名前:ヘビクイワシ
特技:書道 空手
好きな物:記録する事 生徒会メンバー
ジャパリ女子中学2年生。
凛とした雰囲気の鳥系フレンズ。身長も高くスラリと伸びた足が印象的なモデル体型。
長い銀髪にメガネをつけたクールな印象を与える顔立ち。
生徒会に所属しており、会議の進行から議事録の作成まで一手に引き受ける。
また文武両道で習っている空手の腕前も中々のもの。
その長い脚から繰り出される蹴り技は多彩の一言だ。
密かに女子人気も高く、ヘビクイワシファンクラブも存在する。
午後の体育の授業でともえがめちゃくちゃ張り切ったり、うっかりサッカーの授業でオーバーヘッドキックでゴール決めてみせたり、でもってその活躍でまたともえちゃんファンクラブの会員が増えたりしつつ午後の授業も終わって放課後。
ともえと萌絵とイエイヌの三人とラモリさんは美術部の活動場所である美術室へ集まっていた。
「イエイヌちゃん。ここが美術室だよっ。アタシと萌絵お姉ちゃんは美術部なんだー。」
ジャーンとでもいいたげな感じで手を広げてみせるともえ。
「へえ…なんだか嗅いだ事のない匂いが色々としますね…。」
「多分絵の具の匂いだね。油絵の具の匂いとか結構独特だから。イエイヌちゃんは平気?」
「はい。最初は少しびっくりしましたが慣れて来たら平気になってきました。」
「一応、換気ハ良くシテオコウ。」
「そうだね、ラモリさん。窓開けておくね。」
三人で窓を開けて回ると、そよそよ、と優しい風が通り抜ける。
「それじゃあ、今日の活動はヘビクイワシちゃんが来たら、ノートの記録を基に絵を描くって事でいいかなあ?」
萌絵は改めるように、パン、と手を打ってからともえとイエイヌを見る。
「さんせーい!イエイヌちゃんも一緒に描いてみる?ここには画材も揃ってるから。」
「あのあの、わたし、ちゃんと文字が書けるようになりたいですっ!」
「えらい、イエイヌちゃん!じゃあ、イエイヌちゃんの今日の部活は文字の練習にしようっ」
「わたしもブカツ…。ともえさんと萌絵さんと一緒にブカツ…えへへ…ブカツっていうのがなんだかよくわからないですけど一緒なの嬉しいです。」
イエイヌはほにゃんとした笑みで尻尾をぶんぶんと振る。
「もう!もう!本当にイエイヌちゃんは可愛いなあ!」
「ほんとにね!」
で、そんなイエイヌはともえと萌絵に抱き着かれて再びサンドイッチ状態にされちゃうのだ。
「もう…。お二人とも苦しいですよお…」
とは言いつつもイエイヌもすっかり慣れてしまったのか身を任せるようにして満更でもない様子。
と、イエイヌの顔がだんだんと笑顔から強張ってくる。
「どうしたの?イエイヌちゃん?」
そう心配そうに声をかけるともえに答えることなく窓に駆け寄るイエイヌ。外から入ってくるそよそよと優しい風に混じって微かに匂うのは…。
「セルリアンの匂い…。」
窓の外に鋭い視線を投げつつ鼻を鳴らすイエイヌ。間違いであってくれればいい。と、その願いは皮肉にも自慢の鼻が打ち消してくれる。
「それに…、この匂い。ヘビクイワシさんが近くにいるかも…!?」
「そういえばあっちの方って旧校舎がある方だよ…。今日、ヘビクイワシちゃんは生徒会のお仕事で旧校舎に備品とりにいくって…。」
ともえも一緒に窓の外を眺めて不安に顔を曇らせていく…。
「ダメです…そっちにいったら!ヘビクイワシさん!」
イエイヌは窓枠を掴むとバッ、とそのまま窓の外へと身を躍らせる。
「ちょ…!?イエイヌちゃん、ここ2階だよぉ!?」
突然窓の外へと飛び出したイエイヌに驚きの声をあげる萌絵。
イエイヌはというと特に気にした様子もなく着地、そのまま一直線に旧校舎のある方へと駆けだす。
「イエイヌちゃんっ!?萌絵お姉ちゃん、アタシ、追いかけるね!」
同じく窓枠に足をかけて近くの雨樋パイプへと飛びつくともえ。そのままスルスルと雨樋を伝って下に降りるとイエイヌを追って走り出すのだった。
の の の の の の の の の の の の の の
ヘビクイワシは旧校舎の前までやってきていた。今日はともえ達との約束もある。
手早く目的の備品を探し出して仕事を終わらせてしまおう。
そうしたら美術室にいこう。
一緒に好きなものの話をしよう。
絵、というものを教わるのも面白そうだ。
そうだ。イエイヌにも文字の書き方を教えてあげないと。
まだ稚拙だけれど一生懸命さが伝わってくる文字だった。
あれは磨けば必ず伸びる。
そんな取り止めのない思考で頭の中を一杯にしたまま旧校舎のドアに鍵を差し込むヘビクイワシ。
―カチャリ。
と鍵が開いて扉をあけた瞬間…。
―ザァアアアアアアアッ!
