けものフレンズRクロスハート   作:土玉満

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【前書き】

このお話で、けものフレンズRクロスハートは第1章完結とさせていただきます。
この場を借りて、アイデアなどを貸して下さった皆様にあらためてお礼申し上げます。
第2章の構想などはまだなので、開始が少し遅れるかもしれません。
年明け辺りを目途に第2章開始できたらいいなあ、と思っています。

ここまでお付き合いいただきました皆様、あらためてありがとうございます。
第1章の結末がどうなるのか、是非お楽しみ下さい。
それではよろしくお願い致します。



第8話『騎士と野獣』(後編)

 

 既に日も落ちて街灯の明かりの中、騎士と野獣が対峙する。

 ともえと萌絵、ルリとユキヒョウがそれぞれに見守る中、クロスナイトとビーストの最後の攻防が始まろうとしていた。

 4人の見守る中、先に動いたのはビーストだった。

 その手に凄まじい量のサンドスターを集める。

 そしてジャキリ、と大きく爪を伸ばす。

 それは猫科特有の鋭い爪だった。

 これで繰り出す斬撃は如何ほどのものか、想像すらつかない。

 対するクロスナイトも左腕にサンドスターの輝きを集める。

 

「いくで…クロスナイトぉおおおおおおおおおおっ!」

 

 咆哮を上げつつクロスナイトへと野獣の爪を振るうビースト。

 対してクロスナイトはサンドスターを集めた左腕をガードにあげた。

 

「そんなもん…腕ごとバッサリやで!」

 

 ビーストの爪の一撃は間違いなくそれだけの威力を秘めていた。

 しかし…。

 

―ガキィイイイイイン!

 

 と金属音が響く。

 クロスナイトの左腕にはいつの間にか、丸形の盾が握られていた。

 

「ナイトシールド…です。」

 

 それはけものプラズムを変化させた盾だった。

 よくよく見れば中心にデフォルメされた犬の顔が描かれている。

 ともえと萌絵にはそれに見覚えがあった。

 つい先日ショッピングモールで買ってきたフリスビーに同じマークがついていたからだ。

 それを大型化させた盾がビーストの爪を防いでいた。

 そして、騎士には盾とセットでもう一つ、象徴的なものがある。

 それは剣だ。

 いま、クロスナイトの右腕にはサンドスターの輝きが集まって何か形を作ろうとしていた。

 

「くっ!」

 

 イヤな予感がして一度大きく飛び退るビースト。

 

「ナイトソードッ!」

 

 構う事なくクロスナイトは右腕にけものプラズムを変化させた剣を具現化させた。

 それは純白に輝く片手剣のような形状をしていた。

 独特の丸みを帯びた純白の刀身。

 そして切っ先も特徴的な丸みを帯びていた。

 

「い、イエイヌ……それ……。」

 

 ビーストは思わず変身前の呼び名でもってクロスナイトを呼びつつ信じられないものを見るような目で具現化した剣を指さす。

 

「言いたい事はわかります。ですが今は言わないで下さい。」

 

 だが、それでもビーストは言わずにはいられなかった。

 

「それ……。骨やん。」

「言わないで下さいって言ったじゃないですかああああああっ!?」

 

 そう。

 クロスナイトが具現化させた純白の片手剣は骨の形をしていた。

 剣、というよりは剣の柄をつけた棍棒ともいうべき代物だった。

 しかも骨型の。

 

「だ、だって刃物とかじゃアムールトラが大怪我しちゃうでしょう!?」

「いや、でもこの場面で骨って!?締まらへんやないか!?」

「しょうがないじゃないですか!?ちょうどイメージ出来そうなのがコレしかなかったんですよ!?」

 

 そんな言い合いに緊張をもって見守っていたともえ達もルリ達も「これ、喧嘩なのかなあ?」と疑問に思わずにはいられなかった。

 イエイヌとアムールトラがかつて住んでいた世界にも、けものプラズムを変化させて武器として持っているフレンズがいた。

 いま、クロスナイトが具現化させたナイトシールドとナイトソード(鈍器)はそれだった。

 けものプラズムを変化させるにはイメージが重要、とかつてナイトチェンジャーを貰った時、萌絵はそう言った。

 だからフリスビー型の盾と骨型の剣をイメージしたら具現化出来ると思ったのだ。

 狙い通りにフリスビー型のナイトシールドはビーストが繰り出した必殺の爪を阻んでいる。

 そして…。

 

「いきますよ!アムールトラっ!」

 

 たとえ不格好だとしてもその剣は騎士、クロスナイトの意地を込めた剣だ。

 クロスナイトが大上段から振り下ろすナイトソード(鈍器)をビーストの黒いオーラを固めた爪が迎撃する!

 

―ガキィイイン!

 

 再び響く金属音。

 ビーストの爪が弾かれた。

 だが、すかさず逆の爪を振るい反撃に転じるビースト。

 それもクロスナイトのナイトシールドが攻撃を阻む。

 そして一度振り下ろしたナイトソード(鈍器)を逆袈裟切りの要領で振り上げるクロスナイト。

 それはビーストが後ろに飛び退ってかわした。

 だが、ナイトソード(鈍器)は再び上段からの振り下ろし攻撃へと移っている。

 これはかわせない、と思ったビーストは両腕を交差させて残るサンドスターを集めて防御の構えだ。

 対するクロスナイトもここが最後のチャンスと残るサンドスターを剣に込めて叫ぶ!

