すくつ廃人が少女をすくつに潜れるようになるまで鍛え上げるお話 作:ニカン
「
「先行する!」
「ガアアアアアアアア!!!!!!」
私の殺気を受けた廃人たちの対応はなかなかに素早いものでした。
なるほど、まずは私の手を止めて態勢を整えようというのですね?
ですが、無意味です。
「カハッ……!」「ガ、ア!?」
私の一撃で首を叩き切られてふたりとも即死。
足止めにもなりません。
「魔力の嵐!」
「うおおおおおおおおおおお!!!」
「グウェンちゃん!私達の愛の力見せてあげましょう!」
「ざっつあぷりちーふらわー」
廃人たちの総攻撃。
しかし、それはあまりにも貧弱です。
当然でしょう。
彼らの強さの根幹を支えるエンチャントが軒並み封印されているのですから。
魔力の嵐は私の髪を揺らす程度のそよ風に過ぎず。
バースト弾の使えないクロスボウの斉射は104連発止まり。
ましてやこの
「こそばゆいですね」
あまり絶望を与えて嬲るのも趣味ではありません。
全員まとめてミンチにして差し上げましょう。
うみみゃあ!
私の手にした杖から光がほとばしり、すべてを滅する光が地面に突き刺さってすべてを蹂躙してゆく。
本来は幸運の神が用いる力ですがこの程度、私にも使えます。
地上の生物を一掃するのに非常に便利なので、この力が4紀のときに使えていれば。
さて。これで全滅……していれば良いものを。
生き残りが二人、いました。
一人は
成就の魔法でどうにか生き残ったようですね。
ルビナス製の長剣を杖にして立ってはいますが息も絶え絶え、と言ったところです。
もう一人は……
少女の一人がかばってどうにか生き延びたようです。
尻餅をついて血まみれで呆然としています。
「成就で生き延びたようですが……それでどうしようというのですか? ああ、言っておきますが他の方々の這い上がりを期待するのは無意味ですよ? エンチャントの封印ができるのですから這い上がりの無効化なども当然できますからね。彼らはもう二度と起き上がることはありません」
先程からうつむいて何かをつぶやき続けているようですが……おそらくは*成就*の詠唱でしょうか。
無意味だというのに何がそこまで彼女を駆り立てているのやら……。
「あまり長々とお喋りをするのも趣味ではありません。ひと思いに埋まらせて上げましょう」
「……っ! ガリクソン!」
ふむ。
ここで仲間に声をかけますか。
最期の言葉ぐらいはかけさせてやるのも慈悲というものでしょう。
首を狩るつもりだった手を止め、見守ることにします。
「あ、ああ、グウェン、私のかわいいグウェンちゃんたち……」
「呆けている場合ですか! それとも、あなたのグウェンたちへの愛はその程度のものだったのですか!?」
「愛……愛? 私の……」
「分かっているはずです! まだ終わりじゃない! できることが、あなたにしかできないことがまだあるはずです!」
ふむ?激励ですか。
諦めの悪いことです。
できることなどもうなにもないというのに。
「ああ、あああ……そうだ、私の……グウェンの、グウェンたちへの愛は、こんなものではない……! そうだ!なぜ忘れていたんだ……ッ!私の!私のグウェンへの!グウェンたちへの愛は!」
立ち直りましたか。
まあ、いいでしょう。
立ち直ったとしてもすぐミンチになることに変わりはありません。
なかなかおもしろかっったですが余興はここまで。
「私の!私のグウェンへの愛は!無限大だァ─────z_______ッ!!!!!!」
目をギラつかせてガリクソンが立ち上がる。
*成就*
「さあ! 甦れ! 私の愛しのグウェンちゃんたち! あとその他諸々!!!」
その願いは叶う。
「……!? バカな!? 目障りな這い上がりは封印したはず!」
…………。
《The Over Wish》が動揺しています。
当然です。
ガリクソンが突然
「……! 貴様! 一体何を……!」
グウェンたちが《The Over Wish》にまとわりつきますが、圧倒的なステータスによって瞬殺されてしまいます。
しかし、いくらでも復活するため対処に手間取り行動が遅れました。
一手。
「エーテミア! あなたは成し遂げた! エーテルの風を呼び続け、ついには信仰さえも芽生えさせた! その偉業が認められないはずがない! たとえ誰もが認めないとしても私が認める!」
*成就*
「ガ、アアアア……!」
その願いは叶う。
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!!!!!!!!」
爪が、空間を切り裂いた。
咆哮とともに空間の裂け目からエーテルが無尽蔵に溢れ出し、それは嵐となって辺り一帯の空間を制圧する!
あらゆる封印・バフ・デバフがエーテルの嵐にかき消された!
「くっ……! 衰弱の願いまで……!?」
エーテルの嵐によって、一瞬だが動きを封じた。
二手。
「スピーダー! あなたの速さは神に邪魔された程度で陰るようなものだったのですか!? 私は、私たちは知っている! 世界最速! その名前を!」
*成就*
「……言われなくてもわかってるそうだ私こそが最速だ廃人だろうと神だろうと誰も私の速さを止めることなんてできやしないそうだそうだそうddrmwtswtmrktnntdkysni──────!!!!!!」
その願いは叶う。
スピーダーは見る間に加速し、あまりの速度に両手に握られたルビナスとエーテルの短剣が残す赤と青の軌跡だけを残して残像しか見えなくなりました。
《The Over Wish》の体に次々と浅いながらも傷が作られ、しかしすぐに癒やされていきます。
攻撃力が足りません。
であれば。
「貴っ様ァ─────!さっきから何を……!!」
叫ぶ《The Over Wish》を無視して次の一手を打ちます。
「ハインゼル! あなたの力はその程度ですか!? 廃人すらも撃ち抜いた、あなた自らが言ったはずです!世界最強の生物の名は、自分にこそふさわしいと!」
*成就*
「フ、フフフ……そこまで言われたら……フフ、やらないわけには行きませんねぇ!!!!」
その願いは叶う。
ハインゼルの胴体から新たに3つの手が生えて、合計16の手にクロスボウが握られます。
「次代に託すつもりだった真の最強……これが! 阿修羅シェイプ16刀流の力です!!!!」
連射。
嵐のように、光をまとったクロスボウのボルトが《The Over Wish》に殺到します。
しかし。
「舐っ……めるなぁ───────ッ!!」
相殺。
《The Over Wish》は凄まじい速度でボルトを叩き落としています。
いえ、それどころかグウェンとスピーダーの攻撃にさらされながらも一歩ずつハインゼルへと近づいていきます。
このままではマズい。
そんな事はありません。
むしろ、勝機が見えました。
「わざわざ防御したということは効果があるってことですよねぇ! ハハハ! 私のカオスシェイプ最強理論はやはり間違っていなかった!! ですがちょっと部位を増やしすぎて速度が落ちてますねぇ!! ハーッハッハッハ!!!」
笑っている場合ではありません。
と、言いたいところですがもう私は……いいえ、私たちは知っています。
「ハハハハハ! ……スピーダー!」
「わかってる!」
Q:速度が足りないときの最も簡単な解決法は?
A:乗馬。
「もうちょっとダイエットしてよ!」
「考えておきます!!! さあ、行きますよ!」
耐えられたのはほんの数秒。
1発当たり、10発当たり、あとはもう止められず。
《The Over Wish》はあっさりと粉微塵になってミンチになりました。