けものフレンズRクロスハート   作:土玉満

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春の番外編『はずれ刑事清純派―慕情編―』③

 ヤマさんとヤマバクの前に現れた大ミミズ。

 そいつは巨大なタイヤがいくつも連なって出来た身体の中から盗難車を吐き出した。

 まるで弾丸のように飛び出した車がヤマさん達に迫る!

 

「こ、このぉっ!」

 

 ヤマさんの判断は早かった。

 自転車からヤマバクをもぎ取るように抱きかかえると、道路脇へと横っ飛び。

 吐き出された盗難車は辛うじて二人に激突せずに済んだ。

 

「ヤマバク、大丈夫か!?」

「は、はい……でも……」

 

 二人は無事だった。

 だがその身代わりというわけではないが、自転車の方は車に押し潰されてペシャンコである。

 もしもヤマさんの行動が遅ければ二人とも自転車と同じ運命を辿っていたに違いない。

 とりあえずは助かったが、ピンチも続く。

 二人はタイヤで出来た大ミミズから逃げ出す足を失ったわけだ。

 大ミミズはそれがわかるのか、じりじりと間合いを詰めてくる。

 完全に獲物に狙いを定める獣の動きだ。

 市街方面には大ミミズが陣取っている。

 ジリジリと後退るが、それで北部田園地帯へ抜けるには遠すぎだ。

 

「なら戦うか……?」

 

 ヤマさんの腰には警棒と拳銃がある。

 けれども拳銃には弾は込められていないし、警棒一本であの大ミミズを何とか出来るとも思えない。

 それでも……。

 

「それでもやるしかないか」

 

 ヤマさんの後ろにはヤマバクがいる。

 彼女を守る為には目の前の大ミミズを倒す以外に道はない。

 ヤマさんは覚悟と共に警棒を引き抜いて構えた。

 

―ギョォオオオオッ!

 

 大ミミズは再び気味の悪い咆哮をあげてヤマさんを呑み込まんと殺到する。

 蛇のような不規則な動きを、しかしヤマさんは見切って身を横にかわした。

 そのままタイヤが連なって出来た大ミミズの体躯に警棒を振るう。

 

―ボヨン

 

 やはりタイヤだ。

 いくら剣道の段位を持つヤマさんの一撃でも全く効いた手応えがない。

 それどころか……。

 

―ズブリ

 

 警棒が大ミミズの身体に沈み込んだ。

 めり込んだ、というよりも大ミミズの身体に喰われているという方が正しい。

 慌ててヤマさんは警棒を手放す。

 その判断は正解だ。もしもそうしなかったら、警棒ごと腕を大ミミズの身体に呑み込まれていただろう。

 

「ぬうっ!?!?」

 

 警棒を失ったヤマさんは一歩、二歩とバックステップで後ろに下がる。

 柔剣道、それに空手でもヤマさんは段位を持っていたし、実力者ばかりの警察の大会で何度も好成績を獲った。

 それでも、今この場では無力でしかない。

 絶望に立ち尽くすヤマさんを呑み込まんと、大ミミズは再び大口を開ける。

 ゆっくりと迫る口。

 蛇に睨まれた蛙とはこの事か。

 ヤマさんはその心境を身をもって体感していた。

 が……。

 

―ドコォオオン!

 

 ヤマさんに迫っていた大ミミズがいきなり横に流れるように吹き飛ばされた。

 一体何が、と思ったヤマさんは信じられないものを目にする。それはヤマバクが大ミミズにショルダータックルを喰らわせた光景だった。

 あの小さな身体のどこにそんな力が?

 それを問い質す前に、ヤマバクはなんとヤマさんを肩に担ぎあげたではないか。

 

「逃げますよ!」

 

 言うが早いか、ヤマバクはヤマさんを肩に抱えたまま来た道を駆け戻る。

 ヤマさんは驚愕で目を見開いた。山道で結構な登坂だというのに、その速度は凄まじい。

 事によっては時速30kmくらい出ているのではないだろうか。しかもそれを大の大人一人を抱えてやっているのだ。

 だが、大ミミズもみすみす獲物を逃すつもりはないらしい。

 まるで大蛇のように身をくねらせヤマバクを追う。

 どうやら速度は大ミミズの方が上でじりじりと差を詰められる。

 

「こうなったら、戦うしか……」

 

 ヤマバクは意を決すると、先程の頂上パーキングエリアへ駆け込んだ。

 ここなら広いから戦いやすい。

 それに、ヤマバクの切り札だってここなら使えるかもしれない。

 

「いいですか? 物陰に隠れてて下さい。多分アイツの狙いは私ですから、隠れてたら安全なはずです」

 

 ヤマバクはヤマさんをパーキングエリアに設えられた自販機の裏へと降ろす。

 ヤマさんには何が何やらわからない。だが、これだけは訊かなくてはならなかった。

 

