつえ、ひかりのたま

 

 

名前:こあくま

職業:ゆうしゃ

性格:ごうけつ

性別:おんな

レベル:40

 

ちから:158

すばやさ:226

たいりょく:200

かしこさ:94

うんのよさ:112

最大HP:367

最大MP:189

こうげき力:293

しゅび力:248/221/254

 

ぶき:おうじゃのけん/くさなぎのけん

よろい:ひかりのよろい/やいばのよろい

たて:ゆうしゃのたて

かぶと:グレートヘルム

そうしょくひん:ごうけつのうでわ

その他:けんじゃのいし、せかいじゅのは、いのりのゆびわ×3

 

 

 という状態で決戦に臨む。

 祭壇へと進むと真っ暗だった周囲に灯がつき、ゾーマの巨体が現れた。

 

「こあくまよ! わが生けにえの祭壇によくぞきた!

 われこそは、すべてをほろぼすもの!

 すべての生命を、わが生けにえとし、絶望で世界をおおいつくしてやろう!

 こあくまよ! わが生けにえとなれい!

 出でよ。わがしもべたち! こやつらをほろぼし、その苦しみをわしにささげよ!」

 

 最初に差し向けられてきたのは勇者の父オルテガの仇、キングヒドラ。

 

「キングヒドラは火炎呪文には完全耐性を持つ相手だけれども、ヒャド系には弱耐性。そして勇者の父、オルテガの戦闘の様子を思い出して」

「と言われましても、バギクロスやライデインに貴重なマジックパワーを割いてしまって、ベホマが使えなくなるっていうオチしか覚えていないんですが」

 

 そんなことしないで通常攻撃していれば良いだろうという話ではあったが、しかし、

 

「でもバギクロスもライデインも効いていたでしょう? つまりオルテガはその行動で、キングヒドラにバギ系、デイン系の耐性が無い。完全無耐性だって教えてくれているのよ」

「な、何ですってーっ!?」

「勇者ならデイン系は当然として、王者の剣の効果によりバギ系最強呪文であるバギクロスを何度でも放てるのだから、父が命を賭して子に敵の弱点を教えてくれたのだ、ということにもなるでしょう」

「あ、あのイベント戦闘に、そんな意味があったなんて……」

「ついでに言えばファミコン版ではラリホーも使ってくれたのだけれど、キングヒドラはラリホーに強耐性、逆に言えば3割の確率で効くから」

 

 つまり、

 

「全員でラリホーや妖精の笛、リメイクなら眠りの杖を使って眠らせておいて、その隙に弱耐性であるルカニ、ルカナン系で守備力を下げ、そこから戦い始めるというのも手よ」

 

 そういう手段も使えるし、

 

「毎ターン100ポイントの自動再生が無くなったリメイクなら、眠らせることを繰り返し、それだけで何もさせずに倒すこともまた可能ね」

 

 ということでもある。

 しかし、まぁ、ここは、

 

「リメイクのキングヒドラはヒットポイント1600、守備力は150で、私は豪傑の腕輪を外したとしても、まだ正義のそろばんより隼の剣の方がダメージが高くなる相手。そして魔法を使ってこないのだから、盾は風神の盾を装備。正面から殴り合うことにするわね」

「そ、それじゃあ、さっきの勇者の父オルテガに対する良い話の意味がまったく無いじゃないですかぁ!」

 

 小悪魔が叫ぶが、

 

「こぁ、あなたはオルテガとキングヒドラの戦いを見て『そんなことしないで通常攻撃していれば良いだろう?』って考えたんでしょう?」

 

 だったら、

 

 誰だってそーする おれもそーする

 

 となるのは自明の理というものであった。

 

「とはいえ、あなたは最初のターンに草薙の剣のルカナンの効果を使ってちょうだい」

 

 と、小細工はするが。

 まずは星降る腕輪で素早さを255まで上げたパチュリーが隼の剣で素早く連撃を繰り出す!

 

「2回攻撃で合計110ポイント越えのダメージね」

 

 そして小悪魔は草薙の剣を振りかざした!

 青い光が地面を走る!

 キングヒドラの守備力を75下げた!

 

「効きました!」

 

 キングヒドラはルカニ、ルカナンに弱耐性なので、7割の確率で効いてくれるのだ!

 

 キングヒドラは燃え盛る火炎を吐いた!