 

「ナイトスラァアアアアアアアッシュ!!」

 

 クロスナイトの新必殺技、ナイトスラッシュ(殴打)が交差したビーストの両腕のガードに叩きこまれる。

 

―ドンッ!

 

 と見守るともえ達のところまで衝撃が空気を揺るがし伝わってくるかのようだった。

 クロスナイトがビーストのガードにナイトソード(鈍器)を叩きこんだ体勢のままでしばし固まる。

 と…。

 

―ピシリ。

 

 と音が響くと…。

 ビーストの嵌めた手枷、ビーストドライバーにヒビが入り、それはどんどん広がっていってついに、バキン!と音を立てて壊れてしまう。

 それと同時にビースト状態が解除される。

 ニヤリ、と笑うアムールトラ。

 最後の一撃、狙いは最初からビーストドライバーだったのだろう。

 ルリの為にともえ達の命を狙った自分と

 ともえ達の為だけでなくルリとそして喧嘩相手のはずの自分の為にすら戦っていたクロスナイトことイエイヌ。

 最初から気持ちの上では負けていたのだ。

 

「お前の勝ちや。」

 

 それだけを言い残して仰向けにどさりと倒れ込むアムールトラ。

 

「これで1勝2敗、という事になりますが……。二度とごめんですからね。こんなの。」

 

 言いつつ変身解除したイエイヌはアムールトラへと手を差し出す。

 アムールトラがその手をとった時、イエイヌの顔は嬉しそうに笑顔へと変わった。

 その顔を見れた今、不思議とアムールトラには敗北の悔しさも後悔もなくなっていた。

 そんなイエイヌの顔をもう少し見ていたい、と思いながらもアムールトラは意識を手放した。

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

「やったのだー!アムールトラも目を覚ましたのだー!」

「おおー。よかったねえ、アライさーん。」

 

 次にアムールトラが目を覚ました時、目の前にはアライさんとフェネック、博士助手にサーバル、そして救急箱を持ったかばんがいた。

 ここは一体どこだろう、という疑問が浮かぶ。

 

「ふっふっふー。二人とも泥んこだったからアライさんが綺麗にしてやったのだ。アライさん、なんだかんだでそういうのは得意なのだ。」

 

 と目の前のアライさんはその疑問には答えてくれそうもなかった。

 かわりに救急箱から消毒薬とガーゼを取り出したかばんが答えてくれた。

 

「実はボク達もともえさんの怪我が気になって遠坂さんのおうちに来てたんですよ。」

「そしたらともえちゃん、ちょっとお留守番お願いって言って出て行っちゃうんだもん。ビックリしたよー。」

 

 と、かばんの後を続けるサーバル。

 どうやらここはともえ達の家、遠坂家のリビングだとようやくわかったアムールトラ。

 

「そ、そうや!?ルリは!?」

 

 と慌てて身を起そうとするアムールトラであったが全身の痛みに顔をしかめる。

 

「まったく、少し落ち着け。この大馬鹿者めが。」

 

 というユキヒョウの声が頭の上あたりから聞こえた。どうやら眠っていた自分のそばについていてくれたらしい。

 そして、ルリは、というと…。

 

「アムさん、起きた?」

 

 と、慌てて出てきたのか、着替える事なく制服姿のままだった。

 よくよく見まわしてみれば、イエイヌが全身の痛みに悶絶していたり、ともえがそんなイエイヌの傷に消毒薬を塗ったり、はたまた萌絵が難しい顔をしてパソコンに向かっていたり、春香がキッチンで料理していたりと何とも賑やかな光景が広がっていた。

 そこに赤いカラーリングのラッキービースト…ラモリさんがやってきて言う。

 

「アムールトラとイエイヌはしばらく動かず休んでイロ。イエイヌは野生解放の反動デ、アムールトラはビースト化に野生解放を重ねた反動デ、ソレゾレ全身筋肉痛のヨウナ症状が出てイルはずダ。」

 

 確かに、いま全身を襲っているこの痛みは筋肉痛を酷くしたものに思えた。

 イエイヌの方を見れば似たようなもののようで、プルプルと涙目になっている。

 とても勝者の姿とは思えない様子に思わずアムールトラも吹き出しそうになるが、笑うと腹筋がめちゃめちゃ痛んでしまった。

 しかし、いつまでも笑っている場合でもなかった。

 

「あのね、アムさんが寝てる間に色々聞いたの。」

 

 ルリの言葉に「そうか」と答えるアムールトラ。敗者である自分にはルリに正体を明かした事を責める事は出来ない。

 こうして一緒に過ごしているだけでもありがたいくらいだ。

 

「なんか私って他の人と違うなーとは思ってたけど、そういう事だったんだね…。」

 

 やはり、ルリにとってもショックだったんだろう。

 うなだれる姿に全身の痛みを我慢してアムールトラは手を伸ばしてルリの頬に触れる。

 