「ヤマバクはどうするんだ?」

 

 その答えは短い。

 

「戦います」

 

 既に覚悟を決めたとばかりに物陰へヤマさんを残し駐車場の中央へと歩みを進める。

 

「私だってフレンズですから、セルリアンの一体くらい……!」

 

 言いつつヤマバクは構えをとる。

 その両手がサンドスターの輝きを放っていた。それは両手の指先に集まって輝く爪へと変化する。

 ヤマさんには“セルリアン”というのが何なのかわからないが、状況から察するに、あの大ミミズを指しているのだろう。

 そしてヤマバクは戦うつもりなのだ。

 ヤマさんが手も足も出なかった相手と。

 ヤマさんは「無茶だ」と言いたかったが声が出ない。未知の生物に未知の状況。それに恐怖し混乱していた。

 だが、時間はヤマさんを待ってはくれない。

 やがて大ミミズがパーキングエリアへ入ってくる。

 戦闘態勢を整えたヤマバクを見ると少しばかり慎重に近づいて来た。

 

「まだ……。十分引き付けてから……」

 

―ジリジリ……

 

 大ミミズはゆっくりとヤマバクへ近づいて来る。

 ヤマバクは横目でチラリと辺りを見る。

 まだ切り札を使うには条件が整っていないようだ。

 ならやはり戦うしかない。

 

「うわぁあああああああああっ!」

 

 悲鳴なのか雄叫びなのか。

 どちらともとれない叫びと共に、ヤマバクは大ミミズへ突撃し、サンドスターで出来た右の爪でひっかく!

 

―ザシュリ!

 

 浅くではあるが、ヤマバクの爪は大ミミズの身体に裂傷を刻んだ。

 

「(やれる! 私でも出来る!)」

 

 続けて今度は左腕の爪を一閃させようとしたところで、その腕がグイ!と引っ張られる。

 何事かとヤマバクがそちらを見れば、その腕に黒い手枷のようなものが巻き付いていた。

 よくよく見ればそれは小さなタイヤである。

 一体いつの間に。

 その答えはすぐに分かった。

 大ミミズが細くなっている尾部を切り離して、死角からヤマバクに向けて飛ばしていた。

 攻撃で視野が狭まっていたヤマバクはそれに気づく事が出来なかったのだ。

 まるで鉛のように重い手枷は左腕の自由を奪っている。

 慌てて手枷を外そうと右腕の爪を手枷に立てようとしたところで……。

 

―ビュンッ! ビュンッ!!

 

 再び尾部から切り離したタイヤを飛ばしてくる大ミミズ。

 今度はヤマバクの両脚を捕らえて、タイヤの足枷を付ける。

 

「し、しまった……!」

 

 こうなってはヤマバクは歩く事すらままならない。

 大ミミズは一撃を貰うかわりに、死角からこれを狙っていたのだ。

 ヤマバクには顔などないはずの大ミミズがニヤリと笑ったように思えた。

 

―ギョォオオオオッ!

 

 満を持して大ミミズはヤマバクへ大口を開けて突っ込んで来る。

 ヤマバクの切り札が使えるようになるまであとほんの少し時間が必要だった。

 つまり、万事休すである。

 ヤマバクは両目を閉じた。

 だが、いつまで経っても何も起こらない。

 ヤマバクがおそるおそる目を開けると、大きな背中が目に入った。

 

「な、なんで……。隠れててって言ったのに……」

 

 その背中はヤマさんのものだった。

 ヤマさんは素手で大ミミズの突撃を受け止めていたのだ。

 

「ぬぐぅううう!?」

 

 その腕がずぶずぶと大ミミズの身体に沈みつつある。

 だが……!

 

「警察官を……なめるなぁあああああっ!!!」

 

 なんとヤマさんは背負い投げの要領で大ミミズを投げ飛ばした!

 

―ズズゥゥウウン……。

 

 大ミミズの巨体がパーキングエリアに叩きつけられる。

 ヤマバクは目を白黒させていた。

 ヒトはセルリアンに対して無力である。そのはずだった。

 サンドスターが変化した“けものプラズム”を纏うフレンズでなくては戦う事すらままならない。

 セルリアンと接触したヤマさんは立っているのだってやっとのはずだ。

 信じられない光景に思わずヤマバクはヤマさんに訊ねる。

 

「ええと……。あなたはヒト……なんですよね?」

「そうだな」

「なんで……。オイナリサマは『ヒトはセルリアンと戦う事は出来ない』って言ってたのに……」

「そうなのか?」

 

 唖然としているヤマバクだったが、ヤマさんはその反応の理由が全く分からない。

 しかし、ヤマさんは思う。

 今日。

 今この瞬間ほど柔道をやっておいてよかったと思った事はない。

 この投げを決められたのなら……いや。

 

「今この瞬間ヤマバクを守れたのなら生きて来た価値があるってものだ」

 

 投げ飛ばされた大ミミズはしばらく痛みにのたうっていたようだが、やがて体勢を立て直すと……。

 

―ギョォオオオオオッ!!

