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目次を開いて察したかもしれませんが、今回より特別試験に突入します。綾小路無双が見たい方、もう間もなくで見られますので、後ちょっとだけ我慢してください。
中身はしょぼいかもしれませんが許してください。なんでもしますから!これでもめちゃめちゃ頭を使って考えたんです。
Eクラスの初戦
一年生の時は入学して間もなかったから、夏休みまで公式な特別試験が全くなかった。
しかし、二年生に上がればその制約は外れる。
「では、これから今年度最初の特別試験の説明を行います」
5月のゴールデンウィーク明け。去年の今頃は、cpを全て失って立て直そうと色々模索していた時期だった。
4月、特別試験がない中なんとか48cpを得ることに成功し、今回の試験に向かう。
「毎年2、3年生は各学年で球技大会を開催することになっています」
新たにオレたちの担任に指名された、杉本正志が淡々と説明を続ける。20代の若い男性教師で、メガネをかけ、知的な雰囲気を醸し出している。
「競技は、野球、サッカー、バスケットボールの3種目で、それぞれ総当たり戦となります」
配布された資料に目を通す。
種目は杉本先生の話にあった通りだ。ルールは簡単、試合に勝てば3ポイント、引き分けでお互いに1ポイント、負けは0ポイント。
終了時のポイントが同じだった場合、そのチーム同士の試合結果で判断する。それでも引き分けだった場合、野球、バスケは延長戦、サッカーはペナルティキック戦を行う。
総合で順位が同じだった場合、より順位の高い競技が多いクラスが高い順位となる。
勝ちは種目別優勝、総合優勝の二つがある。
種目別優勝は、名前の通りそれぞれの種目で最も勝ち点を得たクラスが選ばれる。
総合優勝は、3種目の合計ポイントが最も多いクラスが選ばれる。
「そして、この特別試験ではリーダーを決めてもらいます。リーダーは得るポイントが多くなりますが、負けた時のリスクも大きいです」
「と言いますと?」
「総合で最下位になってしまったクラスのリーダーは退学となります」
やはりか。月城の退学執念がここにも顕著に表れている。
しかし、これはまだ優しい方と見るべきなのだろう。本気でオレを退学させようとするならば、条件を厳しくするに違いない。あの日、オレの実力を見たいというような発言をしていたので、今回は緩めの設定にした、そう捉えるべきだ。
パンフレットを読み進めると、順位によって得られるppt、cpが書かれたページにたどり着いた。
種目別では、優勝すると50cpと10万ppt、2位は30cp5万ppt、3位はcpに変化はなく3万pptを得る。4位は-10cpで1万pptを得る。最下位は-30cpで、得られるpptはない。
総合では、優勝で100cpと20万ppt、2位は75cpと10万ppt、3位は50cpと5万ppt。4位は30cp3万ppt。最下位はcp、ppt共に変化はないが、リーダーが退学となってしまう。
リーダーは、退学というリスクを背負う代わりにpptが1.5倍になる。
そのため、最大で250cpとリーダーで75万ppt。万が一全て最下位となってしまうと、-90cpに加え、一人退学という大きな痛手を受けることになる。
全員が最低でも1種目に出場しなければならず、リーダーだけが全ての種目に出場できる。
つまり、原則一人あたり多くても2種目ということになる。
このメンバー表は明後日10日に発表され、それを見てメンバーの変更を行うことができる。
それで変更されたメンバーの発表は行われず、当日試合の時になって初めて分かる。直前の変更も可能なので、相手の意表をつくことができる。
「試験は2週間後の5月22日、23日に行われます。それまでにメンバーの割り振りをして、練習もある程度行っておくと良いでしょう」
それだけ言うと、杉本先生は早々に荷物をまとめて教室を出ていってしまった。
各競技の概要もこのパンフレットに書かれている。そこを読んでおけ、ということだろう。
茶柱先生よりも雑な気がしてならない。
「すいません。今回は参加できそうにありませんね」
「坂柳は仕方がない」
スポーツ系の特別試験なので、坂柳は参加不可能となる。おそらく、内容の説明を聞いている段階で全員が共通に認識していただろう。
野球は最低9人、サッカーは11人、バスケは5人。最低限必要な延べ人数は25人だ。
Eクラスは元の人数が少ないので、2種目出場する人が必然的に増える。
