けものフレンズRクロスハート   作:土玉満

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【前書き】

 今回のお話は19話の補足のようなものです。
 19話本編では語られなかったシーンを書かせていただきました。
 それぞれのフレンズ達が仲良くしていたりする様子をお楽しみいただければと思います。
 あと、夏休み編へ向けての伏線なんかも含めたお話になります。
 お楽しみいただければ幸いです。


第19.5話『それぞれのテスト勉強』

【青龍家の場合】

 

「ねえねえ。アオイちゃん。ちょっと休憩しようよぉ~。」

「さっき休憩したばっかりですよ。コイちゃん姉さん。」

 

 青龍家ではアオイとコイちゃんの二人が期末テストに向けて勉強していた。

 こちらはアオイの自室なのだが、今日はコイちゃんの他にお客さんがさらに二人来ている。

 

「だ、だがアオイっ!コイちゃんの言う事だって一理あるのだぞっ!適度な休憩は効率アップにつながるのだ!」

 

 そう言うのは色鳥西中学の1年生、白虎シロである。

 その隣には当然のようにホワイトタイガーが付き従っていた。

 

「いいえ、シロ様。先程休憩してから10分と経っておりません。適度な休憩が効率をあげるのはその通りですが、過剰な休憩は逆効果です。」

 

 シロとホワイトタイガーの二人は青龍神社にやって来てアオイ達と一緒に勉強していたのだった。

 市内の中学校はどこも似たようなタイミングで期末テストに入る。

 やはり色鳥西中学校も期末テストが近く、シロには対策が必要だった。

 そんなシロが頼ったのが、由緒正しく遠い昔には寺子屋すら開いていた青龍神社とアオイだったのだ。

 

「しかし、お勉強でしたら私でも教えられましたが…。」

 

 ホワイトタイガーは少しばかり残念そうに言う。

 常にシロに付き従っているホワイトタイガーは色々な事に幅広く対応できるよう、執事としての訓練を受けて来た。

 結果、執事とは一体…、と言いたくなるような多才ぶりを身に着けているのだが弱点もあった。

 

「いや…。ホワイトタイガーはどうせ1000問組手とかやればテスト対策も万全だ、とか思ってるのだ…。」

「いけませんか?」

 

 解説しよう。1000問組手とは1000問の練習問題を解きまくる荒行だ。

 しかもホワイトタイガーの場合は身体を動かしながらの方が頭に入るという理由で腕立てや腹筋やスクワットやらの運動をしながら行うのだ。

 

「そんな事が出来るのはホワイトタイガーくらいなのだ…。シロには無理なのだ…。」

 

 なるほど、シロがホワイトタイガーを頼らなかった理由がよくわかったアオイとコイちゃんである。

 ホワイトタイガーの訓練は何もかもが極端なのだ。その常識の欠如ぶりが弱点と言える。

 

「ちなみに、お二人もいかがですか?1000問組手。」

 

 そんな恐ろしい事を言い出すホワイトタイガーにアオイとコイちゃんは揃って勢いよく首を横に振った。

 

「(私は一緒なのがコイちゃん姉さんでよかった…。)」

 

 と胸中で胸をなでおろすアオイである。

 そんな荒行をこなせるのはホワイトタイガーくらいなものだ。

 残る3人ともげんなりした様子を見せていたが一人ホワイトタイガーだけは「楽しいのにな…1000問組手」と納得できない様子だった。

 さすがに1000問組手なんてやるわけにはいかないが、シロの集中力が切れかけているのも事実だ。

 となれば何か士気を高める物が必要かもしれない。

 

「そうだ、シロちゃん。今年も青龍神社では夏休みにお祭りをやりますから。テストでいい点が取れたら特等席を用意しちゃいますよ。」

 

 思いついた、というように手を打つアオイ。

 青龍神社が毎年行う夏祭りはこの地域でも大きなイベントだ。その特等席となればやる気を出さないわけにはいかない。

 

「ほんとか!?いい点数ってどのくらいだ!?」

 

 シロもこのご褒美には食いついてきた。

 だが、目標となる点数をどのくらいに設定したものか。

 アオイはチラリとホワイトタイガーに視線を送る。

 常にシロに付いている彼女なら、その能力の程だって完璧に把握しているはずだ。

 

「そうですね…。」

 

 考え込むホワイトタイガーにアオイとコイちゃんは揃って無言の圧をかけた。空気を読んで、と。

 

「シロ様は中間テストの平均点が60点でしたから…今回は平均70点を目指すのはいかがでしょう?」

 

