すくつ廃人が少女をすくつに潜れるようになるまで鍛え上げるお話 作:ニカン
あ、★グロ注意でおじゃる★
ざっつあぷりちーふらわー
「それにしても、廃人バトルロワイヤルとは……
「ああ、暇で暇でしょうがなくてな。皮たたきもだいぶ飽きてきたし色々暇つぶしの方法を考えてたらハインゼルが相談しにきてな? 曰く──」
──廃人たちの議論の結果、理論上最強の種族はカオスシェイプだと言う結論が出たのですがそれを証明出来る『敵』が居ないのです。
「まあ、本気の中の神ですら
「もはや《廃人》以外に居るはずもありませんね……」
「そうだ。だが、一人や二人と戦って勝った程度では最強の《廃人》であるという証明をするのは難しい。ではどうするか……」
「世界中の廃人を集めてバトルロワイヤルをしてしまえばいい、と?」
「その通り! ついでにイベントにしてしまえば暇つぶしにもなる! うむ、我ながら素晴らしいアイディアだ」
「それ、見に来る人いるんですか? そもそも廃人同士の戦いなんて速度が最低でも2000……下手すると数万とかのレベルの戦いになりますし、もはや一般人には残像を捉えることもできないんじゃないですか?」
「問題ない。マニ信者の廃人連中に協力を仰いで超高速度撮影が可能なカメラを用意してもらっている。アクリ・テオラが残っていればもう少し楽だったんだがな……」
「……そういえば私が居ない間にどれくらい技術が進歩したんでしょう? それと、50年以上も経ってるとだいぶ国際情勢なんかも様変わりしてそうですが」
「科学と機械の技術はだいぶ進歩したと思うぞ。お前から聞いた技術は概ね達成済みか超えるところまできている。国際情勢は……特に大きな変化はないな。
「そうですね……科学以外にも魔法技術がとうとう実用化されまして。私がここに来る10年ほど前の話だったかなぁ」
「おや、意外だな……そちらでは魔法の存在が認知すらされてなかったんだろう?」
「ええと、ですね……どうやら私以外にも魔法が存在する次元から戻ってきた人が居たみたいでして。それで魔法技術の発展が急激に進んでしまいまして……戻ってくる直前では機械と魔法のハイブリッド型アンドロイドがそこらを普通に歩いてました」
「魔法と機械の融合が進んだというわけか……それはこちらも似たようなものか。イェルスの思想が広まったおかげで殆どの奴が無宗教かマニ信仰になってしまったしな。全く、
「そういえばエーテルの問題はどうなったんですか? あの頃の時点で異形の森消滅の影響からか、メシェーラ病がかなり流行っていましたが」
「一部解決した。……ある廃人が終末武装を適当にばらまいてな。そうしたらなぜか終末でエーテルの風を吹かせ続ければ解決するなどと言う思想が流行ってな。おかげでその辺を歩いていると突然終末が起こってエーテルの風が吹き始めるんだ。機械で武装したガードが終末をまともに鎮圧出来るようになったから被害はあまり出ていないが」
「ええ……世紀末もいいとこじゃないですか……」
「なに、終末が起こってる地域はまだ可愛いものだ。イェルス国の首都付近では終末を起こして回っている冒険者……ロスリアンと名乗っているらしいが、そいつらが近づけないせいでメシェーラ病が蔓延している。エーテルと魔法に頼らずにそれを何とかするため、首都の人口の7割が体を機械化しているそうだ」
「相変わらずひどい状況ですね……そのうち滅びるんじゃないですか?この世界」
「滅びるだろうな。……実際の所、この世界はすでに10回ほど滅びている。11回目の滅びも、すでにすぐそこまで迫っているんだろうよ」
まあ、世界がどうなろうが俺のやることに変わりはない。
いよいよもってどうにもならなくなったら神々がなんとかするだろう。
……地上の生物がまとめて
「さて、ともかくだ。廃人バトルロワイヤルを開催することになったので関係各所とある程度大きい街に招待状や開催のお知らせをばらまいたんだが……いくつか配達拒否されたところがあってな」
「……一体何をやらかした人なんですか?」
「何、大したことじゃあない……人間牧場を経営している狂人と、終末を起こして世界をエーテルで満たそうと考えているエーテル病の重症患者だ」
「配達拒否も当然では?」
「……正直、俺としても会いたくない部類の連中なんだが廃人としては強い方でな……出場すれば面白くはなりそうなんだ」
「だからってそんな人達まで呼ぶんですか……たしかに多少名声が下がったところでどうでもいいのかもしれませんが」
「そういうことだ。それで、これから全員でそいつらに招待状を渡しに行こうと思うんだが……」
「行きます。この数十年でノースティリスがどれくらい様変わりしたのか直接見てみたいですし」
「ありがたい。何が起こるかわからない以上戦力は多いほうがいいからな……」
「そんなにヤバい人たちなんですか……それで、最初はどこへ行くんですか?」
「ヨウィンだ。……今は人間牧場で栄えている」
「うわぁ……」
ヨウィン。
のどかな農村で、ヨウィンの馬はその速度と力強さから冒険者がよく乗馬していた……らしいです。かつては。
しかし、イェルス国の台頭でバイクや車が一般的になった今、それはもはや過去のものです。
「前に来たときとあまり変わりがないように見えますね? のどかな農村のままに見えますが……」
「この辺りはな……『牧場』の辺りまで行けばまた様子が変わってくる」
「行きたくないです……」
「言うな。俺だって行きたくはないんだ」
「知ってると本当に会いたくなくなるよねー……」
「*ぶるぶる*」
「ミンチにされることは無いでありましょうが……何をされるか分かったものではないであります」
話は通じるらしいですが……うう、本当に会いたくないです。
