子連れ少女は生き延びたい   作:ちゃっぱ

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「はああああああああああああああああッッ!!!!!!!!!????」


「うるせえッッ!! カスのくせに朝っぱらから静かに出来ねえのか!!!!」


「いやだって!! だってこれ!!!! はあああああああああああッッ!!!!!???」



「あっ? ……おいカス。何見てんだ」




バッ



「あっ」



「某、怪我をし重傷―――――――はぁ?」











第十八話 彼と彼女の攻防戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの時の炭治郎くんの様子は全て嘘だったんじゃないかと思えるぐらいには、竈門家はとても優しく俺を心配する。

 

 それもそのはず。俺の怪我は本当に重傷だった。

 だから怪我をしていることを知った竈門家は、全員が悲しそうな音を立て、心配だと泣き叫ぶ子供たちに囲まれつつも看病されるようになったのだ。

 

 その時に感じた音は、本当に痛々しいぐらい悲しい音ばかり。

 

 

 あんなにも幸せで優しさに満ちていた理想郷にヒビを入れるような行為をするだなんて最悪だと思う。

 子供たちを泣かせ、彼らの両親に険しい表情をさせて―――。

 

 

 炭治郎くんの顔は――――ちょっと直視できなかったけれど。

 

 

 

 

「なんでだよ和善にーちゃん! 片腕で無理すんなって言っただろ!」

 

 

「ああうん。ごめんね竹雄くん。でも大丈夫だから」

 

 

「大丈夫じゃないです和善お兄ちゃん! ちゃんと……ちゃんと、治るまで家にいてもらうんだからね!!」

 

 

「禰豆子ちゃん、でも――――」

 

 

「でもなんかじゃない! ばか! ばかぁ!」

 

 

「うぅ……」

 

 

 子供たちが俺のために悲しみ泣いてしまうという姿はあまり見たくない。

 俺の心が苦しい。俺自身が怪我をしているのに、まるでみんなが怪我をしているかのように凄く傷ついている音を聞くのは、とてもつらい。

 

 

 

「和善くん」

 

 

 

 

 いつもなら見守っていることが多いはずの竈門母の葵枝さんでさえ、俺の包帯の巻かれた頭をそっと撫でる。

 心配そうな瞳。苦笑の形を作っている口元。俺よりも儚く見えてしまう葵枝さんは綺麗だと思う。

 でも、こんな時にそんなことを思ったら怒られてしまうなと……なんとなく感じた。

 

 

 

 それぐらい、俺に対して向けられる音はとても多かった。

 

 

 

「和善くんも無茶をするわね……」

 

 

 

「……葵枝さん」

 

 

 

「最初の頃と全く逆ね。今度は炭治郎にあなたが連れて来られてるもの」

 

 

 

 

 それは、おそらく怪我をした炭治郎君を送って行ったことを言うのだろう。

 確かにあの頃と全く逆だ。俺が怪我をして炭治郎に連れられて帰ってきた。

 

 肝心の炭治郎君は真顔で、ただ俺の片方しかない腕から離れようとせず怖いぐらい動かないでいた。

 

 

 

「和善くん。君は何をそんなに怖がっているんだい?」

 

 

 

 葵枝さんだけでなく、炭十郎さんも肩をポンッと優しく叩く。

 まるで、自分の子供たちに接するときのような音がする。

 

 

 

「遠慮はしなくていいといつでも言っているだろう。君はもう家族のようなものだ。怪我をしているなら治しなさい。完治するまで外に出たらだめだよ」

 

 

「えっ」

 

 

 

「炭治郎。頼んだよ」

 

 

 

「え、いやあの……」

 

 

 

 炭治郎くんの傍に居るのは、今はちょっと無理というか――――。

 

 

 そう思っていたのに、炭治郎君にがっしりとしがみつかれてしまう。

 ねえ、その音なに?

 

 なんか噴火しそうな音がするんだけど、怒ってるの?

 

 ねえ、何で怒っているの?

 

 

 

 

 

「任せてくれ。和善さんの看病は完璧にやり通すよ」

 

 

 

 

「ひぇ」

 

 

 

 

 

 

 ああああああああああああああっっ!!!!

