すくつ廃人が少女をすくつに潜れるようになるまで鍛え上げるお話 作:ニカン
「つ、次はどこに行くんでしたっけ……?」
あまりのショックに次の予定をすっかり忘れてしまいました。
私も人がミンチになったりするのは慣れていますが、食べること前提で解体していくのは流石にちょっと……。
「次は……妹の館近くのエーテミアという街だ」
「初めて聞く名前の街ですね……いつ頃できた街なんですか?」
「雪音が里帰りしたあとすぐぐらいにできたんだよー。あ、エーテルの風が年がら年中吹いてるからヴィンデールクローク用意しといてねー?」
「*ごそごそ*」
「私はエーテルの風
「しかしヴィンデールクロークをつけてないとおかしな目で見られるでありますからな!!ファッション感覚でつけておくといいでありましょう!!!」
「ですね……それにしても、この辺りって終末を起こすためのシェルター設置地域だった気がするんですが」
というかなんでそんなものがあったんでしょう? 廃人ともなると終末はあまり旨味がないはずなんですが……。
「そうだ……そういえば、そもそもなんでこの辺りが終末発生地域になっているか知らなかったか。今から会いに行くやつが終末を起こし続けていたからだ」
「……なんでそんなことをしていたんですか?」
「趣味だ」
「…………はい?」
「趣味だ」
「いえ、あの……趣味?」
「そうだ、趣味だ。……お前も知っている通り、廃人は目的のためなら何でもやる。だろう?」
「……はい」
「その目的自体、頭がおかしいとしか思えないようなヤツも何故か多いんだ……ガリクソンは人肉食で美食を楽しむのが目的だし、スピーダーは速度を高めることに命をかけている。一見まともに見えるハインゼルですら世界最強の生物になるというのが目的だしな。中にはドラゴンが好きすぎてドラゴンを吊るして延々媚薬を投げつけ続けているヤツすらいるらしい」
「なんというか、すごい人もいるんですね……。でも、そうなると私の目的は……この世界でイリアスさんたちと楽しむことですね!」
「ええい、抱きつくな……今は運転してるからあとにしてくれ」
「あーずるーい!イリアスが忙しそうだから我慢してたのにー!」
「ダルノは昨日もあれだけ*気持ちいいこと*をしていたのにまだ足りないでありますか????」
「*ぽっ*……スキンシップと*気持ちいいこと*は、別腹」
「いや、まあ可能ならいくらでもやりたいでありますが!!!」
「皆さん私より前からイリアスさんと一緒にいるのにお盛んですね……私も人のことは言えませんが」
なんだかだんだん変な雰囲気になってきました。最後にシたのはいつでしたっけ?
……だんだん私たちの目つきが妖しくなってきたところでイリアスさんが咳払いをし、話を変えました。
「話がそれたな……ともかく、それで何の話だったか。そう、趣味で終末を起こしているやつがいるんだ。それがこれから会いに行く奴だ。今は自らのことを……」
エーテルの怪物、と呼んでいる。
エーテミアの街はエーテルの風が吹き続けていること以外は普通の街でした。
みんなヴィンデールクロークを着ていて、最近は珍しくなったらしいエーテル病を発症した人も多いのでなんというか……異国にでも来たような気分になります。
「昔はシェルターがぽつんといくつかあるだけの場所だったんですが……変われば変わるものですね」
「一般人に発見された途端に神聖視されてしまってな……あいつもなぜかは知らんが終末武装をばらまいたものだから、今では知られていない神の化身だとか神そのものだとか言われている」
「そのうちホントに神になるかもねー。マニのクソヤローも元は人だったらしいしー」
「廃人はもはや寿命とか関係ないでありますからな!!!正直一番神々に近い存在だと思うであります!!!」
「そのうち、ご主人さまや雪音も神様に、なるの?」
「うーん、興味もないですしどうでしょうね」
「なるつもりはなくとも、結果的になる可能性はあるかもな。さて……ここか」
街の中心、相変わらずぽつんとあるシェルターの隙間からエーテルの風が漏れ出しています。
周りには何人かガードもいて少し物々しい雰囲気です。これって勝手に入ってもいいんでしょうか?