 しかし……

 オルテガには大ダメージを与えていたブレス攻撃だが、パチュリーに20ダメージ、小悪魔には14ダメージという拍子抜けのダメージしか受けない。

 リメイクのオルテガ×キングヒドラ戦でのダメージ計算が適当過ぎるという話ではあるのだが、実際にキングヒドラが3/5の確率で吐く火炎の息は、全体に30~40の炎ダメージを与えるというもの。

 そしてパチュリーは光のドレスのブレス耐性でダメージを2/3、66.6パーセントまで軽減でき、小悪魔は勇者の盾と光の鎧のブレス耐性の累積で4/9、44.4パーセントまで減らすことができるため、

 

「ゆるゆるです!」

 

 と小悪魔が言うとおり、こんな低ダメージで済んでしまうのだ。

 だが、

 

「まだよ!」

 

 キングヒドラは完全2回行動で、残り5/8の確率で攻撃力280の打撃を放ってくるのだ。

 

「くっ!?」

 

 これを小悪魔が食らうと60~93、パチュリーで、52~80ポイントのダメージとなる。

 しかし、

 

「賢者の石の回復量はベホマラーと同じパーティ全体に75~94ポイントだから、間に低ダメージの火炎の息が入ることを考えればそれだけで回復は間に合うわね」

 

 という具合で、小悪魔が賢者の石を使うだけで回復できる。

 パチュリーの攻撃は、

 

「守備力が半分に下げられたおかげで、2回合計150ポイント平均のダメージが出るわね」

 

 となっていたが、まぁ、草薙の剣のルカナンの効果が効いていなくても問題なく勝てただろう。

 まずは一勝。

 そして、

 

「レベルが上がったわ」

 

 パチュリーがレベル42にレベルアップしていた。

 

 次の戦いに備え、薬草で回復。

 マジックパワーを節約するためではあるが、この階には通常敵は出現しないので、光の鎧や命の指輪の自動回復効果で歩き回って回復させることもまた可能だったりする。

 

「面倒だからやらないけど」

 

 そして次はバラモスブロス戦。

 

「『バラモス兄弟』ねぇ……」

 

『ブロス(Bros.)』は『Brothers』の略なので、直訳するとそうなる。

 ドラゴンクエストが作られた日本のサブカルチャーで言うなら、任天堂のマリオの弟である『ルイージ個人』を指して『マリオブラザーズ』とは呼ばないように、バラモスの兄とか弟などというのとはまた意味が異なる。

 故に誤用であるというのが通説で、北米版等の英語表記では異なる名称になっているものだったが、パチュリーのようにオカルトに通じている者であるとまた違った視点がある。

 

「種族名が『バラモスの兄弟たち』みたいなことになっているのかもね」

 

 超常的存在の中には『○○の兄弟たち』というように呼ばれる者が居たりする。

 ○○と呼ばれる有名個体と同じ一族、または眷属たちを指して呼ぶものだ。

 そのような呼称なのかも知れない。

 

「バラモスブロスはすべての攻撃呪文、マヌーサ、ルカナンに弱耐性。マホトーンに強耐性」

 

 それ以外に対しては完全無効である。

 

「リメイクのバラモスブロスのヒットポイントはバラモスの半分以下の1100で自動再生も無し。ただ守備力は300と硬いから、隼の剣ではなく正義のそろばんに切り替えるわね」

 

 さらに魔法攻撃に備え、風神の盾から魔法の盾に切り替え戦闘に臨む。

 

「徹れ!」

 

 正義のそろばんの珠を可動する重りとしたショックレスハンマーと同等の効果がバラモスブロスの硬い守備力を貫通し、70ポイント台のダメージを与える。

 そして小悪魔は草薙の剣を振りかざした!

 青い光が地面を走る!

 バラモスブロスの守備力を150下げた!