 こう見えてホワイトタイガーはシロに無理はさせない。

 現実的な目標を示されて、アオイもコイちゃんもナイス!と胸中でホワイトタイガーに称賛を送る。

 

「そ、そのくらいなら何とか…。」

「何とかではありませんよ。私がついているんです。シロちゃんの本気を見せてやろうじゃないですか!」

 

 未だ自信のなさ気なシロにアオイが隣でぐっと両手で拳を握って見せる。

 

「いいね!コイちゃんも応援しちゃうよ!」

 

 二人に挟まれてエールを送られてはシロもやる気を出さないわけにはいかない。

 

「よ…よぉし!こうなったらもっといい点数取ってホワイトタイガーを驚かせてやるのだ!」

 

 やはりシロは元気が有り余っているくらいでちょうどいい。すっかりいつもの調子に戻った彼女に顔を見合わせて微笑むアオイとコイちゃんだ。

 

「ええ。その調子です、シロ様。では手始めに苦手の数学から1000問組手を…。」

「だからホワイトタイガーさんは1000問組手から離れて下さいっ!?」

 

 早速大量の練習問題を用意しはじめたホワイトタイガーに即座にツッコミを入れるアオイだった。

 

 

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【奈々とキタキツネとギンギツネの場合】

 

 ここはキタキツネのお部屋。

 やはりこちらでも部屋の主であるキタキツネが机でうんうん唸っている。

 

「ダメだぁ~!やっぱりわかんないよぉ~!」

「落ち着いて。一つずつ順番にやっていったら必ず解けるから。」

 

 キタキツネの隣ではギンギツネがその勉強を看ていた。

 ギンギツネは理系科目を中心に学年でも上位の成績を取っていた。今はそれを活かしてキタキツネに数学を教えている最中だ。

 一方のキタキツネはというと勉強は嫌っている。その成績もいいとは言えなかった。

 そしてこの場にはもう一人、高校生の奈々もミニテーブルについて寛いでいた。

 

「あはは、キタキツネ、頑張って。差し入れでお弁当屋さんの稲荷寿司買って来たから。」

 

 気楽に言う奈々は携帯を弄っていた。

 

「ねえ…。ギンギツネ。なんで奈々だけあんなお気楽にしてるの?」

「こら、キタキツネ。奈々さん、でしょ?」

 

 キタキツネの疑問にギンギツネは一度言葉遣いをたしなめてから続ける。

 

「そりゃあ奈々姉さんは高校生だもの。高等部の方はもう期末テストをとっくに終えてるわよ。」

 

 キタキツネはそうなの!?と奈々を振り返る。

 その視線を受けて奈々はやはり気楽に応えた。

 

「うん。そうだよ。先週終わったばっかり。あとは夏休みを待つばかりってわけよ。」

「ずるいー!?ボクも!ボクも今だけ高校生になるー!」

 

 また無茶を言い出したものだ、とギンギツネは頭を抱える。

 単に期末テストを回避したいだけなのはわかる。けれど、高校生になるには当然入試を受けなくてはならない。

 今のキタキツネに受験を耐えられるとはとても思えない。

 

「もう。おバカな事言わないで。受験しないと高校生にはなれないわよ。受験ってなったら今なんかよりもっともぉおおおっと勉強しなきゃいけないんだから。」

 

 ギンギツネの指摘に「うげ」と露骨に顔をしかめるキタキツネである。

 そんな様子を奈々は笑って見ていた。

 

「あはは、二人が受験の時は私も大学受験だから。そしたら皆で勉強会しようか。」

 

 そんな奈々の言葉にキタキツネはいい事を思いついた、とばかりに目を輝かせて机から抜け出し、ミニテーブルについている彼女の隣に座った。

 

「じゃあさ!奈々!受験落ちなよ!」

「「は?」」

 

 あまりのキタキツネの言葉に揃って呆気にとられるギンギツネと奈々。

 それでもキタキツネはキラキラとした目で奈々に詰め寄る。

 

「そしたらボク達と高校生できるじゃん!」

 

 なるほど、キタキツネが言いたい事は分かった。

 つまり、奈々が受験に失敗したら彼女は大学生にはなれないから高校生のままだと言いたいのだ。

 そうなれば、高校生に上がったキタキツネとギンギツネの二人と一緒に学校に通う事だって出来るという狙いなのだろう。

 それは当然ながら間違いだ。

 

「あのねえ、キタキツネ。大学受験に落ちても高校生には戻れないの。なるのは浪人生よ。」

 