「ルリが悪い事なんて一つもない。」

 

 ルリはそんなアムールトラの手をとって、しかしゆっくりと首を横に振った。

 

「けど…私は生きてる限り誰かに迷惑を掛けちゃうんだよね…。」

 

 それが一番ルリにショックを与えていた。

 何と答えていいのかアムールトラにはわからなった。

 何の妙案も浮かばない。それは今も以前も変わらなかった。

 と、そこに萌絵がやってくる。

 

「それなんだけどね。何とかなるよ。」

「そうそう…。そう簡単に何とかなるわけ………は?」

 

 萌絵の一言にアムールトラの目が点になる。

 

「実はね。アムールトラちゃんが寝てる間にもかばんちゃんとアライさんにアライアナライズしてもらったり、ラモリさんにスキャンしてもらったりしてルリちゃんの事を調べさせてもらったの。」

 

 その萌絵の言葉にアライさんがめちゃめちゃドヤ顔をしていたが今は残念ながら褒めてあげる事は出来なかった。

 

「で、結果なんだけど、何とかなるよ。」

 

 もう一度、萌絵が言う。

 聞き間違えではない。

 萌絵は何とかなる、と言った。

 

「そ、それってルリが普通に暮らせるようになるっちゅうことか…?」

 

 信じられない、といったように聞くアムールトラに萌絵は即答で「うん。」と頷いてみせる。

 それを聞いた瞬間にアムールトラは全身の痛みにも構う事なく跳ね起きて萌絵に深々と頭を下げた。

 

「頼む!こんな事言えた筋合いやないのはわかってるけど、どうしたらええんか教えてくれ!ウチに出来る事は何でもするから!」

 

 それに萌絵はやはりコクリ、と頷くと、リビングのテーブルにノートパソコンを置く。

 

「あのね、これ、知ってる?」

 

 と、ノートパソコンのディスプレイに表示したのは何かの機械の図面のように見える。

 その場にいるほぼ全員がハテナマークを浮かべるなか、かばんだけが…

 

「あ、これ科学雑誌のバックナンバーですよね。確か…これって新型のサンドスターフィルター発生装置だったような…。」

 

 と答える。

 それに一同、思わずおおー、となっていたが次はそのサンドフィルター発生装置って何?とハテナマークを浮かべる。

 

「サンドスターフィルターはサンドスター・ローをサンドスターに変換する機械だったはずです。」

「これは社会の授業でも習ったのです。この装置は私たちの生活にも重要な役割を果たしているのです。」

 

 とこれには博士助手が反応出来た。

 

「そう。サンドスターフィルターは空気中のサンドスター・ローを回収してサンドスターに変換してその後、食品合成なんかにも利用されてるの。」

 

 萌絵の言う通り、この世界で一般的に食べられている肉類は植物由来の成分をサンドスターで変換させた合成肉が一般的だ。

 そうしたサンドスターを賄う為にも、工業用のサンドスターフィルター発生装置は一般にも普及していた。

 

「このフィルターってね、ある種の位相のエネルギーの波をサンドスター・ローにあてるフィールドを形成する事によってサンドスター・ローをサンドスターに変えるんだけど…」

「ご、ごめん。萌絵お姉ちゃん。もう少し簡単にお願い出来る?」

 

 何やらかばんと博士助手以外のみんなが頭からぷすぷすと煙をあげはじめるのを見かねて、ともえが遠慮がちに言う。

 少しばかり残念そうに嘆息した後、萌絵はもう一度考えて…。

 

「このサンドスターフィルターって“セルリウム”もサンドスターに変換できるの。」

 

 と大事な要点だけを一言で言った。

 

「なるほど!つまりわらわがこのサンドスターフィルター発生装置を大人買いすればよいわけじゃな!」

 

 とユキヒョウが勢いこんで言うが、それに萌絵は首を横に振る。

 

「それじゃあダメなの。この図面ってね、工業用の定点設置するものでフィルター発生範囲も数10mくらいなの。だからルリちゃんが普通に暮らすっていうのには向かないと思うんだ。」

 

 萌絵の言葉に、一同は、ならどうするのだろう。と疑問を浮かべる。

 

「だからね、作るの。名付けてパーソナルフィルター発生装置かっこ仮を!」

 

 力強い萌絵の言葉に押されて一同、おー。となっていたが、かばんだけが信じられないものを見るような目で萌絵を見ていた。

 

「理論上はいけるの。フィルター発生範囲をルリちゃん一人分にするかわりに出力を落として個人が持ち運べるサイズにまで機械をサイズダウンするの。」

 

 つまり、ルリにパーソナルフィルター発生装置(仮)を持たせて常にサンドスターフィルターで覆う。

 そうすることで、ルリが無意識に“セルリウム”を生み出してもサンドスターに変換してしまうからセルリアンも発生しなくなる。そういう作戦なのだ。

 

「そ、それならルリさんはこれからも普通に学校にいけますね…!」

 

 パッとイエイヌが顔を綻ばせてアムールトラを見る。

 アムールトラはまだ信じられない、というように目を見開いたままだ。

 

