いつも通りの生活をしていた筈だった。
なのに突然の地震。
そして瓦礫に押し潰された筈の俺は………。
狼になっていた。

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1話 転生。

いつもの様に会社に行って、帰る。

それだけのはずだった。

好きなライトノベルを読んで、寝て。

起きたら適当にご飯を食べ、出勤。

仕事が終わるのは夜11時程。

会社は別にブラックではない。

有給だって取れるし、強制的に働かされてるわけでも無い。

ただ、自分が出世したいだけだった。

まあ、頑張り過ぎな気もしないでもない。

それでも出世欲の方が強くて、頑張って。

頑張って。

 

そんな中。

 

地震が起きた。

 

唐突に揺れ出した大地にあわせ、会社のビルも当たり前のように揺れる。

停電、混乱。

そして挙げ句の果てに発火。

 

それだけでも大変だった。

けど。

 

天井が崩れ始めた。

コンクリートの天井が崩壊して、自分へと襲いかかってくる。

範囲は広く、逃げることはできない。

 

世界が遅くなる。

もはや何も出来ないのだから、さっさと終われ。

そんな諦めにも似た思いが過ぎ去って。

 

『——サモン、オニキスウルフ!』

 

唐突に、そんな声が聞こえた……気がした。

 

***

 

「グルルルルルゥゥゥ」

 

苦しい、苦しい。

なんで、こんな体が中から破裂しそう(・・・・・・・・・・)な苦しみを味わなきゃならないんだろう。

 

というか、自分の体どうなった?

違和感が凄い。

 

「な、オニキスウルフ?なんでこんなところで?」

 

……それよりも、体を落ち着けないと。

一旦、落ち着く為。

敵を、排除しなきゃ……。

 

「グルルル………」

 

『おい、唸るな! もっと大人しくしてくれ!』

 

……うるさいな。

とにかく俺は体を休めたいんだ。

 

「……」

 

苦しい、さっさと解放されたい。

 

『お前はウルシだ!』

 

……は?

何言ってんだこいつ。

俺に向かって何を言ってるんだ?

俺には■■■ ■■って言う名前が……?

あれ?

 

〈オニキスウルフの〈名付け〉が完了しました〉

〈オニキスウルフが進化します〉

 

……え?

は?え?ドユコト?

 

唐突に聞こえた声。

それに合わせて体が変わっていく。

そして、先ほど感じていた苦しさはなくなった。

 

……ええ?

 

なんで?

 

先程は息苦しさすら感じていたにもかかわらず、今は全能感に満ち溢れている。

なんだこれは。

 

〈ウルシが、ダークネスウルフへと進化しました〉

 

……ああ、これが進化か。

なんだこの力は。

体から力が湧き上がってくる感触がある。

 

その全能感に、思わず叫ぶ。

 

「アオオオォォォォォーン!」

 

……そしてそこでようやく気づく。

俺、人じゃなくて狼、しかも魔物みたいな存在になってる、と。

体の形は犬型。

先程聞こえたアナウンスからして、狼の魔物だろう。

……体の痛みで冷静さを失っていたようだ。

少しだけ反省した。




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