 その間違いとはキタキツネが呆れて指摘した通りだった。

 

「気持ちだけ受け取っておくよ。出来れば現役合格したいし。」

 

 と奈々も苦笑を浮かべていた。それでもキタキツネが一緒に学校に通いたいと言ってくれたのは嬉しくもある。

 彼女の頭を撫でる奈々であった。

 ひとしきり奈々に撫でられたキタキツネはテーブルの上に置かれた携帯電話が目に入った。

 それは奈々の物だ。さっきから彼女は一体何を見ていたのだろう。気になったキタキツネは奈々に疑問の眼差しを向ける。

 

「ああ、それ?新聞部の夏の特集記事。ほら、私が書いたんだよ。結構よく出来てるでしょ。」

 

 奈々は携帯の画面をキタキツネに見せた。

 どうやら奈々が見ていたのは新聞部の校内新聞のWEB版とでも言うべきものだったようだ。

 

「へえ。奈々姉さんが書いた記事?どんな記事なの。」

 

 ギンギツネも気になったのか3人してミニテーブルに集まる。

 

「あ!もしかしてクロスハートの!?」

「ってことはクロスナイトも!?」

 

 二人して目を輝かせるキタキツネとギンギツネ。それに奈々は申し訳なさそうに頬を掻く。

 

「ごめんね、二人とも。クロスハートの方は取材が難航しててまだ記事に出来てないんだ。代わりに夏休み前の校内新聞に書いたのは『夏の怪談。噂のドッペルゲンガー』って記事なの。」

 

 奈々はスマートフォンの画面を動かして該当記事を拡大して二人に見せた。

 

「ねえねえ、ギンギツネ。ドッペルゲンガーって何?」

「そうね…。自分に生き写しというかそっくりなヒトというかフレンズ?って言えばいいかしら。」

 

 なるほど、記事を読んでみても同じような解説だ。

 しかも、怪談だけあってそこには怖い内容も含まれている。

 奈々は両手を広げて、「がおー」とでも言いそうなポーズで二人に迫って言った。

 

「そう!ドッペルゲンガーを見ちゃった子は近いうちに大怪我したり病気になったり…もしかしたらもっとヒドイ事にだって…!」

 

 そうして脅かすとキタキツネは青い顔でギンギツネに抱き着いた。

 

「だ、大丈夫よ。オバケなんて非科学的だもの。いるわけがないわ。」

 

 と言いつつもちょっと声が上擦っているギンギツネである。

 二人ともこんなに怖がるとは、と少し申し訳ない気分の奈々だった。

 

「まあ、ほら。きっとドッペルゲンガーが出たってクロスハートとクロスナイトが助けてくれるわよ。きっと。」

 

 その励ましは狙いとは裏腹に逆効果になってしまった。

 

「そういえば、ボク達、オバケいるのみたもんね…!」

「商店街と学校のプールで二回も…!」

 

 キタキツネとギンギツネは大きなハチの化け物や大きなイカの化け物を目の当たりにしていた。

 ちょうどその時に助けてくれたのがクロスハート達だったのだが、今はオバケの実在の方が気になってしまったようである。

 そして青い顔をしたままのキタキツネが言う。

 

「ねえ…!奈々!ギンギツネ!二人とも今日は泊まってって!こんな話聞いちゃったら一人じゃ寝られないよぉ!」

「しょ、しょうがないわね。おうちに連絡するわ。」

 

 どうやらギンギツネも似たようなもののようだ。むしろキタキツネが言い出してくれて助かったまである。

 そして二人揃って奈々を見つめる。不安に揺れる二人の目を見ていればまさかイヤだとは言えない。

 それに怪談話の記事を二人に見せてしまった責任もある。

 今日はキタキツネのおうちにお泊りさせてもらうか、と決意した奈々である。

 

「わかった。じゃあ今日は皆で寝ようか。」

 

 今度は一転してパッとキタキツネの表情が明るくなった。

 

「じゃあさ!夜にみんなでゲームしよっ!けもファイⅡとかがいいかなっ!?それとも、けもブラがいいかなっ!?」

「ええ…。どれもキタキツネが得意な対戦ゲームばっかりじゃない。っていうかその前にテスト勉強でしょっ。」

 

 そんなキタキツネをギンギツネが引っ張っていって机に引き戻した。

 とはいえ、ここは少しばかりの飴を用意した方がキタキツネがやる気を出してくれそうだ。

 奈々は折衷案を提示する。

 

「じゃあ、ちゃんとテスト勉強頑張ったら、夜にちょっとだけね。」

「それなら…。まあ…。」

 