しかし、他のクラスはEクラスに比べて人数が多い。Bクラスに至っては、未だに40人を保っている。
人数が多い方が交代もでき、あまりスタミナを消費せず戦い続けられるだろう。
交代がメリットばかりというわけではないが。
「おい綾小路。さっさと決めるぞ」
「分かった」
このクラスの中心は当然オレだ。自らメンバーを集めたのだから、必然と言える。
「リーダーは正直誰でもいい。最下位で終わるつもりなどさらさらないからな。当然全勝をとる。だから、後で決めることにする」
リーダーはpptに困っている人が務めればいい。あくまでもこのクラスを動かすのはオレであり、リーダーはほぼ名前のみの状態になる。
「まず、2種目出る人を決める。延べ25人必要だから、坂柳抜きで16人。よって、最低9人は2種目出場しなければならない。3種目に出場したければ言ってくれ。他に誰もいなければそいつにリーダーをやってもらう」
運動の苦手な啓誠や愛里、椎名は1種目だけの方がいいだろう。
「2種目出たい人は手を挙げてくれ」
遠回しに運動神経のいい人は手を挙げろ、と言っているようなものだ。
男子を中心に、運動の出来る人が挙手する。
堀北、明人、高円寺、龍園、石崎、アルベルト、伊吹、橋下、葛城。そこにオレが入れば10人。
ホワイトボードに手を挙げた人の名前を書き込んでいく。
「これで、オレを含めて10人。他にいなければこれで決定にしていいな?」
「……私も二種目やるわ」
さっきから坂柳に指示されていたのか、神室も名乗りをあげた。これで11人。延べ27人となり、ベンチ枠は二人になった。リーダーも含めれば三人。
「んで、次は各競技のメンバー決めか」
全員出る必要がなかったら運動神経のいい人で固めれば良かったのだが、今回の特別試験は全員参加だ。啓誠にも、椎名にも、愛里にも参加してもらわなければならない。
そのため、その穴を上手く埋められる配置にしなければならない。
例えば野球。せめて塁の間はノーバンで安定した送球が出来なければ、勝つことは難しい。
フライやバウンドする球は、少なくとも正面からのものは100%取れるくらいの水準が欲しい。
これは、各ポジションの距離が非常に離れていることに起因する。
サッカーやバスケは比較的距離が近く、野球に比べてフォローが簡単だ。その分、フォローする人には体力が求められる。
それでも、3種目偏りなく振り分けなければならない。
「なるべく野球には運動が出来る人を配置したい。取り敢えず希望を聞くから挙手してくれ」
ちらほらと手が挙がる。しかし、どう見ても9人に足りていない。
あと……3人か。オレが入ってもあと2人。
「他にいないか?」
オレがそう聞くと、しばらくして3人の手が挙がった。
これで野球は決定でいいだろう。全部決めたあとまだ余裕があるなら追加で入れればいい。
その後もそんな感じで進み、無事この時間内に決めきることが出来た。
野球は恵、堀北、波瑠加、明人、石崎、龍園、椎名、橋下、葛城の9人。
サッカーはオレ、堀北、啓誠、明人、愛里、高円寺、龍園、アルベルト、伊吹、神室、橋下、葛城の12人。
バスケはオレ、高円寺、アルベルト、石崎、伊吹、神室の6人。
これでちょうどだ。あとはリーダーを決めるだけ。そのリーダーが他の競技に参加することも十分ありだ。
「最後に聞くが、リーダーを務めたい人はいるか?いなければオレがやるが」
誰も手を挙げない。流石に、退学というリスクが行く手を阻んだか。
こうなると、自動的にオレがリーダーということになる。
現時点でオレはまだ野球には参加していないが、人数の都合上参加すべきだろう。
「じゃあオレがリーダーを務める。オレは野球にも参加するから10人になる」
上手く全種目に交代がいる構図を作り出すことに成功した。
これで、誰かが怪我した時の心配は問題ない。
「それで、偽のメンバー表はどうするんだい?綾小路ボーイ」
「一応作るが、人数が少ないからあまり役に立たないだろうな」
人数が多ければ多いほど、組み合わせは増える。
逆に言えば、人数の少ないオレたちは工作が出来ないということになる。
敢えてそのままで行って裏の裏をかく方法もある。
「とりあえずそのまま書いておいて、後から変えたいところを変えればいいでしょう。もう時間ですし」
坂柳の言葉通り、ちょうどチャイムが鳴った。
杉本先生は一度帰ってきたが、挨拶だけしてまた引き返していった。
特別試験まで残り14日。絶望へのカウントダウンは始まっている。
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