「あの…。本当にいいの?」

 

 と、ルリは遠慮がちに挙手する。

 そのルリの目の前に座る萌絵。

 

「あのね、ルリちゃん。メガネってあるじゃない?」

「う、うん。」

 

 何故いまそんな話を?という疑問はあったもののルリは頷いてみせた。

 

「車椅子とかもそうだし、補聴器とかもそうかな。こういうのってね、全部他の人とはちょっと違ったりしても一緒に暮らせるように誰かが考えて作ってくれたものなの。」

 

 確かに、巷には萌絵が今言ったものが溢れているし、この前行ったショッピングモールに売っていたフレンズ用の服だってそうだ。

 

「だからね。アタシが作るよ。ルリちゃんが皆と一緒に暮らせるようになるものを。」

 

 ルリの目をしっかりと見ながら萌絵は言った。

 それだけで、ルリは自分が普通の人とは違うセルリアンだ、というショックすら忘れてしまったかのようだ。

 

「萌絵さん…。お願いします。」

 

 ペコリ、と頭を下げるルリに、萌絵は腕まくりをしてみせると

 

「お姉ちゃんに任せなさい!」

 

 と高らかに宣言するのであった。

 

「じゃあ、アタシ、工房の方に籠っちゃうから。帰ってきたら多分いつも通りになってると思うからよろしくね。」

 

 というと萌絵はリビングを出ようとする。

 そこで心配そうなかばんと視線があった。

 この場でかばんだけが知っていた。

 萌絵が言う機械を作る事がどれだけ無茶なのかを。

 確かに、フィルター発生装置のサイズダウンは理論上可能かもしれない。

 だが、それを成し遂げるには本職の研究者でも難しいのではないか。

 萌絵は確かに成績優秀で機械工作も得意だ。

 けれども、フィルター発生装置を個人が携帯可能なサイズにする事は非常に困難であろう。

 例えて言うなら、ともえが運動が得意だからちょっとオリンピックに出て金メダル取ってくる、というくらい無茶だ。

 それを知っているかばんは萌絵に何かを言いたそうに手を伸ばした。

 が…。

 

「あのね。アタシの妹がね。すごく頑張ったの。」

 

 と萌絵は何か言いたげにしているかばんの唇にピッと人差し指を当てる。

 

「その頑張りを無駄にしたりしないように、お姉ちゃんのアタシもちょっと意地を張らないといけないなって、そう思うの。」

 

 それを聞いてかばんもまた頷きを返した。

 先程アムールトラが寝ている間にアライアナライズで調べたところ、ルリが次に“セルリウム”を大量に吐き出すのは時間の問題だった。早ければ明日の朝にはそうなってるかもしれない。

 だから、これは時間との勝負でもある。

 そして、今、萌絵が出した解決策を実現出来るのは彼女自身を置いて他にいない。

 

「それにね。これだけで幸せになる女の子がいるんだもん。意地を張る理由としては十分じゃない?」

 

 萌絵の言葉にかばんは納得していた。

 やはり萌絵はクロスハートの姉なのだ、と。

 多少形は違えども、萌絵もまた彼女にしか出来ない戦いに赴くのだろう、と。

 

「わかりました。お願いします。クロスハート。応援が必要な時はいつでも呼んで下さい。」

 

 その言葉に一瞬目を丸くする萌絵。

 しかし、すぐに嬉しそうに笑う。

 かばんが自分を一緒に戦う仲間と呼んでくれたのだ、と理解したからだ。

 

「うん、任せて。クロスシンフォニー。」

 

 クロスハート、クロスナイトに続く三人目のクロスハート、遠坂萌絵の戦いは今から始まる。

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

 遠坂家、地下工作室。通称『工房』

 作業着に着替えた萌絵がパチン、と自分の頬を叩いて気合を入れる。

 みんなの前では余裕を見せた萌絵であったが、やせ我慢もいいところだった。

 既にアムールトラが眠っている間に、パソコンでざっとパーソナルフィルター発生装置の試作案を考えていたのだが、その試算総重量は78.4キログラム。

 だいたい小型の冷蔵庫くらいの大きさになりそうだった。

 けれど、それではルリが持ち運ぶ事が出来ない。

 アムールトラに持ち運んでもらう、という手もないではないが、それでは到底普通の暮らしとは言えないだろう。

 なので、ここからさらにどうやってサイズダウンしていくのか、それが問題だった。

 既に工業用の定点設置するものに比べれば劇的なサイズダウンを果たしているのだが、ルリが必要としているものにはまだ足りない。

 

「まず、素材をさらに軽量化して…、さらに機能をなるべく簡略化して…。あといらない部分は全部外して…。」

 

 工房の作業テーブルには萌絵の手によって次々と改良案を書いた紙が散らばっていく。

 その改良案の中で、最も軽量化できたもので総重量59.8キログラム、という試算結果が出ていた。

 どうする、と萌絵は焦りと共に思考する。

 ここで妥協するのか。

 この今出来ている試作案でも機能としては十分だ。

 急場をしのぐ事は出来るだろう。

 そうして時間を稼いで…、もっと優秀な大人…、そう、彼女達の父親のような人にもっとよいものを作ってもらう事だってできるのではないか。

 

「ううん。ダメだよ。」

 

 萌絵はその考えを頭を振って追い出す。

 この意地は自分が張ったものだ。

 ともえのように運動が得意でもないし、イエイヌのようにセルリアンと戦う力もない。

 それでも萌絵は今日まで勉強を頑張って来た。

 今日、今この瞬間ほど、勉強を頑張って来てよかったと思えた事はない。

 だから、萌絵は今日この日の為に、この戦いに勝利する為に今まで生きてきたと思える。

 この勝負を他の誰かに明け渡すなど、決して出来ない。

 探せ。

 まだあるはずだ。

 どこかに突破口が…!

