すくつ廃人が少女をすくつに潜れるようになるまで鍛え上げるお話 作:ニカン
すくつ入り口前。
降臨した願いの神を撃破した私たちはすくつを抜けて、ぼんやりと空を眺めていました。
空がとても青いです。
「終わったか」
「ええ、終わりました」
ここは人里からも遠く離れた山の中なので空気がきれいです。
少しばかり静かすぎて、物悲しい気分になるのはいただけませんが。
「エンチャントと這い上がりが封印されたときはどうなることかと思いましたが……なんとかなりましたね」
「這い上がりからのデータ収集を仕掛けて数年単位の長期戦も考えていたのに全部パアになってしまったからな……久しぶりに冷や汗をかいたぞ」
イリアスさんはそう言って軽く、ため息を付きました。
空が、とても青いです。
「……最後の最後で結局何もできなかったな」
「何言ってるんですか。デバフ全部かき消されたあとこっそり皆さんにホーリーヴェイルかけて回ってませんでした? エンチャント封印がデバフによるものだって気づいて弾くつもりでしたよね」
「……仕掛けてこなかったから無意味になってしまったがな」
「保険は無駄になるのが一番、ですよ。それに、もし一手でも間違っていればエンチャント封印をかけてきたでしょうし安心して*成就*を使うことができました」
「そう、か……」
空が、とてもとても青いです。
「…………」
「…………」
「行くのか」
「はい。……私も行くことになると思います」
他の廃人たちはもう、
─────神は地上にとどまり続けることはできない。
*成就*の魔法によって神になった廃人たちは、ひとつ上の次元、とでも言うべき場所へと行ってしまいました。
そして、多くの神々を創り出したわたしも、もはや人という枠には収まっていられなかったようです。
「…………イリアスさん。一つ、お願いがあります」
「なんだ」
ふわり、と。
蛍のように、幽かな光が私の体から抜け出ていきます。
「私が、この世界に来てから……多くのことをイリアスさんに教えてもらいました」
光が、あふれる。
少しずつ、体がほどけていく。
「最初に出会って助けてもらって……辛いことも、割と多かったですけど。最後にはあなたは私の生きる目的になりました」
光が、あふれる。
この体が、行くべきところへ行こうとしている。
「ここまで歩き続けてこれたのはあなたのおかげです。ですから」
光が、あふれる。
その手を取ることすらできなくなる、その前に。
「どうか、これからも私が歩み続けるための────*導き*に、なってくれませんか?」
その手を取って。
私は願いを口にしました。
*成就*
その願いは、叶う。
《愛のガリクソン》:
ガリクソンは愛と蘇生を司る神です。
何人かの銀髪の少女を引き連れた、中年の男性の姿で描かれます。
信仰したものは愛する者を支援し、鼓舞する力を得ます。
魅力、短剣、遺伝子学、解剖学、料理にボーナスを得られます。
《変化のエーテミア》:
エーテミアは進化と変化を司る神です。
四つ目で、全身が甲殻で覆われ、背中には翼があり、足は蹄になっていて獣の尻尾と耳が生えていて、太い首と巨大な頭部を持っている怪物の姿をしています。
信仰したものは多くの変化と、その際に生じる負荷への耐性を得ます。
ただし、信仰したことで起こる変化が望んだ結果になるとは限りません。
筋力、耐久、魔力の限界にボーナスを得られます。
《最速のスピーダー》:
スピーダーは速さを司る女神です。
猫耳で、青い制服を着た、いわゆる妹猫の姿をしています。
信仰したものは何もかも置き去りにするようなすさまじい速度を得られます。
速度に大きなボーナスを得られます。
《最強のハインゼル》:
ハインゼルは圧倒的な攻撃力を誇るとされる武神です。
円柱の胴体に羽と蹄と16の手を持った異形の姿をしています。
信仰したものは圧倒的な手数と攻撃力が得られます。
筋力、乗馬、射撃、クロスボウ、二刀流にボーナスを得られます。
《成就の雪音》:
雪音は自らの力で願いを成就させるための強い意志と祝福を与える女神です。
黒髪の、少女の姿をしています。
信仰したものには願いを叶えるための強い意志、良き出会い、そして故郷へと帰還する力が与えられます。
意思、魔力、運勢、魔力制御にボーナスを得られます。
《導きのイリアス》:
イリアスは導きと鍛錬を司る神です。
典型的な魔法使いの服装をした、青年の姿をしています。
信仰したものは鍛錬と学習能力の効率向上と、進むべき道への導きを得られます。
魔力、読書、魔力の限界にボーナスを得られます。