 ギンギツネも了承してくれたようだ。

 なんだかんだでその尻尾が揺れている。ギンギツネだってキタキツネと遊ぶのが嫌いなわけじゃない。

 もちろん奈々だって今日の夜が楽しみになってきた。

 ただ、あまり夜更かししすぎないように注意しておかないとなあ、なんて考えるのだった。

 

 

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【ヒーロー達の場合】

 

 

 図書室は中々に賑やかな事になっていた。

 大テーブルを一つ間借りしてチームクロスハートとクロスシンフォニーチームとクロスジュエルチームが全員勢揃いしているのだ。

 目的はテスト勉強である。

 学年は違うので効率はよくないが、皆で集まってワイワイやるのも楽しいものだ。

 それにこの場には3年生の学年トップ、コノハ博士とミミ助手に加えて2年生学年トップの萌絵と2位のかばんだっている。

 わからないところを聞ける相手もいるからテスト勉強の環境としては悪くない。

 

「テストだからと言って慌てているようではその時点でダメなのです。」

「普段の積み重ねが重要なのです。普段からキチンとやっていればテストだからと慌てる事などないのです。」

 

 とは言いつつもなんだかんだで面倒見のよい博士と助手だ。

 時々テーブルを回って皆が行き詰まっていないかどうか見てくれていた。

 

「そう言えるのは本当に頭がいい人だけなんだよぉー。」

 

 博士と助手の言うように出来れば誰も苦労はしないし、テスト前の一夜漬けだって必要ないのだ。

 ともえはテーブルに突っ伏す。テストの点数勝負はあるものの、疲れて来たものは仕方がない。

 そんな彼女の隣はエゾオオカミであった。

 こちらも何か想い悩んでいるのか全く捗っていないようだ。

 手が完全に止まってしまっている。

 

「エミさんどうしたの?わかんないとことかあった?」

 

 さらにその隣に座ったルリが訊ねる。

 

「ああ、いや、そういうわけじゃないんだ。いややっぱりわかんないところは沢山あるんだけど…。」

 

 そんな風にしどろもどろになるなんて何かあったのだろうか。全員で手を止めてエゾオオカミを見る。

 

「エゾオオカミ、この前の空手大会の時から少し変だよ?何か悩み事でもあった?」

 

 と訊ねるのはかばんの隣に座ったサーバルだ。

 彼女はこの前の空手大会をエゾオオカミと一緒に参加していた。もっとも選手のエゾオオカミと違ってサーバルは応援だったが。

 疑問をぶつけられたエゾオオカミはしばらく考え込む。

 

「そう…だな。俺は悩んでいるのか…?」

 

 そうして一人呟くエゾオオカミ。

 これはいよいよもって重症か?と全員揃って彼女の顔を凝視する。

 

「のう?エゾオオカミ…。お主本当に大丈夫か?」

「ああ。心配かけちまって悪いな。」

 

 手を止めてエゾオオカミの額に手をあてるユキヒョウに苦笑を返す。

 だが、こうして心配される事でエゾオオカミはようやく自身が悩んでいる事に思い至った。

 となれば、こうして一人で抱え込んでいるよりも皆に聞いてもらった方がいい。

 

「実はな。ついこの前の空手大会でセルリアンフレンズに会った。」

 

 その告白に全員一度止まって、直後…。

 

「「「「「「えぇええええええ!?」」」」」

 

 と驚いてしまった。周囲の人たちの視線を集めてしまい、慌てて全員で口を抑える。

 図書室ではお静かに。

 あらためて小声になったルリが訊ねる。

 

「それは大丈夫だったの!?っていうかいつ会ったの!?」

「そ、そもそもボクも一緒だったのに全然気づきませんでした…。」

 

 かばんも戸惑いの声をあげる。

 セルリアンフレンズは地区大会が始まる前に戦った相手だ。

 商店街に大量のセルリアンを呼び出したり、ルリを連れ去ろうとした。

 そんな相手とエゾオオカミが出会っていたとは。

 

「エゾオオカミ、お主、セルリアンフレンズと戦ったのか!?怪我とかせんかったじゃろうな!?」

 

 ユキヒョウが一番心配したのはそれだった。

 なんせセルリアンフレンズの3人は誰もが強力な実力者だ。その上、変身してセルリアンの能力を使う事だって出来ると聞いている。

 そんな相手にエゾオオカミ一人で相対していたのだとしたらその心配ももっともな事だった。

 

「いやあ…。怪我とかしてないぞ。戦ったわけじゃないし。」

 