 萌絵は幾度目かになるパーソナルフィルター発生装置の試作案を作る為にもう一度パソコンに向かう。

 と、メーラーに新着のメールが来ている事を示すマークが踊っていた。

 新着メールは2件。

 どうにも気になってメールソフトを立ち上げる萌絵。

 新着メールの差出人は一人は『Dr.T』となっていた。件名は『小さな科学者さんへ』となっている。

 

「Dr.T…。一体どこのお父さんかなあ。」

 

 と言いつつメールを開いてみれば、添付ファイルで最新のサンドスターフィルターに関する資料が添付されていた。

 きっとラモリさんが、父親へと事の次第を伝えたのだろう。

 そして送られてきた資料はきっと助け船であった。

 だが、もう一件のメールは心当たりがなかった。

 差出人は『Professor.W』となっていていよいよ心当たりがない。件名はないので取り敢えず開いてみると、メール本文に『娘たちが迷惑をかけてすまない。役に立つかわからないが送っておく。』と短い文章が書いてあった。

 添付ファイルもかなりのサイズだ。

 一応ウィルススキャンもしてみて安全を確認してから添付ファイルを開いてみる萌絵。

 

「これって……“セルリウム”がサンドスターに変換される際に発生する位相変換エネルギーの活用方法…!?」

 

 『Professor.W』なる人物が送ってきたメールには随分とピンポイントな研究論文が添付されていた。

 水が高いところから低いところに落ちる際、位置エネルギーを発生するように、“セルリウム”がサンドスターに変わる際にもある種のエネルギーが発生する、とその論文では語られている。

 さらに、それを回収して活用する方法が論文につづられていた。

 

「ちょっとまって…。これをエネルギー源にしたら、そもそも電源の為のバッテリーもいらなくなるってことだよね…。ってことはもっと軽量化できるよ!」

 

 ついに求めていた突破口が見つかった。

 だが、これで電源用のバッテリーを丸々外したとしても軽量化できるのは10キロ前後が関の山だろう、と萌絵はあたりをつけていた。

 けれども、まだ見落としがあるとわかっただけでも大きい。

 今度は父親が送ってくれた資料を漁ってみる。

 これはインターネットなどで公開されているサンドスターフィルターよりも、より詳細な設計図も入っていた。

 これらはもちろん工業用のもので、今作ろうとしているヒト一人分の範囲のフィルターを発生させるようなものではない。

 けれども、数種類のフィルター発生装置の図面を見ているうちに、萌絵はある事に気が付いた。

 

「フィルター発生装置って主に4つの力場発生装置が必要なのってどれも変わらないんだね…。」

 

 それはどの図面でもフィルターを発生させるのは4種の別々な力場の発生装置が組み込まれている事だった。

 それら4つの力場発生装置が組み合わさって一つのフィルターを発生させる仕組みとなっていた。

 

「けど、これって別に一つのユニットに収める必要ってないよね…。」

 

 その思いつきにそうか、と何か閃きのようなものが過る。

 

―バサァ!

 

 瞬間、萌絵は作業テーブルの上に散らばった今までの試作案を全て手で払い落した。

 床に紙が散らばるが構わない。

 そう、今までの発想自体に間違いがあったのだ。

 工業用のフィルター発生装置をそのままサイズダウンさせるのではなく、フィルターを発生させる4つの力場発生装置をそれぞれにサイズダウンさせるべきだったのだ。

 通常なら一つのユニットに収めた方が電源の共有化などが図れるから軽量化もしやすくなる。

 しかし、他のエネルギー源にあてがある今、4つのユニットを作って4つで一組のフィルター発生装置にしたって構わないのだ。

 猛烈な勢いで設計案を書いていく萌絵。

 そうだ。

 別にこの戦いには一人で臨んでいるわけじゃない、と思い至る萌絵。

 さっき資料を送ってきてくれた二人だっている。

 そもそも今、完成しつつある4つの設計案の総重量を試算している数式だって誰かが作ってくれたものだ。

 それら全てが萌絵の味方だ。

 それら全てがルリを救えと言ってくれているのだ。

 そうして試算された4つのユニットの総重量は……。

 

「1028……グラム…!?」

 