 

 怒りの咆哮をあげた。

 ビリビリと空気を揺らす絶叫も今のヤマさんを退かせる事は出来ない。

 何故なら……

 

「約束したからな。ヤマバクが安心して暮らせるように守る、と」

 

 だから意地でも退く事など出来ないのだ。

 けれど無茶だ。

 セルリアンに接触した事でヤマさんは“輝き”を吸われているはずだ。

 事実、もう既に膝が笑ってしまってまともに動けるようには見えない。

 次の攻防には絶対に耐えられるはずがない。

 このままでは二人ともこのセルリアンに喰われてしまうだろう。

 

「そんな事は……させない!」

 

 ヤマバクの目があるものを捕らえた。

 それは彼女の切り札を使う為に必要なものだ。

 ついに夜空に星が輝き始めたのである。

 一体それで何が出来るのか。

 ヤマバクは自由な右腕を空に向けて思い切り伸ばす。星を掴めとばかりに。

 そして叫んだ。

 

「星に願いを!」

 

 これこそがヤマバクの技である。

 効果はヤマバクの願いを叶えてくれるというものだ。

 これは星が見える夜空の下でしか使えない上に、どういう形で願いが叶うのかすらわからない。

 しかも、難しい願いだったりした場合には何も起こらない。

 早い話が、ヤマバクの『星に願いを』は使った本人ですら何が起こるか分からない一か八かの賭けであった。

 願う内容はシンプルに……

 

「私達を助けて!」

 

 というものだ。

 これだけシンプルな願いならきっと聞き届けられるはず。

 

―カッ!!

 

 星空から光がヤマバクに降って来た。

 が、しかし……。

 それだけだった。

 ヤマバクは相変わらず両脚と左腕を封じられたままだし、ヤマさんは満身創痍のままだ。

 

「何も……起こらなかった?」

 

 ヤマバクはその事実にガクリと膝をつく。

 最後の賭けは失敗に終わったのだ。

 大ミミズはズルズルと近寄ってくると、万策尽きたヤマさんとヤマバクを呑み込むべく再び大口を開ける。

 あとは喰われるだけだ。

 

 だが、その瞬間浪々たる声が響き渡った。

 

「『蒼竜壁!(ブラウ・ドラッヘ・ヴァリエール)

 

 その声と共に、どういうわけかヤマさんとヤマバクの二人を守るように幾枚ものお札が宙を舞っていた。

 

―ギィイイイイッ!?!?!?

 

 そのお札ごとヤマバクを呑み込もうとした大ミミズだったが、まるで見えない壁に弾かれたように吹っ飛ばされる。

 一体何が。

 思って周囲を見渡したヤマさんは何と言っていいのか分からないものを目にした。

 

「ふ……。どうやら間に合ったようですね」

 

 それは水色の髪をツインテールにして、やたら仰々しい飾りの眼帯をつけた青龍 セイコがそこにいた。

 ただ、その格好が青を基調としたゴスロリ服である。

 

「さすがセーちゃんです! カッコイイですー!!」

 

 そして、傍らには昨日持っていたドールのフレンズ人形を伴っていた。

 どういうわけか一人でチョコチョコ歩き回って喝采をあげているが。

 

「あー……。そのせ、セイコ?」

 

 ヤマさんはどう声を掛けていいのかわからなかった。

 彼女の格好もそうだが、目の前で起こっている不思議な出来事は彼女の仕業だとわかったからだ。

 だが、この場は危険だ。

 

―ギョォオオオオオオオッ!!

 

 そう注意の声を上げる前に、大ミミズは乱入してきたセイコへ突撃した。

 が、セイコは落ち着いたものだ。

 太ももに巻かれたホルダーから棒状の何かを数本引き抜く。

 それは青色ボールペンだった。

 

束縛する弾丸!(クーゲルシュライバー)

 

 セイコはそれを大ミミズ目がけて投げつける。

 まるで自分の意思を持っているかのように複雑な軌道を描いた青色ボールペンは大ミミズの身体に深々と突き刺さった。

 それどころか小さなボールペンを突き刺された事で大ミミズは動きを封じらているらしい。

 

「ふ……。決まりました」

 

 眼帯を抑えた決めポーズをとるセイコ。

 それにヤマさんは、「確かにボールペンだけども……」と内心でツッコンだ。

 だが、安心するのは早かったらしい。

 

―ギィイイ!!

 

 大ミミズはボールペンの突き刺さった部分だけ自らの身体を切り離した。

 その部分だけを捨てて再び連結する事で自由を取り戻すと、そのままセイコへ再び突撃!