 

「効きました!」

 

 弱耐性とはいえ、3割の確率で無効化されるのだから、これは幸先が良い。

 バラモスブロスの反撃だが、

 

「イオナズンが二連発!?」

 

 バラモスと違ってバシルーラやメダパニなどは使わない代わりに、1/2の確率でイオナズンを放ってくる火力偏重の特性を持っているのだった。

 もっとも、

 

「耐えられないわけじゃありません!」

 

 小悪魔が言うとおり、パチュリーは光のドレスと魔法の盾の呪文耐性で50パーセント、小悪魔は光の鎧の呪文耐性で66.6パーセントまでダメージを減らすことができ、40ポイント台のダメージしか受けないが。

 しかし、

 

「三回攻撃!?」

 

 さらにバラモスブロスの攻撃力210の打撃が小悪魔を襲い、40ポイント台のダメージを与える。

 バラモスブロスはランダムで1~3回の攻撃を繰り出すのだ。

 とはいえ、

 

「そんな水増しみたいな能力強化、意味が無いわ。確率的には完全二回行動と変わらないのだし」

 

 次のターン、バラモスブロスの守備力が半減したため武器を隼の剣に切り替え、斬りつけながらパチュリーは言う。

 小悪魔は賢者の石で回復だが、そこにバラモスブロスの激しい炎が襲う。

 全体に80~100の炎ダメージを与えるもので、パチュリーは光のドレスのブレス耐性でダメージを2/3、66.6パーセントまで軽減でき、小悪魔は勇者の盾と光の鎧のブレス耐性の累積で4/9、44.4パーセントまで減らすことができるとはいえ、

 

「連発されるとさすがにきついですよ」

 

 そう、小悪魔は悲鳴を上げる。

 しかし、

 

「大丈夫よ。バラモスブロスの激しい炎に3連発は無いわ。事故防止のための制限行動に指定されているから」

 

 ファミコン版のドラクエ2~4で見られた「1、2発程度なら何とかなる攻撃だが、偶然敵全員が選択したせいで1ターンで全滅の危機になる」というような事故を防ぐため、5以降、リメイクも含めて入れられたものだ。

 これに指定された戦闘オプションは、ターン中、同一グループ内では一度選ばれたら次には選択できないようになる。

 バラモスブロスは8つの行動選択肢のうち、イオナズン:4、激しい炎:2、打撃:2で激しい炎が制限行動に指定されているため、1ターンに二回までしか吐けないわけである。

 

「まぁ、それでもイオナズンより激しい炎の方がダメージが高く、耐性を持つ防具も少ないのだから、マホトーンやマホカンタで呪文を封じるなんてことはしない方がいいわね」

「かえって攻撃が激しくなりますものね」

 

 フバーハを使えるメンバーがパーティ内に居れば、装備次第では魔法を封じた方が、ダメージが低くなる可能性はあるのだが、しかし、

 

「賢者の石で回復は間に合う程度ですし、手間暇かけなくても押し切ればいいですか」

 

 と、小悪魔。

 リメイクではファミコン版であった毎ターン50ポイントの自動回復も無いのだから勝負を急ぐ必要も無いのだし、仮に最初のターンの草薙の剣によるルカナンの効果が無かったとしても時間はかかるが最終的には押し切れるだろう。

 途中、一度だけ安全策を取ってパチュリーが賢者の杖のベホイミの効果で回復をアシストしただけで、問題なく終わらせる。

 

「次はある意味、最難関のバラモスゾンビ」

 

 バラモスは死に際に、

 

「わ…わしは…… あきらめ…ぬぞ… ぐふっ!」

 

 などと言っていたが、その執念故か、ゾンビとなって蘇ってきたのだ。

 

「生前と違って知性を失っているのか攻撃手段は打撃のみ。でもその打撃がファミコン版で攻撃力360、強化されたリメイクでは400でさらにランダムで1~2回攻撃を仕掛けて来るというもの」

「なっ!?」

「バラモスゾンビは判断値がゼロなので隊列を認識できず、後列にも均等に攻撃を仕掛けて来るわ」

 

 1ターン目にヒットポイントの低い後衛に2発攻撃が来た場合、仮に先攻でスクルトをかけた上で、ヒットポイントが全快状態であったとしても一気に死亡しかねないものなのだ。

 

「うちに後衛が居なくて幸いです」

 

 と小悪魔が胸をなで下ろすように、パチュリーたち後衛抜きの高ヒットポイントパーティなら、そんな事故も起こらないが。

 一方、

 

「バラモスゾンビは守備力ゼロ。火炎、ヒャド系、バギ系、デイン系、いずれの攻撃呪文にも無耐性で攻撃する手段には事欠かないわ」

 

 しかし、

 

「その他の呪文は、マヌーサに対して強耐性、逆に言えば3割の確率で効くほかは完全耐性持ちよ」

 

 そもそも守備力だけでなく素早さもマジックパワーもゼロなので、ルカニ、ルカナン、ボミオス、マホトラ、そして呪文を使わないのでマホトーン、マホカンタも意味が無い。

 