 

 

 もうこれどうしたらいいんだよおおおおおおっっっ!!!!!???

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 あの衝撃の日から何日何か月と経ったのか……。

 

 炭治郎君の様子がいまだにおかしい。

 おかしいというか、完全に変だ。

 

 

 あの時怪我をして、傍に居て欲しいと綺麗な鈴の音を鳴らして泣いていた。

 甘えているだけだったら良かった。小さな子供が怪我をした兄のような存在を思って泣くだけなら良かった。

 

 ただの―――いや、純粋無垢でとても優しい子供が執着するにはあまりにも酷く、何故俺なのだろうかと良すぎる聴覚を呪いたくなる。

 冗談だと思えばいい。しかし、それは絶対に駄目だと彼が行動で示す。

 

 だって、き、き――――うん。されたからね。

 子供がやることに本気になりたいわけじゃないけど、音がね! 本気だったからね!!

 畜生何で俺の耳はこういう時に良いのか!!!!??

 

 

「あー……ううー……」

 

 

 

 あの時のことを思い出すと身悶える。

 布団の中でゴロゴロと転がって、頭を叩いてあの時の全てを忘れてしまいたいと思う。

 

 そればっかすると花子ちゃんが真似をして俺と同じようにゴロゴロしちゃうから、あまりできないけど!!

 

 

 

「なんで……」

 

 

 いまだに理解できない。

 あまり考えようとしていないのだろう。

 

 

 

 

「和善さん。膝枕していいか?」

 

 

 

「ひぇっ!?」

 

 

 

「頭上げるぞ」

 

 

 

「いや膝枕していいとは言ってないんだけど!!?」

 

 

 

 

 すげえや。とんでもねえよっ!

 いつの間にか俺の枕が取られて炭治郎君の膝に頭乗せられちゃってるよ!!!

 

 

 

「……お、重くないの?」

 

 

 

「花子より軽く感じるぞ。というより、和善さんはもっと食べた方がいい」

 

 

 

「アッハイ」

 

 

 

 

 兄弟を世話していて身についたであろう早業で炭治郎君の小さな膝に俺の頭が乗せられてしまうのはもう諦めよう。

 でも肝心なのは頬をがっちり両手で触られ炭治郎くんと視線が交じり合うということ。

 

 

 その熱が、その音が。

 子供がしていいものじゃない。

 

 

 もしも耳が良くなければ……。

 心が発する音だなんて聞こえていないのなら――――ああ、炭治郎くんに対して生暖かい目で見る程度に収めて、彼を本気にしなかった程度には。

 

 

 

 何で俺の耳は良いんだろうか。

 

 

 

 

 

「あ、あの……たんじろう、くん?」

 

 

 

「なんだ?」

 

 

 

「い、いや。何でそんなに……楽しそうなの?」

 

 

 

 

 ニコニコと楽しそうに笑っている――――否、本当に凄く楽しいという音を響かせる炭治郎が俺の額に手を当ててまるで熱でも測るかのように触ってくる。

 

 当然、熱はないんだけれどね?

 

 

 

 

「俺は和善さんと一緒に居られて嬉しいんだ」

 

 

「そ、そう?」

 

 

「ああ。……それに、元気になったら和善さんと一緒に行きたい場所もある」

 

 

「い、行きたい場所?」

 

 

「森を少し進んだ先に、とても綺麗な場所があるんだ。森の奥だから……まだ、俺しか知らない場所なんだ。禰豆子たちより先に、和善さんに見せたい場所だ」

 

 

「いや、それは……きょ、兄弟の方が先で良いんじゃ……」

 

 

「いつか兄弟と一緒に行くつもりではいるけれど! でも俺は! まず先に和善さんと一緒に行きたいんだ!!」

 

 

「ひぇ……ハイ……」

 

 

 

 

 ねえ兄弟がまだ知らない場所に連れて行くってさぁ。

 

 それってある意味……いや、でもそんな……。

 

 

 

 

「た、炭治郎くん」

 

 

「なんだ?」

 

 

「も、もしかして……わざと?」

 

 

「何がだ?」

 

 

 

「アッ、いやなんでもないです。ハイっ」

 

 

 

 

 まだ無自覚なんですねえええええええええええっっ!!!???