 

「「わひゃああああああ!?!?」」

 

 仕留めたと思っていたセイコは、フレンズ人形のドール=ドールと共に悲鳴をあげる。

 あわや、という場面だったが、これまた邪魔が入った。

 

「宝条流……ッ!」

「浦波流……ッ!」

「「サンドスター・コンバットォオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!」

 

 二人分の大音声が響き渡る。

 と同時、二人分の回し蹴りが大ミミズの身体に叩き込まれた。

 それを為したのはこれまたヤマさんが見知ったヒトだ。

 ジャパリ女子学園の制服に身を包んだ宝条 春香と浦波 遥のコンビである。

 

「セーちゃんは相変わらず詰めが甘いわねぇ」

 

 あの大ミミズを蹴り飛ばしたというのに春香は涼しい顔をしていた。

 一方の遥の方は……。

 

「あ。やっとセルリアンレーダーが反応したわ。これじゃあダメね。感知範囲が10mくらいじゃあ目視の方が早いわ」

 

 と、手にしていた何かの箱のようなものを弄っている。

 春香も遥の手元を覗き込みながら言った。

 

「なら、後で遠坂君にも見て貰って改良したらどうかしら?」

「イヤよ。ハルのデートの出汁にされるのが目に見えてるもの」

「で、デートって……そ、そういうのじゃないのよ。遠坂君とは……」

「おやおやー? そんな真っ赤な顔して言ったって説得力というものがないわよぉ?」

「も、もう! ルカったら!」

 

 まるで大ミミズが目に入っていないかのようにワイワイ言い合う春香と遥。

 仲がいいのは大変結構だが、今この場でやらなくてもいいではないか。

 

―ギョォオオオオッ!

 

 ほら、言わんこっちゃない。

 大ミミズが怒りの咆哮と共に、再び春香と遥へ向かってきたのだ。

 

「ルカ」

「えぇー……」

 

 春香は遥へ目配せすると何かを要求するように手を伸ばした。

 対する遥の方はイヤそうである。

 目の前に敵が迫っているというのに余裕そうだ。

 

「貸すのはいいけど、どうせ貴女まともに使わないじゃない」

「そんな事ないわよ。ちゃんと役に立ってるんだから」

 

 一体この二人はこんな時に何を言い合ってるんだろう。

 見ているヤマさんは気が気じゃない。

 やがて折れたのは遥の方であった。

 

「わかったわよ。はい」

 

 そう言って手渡したのは、トンファーであった。

 よくよく見ると、そのトンファーには笛のような穴が開いているではないか。

 

「ありがと」

 

 言いつつ春香はそのトンファーを受け取った。

 もう大ミミズは目の前だ。

 そんなトンファー一組で一体何が出来るのか。

 果たして春香は、そのトンファーを高々と宙に投げ上げた!

 

―ヒョンヒョンヒョン……。

 

 どうやら本当に笛となっているらしいそのトンファーは空中で回転しつつ不思議な音を奏でている。

 ヤマさんもヤマバクも、そして大ミミズまでもがそのトンファーを見上げてしまっていた。

 その隙に春香は大ミミズの懐へ潜り込む。

 

「宝条流サンドスター・コンバット……ッ!! フライングトンファーキィイイイイイック!!!!!」

 

 そこから放たれるのは再び豪快な回し蹴りであった。

 

―ドゴォオオオッ!

 

 タイヤを叩く轟音と共に大ミミズは再び吹き飛ばされる。

 だがヤマさんはどうしても一つだけツッコミたかった。

 

「トンファー関係ないっ!?」

 

 と。

 そんなツッコミを無視して春香は落ちて来たトンファーをパシリとキャッチ。

 クルクルと華麗に回して決めポーズを取って見せた。

 

「やっぱりまともに使わないじゃない……」

 

 遥は嘆息していた。

 

「ええー。そんな事ないわよ。ちゃんと囮に使ったじゃない」

「そういう用途で作ったわけじゃないわよ! この『フルートンファー』は!」

 

 なおも賑やかに言い合う春香と遥。

 ヤマさんは何が何やらわからない。ただの女子高校生であるはずの春香と遥、それにセイコがこうして化け物と渡り合っているだなんて。

 それはヤマバクも一緒だ。

 もう、キョトンとしっぱなしである。

 そんなヤマバクを縛めていた足枷が唐突に砕かれた。

 

「まったく。レディに付けるには無粋すぎるアクセサリーだね」

 

 長身で暗緑色をした髪色の女の子がそこにいた。

 彼女は宝条 和香。ジャパリ女子学園高等部の一年生だ。

 

「実は、そこに転がっているセルリアンを探していたんだけれども、手がかりがなくてね。キミが報せてくれて助かったよ」

 

 和香はヤマバクの前に片膝を付いてしゃがみ込むと、恭しくその手をとり、残っていた手枷も砕いて見せる。

 ヤマバクは何のことか分からない。

 いや。

 

「そうか……」

 