 文句なく合格ラインだった。これならルリだって問題なく持ち運べる。

 その結果に最初、試算を間違えたか、と計算を見直して間違いがない事を確認してからニマリと笑う萌絵。

 次は製図用の机に向かってより詳細な設計図を引いていく。

 その手は猛烈な勢いで動いていき、あっという間に4枚の設計図を完成させてしまった。

 そして、次はいよいよ制作だ。

 遠坂家地下工房ご自慢の3Dプリンターに火が入る。

 さらに各種工具達も出番を待っていた。

 腰に巻いた作業用ベルトに取りつけたポーチに各種工具を収めて戦闘態勢に入った萌絵。

 ふ、と思いついたように手を伸ばして一つポーズを決めて…

 

「変身、クロスハート…萌絵フォーム…?」

 

 と言ってみた後、慌てて真っ赤になる。

 さすがにこれは妹たちには見せられないなあ、なんて思う萌絵だった。

 しかし、仮にギャラリーがいたとしたって彼女を笑う者は誰もいなかっただろう。

 例えセルリアンと戦う力がなかったとしても、少女の幸せの為に全力を振るう姿はまさにヒーローのそれだった。

 遠坂萌絵の戦いはまだ始まったばかりだ。

 

 

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 時間はもうすぐ日付も変わろうかという頃に差し掛かっていた。

 テーブルには萌絵の分の食事だけがラップをかけて置いてあった。

 ちなみに、今日は急遽大人数になったのでカレーライス&サラダというメニューになっていた。

 萌絵を待つ一同も少しウトウトとしはじめていた。春香だけがテーブルでコーヒーの入ったマグカップを傾けている。

 一同まだ眠るわけにはいかない。

 特にともえとかばんには重要な役割がある。

 もしもまたルリが“セルリウム”を生み出してしまったなら即座にセルリアンになる前に駆除してしまう、という役割だ。

 セルリアンと戦う力のあるフレンズであるイエイヌとアムールトラが揃って技の反動でダウン中の今、それは二人にしか出来ない。

 

「ともえさんは怪我は大丈夫なんですか?」

 

 と訊ねるかばん。その肩にはサーバルが頭を乗せてうとうとしていた。

 

「あ、うん。なんでかな?もう治っちゃったみたい。」

 

 そう首を傾げるともえ。ラモリさんの診断でも、折れた肋骨はもう繋がっていた。

 

「多分、変身するようになった影響でしょうね。ボクもサンドスターが十分な時は怪我の治りが早いですし…。」

「おお……。サンドスターってほんと万能だね…。」

「ですね…。」

「イエイヌちゃんとアムールトラちゃんも早くよくなればいいんだけど…。」

 

 ともえが言う通り、イエイヌとアムールトラはまだ全身の痛みで悶絶していた。

 先よりは幾分マシになってきているが彼女達二人だけは痛みのせいでうつらうつらとすら出来ずにいた。

 この回復具合なら明日の朝くらいにはまともに動けるようにはなるだろうが、それまではちょっと大変そうだ。

 事実、今日のご飯はイエイヌはともえと春香に、はい、あーんされていたし、アムールトラはルリとユキヒョウに同じようにされていた。

 ふと周りを見渡せばルリはユキヒョウとアムールトラ達と一緒に、博士と助手はそれぞれ寄り添うようにして、フェネックはアライさんの鼻ちょうちんを割って遊びながら欠伸してそれぞれに眠たそうにしていた。

 誰もが萌絵の帰りを待っているのだろう。

 と。

 

―ガチャリ

 

 とリビングの扉が開いて萌絵が戻って来た。

 かなりゲッソリと疲れた様子の萌絵。

 それでも開口一番にこう言った。

 

「パラパパッパパーン。パーソナルフィルター発生装置かっこかりー。」

 

 既にテンションがおかしくなっている萌絵であった。

 その手には髪留めが二つ。ベルトポーチが一つ。そしてジャパリまんの形をしたキーホルダーが一つ、掲げられていた。

 一同跳ね起きて萌絵の周りに集まる。

 ジャパリまんの色はピンク色、髪留めは少し大きめの花を象ったもので、それぞれ白と青のものが一つずつ、そしてベルトポーチは黒い色をしていた。

 

「まあ、説明は後にして、ルリちゃん、早速つけてみてくれる?」

 

 と、萌絵がルリの身体にそれぞれ4つのパーソナルフィルター発生装置をつけていく。

 髪留めは萌絵が持ってきたものにそれぞれ交換して、ベルトポーチは腰の後ろ側にベルトで留めた。

 ジャパリまん型のキーホルダーはベルトポーチの前側の取り付け具のところに引っ掛けた。

 すると、ルリの周りに薄っすらとした輝きが生まれる。

 

「サンドスターフィルター。正常ニ稼働開始ヲ確認したゾ。」

 

 と見守るラモリさんが言う。

 どうやら動作は上手くいっているようだ。後は本当にルリが生み出す“セルリウム”をサンドスターに変換できるかどうかだが…。

 ルリの周りに時々サンドスターの微かな輝きが見てとれる。

 

「あー…。ルリちゃんの周りがやたらキラキラしちゃうって問題はあるかもだけど…、逆に言えばそのくらいだから…。」

 