 

 

 

 ええええこれで無自覚!?

 自覚して自分で意図的に言えるようになったらどうなるの!!?

 

 

 お姉ちゃん心臓が持たないんですけどどういうことなの!!?

 

 

 

 

「……和善さん、怪我は痛くないか?」

 

 

「あ、うん。まあ……」

 

 

「そっか。よかった」

 

 

 

 頬を撫でられつつ、綺麗な鈴の音を鳴らして。

 リンリンと、心地良い音色を鳴らしてはいるんだけど。

 

 膝枕をされているせいである意味近い距離にいる炭治郎くんの視線が、愛おしいという目が……。

 

 

 

 

「いや……うん。あのね。そんなに俺の顔じろじろ見ないで」

 

 

 

「何でだ?」

 

 

 

「いや何でだじゃなくてね。ちょっとずーっとみられるのは恥ずかしいというか」

 

 

 

「俺は和善さんの顔を見るのが好きだ。声も匂いも、全て大好きなんだ。だからずっと見ていられるし、このままずっとここに居たいとも思っているぐらいなんだ」

 

 

 

「そっ……ういうところがね! もう炭治郎君本当にそういうところだよおおおお!!!」

 

 

 

 

 思わず片手で顔を覆い、ごろごろ転がりたい衝動を必死に我慢する。

 

 

 

 

「というか! そろそろ膝枕やめようか!!」

 

 

 

「嫌だ!」

 

 

「嫌だじゃなくて!!」

 

 

 

「和善さんは俺の膝枕を心底嫌がってないだろ! 恥ずかしいとは感じているみたいだけど……でも、俺は匂いで分かるんだぞ!」

 

 

 

「ああああああああああああもうそういうところっっ!! とんでもねえ炭治郎くんだわ!!!」

 

 

 

 

 匂い嗅ぐなよ! そんで俺の心を読み取るなよぉぉぉ!!!

 

 

 いや確かに炭治郎くんの膝枕を嫌がるわけないけどね!! だって君の好意は嬉しいものだよ!

 俺は今までそういう好意的なの向けられたの善逸とか煉獄さん家とかそういうぐらいだからさ!!!

 

 

 

「早く怪我が治るといいな」

 

 

 

「う、うん……。でももう平気な方だよ?」

 

 

「何を言っているんだ。まだ怪我が治っていないんだから安静にしなきゃ駄目だろ」

 

 

「ハイ……」

 

 

 

 まあそうだろうね。

 でも俺はずっとずっとこうだったし。怪我だってもう慣れたもんだ。

 

 重傷で死にかけたといっても七年間での特訓で呼吸による怪我の完治を促進するやり方だって分かっているんだ。

 

 

 ちょっとずつだけど、楽にはなってきてるし、歩けるようにはなっている。

 

 

 もう一か月以上は経っただろうなとは思う。

 怪我をしている当時、俺の手伝いをしてくれるカラスは全く姿を現さなかったのに、最近になって庭先の木の枝からじーっとこちらを眺めているから、そろそろ仕事復帰でもして行かなくてはならなくなったと思う。

 

 

 だからもう、大丈夫だと思うんだけどなぁ。

 

 

 

 

「炭治郎くん。俺の怪我はほぼ完治してるし、そろそろ―――――」

 

 

「駄目だ。和善さんは病み上がりの身体なんだから、もっと休んでいなくちゃだめだ」

 

 

「でも、俺もやらなきゃいけないことがあるんだけど……」

 

 

「和善さんのやらなきゃいけないことって何だ? 怪我をしなくちゃいけないほど過酷なことなのか?」

 

 

「うぐっ……いや、ね? 普段なら大丈夫なんだよ。いつもなら安全だし今回は特別なだけ」

 

 

「嘘だ。俺は匂いで分かるんだぞ。和善さんいつも危ないことしているだろう」

 

 

 