と扉から飛び出す真っ黒い奔流!
「え?」
と呆けた顔でその奔流の激突を受けるヘビクイワシ。
ぽぉん、とまるでサッカーボールか何かのように空高く弾き飛ばされる。
最初に青く広いいつもの空が見えて、弾き飛ばされるに任せたヘビクイワシ。
「え?」
まだ自身に何が起こったのか理解が追い付かない。
その身が下向きになった時、その目に飛び込んで来たのは真っ黒い大蛇のような何か。それが大口を開けて迫ってくる。
「ひっ…!?」
大きく開いた大蛇の口の闇のような口内が迫ってきて、ヘビクイワシはあまりの恐怖にその意識を失った。
「させるものですかぁあああああああああああっ!!」
そこに矢のように飛び込んでくるイエイヌ。咆哮と共に黒い大蛇へ体当たりをぶちかます!
―ゴォオオン!
鐘を打つような金属音が辺りに響く。黒い大蛇の頭がイエイヌの体当たりで傾いでヘビクイワシを喰らい損ねる。
「ヘビクイワシさんっ!」
そのまま空中でヘビクイワシをキャッチするイエイヌ。
「ヘビクイワシさん…。よかった気を失ってるだけです…。」
手近な木の影にヘビクイワシを横たえたイエイヌ。あらためて黒い大蛇セルリアンと向き合い対峙する。
「なんて大きさのセルリアン…。普段なら逃げないといけないところですが…。」
イエイヌは牙を剥き四つ足の構えをとって戦闘態勢に入る。
「ここで退けば学校が大変な事になります…。だから…!」
決意の言葉のかわりにイエイヌは
「あぁあああおおおおおおおおおおおおおんっ!!」
と学校中に響き渡るほどの遠吠えを一つ。
この遠吠えはウォーハウリングという。一時的にイエイヌの身体能力を高めるフレンズの技だ。
四つ足の体勢から、ザッ!とその場から掻き消える程の速度で一気に大蛇セルリアンの懐に潜り込むイエイヌ!
「ドッグバイトォ!!」
とサンドスターを纏った手を大蛇に叩きこみ、その身体を握り潰……せない!
「牙が通らない…!?」
そう、大蛇の身体が固すぎるのだ。
逆に近づいたイエイヌの周りをその身体で取り囲むように蛇の身体をくねらせるセルリアン。
そのまま捕まえて締め上げるつもりか。
「くっ!?」
さっと大きく距離をとって締め上げ攻撃を回避するイエイヌ。速度ではイエイヌの方が上だ。
鈍重な動きの大蛇セルリアンの攻撃なら十分にかわせる。だけど…
「決め手がありません…。」
例え『石』を見つけたとしてもそれに牙が通らなければセルリアンは倒せない。つまり…。
「わたし一人では…勝てない…。」
ギリリ、と悔しそうに歯を食いしばるイエイヌ。
「じゃあさ。二人だったらどうかな。」
静かな足取りで現れたのは、制服姿のともえ。
「一人でダメなら二人。二人でダメなら三人。イエイヌちゃんにはアタシも萌絵お姉ちゃんも、あとラモリさんもいるからね。」
そのままの足取りでイエイヌの隣に立ち大蛇セルリアンを睨みつける。
「変身っ!クロスハート、イエイヌフォームっ!!」
叫ぶと同時、持っていたスケッチブックからサンドスターの光が漏れ出てともえの身体を包み込む。
頭の上から犬耳がピョコンと生えて続けて尻尾がふわり。ニーソックスにアームグローブが両手両足を包み込む。
そして丈の短いカーディガンにミニスカートがそれぞれに纏わりついて首元から胴体にかけて赤いハーネスが結ばれてきゅ、っと服をフィットさせて胸元のささやかな膨らみを強調する。
最後に首元にネックウォーマーが巻き付きマフラー状に変化する。いつも使っている肩掛けを鞄に首を通して…。
「この間約0.02秒!」
と変身完了!