 と、萌絵は申し訳なさそうに言うが、そんな事は今まで抱えていた問題に比べたら些細すぎる。

 と、クシュン!とルリがくしゃみをすると同時、周囲にぶわっ、とサンドスターの輝きが広がる。

 

「うん、“セルリウム”の量が増えてもサンドスターへの変換は問題ないみたいだね。」

 

 その様子に満足そうに頷く萌絵。

 集まっていたみんなも期待を込めた眼差しを萌絵に向ける。これでルリはもう大丈夫なのか、と。

 

「これから経過観察とかは必要かもしれないけど、それでももう大丈夫だよ。」

 

 と萌絵は頷いてみせた。

 それにだんだんと喜色が一同に広がっていく。

 

「やったああああああああああっ!萌絵お姉ちゃんありがとおおおおお!」

 

 とイエイヌが萌絵に飛びつき、

 

「お姉ちゃんやったね!すごいよ!」

 

 とともえが一緒に飛びつき、二人がかりでサンドイッチにされていたがそれだけでは終わらなかった。

 

「あ”り”がどぉ”ぉ”っ!」

 

 と涙でくしゃくしゃになりながらアムールトラが飛びついていたからだ。

 

「ちょお!?アムールトラ!?萌絵お姉ちゃんが潰れます!?気持ちはわかりますが落ち着いてぇええ!?」

 

 イエイヌが変わりに矢面に立ってアムールトラを受け止めていた。

 

「でも、よかったです。今までよく頑張りましたね。」

 

 そのイエイヌの言葉にアムールトラは彼女の胸に顔を埋めて何度も頷きながら泣きじゃくるのだった。

 そんな場面を相変わらず静かに見守る春香。

 子供たちが頑張っている今、大人の出番はないようであった。言いたい事は我慢して見守る事に徹していたが、どうやら娘達は自分が思っていた以上に成長してくれていたようだ。

 しばらくの間、アムールトラの泣き声だけが聞こえていたが、いつの間にやら静かになっている。

 萌絵も、萌絵の帰りを待っていた一同も、そして泣きつかれたアムールトラもどうやら眠気の限界はとうに突破していたらしく、安心したかのようにそれぞれ寝息を立て始めていた。

 

「あらあら。」

 

 どうやらここで大人の出番のようである。

 まずはみんなが風邪をひかないように人数分の掛布団を出してこないといけない。この人数分の布団の用意は大変だがどうにかするしかあるまい。

 それに明日は学校だってある。朝食の準備にお弁当も準備してあげないと。

 みんなでお団子のように寄り添って眠る一同の姿に一つ微笑んでから春香は大人の勤めを果たしに動くのだった。

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

「も、もうー!?!?な、なんであれだけいて全員お寝坊しちゃうかなー!?」

 

 翌朝。今日は金曜日。

 遠坂家から学校への通学路は賑やかだった。

 ともえは朝の出がけに春香が口に咥えさせてくれたトーストを飲み下してから叫ぶ。

 一緒に走るイエイヌ、萌絵、かばん、サーバルに博士助手とアライさんとフェネック、そしてアムールトラにルリとユキヒョウ、それぞれの口にも同じようにトーストが咥えられていた。

 昨夜はあまりにも遅くまで起きていた一同。

 この遅刻確定の状況も無理もない事に思えたが教師達にその事情を説明するわけにもいくまい。

 ちなみに、イエイヌの手には運動会などで使う重箱のお弁当箱が4段重ねで持たされていた。春香が「今日のお昼はみんなで食べてね。」と全員分をまとめて用意してくれたものだ。

 そこまで気をまわしてくれるのなら、遅刻する前に起こしてくれればいいのに、とは思わなくもない。

 とにもかくにも、今は遅刻を何とか回避する方が先決だ。

 

「こうなったらかばん、アレをやるしかないのです。」

 

 と博士が言って、それにかばんが「えぇー…。」と困ったような顔をする。

 

「仕方がないのです。我々はこの学校の長だったので他の生徒の模範とならなくてはならないのです。決して先生に怒られるのがイヤだから言ってるわけではないのですよ。」

 

 今度は助手が博士への援護射撃を飛ばした。

 

「それともー…、またサーバルにお姫様抱っこされて登校する方がいいー?」

 

 とニヤニヤしながら言うフェネックの言葉が決め手となったのか、かばんは諦めの嘆息と共に頷いてからやけくそ気味にこう叫んだ。

 

「変身!」

「「「「「「クロスシンフォニー!」」」」」」

 

 叫びと同時にサンドスターの輝きが周囲を満たして、一瞬後に現れるのはアフリカオオコノハズクシルエットのクロスシンフォニーだった。

 幸いにして通学路には人影もなく目撃される心配もなさそうな今、これは効率のよい手であった。

 

「じゃ、じゃあ皆さん、またあとで学校で。」

 

 とあっという間に飛んでいくクロスシンフォニー。ちなみに隠密性の高いアフリカオオコノハズクシルエットを使っている辺り、ちゃっかりしたものだ。

 

「ああー!?ず、ずるくない!?」

 

 と、ともえは叫ぶ。だがその頃には既にクロスシンフォニーはもう空の彼方だった。

 

「うーん、じゃあユキさんは私が運ぼうか。」

 