 悲しそうに、でもとても怒ったような音を立てて彼は笑う。

 ほかの子供たちが遊んでいるのに、いつもなら妹たちの面倒を見ているはずの長男とは違って何故かまだこちらに執着している。

 

 それはとても、駄目なことだ。

 いや、家族を想う心は全く同じなんだ。禰豆子ちゃんたちが構ってほしいと炭治郎君を呼べば二言返事でそちらへ向かうのだから。

 

 

 ただその時に、俺に対して「そこにいてくれ。布団から離れたら怒るぞ」と念を押してから行くのだ。

 

 

 

「……炭治郎くん。俺は男なんだよ。君はもっと可愛らしくて良い子を好きになるべきだ」

 

 

「それも嘘だ。というか、和善さん。俺があなたの性別に気づいてないとでも思っているのか?」

 

 

「うぐ……炭治郎くんや、ちょっとだけでもいいから匂いを嗅ぐのやめようか?」

 

 

 

 匂いで性別でも察したなこの野郎っ!

 ああもう炭十郎さんの件で分かっていたよ!!

 

 

 

(……炭治郎くんが人間で良かった)

 

 

 

 

 鬼も匂いとかで性別が察せられるなら藤の花のお香をもっと焚かせてやらなくちゃいけないかもしれない。

 炭治郎くんのような特殊な五感を持つ鬼がいたら、そいつに全て知られたらまずい。

 

 

 うん、ここから出たらもっとお香を焚こう。そうしよう。

 

 

 

「……炭治郎君は、何で俺を好きになったの?」

 

 

 

「分からない。気が付いたら和善さんのことが気になっていたんだ」

 

 

 

 

 ……でもさ。炭治郎くんは俺なんかよりももっとふさわしい子がいるはずなんだよ。

 俺よりも優先していい人たちがいるんだよ。

 

 

 もうずっと、そう思っているんだよ。

 

 

 

「炭治郎くんは家族のことが大事だろ? 俺なんかよりももっとやることあるんじゃないかな。

 

 ……俺も、君よりも大事な者のために、やることがあるから」

 

 

 

「…………和善さん、それ本気で言っているのか」

 

 

「もちろんだよ」

 

 

「……善逸って奴の、為なのか」

 

 

「ああ、もちろんだ」

 

 

 

 

 言ってはいけないことを言ったとでもいうかのように、彼の心が怒りに満ちる。

 怒りというか、嫉妬というか。

 

 目が細められ、眉が顰められる。

 

 

 

「和善さんは本当にずるいな」

 

 

 

 頬を撫でられ、顔が近づいて―――――。

 

 

 とっさに。炭治郎君と俺の間に片手で壁を作る。

 それにむっとした炭治郎君の顔が歪んで、壁となっている俺の手を握り締めてきた。

 

 

 ギギギッと力を込められても――――ほら、子供の力だからまだそんなに大したことないし……。

 

 

 

 

「駄目だよ」

 

 

 

「手をどかしてくれ。和善さん」

 

 

 

 いやいやいや、だから無理だってば!!

 

 

 

「嫌だからね。というか炭治郎くん!! 君は一体何をしようとしているのか分かっていてやってるのかな!!?」

 

 

 

「接吻だが?」

 

 

 

「接吻だが? せっぷんだが?」

 

 

 

 

 え、マジで言ってるの?

 

 

 ねえこれで本当に素でやらかしてるの?

 とんでもねえなこいつ!!!??

 

 

 

 

「……いやいやいや、炭治郎君そういうことはね。本当にもっと大人になってからやりなさい! 私があのっ……あー……あ、あの時されたことはなかったことにしてあげるから。

 

 君は後悔のないようもっと大人になってから、ね?」

 

 

 

 

 諭すように言うのに、何故か彼は怒ったような顔をする。

 

 

 

 

「何でなかったことにするんだ! 俺は後悔なんてしていない。――――和善さん、手をどかしてくれ」

 

 

 

「い、や、だっ!!!」

 

 

 

「でも和善さんは恥ずかしいみたいだけど、でも―――――」

 

 

 