「ともえさん…。」
隣にともえがいる。それだけでイエイヌには心強い思いだった。
「それじゃあいくよ!イエイヌちゃん!」
「はい!ですが無茶だけはしないで下さいね!」
首を持ち上げるようにして二人に襲い掛かる大蛇。しかし、速さでは圧倒的に二人の方が上!
バッ、っとそれぞれに逆方向にかわして、大きく距離をとってから切り返し…。
「ドッグバイトォ!」
「ワンだふるアタァアアッック!」
とそれぞれに逆側から挟み込むように一撃!
―ゴォン!
と金属を打つ大音声が響く…が、
「なにこれ固すぎぃ!」
「はい、さっきからそれで攻めあぐねています!」
再び一度距離をとってから体勢を立て直す二人。
「それに『石』の場所もわかりません。」
「多分だけどね…。こいつの身体の中、空洞なんだよ。叩いた時、音が響いてたもん。」
「ということは、まさか…空洞の身体の中に『石』が!?」
二人の頬に一筋の汗が流れる。鉄のような固い皮膚に攻撃を通すだけでも大変なのに身体の中に『石』を隠されたのでは…。
「ともかく、『石』を見つけよう。叩いた時に音が違う場所に『石』があると思うの。」
「そういうことなら…わかりました!」
そこからは怒涛の攻めが始まる。
固く大きい大蛇セルリアンだがその動きは決して速くない。スピードで翻弄しながらまるで稲妻のように大蛇セルリアンを打ち続ける二人。
何度も鐘のような音が響き渡るが…、音の違う場所は見つからない…!
「くぅ…!このお!」
徐々に蓄積していく疲労に焦りを覚えたともえ。
今まで危険で攻撃してこなかった頭部への攻撃を敢行!
ついに…
―ガァン!
と大蛇の額部分で中身の詰まったような響かない音のする場所を発見!
「見つけた!あいつの額に『石』があるよ!」
が…
「いけません!ともえさん!」
蛇の頭部分は最も危険な場所だ。大蛇は身をくねらせて一度とぐろを巻いて身を縮める。
そしてまるでスプリングのように身体を伸ばしてともえに牙を剥く!
今までの鈍重さとは裏腹にバネのような動きでスピードを増した大蛇セルリアン!
かわせない…!
ともえも、そしてフォローに駆け寄っていたイエイヌもそう覚悟した刹那。
―ヒュゥ…
と大蛇セルリアンの目の前を紙飛行機が一つ、その場にそぐわないほどのんびりと飛んで横切る。
微かにサンドスターの輝きを帯びたそれを見惚れたように眺めて動きを止めてしまう大蛇セルリアン。
「た、助かったぁ…!」
と何とか距離をとって大蛇セルリアンの牙から逃れるともえ。
「もう、無茶しないで下さいって言ったじゃないですか!」
「うん…。今のはちょっと怖かった…。あの紙飛行機が飛んできてなかったら危なかった…。」
と冷や汗をぬぐうともえ。
「それより、次はあの『石』を砕かないとね。」
「はい…。ですがあのセルリアンには牙が通りません…。どうやって『石』を砕いたら…」
イエイヌのその疑問にともえはチラリ、と視線を横にやる。
その先には離れた位置で横たえられたヘビクイワシの姿がある。
「…。うん。あのね。イエイヌちゃん。考えがあるの。」
「わかりました。わたしは何をしたら?」