 ヤマバクが使った『星に願いを』は聞き届けられていたのだ。

 この色鳥町をセルリアンの魔の手から守る守護者達に。

 セルリアンを探してこの付近を捜索していた彼女達は『星に願いを』によって、ここにセルリアンがいる事を知ったのだった。

 

「さぁて。私達が来たからにはもう大丈夫さ」

 

 和香は春香に蹴り飛ばされた大ミミズへ無造作に歩いていく。

 

「じゃあ、トドメは任せるわね。和香ちゃん」

「ああ。かまわないよ、姉さん」

 

 春香に頷きを返す和香。

 既に勝負は決したとばかりに遥もセイコも見守る事にしたようだ。

 それ程までに和香は強いというのだろうか。

 見守るヤマさんの前で、和香は朗々と何事かを口ずさむ。

 

 黒きキミ。

 大きな尻尾。

 猛き爪。

 汝その名は。

 オオアリクイ。

 

「(俳句……? いや、和歌か?)」

 

 それを聞いたヤマさんは独特のリズムからそう判断した。

 けれど、それをこの場で詠む理由がわからない。

 そんなヤマさんの戸惑いを余所に和香は続けて叫んだ。 

 

「変身!」

 

 と。

 直後、和香の身体がサンドスターの輝きに包まれる。

 眩いばかりの輝きに、思わず目を瞑るヤマさんとヤマバク。二人が目を開けた時、そこに和香はいなかった。

 かわりにいたのは一人のフレンズだった。

 濡れたように艶やかな黒髪に上半身が白の毛皮。それに腰を絞るコルセットに広がったフレアスカートは髪と同じ黒色だ。

 髪形もオオアリクイの長い吻を模した前髪に背中までのロングヘアーへ変化しているし、大きな黒い尻尾と丸い耳も生えている。

 その変身を見ていたからこそわかるが、彼女の顔立ちは和香そっくりである。

 信じられない光景にヤマバクは思わずその背中に訊ねた。

 

「あ、あなたは……一体?」

 

 和香のかわりに現れた彼女そっくりのフレンズは肩越しに振り返ると言った。

 

「クロスメロディー。通りすがりの正義の味方さ」

 

 それだけを言い、キッと前に向き直るクロスメロディー。

 その視線の先では大ミミズがようやく体勢を立て直していた。

 対するクロスメロディーはというと、両手を大きく広げて身体で大の字を作るようにして見せる。

 一体何をしているんだろう? と不思議に思うヤマさんに春香が解説してくれた。

 

「あれは威嚇のポーズよ。オオアリクイいがいでもミナミコアリクイなんかも同じポーズをするわね」

 

 それは元となった動物の習性だった。

 オオアリクイは外敵に遭遇した際、こうして身体を大きく見せる事で相手を威嚇する。

 どうやらそれは大ミミズにも有効なようで、明らかに怯んだ様子を見せる。

 クロスメロディーはそれを見てとると、威嚇のポーズから一気に踏み込み間合いを詰めた!

 

「カリスマオーラ・クロォオオオオッ!!」

 

 そのまま広げた両腕を閉じるように一閃。

 サンドスターで輝く爪が大ミミズを切り裂いた!

 

―パッカアアアアアン!

 

 小気味いい音を立てて、大ミミズはキラキラと輝くサンドスターへ還る。

 クロスメロディーは大ミミズの身体にあった『石』を正確に切り裂いていた。

 大ミミズの身体が砕け散ると同時、辺りに盗難車と思しきタイヤのもぎとられた車両が散らばる。

 黒く汚れていたのはタイヤの中に押し込められていたせいであった。

 

「さて」

 

 大ミミズを片付けたクロスメロディーはヤマさんとヤマバクの方へ振り返る。

 同じように春香と遥、それにセイコも集まってやってきた。

 ちょっとしたクセのある問題児と思っていた彼女達が随分遠い存在のように感じられるヤマさんである。

 そんな戸惑いを余所に、クロスメロディーはヤマさんとヤマバクの前にしゃがみ込むと、パンッ! と両手を合わせた。

 

「ごめん! ヤマさん!」

 

 なにが? と戸惑うヤマさん。

 

「私がクロスメロディーなのは内緒にしといて!」

 

 なんだそんな事か。ヤマさんはガクリと肩を落として呆れた。

 そんな大層な秘密なら、あんなカッコつけて変身しなくてもいいのにと思わずにいられない。

 その疑問には春香と遥からフォローが入った。

 

「ふふ。可愛いフレンズちゃんの前だから格好つけたかったのよね」

「うんうん。それでこそ和香君だね」

「もう! お姉ちゃんもルカ先輩もっ! 格好つかないよ!」

 

 クロスメロディーの変身を解いた和香は年齢相応に頬っぺたを膨らませて両手をぶんぶんしていた。

 普段格好つけていても、たまにこうして素が出るのも和香の特徴である。

 すっかり緩んだ空気に、ヤマさんはようやく日常が戻って来た事を悟った。

 ペタリ、と尻もちをついてからヤマさんが答える。

 