「正面から殴り合うしか無いってことですね」

「そうね」

 

 パチュリーは魔法の盾から風神の盾に切り替え。

 

「あなたは刃の鎧で反射ダメージ狙いね」

「ええーっ!?」

「私が使っていた神秘のビキニで守備力を上げるって選択もあるのだけれど……」

 

 勇者には光の鎧があるが、守備力だけで言えば神秘のビキニの方が上なのだ。

 しかし、

 

「パチュリー様の使用済み!」

 

 洗ってあるとはいってもこんな変態に与えるのは嫌だし、そもそも、

 

「私から買い取るだけのお金、持っていないでしょう?」

 

 ということもある。

 ゆえに小悪魔には刃の鎧で反射ダメージを狙ってもらうことにするのだ。

 

 そんなわけで戦いに挑む。

 守備力ゼロなだけあって、パチュリーの隼の剣は98、102、計200ポイントほどのダメージを叩き出す。

 小悪魔の王者の剣も、140ダメージ。

 しかし、

 

「ぐっ!」

 

 バラモスゾンビはその攻撃力400、大魔神の倍で、裏ボスのしんりゅうと同じというバカ力でパチュリーを殴りつけ、98ポイントものダメージを与える。

 さらに、

 

「私!?」

 

 バラモスゾンビがランダムで行う1~2回攻撃が小悪魔を襲う。

 173ポイントものダメージを受けるが、当然刃の鎧の反射で半分の87ダメージを跳ね返す。

 

「痛い…… 痛いけれど、反射ダメージもまたバカげた数値ですよね、コレ」

「リメイク版だと刃の鎧の効果が発揮するから、勇者一人旅では、ひたすらベホマを唱え続けて刃の鎧の反射ダメージのみで倒すという戦法があるわ」

 

 ゲームボーイカラー版では自動回復が無いので特に有効だ。

 

「リメイクだと?」

「ファミコン版の刃の鎧の反射が働くかどうかはニフラム耐性に依存するから」

 

 ニフラムに完全耐性を持つボスキャラたちには反射ダメージを与えることができないのだ。

 ともあれ、バラモスゾンビには毎ターン50ポイントの自動回復があるためパチュリーは継続的に攻撃に専念し、小悪魔は、

 

「きつい、ですね」

 

 ベホマ連発で回復を行う。

 しかし、

 

「ヒットポイントと守備力の低い後衛が居ないだけマシでしょう。バラモスゾンビは判断値がゼロ、後列にも均等に攻撃を仕掛けて来るんだから」

 

 という話。

 

「スクルトを重ねた上で、強耐性であっても連発のごり押しでマヌーサを通して攻撃の半分を外れるようにすれば、まだ違って来るのだけれどね」

 

 パチュリーたちには使えない手なのだから仕方がない。

 厳しい時にはパチュリーも賢者の杖を1回だけ使って、勝利。

 

 そしてとうとう、ゾーマとの戦いである。

 パチュリーは魔法の盾、正義のそろばんを身に着け、小悪魔は光の鎧に戻す。

 もちろんパチュリーは光の玉を準備だ。

 

「小悪魔よ! なにゆえ、もがき生きるのか?

 ほろびこそ、わがよろこび。死にゆく者こそ美しい。

 さあ、わが腕の中で息絶えるがよい!」

 

「病院行って」

「あはは……」

 

 光の玉を使う前の闇ゾーマの素早さは最高の255。

 星降る腕輪で素早さを同じく255まで上げていたパチュリーだったが、先制を許してしまう。

 

 ゾーマは凍える吹雪を吐いた!

 全体に100~139の吹雪ダメージを与えるものだが、パチュリーは光のドレスのブレス耐性でダメージを2/3、66.6パーセントまで軽減でき、小悪魔は勇者の盾と光の鎧のブレス耐性の累積で4/9、44.4パーセントまで減らすことができる。

 ゆえに、パチュリーで71ポイント、小悪魔で48ポイントで済む。

 

 そして完全2回攻撃、ローテーション行動なので、次にマヒャドが必ず来る。

 とはいえパチュリーは光のドレスと魔法の盾の呪文耐性で50パーセント、小悪魔は光の鎧の呪文耐性で66.6パーセントまでダメージを減らすことができ、パチュリーで27ポイント、小悪魔で41ポイントで済む。

 

「マヒャドが完全ボーナス行動になっている件について」

 

 そうつぶやきつつも、行動するパチュリー。

 

 パチュリーは光の玉を高くささげた!