……私たちは今イリアスさんの運転する車に乗って『牧場』に向かっています。
ちなみに車の運転は乗馬スキルが応用できるそうです。
「それにしても、……言っては悪いかもしれませんが、こんな田舎にまで車の通れる街道が整備されているんですね」
「イェルス国がそういう政策を推し進めているからな」
「ていうかあいつらさー、昔は無宗教とか言ってたくせに今では体を機械化してマニ信仰も増えてるのがねー。気に入らないんだよねー」
「死にたくないのは誰だって同じでありますからな……多少は仕方ないのでは?」
「*こくこく*」
さて、そうこうしているうちに周りの様子が変わってきました。
建物が減ってきて景色は殺風景に。
そして高い塀と強固な門……ええ、『牧場』です。
イリアスさんは門の近くで車を止めて、私達は車を降りました。
……近くで見ると本当に威圧感がすごいです。
飾り気のまったくない高い塀に鉄製の重い扉。明らかに逃さないためのものですし。
それにしても……先程からこちらをじっと見ている女の子は何でしょうか。
あ、こちらに近づいてきましたね。
「ねえ! あなたたちは冒険者さん?」
「え? ええ、そうですよ」
随分と人懐っこい娘です。
なんでこんなところにいるんでしょう。
「わあ!初めて見た! 私はグウェンっていうの!冒険者さんのお名前は何ていうの?」
「自己紹介が出来るなんてえらいですね。私は雪音といいます。……グウェンちゃん、ここには一人できたの?」
「んー?えっとねー……」
「おや?イリアス殿ではないですか。他の皆さんもお揃いのようで……私になにか用事でもありましたかな?」
「あ!パパー!」
「ああ、グウェン……こんなところにいたのですか。探しましたよ」
グウェンと名乗った少女はいつの間にか近くにいた、恰幅のいい中年の男性へと走りよっていきました。
いえ、待ってください……イリアスさんの名前を知っているということは……!
「久しぶりだな、ガリクソン。用事というか……渡すものがある。そら、これだ」
「ほう……? 招待状ですか」
「ああ、俺の用事はこれだけだ。では……」
「いえいえ、せっかくいらっしゃったのです。お食事でもしていかれてはいかがですかな? ちょうど──」
──活きの良い食材もあることですし。
ガリクソンはグウェンを☆『あえぐ希望』で突き刺して殺した。
「どうして、そんなことするの?」
グウェンちゃんはそう言って心臓を突き刺されて死にました。
最後まで、何が起こったかよく分かっていないようでした。
ガリクソンはグウェンちゃんの死体が地面に倒れる前に素早く首を切り裂き、足を掴んで逆さ吊りにしました。
鮮血が滝のように地面に流れ落ちます。
そのまま流れるように短剣を振るって服に切れ目を入れて剥ぎとり、全裸になったグウェンちゃんのお腹にまっすぐに切れ目を入れて内臓、が──
「うっ……」
動きがあまりにもなめらかで素早く、目をそらすのが遅れてしまいました。
ていうか目をそらしていてもバリバリと皮をはぐような音が聞こえてきます。吐きそう。
ダルノさんは潰れた害虫をうっかり見てしまったかのようなひどい顔をしていますし、シュナックちゃんは*がたがた*と震えています。マーレスさんは一見平然としているように見えますが顔がこわばり真っ青です。
イリアスさんもドン引きです。
そんな私たちの様子を見て何を勘違いしたのかガリクソンは短剣の自慢をはじめました。
「ああ、驚かれましたかな? この短剣は解剖学の技術を大きく上げてくれるのですよ。おかげで設備がなくともこんなにキレイに屠殺・解体ができるのです。素晴らしいでしょう? 本当は熟成もしたほうがいいのですが……新鮮な肉というのもなかなかいいものです」
解体の手も止めず、にこやかに。
「…………いや、結構だ。そもそも俺たちはあまり人肉が好きじゃ、ない」
「おや、そうですか……こんなに美味しいのに。もったいないですな」
ガリクソンはバーベキューセットで下処理をした肉を焼き始め、辺りにおいしそうな匂いが漂い始めます。
……おいしそうな匂いがする、というのがますます吐き気を催します。ヤバい。
なんとか会話を切ることができたので、私たちはそそくさと車に乗り込み、『人間牧場』をあとにしました。
……こんなのとあともう一回合わないといけないんですか?
もうすでに心が折れそうです。
「なるほど、廃人バトルロワイヤル……ペットを含めたチームとしての参加も可、と」
★遺伝子複合機を前に、ガリクソンは顎をなでながらつぶやいた。
「では、それが始まるまでにもう何体か作っておかねばなりませんね……」
──世界最強の『グウェン』を。
可愛らしい少女の声が無数に響く。
「ざっつあぷりちーふらわー」
るるる♪
異形の森:
ロスリアの腐敗から数年後に消滅。
もはやこの世界にエーテルの風が吹くことはない。
そのためエーテル病は姿を消し、メシェーラ菌が暴走することで発生するメシェーラ病が猛威を振るっている。
メシェーラ病を発症したものはもはや這い上がることもできずに死ぬことになるため、非常に恐れられている。
なお、この作品中でelona世界の住人が『這い上がる』事ができたのはエーテルとメシェーラが奇跡的な調和を起こし、生命の危機を前に驚異的な回復をしていた事が原因である。
エーテルとメシェーラのバランスは完全に崩れた。
そのため、今現在『這い上がる』ことが出来る人類の数は10%を下回っている。
11紀の終わりは、近い。
……また、真田 雪音の体内ではメシェーラとエーテルが変質し、お互いを補い合うように共存しているためいかなる状況でも這い上がることが出来る。
事実上の不死である。