 と言いつつヘバりつつあったユキヒョウをお姫様抱っこ状態で抱えたのは何とルリだった。

 続けて萌絵の作った髪留めでまとめられた二つ結びの三つ編みのうち一本をうにょーん、と別な生き物のように長く伸ばした。

 そして、先端がガバリ、とワニの口のように変化して近くの民家の屋根を掴む。

 それを元の長さに戻しつつ自分の身体を民家の屋根の上へと引っ張り上げるルリ。

 

「じゃあ、私とユキさんも先行ってるねー。」

 

 言うが早いかユキヒョウを抱えたルリは三つ編みを交互に伸ばしてあっという間に消えていった。

 ユキヒョウの悲鳴が遠ざかっていくのはこの際見なかった事にしておく。

 

「ルリちゃん…いつの間にあんな事出来るようになったの。」

 

 まるでどこかのアメコミヒーローもかくやと言わんがばかりの立体機動に目を丸くするともえ。

 

「ああー…。なんかセルリアンだっていうのを自覚したら、色々出来る事が増えたらしい。今のもその一つらしいで。」

 

 置いていかれた格好のアムールトラは苦笑しながら教えてくれた。

 そうしてから、ダンッ!と大きくジャンプするアムールトラ。こちらもルリを追ってすぐに消えていった。

 これで残るのはともえとイエイヌとそして萌絵だけだ。

 既に息も絶え絶えの様子で走る萌絵。

 こうなってしまっては彼女達だけが真面目に走るのがバカらしくなってしまう。

 

「しょうがないよね。」

「今日はしょうがないんじゃないかと。」

 

 と頷き合うともえとイエイヌ。

 ともえはもう既に限界を迎えつつあった萌絵を抱き寄せてヒョイと抱え上げる。

 

「ふえ!?と、ともえちゃん!?こういうのはお外じゃなくておうちでー…ってまさかまたアレやるの…?」

 

 急にお姫様抱っこにされた萌絵は最初戸惑いの声をあげたがすぐに二人が何をするつもりなのか理解した。

 前にも同じ事があったからだ。

 萌絵に頷きつつ二人の声が通学路に響いた。

 

「「変身!!」」

 

 

 

 この物語はフレンズの姿に変身する不思議な力を得た少女、遠坂ともえとそのパートナー、イエイヌの物語である。

 セルリアンの魔の手から家族と友達とそして平和な日常を守るのだ。

 彼女達の戦いはまだまだ続く。

 戦え、クロスハート。

 差しあたってまずは遅刻回避だ!

 

 

 

けものフレンズRクロスハート第8話『騎士と野獣』

―おしまい―

 






【登場人物紹介】

名前:宝条 ルリ
特技:家事全般 野外活動
好きな物:キャンプ 動物

ジャパリ女子中学校に通う1年生。最近転校してきたばかり。
とても背丈が低く、よく小学生の低学年にも間違えられる。
実は本人も自覚していなかったが知性を持つヒト型セルリアンである。
セルリアンと言っても性格は温厚そのもので一緒に暮らすフレンズのアムールトラやご近所さんのユキヒョウとは大の仲良し。
また、宝条家の家事の多くは彼女が担当している。
周囲の物に宿った“輝き”を吸収し、“セルリウム”に変えてしまうという体質であったが、これは萌絵の作ったパーソナルフィルター発生装置で解決した。
今はどうやら夢が出来たようでやたらと熱心に勉強に励んでいるようである。


名前:宝条 アムールトラ
特技:力仕事全般
好きな物:ルリ 手品

ジャパリ女子中学校に通う1年生。ルリと一緒に転校してきたアムールトラのフレンズである。
身長も高く、豊かな体躯をしているせいかよく年上に間違えられる。性格的にも姉御肌で面倒見のよい一面がある。
一緒に暮らすルリの事をとても大切にしている。
実はイエイヌが以前住んでいたのと同じ世界からやって来ており、セルリアンと戦う力も持っている。
元ビーストであったが、今は普通のフレンズとして生活している。
なお、ビースト化を制御する機械『ビーストドライバー』を所持していたが現在は壊れてしまっており使えない。
趣味は手品だったりするが、まだ練習を始めたばかりで難しい事は出来ない。
以前、ルリに見せたら物凄く驚かれて以来ハマってしまったらしい。


※宝条 ルリ。宝条アムールトラの両名はニコニコ静画にて発表されたパン耳氏のキャラクター『るり』を原案にさせていただいております。

https://seiga.nicovideo.jp/seiga/im9160620
https://seiga.nicovideo.jp/seiga/im9158625

 『るり』の名前を片仮名表記のルリに変えさせていただいたのは、SSという作品の都合上です。
 どうしても平仮名表記のままだと文中に名前が埋もれてしまい、判別しづらかった為に変えさせていただきました。
 また、作品設定、世界設定上の都合や役割を持たせる為に、一部設定などを改編させていただいております。
 ネタバレ防止の為、パン耳氏原案のキャラクターである事の発表が遅れてしまい、申し訳ありません。
 あらためて、原案の『るり』とパン耳氏にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。
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