 辺りにまばゆいばかりの光が広がるっ!

 

 光の玉でゾーマの纏う、闇の衣を引き剥がす!!

 

「ほほう……。わがバリアを外すすべを知っていたとはな。

 しかしむだなこと……。さあ、わが腕の中で、もがきくるしむがよい」

 

「しつこい」

「ここまで来るとパチュリー様の言うとおり、良いお医者さんを紹介してあげた方がいいかも知れませんねー」

 

 仮にも大魔王をサイコ野郎扱い。

 

「まぁアリアハンで出合い頭に「そなたらの苦しみは、わしのよろこび」とか言い出した時点で、頭おかしいのは確定だったのだけれど」

 

 とパチュリー。

 

「いくらラスボス然とした大物感を出して取り繕ったところで、こいつの本音は自分以外の全否定。要するに他者が幸せに生きているのが許せず、その人たちが苦しみ不幸になるところを見るのが大好きで、それだけのためにすべてを滅ぼそうとしているっていう筋金入りのクズ野郎だってことに違いは無いわ」

「パチュリー様、それ言っちゃうと、破壊神系? みたいなラスボスキャラすべてがそういう扱いになっちゃいますよ……」

「そう? でも現実にも居るでしょう、他者を否定し、こき下ろすことにしか興味を持っていないかのような、ネガティブな言動ばかりする人物」

 

 一見、正しいような理論や言葉、正当性があるかのような態度で取り繕ってはいるし、局所的に、ミクロな視点では正しいことも言っているかもしれないので本人にも自覚が無い、いや、本人は正しいことを主張しているつもりなのだが……

 一歩離れて俯瞰視してみる、マクロな視点では必ずしも正しいとは言えなかったり、仮に正しかろうとも何の役にも立たないどころか逆に害になるようなことしか言わない者。

 

「……それは、まぁ確かに居ますけど、そういうのと一緒にされるゾーマが哀れと言いますか」

「どう言葉を飾ろうとも、本質は変わらないわ」

 

 そう、ばっさりと切って捨てるパチュリーだった。

 

 ここからは、弱体化後のゾーマとの戦いである。

 闇ゾーマとは別の能力値を持っているので、闇ゾーマに傷を負わせていたとしても、切り替わると無かったことにされてしまう。

 あとはパチュリーが正義のそろばんで殴る殴るひたすら殴る。

 

 ゾーマは完全二回行動で、8つの行動選択肢の内訳は、攻撃力360の打撃:3、凍える吹雪:2、マヒャド:1、マヒャドはバラモスブロスの激しい炎と同じ制限行動であり、これに指定された戦闘オプションは、ターン中、同一グループ内では一度選ばれたら次には選択できないようになる。

 ゾーマの8つの行動選択肢のうち、マヒャドは1つしか無いため1ターンに1回しか唱えられない。

 通常、制限行動は同一ターン中に集中されたらまずい行動オプションに制限を加えるものだが、ゾーマの場合はマヒャドが一番脅威度が低い。

 つまりボーナス行動の連続が制限されているということである。

 そして残りの2枠は、

 

「うおっまぶしっ!!」

「凍てつく波動が眩しいわねっ!」

 

 ゾーマは凍てつく波動を使いすべての魔法を無効化してくる。

 

「だ、大魔王が光に包まれて…… 不謹慎ですよ、あなたっ」

「そういう問題?」

 

 ともあれ、これがあるためバフ、デバフ呪文もかけにくいのだ。

 最初から使っていないパチュリーたちの場合は、1/4の確率で損害無しで終わらせてくれるボーナス行動となるが。

 

 まぁ、それでも凍える吹雪が怖いから打ち消されるたびにフバーハをかける、倒すまでのターンを短縮するためバイキルトをかけるという者も居る。

 

 また意外にもルカニ、ルカナンに無耐性でルカニをかければ確実に350の守備力が一気にゼロになるため、バイキルトよりもこちらを選ぶ者も多い。

 アタッカー一人一人にバイキルトをかけるより簡単だし燃費もいいし、ファミコン版、ゲームボーイカラー版以外のバージョンではバイキルトがかかると会心の一撃が出なくなるため、戦士の魔神の斧や高レベル武闘家の会心の一撃に期待しつつ、出ない場合でもダメージを上げたい場合には有効だとも言える。