「一瞬でいいからあいつの頭の動きを止めて。アタシが『石』を砕く。」
「任せて下さい。ともえさん、そちらも今度は無茶しないで下さいよ。」
お互い頷きあうともえとイエイヌ。
「ああぁあああおおおおおおおん!」
再びウォーハウリングで咆哮を上げつつ大蛇セルリアンに突撃するイエイヌ。
ともえはというと、その場で肩掛け鞄からスケッチブックを取り出すと…、
「チェンジ…!クロスハート!」
叫ぶと同時スケッチブックからサンドスターの輝きが溢れて、パラパラ、と勝手にページがめくれる。
そしてヘビクイワシの絵が描かれたページで止まり…
「ヘビクイワシフォームッ!」
スケッチブックから溢れたサンドスターの輝きがともえの身体を包み込む。
両足にニーソックス。両腕に飾りの羽毛で出来た腕輪がまず装着される。
続けて頭にヘビクイワシと同じような羽根がピョコン、お尻から尾羽がそれぞれニョンと生えて来て、今度は膝下までを覆うピンクのブーツが装着。
そして白のミニスカートに軍服を模したであろう白のノースリーブジャケット。白のミニスカートと黒のニーソックスで絶対領域が形成される。
まるでマーチングバントの衣装のようにも見える。
そして肩掛け鞄に首を通して、腰にベルトが巻き付いて衣装全体を身体にフィットさせてラインが浮き彫りに。
最後にキラリン、と目元が光って下のみフレームのあるメガネが装着されて
「フォームチェンジ完了!」
ヘビクイワシフォームへと変身したともえ。ばさり、と頭の翼を動かして空へと舞い上がる。
イエイヌが下から、ともえが空から大蛇セルリアンに迫る!
二人のうちどちらから攻撃するべきか、逡巡を見せる大蛇セルリアン。その隙をイエイヌは見逃さなかった。
「いっけえええええええええ!!」
大蛇セルリアンの首元下に潜り込んだイエイヌ。残る力を全て注ぎこむ勢いでそのまま飛び上がるかのようにアッパーカット!
大蛇セルリアンの頭部を空へ向けて大きく伸ばす。
「今です!ともえさん!」
身体が伸び切った事で完全に動きを止めた大蛇セルリアン。そこに…
「せいやあっ!」
空から急降下ダイブで大蛇の額に綺麗な飛び蹴りを叩きこむともえ!
―ズドォオオオンッ!
と今度は大地に叩きつけられる大蛇セルリアン!しかし、それでも『石』は砕けない!
「一撃でダメなら二発目!それでダメでも『石』が砕けるまで…!蹴るのを止めない!!」
地面に叩きつけられた大蛇セルリアンを追ってさらに急降下のともえ。
「その身をもって記録するがいいでありましょう…!」
一瞬ヘビクイワシの姿がともえの身体にオーバーラップしピンクのブーツに包まれた足にサンドスターの輝きが集まる。
ともえの左右の瞳にそれぞれ宿っている碧の輝きと薄い桃色の輝きが増す。
「スタンプビィトォオオオオオオオオオッ!」
―ズガガガガガガガガガッ!
とまるでマシンガンのように大蛇セルリアンに降り注ぐともえの連続キック。
そのまま大地に大蛇の頭部を縫い付ける!
何度も何度も響く鉄を打つ音。
だんだんとその鉄の身体がひしゃげていき…
「砕けろぉおおおおおおおおおおっ!」
ついに…!
―パッカアアアアアン!