「まぁ、なんだ。どうせ誰かに話したところで信じてもらえないさ」

 

 よくわからないタイヤの化け物が出て、それと女の子達が変身して戦っていたなんて話をしたら正気を疑われそうだ。

 それよりも、だ。

 

「このタイヤがもがれた車はどうするか……」

 

 いくらヤマさんが真実を話したところで、それを信じてなど貰えないだろう。

 ただ、この散らばった盗難車両をどう言い訳したものか。

 きっと明日あたり、最初に発見した盗難車を回収しに来た警察はおおいに慌てるのではないか。

 

「こりゃあ事件は迷宮入りだな」

 

 真実は小説よりも奇なりとは言うが、こんな真実を誰が想像つくというのか。

 ただ、真犯人は通りすがりの正義の味方が倒してくれた。

 ちょっと納まりは悪いが事件は終わったのだ。

 しかし、世間を納得させられるだけの結末を用意するにはどうするべきか。そうヤマさんが頭を悩ませていると春香が指を一本立ててこう宣言した。

 

「それだったらいい考えがあるわ」

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

 月曜日。

 ヤマさんは色鳥商店街前交番にて大きなため息をついた。

 まず連続車両窃盗事件であるが、ヤマさんの予想通り、捜査本部は大慌てだったようだ。

 日曜日に休日返上で盗難車両を回収に向かった警察は、一台どころか盗難車両全部が散らばるパーキングエリアを見て頭を抱えたらしい。

 結局、警察は一日中かかって盗難車をレッカー車でピストン輸送した。

 そして、一晩という短い時間でタイヤをもぎ取った盗難車両をパーキングエリアに放置するなんて事が出来る犯人に全く心当たりがなく捜査は暗礁へ乗り上げた。

 そこでヤマさんの出番である。

 ヤマさんは車両を修理してくれる者に心当たりがあった。しかもタダで。

 捜査が終わった車両は修理後に持ち主の元へ返される事になった。

 これで、真犯人を見つける事は出来なかったとしても、原状回復は出来るわけだから一応の面目は保てる。

 ちなみにであるが、ヤマさんと喧嘩になった暴走族も厳重注意というだけで釈放された。

 

「しかし、これをよくもまぁ考えついたもんだ」

 

 実は盗難車両をタダで修理してくれる者を紹介したのは春香である。

 彼女が言っていた『いい考え』とはこれであった。

 破損していた車両は色鳥西工科大学付属高校へと運びこまれた。

 そして、生徒の実習という名目で修理されるらしい。

 その段取りを付けたのは色鳥西工科大学付属高校の生徒会長である。

 確か、遠坂生徒会長と呼ばれていた。

 線は細くどこか気弱そうに見えるのに、あっという間に段取りを付ける辺り、見た目通りの人物ではないのかもしれない。

 何はともあれ、車両をタダで直す段取りをつけた事はヤマさんの手柄となった。

 これであれば近いうちに本署の刑事へ戻れるかもしれない。

 そこまで計算しての事であれば、あの四人組は大人顔負けではないか。

 そんな事を考えながら、ヤマさんはたった一人の交番で椅子に深く背を預けて天井を見上げた。

 そう。

 今は一人である。

 

「ヤマバクにもいい保護先が見つかってよかった」

 

 ヤマさんは今日の朝一番に市役所へヤマバクを連れて行った。

 そこにはなんと、あの稲荷家の主人である白いキツネのフレンズもまた来ていたのだ。

 どうやら迷子らしいヤマバクの力になれない事を気にしていてくれていたらしい。

 その場でトントン拍子に話は決まって、なんとヤマバクの保護家庭は稲荷家という事になったのである。

 稲荷家の主人も「娘に妹が出来る」と大変喜んでくれていた。

 名家である稲荷家であれば、きっと何不自由ない生活が出来るだろう。

 とても喜ばしい事だ。

 とはいえ、今後もヤマバクが言っていた『オイナリサマ』については調べていくつもりのヤマさんである。

 『オイナリサマ』が見つかった時には、その時あらためてヤマバクにとって何が一番いいのかを考えていけばいい。

 

「それにしても、この交番ってこんな広かったっけ?」

 

 一人になって寂しい思いがないとは言えない。

 だが、本署へ戻ればまた忙しい日々に逆戻りだ。寂しさを感じている余裕もなくなるだろう。

 ヤマさんはもうしばらくの間、骨休めと思って平和な商店街を満喫するつもりでいた。

 

 だがしかし、そうは問屋が卸さないのである。

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

 あれから一週間程が過ぎて、寒さも一気に和らぎ、公園には桜の花も咲き始めた。

 今日も商店街へ向かう人々の雑踏を眺めながら、ヤマさんは思う。

 

「(この交番ってこんな狭かったか?)」

 