 

 とはいえ魔法使い、僧侶、賢者のバイキルト、スクルト、フバーハ、マヌーサなどといったバフ、デバフが使えないパチュリーたちには関係無い話。

 むしろ、ここまでそれら抜きで勝ってきたのだから、ゾーマは組しやすい相手だとも言える。

 ゾーマには自動回復が無いため、ダメージを積んで行けば必ず勝てるのであるし。

 こちらが受けるダメージは小悪魔の賢者の石、緊急回避のベホマによる全回復で凌いでいくのだが、終いには、

 

「ゾーマのマジックパワーが切れました!?」

 

 ということに。

 

「無限だったんじゃないんですか?」

 

 と混乱する小悪魔だったが、

 

「確かにマジックパワーが255なら無限扱いでマジックパワー切れは無いというのがドラクエ3なのだけれど」

 

 パチュリーが答える。

 

「スマホ版はそのような処理がされず、単にマジックパワーが255あるというだけみたいなのよね」

 

 ということだった。

 

「問題は、これ以降、ボーナス行動だったマヒャドを唱えてくれなくなるということ」

 

 つまり、これまで以上に攻撃が激しくなるということだった。

 攻撃呪文を唱えなくなるため、パチュリーは魔法の盾から守備力重視の風神の盾に切り替え。

 さらに危なくなったらパチュリーの賢者の杖のベホイミの効果までつぎ込んでヒットポイントを維持する。

 これまでの戦いで世界樹の葉を消費しなかったので、最悪、死亡があっても立て直すことはできるが……

 そして、とうとうゾーマが倒れる。

 

「こあくまよ…… よくぞわしを倒した。

 だが光あるかぎり、闇もまたある……

 わしには見えるのだ。ふたたび何者かが闇から現れよう……

 だがそのときは、お前は年老いて生きてはいまい。

 わははは………っ。ぐふっ!」

 

「昔の人が言っていました。「後のことは後で考えろ」って」

「そうね、死んだ後のことは、後の人に何とかしてもらわないと」

 

 そんなことを言っていると、ゾーマの消滅と共に力を失ったのか、城が崩れ始めた。

 

「パチュリー様! 早く逃げないと!」

 

 脱出を図るパチュリーたちだったが、地割れに飲み込まれ……

 魔王の爪痕に吐き出される。

 

「……何でこんな所に?」

 

 戸惑う小悪魔だったが、パチュリーは、しれっとして、

 

「この亀裂の通じている先からあなた、よっぽど嫌われてるんでしょうね」

 

 などと言う。

 

「パチュリー様だって一緒じゃないですか!」

 

 そう主張する小悪魔だったが、とにかく落盤に巻き込まれないよう逃げ出す。

 この落盤によって初代ドラクエのロトの洞窟に近い形状に変化するのだ。

 

「初代ドラクエへと続く、さりげない伏線イベントなのよね」

 

 外に出ると、暖かな光が。

 アレフガルドには来ないと言われていた朝がやってきたのだ。

 

 空の上の方で何かが閉じたような音がした……

 

 そしてパチュリーたちがラダトームに戻ると、大魔王が倒されたことは既に伝わっており、人々が歓待してくれた。

 

「しずまれ皆のもの!

 こあくまとその仲間たちよ! 知らせを受けそなたの帰りをまちかねていたのじゃ。

 よくぞ大魔王ゾーマをたおした! そしてよくぞ無事にもどった! 心から礼をいうぞ!

 この国に朝がきたのも、すべてそなたのはたらきのおかげじゃ!

 そなたにこの国に伝わる まことの勇者のあかし ロトの称号をあたえよう!

 こあくま、いや勇者ロトよ!