まあ止められたところで多少カルマが下がるだけなので関係ないですが。
そういうわけでみんなでシェルターに近づいていくとやはりガードに止められました。
エーテル病で羽が生えた人と足が蹄になった人の二人組みです。
「ああ、君たち観光客かい?これ以上は先へは行けないよ!」
「このシェルターはエーテミアさまが今も終末を起こし続けていらっしゃる神聖な場所だ。これ以上近づくことはできん」
「なんだ?アイツ今はそんな呼ばれ方をしているのか。……知り合いだ。そのエーテミアに会いに来た」
「知り合い?嘘を言っちゃいけない、君たちがエーテミアさまのような『廃神』さまだって?」
「何も知らぬ観光客か? ここには本当に『廃神』様がいらっしゃる……不用意に近づいて怒りを買えば何が起こるかわからんぞ?」
「……面倒ですね。カルマがちょっと下がっちゃいますけど適当にみねうちして吊るしちゃいますか?」
「おー!やる?やっちゃう?ダルノちゃんの大鎌が火を吹くよー!」
「首狩りが付いてるからやめるであります!!」
「……ダルノとシュナックは手を出すな。首狩りで殺しかねん」
「サンドバッグ手持ちにありましたっけ……まあ成就で適当に出しちゃえばいいですね」
「うん?*成就*はかなり制約がきつかったはずだが……改良したのか?」
「はい。出力を下げて使いやすくしたんです。それでも世界を超えること以外はたいてい出来るので便利ですよ」
さて、そんな話をしていたらようやく彼らも危機感を覚えたみたいです。
剣を抜いて構えを取り始めました。
「お、おい……こいつらヤバいんじゃないか?」
「見た目普通に見えたが狂人の類か……仕方あるまい。鎮圧するぞ」
ですが、あまりにも遅すぎます。
速度900といったところでしょうか。翼や蹄をはやしているなら速度3000か4000ぐらいはあるかと思って、イリアスさんと一緒にちょっと本気の加速を事前にかけておいたんですがその必要もなかったみたいです。
流石に速度10万もあれば止まって見えますね。
マーレスさん、イリアスさんと一緒に適当にみねうちでペチペチと叩いてガードの二人を吊るしてあげました。
「がっ……!?な、何が起こって……!?」
「……っ!?なんだ!?いつの間に我々をサンドバッグに吊るした!?」
「用事が終わったら降ろしてあげるからおとなしく待っててくださいね?」
「よし、ではシェルターを開けるぞ」
錆だらけのシェルターが軋んだ音を立てながらゆっくりと開いていきます。
私たちはシェルターの階段を降りていきました。
降りた先は、終末でした。
エーテルの風と炎が吹き荒れ、次元の狭間からドラゴンと巨人がぞろぞろと出てきます。
そして、それらのモンスターたちは出現と同時に終末の発生源である怪物に向かっていき、そして次々に死んでいきます
そこには、たしかにエーテルの怪物というのがふさわしい生物がいました。
四つ目で、全身が甲殻で覆われ、背中には翼があり、足は蹄になっていて獣の尻尾と耳が生えていて、太い首と巨大な頭部を持っていて、甲殻のない部分は爛れて崩れかけたようになっています。
周囲の空間は捩れ、周囲のマナは枯渇し、重力も相当強くなっているのかドラゴンなどは近寄るだけで潰れていきます。
そして、何もできなくなったドラゴンも、必死に怪物を殺そうとする巨人も、殺戮の飢えからか叫び声を上げて暴れまわる怪物の振るう大斧に叩き潰されていきます。
「おい!ちょっとこっちを見ろ! 客だ!」
「───────z____________ッ! ……おう? なんだ? だれだおまえ? なんかみたことあるなぁ……」
「俺だ、イリアスだ。覚えてないか? 覚えてなければ同じ廃人だと分かってればいい」
「おう、おう……おお! 思い出した! イリアスか! なんねんぶりだっけかなぁ……」
「この上に街ができる前だから……多分100年ぐらいじゃないか?」
「まち? このうえにまちなんてないぞ? イリアス、ぼけたか?」
「ボケてるのはお前のほうじゃないのか……? この上に60年くらい前から街が作られてたんだが、もしかしてお前一度もシェルターから出てないのか?」