 と。

 色鳥商店街前交番でワイワイとたむろしているのは春香に遥に和香とセイコの四人組である。いや、それに加えてセイコに付き従うドール=ドールがいるから正確には五人組か。

 セルリアンの起こしてそうな事件がないかどうかを調べに立ち寄るのだが、さすがに賑やか過ぎる。

 

「協力はしてやるからもう少しこっそりやってくれ」

 

 ヤマさんはそう言わざるを得ない。

 いくら通りすがりの正義の味方一味とはいえ、一般人に警察資料を見せるなんて、バレたらタダでは済むまい。

 だが、セルリアンという誰もが知らない脅威から市民を守るには彼女達の力が必要だ。

 調べ物は済んだのか、春香達はワイワイと去っていく。

 と。

 セイコが交番に戻ってきた。

 

「ああ、ヤマさん。言い忘れていました」

 

 一体何を言い忘れていたというのか。

 訝しむヤマさんに告げるセイコ。

 

「今日、稲荷家の人が来ますよ」

 

 ヤマさんがその言葉の意味を理解する前にセイコはドール=ドールを連れて春香達の後を追った。

 セイコも由緒正しい守護けものの血を引くフレンズだ。そうした旧家同士の繋がりもあるのかもしれない。

 それよりも、だ。

 稲荷家が一介の警官に何の用かと言えば、おそらくヤマバクの事だろう。

 

「ヤマバクに何かあったのか?」

 

 そう考えこむヤマさんであったが……。

 

「何かなんてものじゃありませんよ」

 

 いつのまにやって来たのか、稲荷家当主である白いキツネのフレンズが交番に入って来た。

 

「や、これはむさ苦しいところに……」

 

 掃きだめに鶴とはこの事か。

 慌てて椅子から立ち上がろうとしたヤマさんを稲荷家の当主は手で制した。

 

「今日こちらにお邪魔したのはヤマバクさんの事です」

 

 す、と稲荷家当主はその背中に隠れるようにしていたヤマバクを前に押し出す。

 ヤマバクも一緒だとは思っていなかった。

 

「あの……ヤマバクが何か……?」

 

 何かヤマバクに関して問題があるのだろうか。

 ヤマさんの疑問に稲荷家当主は頷いて答える。

 

「ええ。実はヤマバク自身が当家での本保護を断りまして」

 

 ヤマさんが驚いてヤマバクを見たら、頷いたから本当の事なのだろう。

 言葉が見つからず口をパクパクさせるヤマさん。

 稲荷家に引き取られるのは考えつく限りで最高の環境だと思える。それなのに断るとはどういう事か。

 その理由を稲荷家当主が教えてくれた。

 

「あなたの所がいいそうですよ」

 

 ヤマさんはもう完全に開いた口が塞がらなくなった。

 稲荷家とヤマさんの所では月とスッポンもいいところだ。

 そうやって未だ戸惑うヤマさんに稲荷家当主は畳みかける。

 

「もう毎日のようにあなたが如何にいいか惚気られるのですよ? たまったものではありません」

 

 稲荷家当主が嘯いてみせると、ヤマバクは真っ赤になって俯いた。

 それにますますヤマさんはなんで? と疑問符しか浮かばない。

 

「だって、言ってました……。私が安心して暮らせるように守ってくれるって」

 

 赤くなりながらそう言うヤマバクである。

 確かに言ったけれども、と思うヤマさんだ。

 ヤマバクはタイヤのセルリアンとの戦いで、根性のみでセルリアンをぶん投げたヤマさんにすっかり心を奪われてしまったらしい。

 そんな理由を知らず未だに戸惑うヤマさんに稲荷家当主が追い打ちをかけた。

 

「もう既に市役所の方へは手続きを済ませました。ヤマさんのところで仮保護期間を経て本保護。ヤマバクさんが高校卒業以降に結婚というのがよいかと」

「ちょちょちょちょっと待って下さい!?」

 

 いくらなんでも聞き捨てならない言葉にヤマさんは悲鳴をあげた。

 ヤマバクを保護するのは構わない。

 別に独り身だから娘がいる生活というのだって決して悪くない。あまり使う機会がなく、お金だって貯めているから贅沢はさせられなくとも不自由もさせないだろう。

 だが待って欲しい。結婚ってヤマバクと誰が?