 そなたのことは、ロトの伝説として永遠に語りつがれてゆくであろう!」

 

 かくしてロトの称号をうけた小悪魔は ここアレフガルドで英雄となる。

 だが祝いのうたげが終わった時、小悪魔の姿は、もはやどこにもいなかったという。

 しかし彼女が残していった武器はロトの剣 防具はロトの鎧や盾として

 聖なるまもりは、ロトのしるしとして後の世に伝えられたという。

 

 

 

 そうして……

 書かれた物語を体験させる魔導書内に構築されたドラクエ3の世界から現実、紅魔館大図書館へと帰還するパチュリーと小悪魔。

 

「さて、これでゲームクリア。勇者と商人の比較検証も完了だけれども」

「もう借金や貧乏生活はこりごりですよ」

 

 ぼやく小悪魔だったが、

 

「とはいえ、二人パーティだからその程度で済んでいるのよ。これが四人パーティで報酬の公平分配をしたら、あなたの収入もさらに半分になるんだから」

「そんなので、どうやってプレイするって言うんですか!?」

 

 そう叫ぶ小悪魔を横目にパチュリーは、

 

「この魔導書、レミィにも見せたら興味を引きそうよね。今度は咲夜も入れて4人で……」

 

 友人にしてこの紅魔館の主、レミリア・スカーレットとその従者、メイドである十六夜咲夜について言及するが、

 

「勘弁してください!」

 

 と小悪魔は悲鳴交じりに嘆願する。

 

「まぁ、結論として、勇者の強さはパーティ内のお金を吸い上げることで成り立っているということね。そして同時に、商人という職業は使い方次第で悪くない力を発揮する。って言うか、二人パーティでレベル稼ぎ、資金稼ぎ無しでここまで楽にバラモス城まで行けるって、商人以外にできるのかしら?」

 

 そしてバラモス城ならあっという間に簡単にレベルアップが図れるので、勇者がベホマを覚えたらまたゾーマまでレベル稼ぎも資金稼ぎも無しで行けるのだし。

 また、

 

「勇者の力の再検証、発見もあったわね。ボストロールの完封攻略は多分、完全に新規の攻略法じゃない? ベホマどころかベホイミも無い状態でクリアできているし」

「アストロンで痛恨のターンをスキップできるとは知っていても、最初から最後までそれで通すっていう発想は、普通ありませんよねぇ……」

 

 と言う小悪魔の表情は呆れが半分。

 そして、

 

「発見と言えば、スマホ版ですごろく券から差し戻されたドロップアイテムの入手確率がすごろく券と同等のまま、っていう修正忘れがありましたね」

 

 ということも。

 

「あれもバランスブレーカーな話だったわねぇ……」

 

 瞳を細め、これまでの冒険に思いを馳せるパチュリー。

 そして、

 

「あなたもご苦労様」

 

 そう言って小悪魔をねぎらう。

 思わず目を丸くする使い魔に歩み寄り、その耳元にささやく。

 

「労働には対価が必要ね。魔力補給、してあげたいのだけれど」

 

 と言うが、しかし、

 

「眠いからもう、ベッドで休ませてもらうわね」

 

 くるりと背を向けてしまう。

 

「あ……」

 

 期待を抱かせておいてつれなくする、その対応に小悪魔はせつなそうに、歩み去ろうとする主の背に触れられない、届かない手を伸ばしかけるが、

 

「だから、勝手に持って行ってちょうだい」

 

 パチュリーの言葉には続きがあった。

 

「えっ?」

「聞こえなかった? 今回の魔力補給、寝ている私から好きなように持って行っていい。そう言っているのよ」

 

 それは……

 今宵、寝ているパチュリーを好きなようにして良いという許可。

 あの魔導書の中に構築されたドラクエ3の世界の冒険を通じて、二人の距離が縮まったと見るべきか、それとも……

 小悪魔が施した過激な調教じみた異常経験、それがパチュリーの精神に根付いて、この現実世界のパチュリーにも影響を、いや、後遺症とも言うべき症状を引き起こしているのか。

 ともあれ、

 

「はい、よろこんで!」

 

 ただひたすらに主人を愛してやまない使い魔は、本当にいい笑顔でそう答え、付き従うのだった。

 

 

 

「ただし、あんまり酷いことするようなら、現実でもダメージ床を引きずり回すから」

「ヒエッ!」

「羽目を外し過ぎない、常識の範囲で」

 

 分かっているわね、と念を押すことを忘れないパチュリーではあったが。

 

 

 

HAPPY END




 このお話もこれで完結。
 ここまで続けられたのも、応援して下さる方々があってのこと。
 どうもありがとうございました。

 ドラゴンクエスト3が世に出てからずいぶん経ちますが、それでも新たな発見があるのも驚きでしたね。
 自分自身、楽しんで書くことのできた連載でした。
 パチュリー様好き好きな小悪魔も可愛かったですしね。

 それではまた、次の機会がございましたら。
 ご意見、ご感想等、聞かせていただけますと、今後の参考になります。
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