「そうだなぁ……さいごにイリアスとあってから出たこと無いからそんなもんじゃないかなぁ。しゅうまつぶきがほしいってやつがなんどかはいってきてから、だんだんさわがしくなったなぁとおもってたけど」
「……お前、エーテミアとか呼ばれて拝まれてたぞ? あれお前が許可出したわけじゃないのか?」
「えーてみあ?だれだそれ?」
「お前がそう呼ばれているんだ」
「おれが?エーテミア……けっこういい名前だな! これからはそうよんでくれ!」
「……まあお前がいいなら別にいいが……そんなことより用事だ。ほら、これ」
「おう……廃人バトルロワイヤル? なんだかおもしろそうだなぁ」
「他の廃人も集まるからそこそこ面白くなると思うぞ。開催は1年後だ。忘れるなよ?」
「だいじょうぶだいじょうぶ、おもしろいことはあんまりわすれないから」
「あの頃からだいぶ様変わりしてるからレシマス廃人研究所もチェックしておけよ? 特にハインゼルのレポートはなかなかに面白い内容になっているから要チェックだ」
「そっかぁ……じゃあいまからちょっとみてくるかなぁ」
「それはいいがお前……まだしばらく終末を起こすつもりか?」
「おう! しゅうまつはたのしいからな! あきるまではやるつもりだ!」
「そうか……なら、しばらくこの街は存続しそうだな」
「えーっと、まだ帰還のすとっくあったっけ……? あった!」
エーテルの怪物のエーテミアは帰還の魔法を唱えた。不思議な力が帰還を阻止した。エーテミアは次元の扉を開けた。
「……あいつ、シェルターで帰還使ったら地上に出るだけってこと忘れてたな?」
「あー、たまにやりますよね。……今頃上は大騒ぎになってそうですね」
「いきなり信仰してる神様が出てきたらびっくりするよねー」
「*こくこく*」
「そういえば神の降臨は割と珍しいことでありましたな!! 願いの杖で割とポンポン出てくるから忘れかけておりました!!!」
「とりあえず吊るしたガードを降ろして俺たちも帰ろうか」
「ですね」
シェルターから出ると、案の定地上は大混乱になっていました。
「おい! さっきのってやっぱりエーテミア様じゃないのか!? 伝承通りのお姿をしていたぞ!?」
「わ、わからん……正直俺も一瞬しか見えなかった。すぐに姿を消してしまわれたが……そうなるとこのエーテルの風はどうなるんだ? エーテミア様が起こしていたんだろう?」
「俺が知るかよ! ていうか誰か早く降ろしてくれ!」
……近くに野次馬や応援のガードが来ていますが遠巻きに見るばかりで近づいてきませんね。
絡まれても面倒ですしとっとと降ろして帰還しちゃいましょうか。
真田 雪音は帰還の魔法を唱えた。周囲の大気がざわめきだした。
「おまたせしました。用事が終わったので降ろしてあげますね」
「……あ!? お前ら! 一体何をしたんだ!? お前らが入ってしばらくしたらエーテミア様が出てきてどこかへ行ってしまわれたぞ!?」
「そのうち戻ってくるみたいだから気にしなくていいと思いますよ?」
「……お前たち、もしかして本当にエーテミア様の知り合いだったのか?」
「最初からそう言ってるだろう。まだしばらくは終末を起こし続けるつもりらしいから安心するといい。ではな。そろそろ時間だ」
真田 雪音は次元の扉を開けた。
願う対象を願いの神から自分自身へと変更した魔法。
この『願い』の出力は願った自分自身の力に比例するので願いの神にはできないことや、願いの神以上に柔軟な物事を
『成就』させることが可能。
制約が非常にきついものの、魔力さえあれば事実上あらゆる事象を成就できるのでそれはもはや《全能》に限りなく近い。
また、出力を下げて使いやすくした成就も開発しており、そちらは特に制約などはない。
願う内容によって異なるが、最大で5割ほどMPをもっていかれる。
欲しいアイテムをその場で作り出したり状態異常の回復なども出来るため非常に便利。
また、多少なら時空間にも干渉でき、時間差で魔法を発動することなども可能。