 エゾオオカミの返答にみんなホッと一安心だ。

 安心したら次の疑問がかばんの頭の中に浮かんだ。

 

「もしかして、武道館に現れたセルリアンもセルリアンフレンズの皆さんが呼び出したものなのでしょうか。」

 

 先日空手大会の際に現れたセルリアンの事は未だに世間を騒がせている。

 セルリアンとしてではなく武道館に乱入した不審者として、であるが。

 それよりも、あの場にセルリアンフレンズがいたのなら、商店街の時と同じように彼女達がセルリアンを作り出したのだとしても不思議はない。

 けれど。

 

「いや、そうじゃないみたいだ。セルシコウが言ってたんだがアレは現地産…つまりこの世界で生まれたセルリアンだそうだ。」

 

 エゾオオカミの解説に聞き入る一同。

 どうやら、今この世界にいるセルリアンは主に3つの種類と発生源があるらしい。。

 一つはイリアやレミィのようなこの世界で自然発生したあまり害のないセルリアン。

 二つ目はかつてルリが生み出したセルリウムから発生したセルリアンの残党。

 三つ目がセルスザクが以前に異世界から持ち込んだセルリアンの残党。

 この中で今戦っているのは二つ目と三つ目のセルリアンになる。

 

「で、それに加えてアイツらセルリアンフレンズが持ってる“シード”ってヤツで生み出すセルリアンだな。」

 

 そうやって解説するエゾオオカミを一同驚愕の表情で見ていた。

 なんでそんな事を知っているんだ、と。

 

「ああ。訊いたら教えてくれたぞ。セルシコウが。」

「「「「「教えてくれたんかーい!?」」」」」

 

 事もなさげに言うエゾオオカミに思わずツッコミが入った。

 またまた周囲の視線が集まって全員で慌てて口を抑える。図書室ではお静かに、である。

 エゾオオカミは思う。

 確かに皆の反応の方が普通なのだろう、と。

 だが、エゾオオカミはあの空手大会の騒動の後、セルシコウと別れるまでの間にもう少しだけ話をする機会があった。

 そして実際に話してみた結果、彼女はセルリアンフレンズに対して皆とは違う印象を持っていた。

 

「なあ。俺、思うんだけどさ。セルリアンフレンズの3人ってそこまで悪い連中じゃないんじゃないかって…。」

 

 まだ迷っているようにエゾオオカミは続ける。

 

「そりゃあ、商店街の皆を危ない目に遭わせそうになったのは許せないし、ルリを連れて行こうとした事だって許せないんだけどさ…。話くらいはしてもいいんじゃないかって思うんだ。」

 

 そのエゾオオカミの肩に手を置いたのはルリだった。

 

「うん。エミさんがそういう風に思うんだったら私もちゃんとお話ししてみたいな。」

「おう。それでダメだった時はウチの出番や。」

 

 ルリの隣で力こぶを作ってみせるアムールトラがエゾオオカミにウィンクしてみせた。

 自分の考えに賛成してくれるばかりか失敗したって何とかしてくれるというチームメイトに思わず目頭が熱くなる。

 けれども、ともえが意外な反応を見せた。

 腕を組んで難しい顔で考え込んでいるのだ。

 

「そっかあ……。セルリアンフレンズのみんなとお話かあ……。」

 

 何かまずかっただろうか、と肝を冷やすエゾオオカミ。

 そんな彼女の不安を解いてくれたのはイエイヌの意外な一言だった。

 

「安心してください、エゾオオカミさん。ともえちゃんはこう考えてるだけです。『セルリアンフレンズの皆は撫でたらどんな感じなんだろう?』って。」

「な、なんでわかるのー!?」

 

 胸中を言い当てられたともえは皆からのジト目に晒されてしまって照れ隠しに頭を掻いてごまかした。

 

「ついでに言うと萌絵お姉ちゃんも同じ事を考えてましたよね。」

 

 イエイヌの追撃に萌絵もぎくぅ!?という表情になる。

 彼女も同じく皆からのジト目に晒されてともえと全く同じ仕草で頭を掻いてごまかしていた。

 

「まったく…この双子は…。」

 

 博士の呆れの言葉に全員苦笑と共に頷くのであった。

 

「セルリアンフレンズ…。今度はいつ会う事になるかな…。」

 

 一度窓の外を眺めるエゾオオカミ。

 実はその機会は決して遠い先の事ではないのだった。

 

 

けものフレンズRクロスハート番外編『それぞれのテスト勉強』

―おしまい―

 

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