と『石』が砕けて大蛇セルリアンの身体もサンドスターへと還る。
「ハァハァ…や、やったあ…」
ぺたり、とその場に尻もちをつくようにして安堵の吐息を漏らすともえ。
「何とかなりましたね…。」
こちらも肩で息をしながらもともえの方にやって来るイエイヌ、そして…
「ともえちゃん、イエイヌちゃん、二人とも無事…!?」
とラモリさんを連れた萌絵もようやくやって来る。
「あ、萌絵お姉ちゃん…。さっきはありがとう。紙飛行機飛ばしてアイツの気を逸らしてくれてなかったら危なかったよ。」
「へ?紙飛行機…?ごめんね、いまようやくここまで来れたからアタシよくわからないよ…。」
と?マークを浮かべる萌絵。
「じゃあ…。あの紙飛行機って一体…。」
と辺りを見回しても誰かがいる気配は感じとれない。
「ってそれよりも今は…」
ふと、気が付いてヘビクイワシの元へ駆け寄るともえ。
「ヘビクイワシちゃん…無事?怪我はない?」
と抱き起すとうっすらと目を開けるヘビクイワシ。
「あ…。き、キミは誰でありましょう…?」
まだボンヤリとしたまなざしでともえを見るヘビクイワシ。
「あ…。アタシは…」
まだヘビクイワシフォームのまんまだった事を思い出したともえ。
「アタシの名前は…、く、クロスハート!そう、アタシはクロスハート!通りすがりの正義の味方だよっ」
「そ、そうでありますか…。クロスハート…。」
と再びガクリ、と気を失うヘビクイワシ。
「あっ、ちょお!?ヘビクイワシちゃん!?」
と再び慌てるともえ。萌絵もヘビクイワシのもとへやってきて、脈をとったり呼吸を確かめたり外傷を見る。
そして、ラモリさんも目からビーっとスキャンビームを出してヘビクイワシを調べる。
「うん、やっぱり気を失ってだけみたいだね。ね、ラモリさん。」
「アア。外傷モ見当たらナイゾ。」
とともえに頷いてみせる萌絵とラモリさん。
「よかったあ。」
「それよりともえちゃん。まずは変身解いた方がいいよ。さっきイエイヌちゃんが遠吠えしたじゃない?何人か先生方が様子見にこっちに来てるみたいだから。」
「うえ!?ど、どうしよう!?ヘビクイワシちゃんを置いていけないし…。」
「それなら倒れてるヘビクイワシちゃんを見つけてイエイヌちゃんが助けを呼ぶ為に遠吠えしました、って事にしたらいいと思うな。」
「さすが萌絵お姉ちゃん、かしこいっ!」
と言ってるところに遠くからこちらに向かってくる気配がある。
きっと様子を見に来た先生なのだろう。
あとは先生方に任せれば事件があった事すら知るのはごくわずかな人物だけだ。
こうして人知れず学校に現れたセルリアンはやはり人知れず倒されたのだった。
正義の味方、クロスハートの名が人々の噂に囁かれるのは、まだ先の事である。
の の の の の の の の の の の の の の
その後、ヘビクイワシは駆けつけた先生によって保健室に運ばれ意識を取り戻す。
特に目立った外傷もなく貧血か何かで倒れただけではないか、と判断され教師に送られて帰宅する事になった。
ヘビクイワシを見つけて遠吠えで助けを呼んだイエイヌは先生方から褒められる事になったのを付け加えておく。
そしてその夜…。
自宅にてすっかり元気を取り戻したヘビクイワシは日記を綴る。
今日あった出来事を一日の終わりに記録するのはヘビクイワシの大切な日課になっていた。
「それにしても、クロスハート…。夢だったのでありましょうか…。」
しばらく迷った後、ヘビクイワシはクロスハートと名乗った人物の事も思い出せる事を記録していく。
最後に今日一日の出来事を綴った日記を読み返してみて、今日は何か物足りない…。
やけにページの余白が気になるのだ。
しばらく迷ってから…
その余白にペンを走らせるヘビクイワシ。
普段は綺麗に文字ばかりの日記だが…今日は落書きが追加された。
それは拙いながらも特徴をとらえた4人の人物の落書き。
自分とイエイヌとともえと萌絵の4人だ。
「ふふ…。」
嬉しそうに微笑んでからヘビクイワシは満足そうに日記を閉じるのだった。
けものフレンズRクロスハート第2話『その名はクロスハート』
―おしまい―
セルリアン情報公開
第2話登場セルリアン『アラハバキ』
鉄パイプを取り込んでセルリアン化した大蛇。
鉄の強度を誇る身体と重く巨大な身体が特徴。
パワーも凄まじく、このセルリアンに巻き付かれて締め上げられたら脱出は困難であろう。
パワーと防御に優れる反面、スピードは鈍重だ。
しかし、ここぞという場面ではスプリング状にした身体でバネのように繰り出す一撃で素早く攻撃を仕掛けてくる事もある。
そして厄介なのは空洞になった体内に弱点である『石』を隠している事。
いかにしてその固い防御を破って体内の『石』を砕くかが攻略の鍵である。