「だから匂いを嗅ぐのを止めろって言ってんでしょうがああああああああああああああっっ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 ―――――結局、片手と両手での攻防戦は、竹雄くんが「兄ちゃんたち煩い! 花子が起きるだろー!」の声で収束する。

 

 

 

 

「……接吻とかそういうのはね。大人になったら、好きな人とやりなよ」

 

 

 

「分かった。なら約束だ和善さん」

 

 

 

「だから俺じゃなくてね……」

 

 

 

 

 彼が大人だったならそのまま俺をどうしたのか分からないぐらいには、複雑な音が鳴り響いている。

 

 何でこんなに縛られなくちゃいけないんだろうか。

 

 

 

 

「和善さんは、俺のこと嫌いじゃないだろう」

 

 

「……まあ、ね」

 

 

 

 

 私は、炭治郎くんのこと結構大好きだよ。

 君が大人になったら、どうなるのか分からないぐらいには。

 

 

 

 でも君は子供でしょう?

 

 

 

 

「君はまだまだ子供なんだから、もっと自由に生きなよ」

 

 

 

 まだまだ子供だというのに、早く大人になろうとする。

 長男だからと言っているときからそうだった。彼はたくさん我慢をしていた。

 

 まあでも、いつもならもう少し我慢しているはずの彼が、こんなにも素直に怒りの音を出すのは、俺に甘えている証拠かもしれないが……。

 

 

 いや、それでも子供らしいとは言えない。

 

 

 この心の音は、子供が出して良い音じゃない。

 

 

 

 

「炭治郎くん、ちゃんと考えてから行動しなよ。じゃないと後悔するよ」

 

 

 

 

 物事には優先すべき順位がある。

 

 怪我をしているからと言っても、もうほぼ治っているに等しい俺に向けて欲しいものじゃない。

 

 君はとても良い子だ。今まで出会ったことのないぐらい優しい心を持っている、とても良い子なんだ。

 大人になったらいろんな人が彼に惹かれるだろうと、思うぐらいには。

 

 

 ああそうだ。

 子供だからと冗談にしていてはいつか痛い目に遭うのは俺だ。

 

 俺なんかに執着してそれを後悔するときが、いつかきっと炭治郎くんに来るはずだ。

 

 

 だから気の迷いだと思ってほしい。

 

 

 あの好きだと言ってくれた時のまま―――――彼の心は、音が変わってきている。

 

 

 

 

「私なんかを好きになるより、もっと綺麗で可愛くて素敵な女の子を好きになるべきだよ」

 

 

 

 

 鈴の音が大きくなっている。

 執着が強くなっている。

 

 だから、この音を止めたい。

 俺じゃない誰かに向けて欲しい。

 

 

 

 

「―――ー後悔しないで生きて欲しいから」

 

 

 

 

 だというのに、何故か頬を膨らましてむんっ! とでも言うかのような顔になった炭治郎くんが本気で叫ぶのだ。

 

 

 

 

「……なら俺は後悔しないように生きる! 俺は長男だけど、和善さんの件は別だ!!」

 

 

 

「いやだからさぁ。後悔しないようにって言ってもこっちにその音を向けるんじゃないって言ってんだよ!!」

 

 

 

 

 頑固なのもいい加減にしろよ炭治郎くん!!

 後悔するのは君なんだからさ!!

 

 

 

 

「とにかく和善さんの身体は絶対安静だ! 話し合いはまだいつでも出来る!!」

 

 

 

「それ遠まわしに逃げるなって言ってるよねぇ!?」

 

 

 

「逃げるのか?」

 

 

 

「ああもう! 逃げませんよ!!! ヒノカミの神楽の件もあるからね!!!!」

 

 

 

 

 

 誰かあああああ!!!!!

 炭治郎くんに可愛い女の子紹介してあげてええええええええええええ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 





 月夜に照らされたそれらが影のように蠢く。


 逃がした獲物を捕らえるようにと、彼らは動く。




「匂う……ニオウゾ……良い匂イがスル……」


「ひっひっひぁああああ」


「こっちだッッ!!!」




 向かう先は、とある山―――――――。












追記
いろいろ考えてしばらく未完にします。
よろしくお願いいたします。

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