 

「ですから、あなたとヤマバクさんですよ」

 

 何か問題が? と言わんがばかりの稲荷家当主にヤマさんは天を仰いだ後に向き直って絶叫した。

 

「大問題ですよっ!?!?」

 

 ヤマさんとヤマバクでは親娘ほど年齢が違う。

 だが、稲荷家当主は言った。

 

「惚れてしまったのだから仕方がないでしょう」

 

 ヤマさんがヤマバクの方を振り向けば真っ赤な顔をしつつも頷いているではないか。

 もう呆れていいやら照れていいやら全くわからないヤマさんだ。

 ともかく、事実としてヤマバクは稲荷家の保護を断ってヤマさんに仮保護を申し込んだ。

 

「(まぁ、一時的な気の迷いだろう。きっと学校に通うようになれば普通に恋して普通に嫁に行くだろう)」

 

 ヤマさんはそう結論づけた。

 仕事一筋で生きてきたヤマさんの自己評価は低い。特に恋愛関係なんてどん底だ。

 ヤマバクが好きだと言ってくれても、自身はどこがいいんだとしか思わない。

 きっとこれからの生活の中でもっといい人に目移りするだろう。

 今日という日はきっと思い出になるに違いないのだ。

 さて、ヤマさんの方は肚が決まった。

 ヤマバクにも最終意思確認といこう。

 

「結婚云々は置いておいて、だ。ウチは稲荷家のように裕福じゃないし、家事とかも俺一人しかいないから大変だぞ?」

「そこを置いておかれると困りますが、問題ありません。オイナリ姉様が少しは教えてくれましたから」

 

 どうやら、稲荷家当主とその娘がこの一週間家事を色々と教えてくれていたらしい。

 その上……。

 

「私としてもヤマバクさんの事は応援していますので。折りを見て花嫁修業もつけさせていただきますよ」

 

 由緒正しい名家が花嫁修業をしてくれるというならこれに勝る事はあるまい。

 ただ、嫁に行く先がヤマさんというのでは宝の持ち腐れな気がするが。

 まぁ、近いうちに気は変わるのだから問題は全くない。

 それに、ヤマさん自身を取り巻く環境だっておあつらえ向きにも、交番勤務になった事で今までより忙しくない。

 本署の刑事への復帰は断ってしまえば交番勤務も続けられる。

 当面の問題がクリアされた事でヤマバクを預かる事は本決まりだ。

 

「言っておくが、これから色々と大変だからな」

「ええ。いい妻になれるよう頑張りますね」

「だからそれは置いておけ!?」

「それよりもアナタ? 先程までいらっしゃったお若い女性達とは一体どういう関係なんです? まさか私というものがありながら……」

「居座られて困っていただけだ!?!?」

 

 どうやらヤマバクは早くも妻気取りのようだ。

 そんな様子を見て稲荷家当主は可笑しそうに笑いながら言う。

 

「ふふ、夫婦喧嘩は犬もキツネも食べませんので私はそろそろお暇しますね」

「ちょぉ!? せめて助けて下さいっ!?」

 

 まだ夫婦ですらないのに浮気を疑われるヤマさんは悲鳴をあげたが、それに構う事なく稲荷家当主は「あとはお若い方で」と去って行ってしまった。

 ちなみに、稲荷家当主の方がヤマさんより若く見えるのだがそれは今はどうでもいい。

 残されたヤマバクはそっぽを向いて頬を膨らませつつ言う。

 

「アナタはああいう若い子の方がお好みなんですね?」

「いやいや、お前の方が年下だからな!?」

 

 ひとしきり言い合ったが、どうやらヤマバクは不機嫌になってしまったようだ。

 初日からこれでは先が思いやられる。

 先に折れたのはヤマさんの方だった。

 

「なあ、ヤマバク。どうしたら機嫌を直してくれるんだい?」

 

 ヤマバクはその言葉を待っていました、とばかりに年齢相応に目を輝かせて言った。

 

「またあのラーメンを作って下さい!」

 

 

 

 それから数年。

 ヤマさんは娘として扱ってきたヤマバクの猛アタックに屈して結婚する事になる。

 仕事一筋だった清純派の刑事には恋する乙女に抗う術などなかったのだ。

 こうして色鳥町商店街前交番には新たな名物が誕生した。

 かつて名刑事と呼ばれたけれど今は愛妻家の警察官と、その幼な妻である。

 そしてそこからさらに数年後。

 ヤマバクは色鳥商店街前交番に現れた同郷らしいフレンズの話を聞いて、自分と同じラーメンを食べたという事にヤキモチを妬く事になるのであった。

 

 

 

けものフレンズRクロスハート春の番外編『はずれ刑事清純派-慕情編-』

―おしまい―

 




【セルリアン情報公開:タイヤ・ワーム】

 タイヤに憑りついたセルリアン。
 色鳥町で車を食べて、そのタイヤを取り込む事でさらにパワーアップを図っていた。
 見た目はタイヤを連ねて出来た大ミミズである。
 主な攻撃方法はその大口で獲物を捕食したり、体内に取り込んだ盗難車を弾丸代わりに吐き出したりする。
 また、自身の身体を構成するタイヤを使って獲物を拘束する技も持つ。
 元がタイヤであるおかげで打撃に対する耐性が高く、また自身を構成するタイヤを自切する事で敵から逃れたりする事も出来るので非常に倒しづらい。
 如何にして『石』を砕くかが攻略の鍵だ。
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