すくつ廃人が少女をすくつに潜れるようになるまで鍛え上げるお話   作:ニカン

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elona世界において1年や2年は割とすぐに過ぎていく

「イ、イリアスさんってもしかしてものすごく偉い人だったりするんですか……?」

「ふむ、なぜそう思った?」

「いえ、だって……こんな豪華なお城に住んでるなんて思わなかったので……」

「これぐらいは金があればいくらでも買える。それに偉くてもそんなにいいものではないぞ?」

「と、言うと?」

「俺は国が滅びるのをすでに両手の指ほどは見ている」

「…………」

「さて、早速だが実験室に行くぞ。ついてこい。」

「えっと、あのう……イリアスさん?」

「うん?何だ?」

「さっきと全然口調が違う気がするんですが……」

「ああ。演技だ演技。だいぶ怖がっていたようなんでな……わざわざフィートまで取得して怖がらせないようにしたんだ」

「え、演技って……! だ、騙したんですか!?」

「騙しちゃいないさ……契約内容に変わりはないし、あくまで表面上の態度だけを変えたんだ。……それとも普段からこういう態度でいたほうがいいのかな? お嬢さん?」

「い、いえ……騙したわけではないのなら……」

「そうか、助かる。あの演技を続けるのは結構疲れるからな」

 

 

話しながら小城の中を進んでいく。

俺のすぐとなりには白いワンピースに着替えたシュナックがついてきていて、その後を追いかけるように黒髪少女の雪音がおっかなびっくりついてきている。

 

その途中、自宅に待機させていた神の下僕のうち一人ともすれ違った。

 

 

 

ふわふわと気ままな雲のように天井近くを浮いていた黒天使のダルノがこちらに気づき、矢のような速度でこちらに近づいてくる。

 

「あ、おかえりー。なんだか可愛い娘連れてるけどなに? 新しいペット? それとも冒険者? ……いや、ないかー。なんだか弱っちそうだしー」

 

「ああ、ただいま。どちらでもない。研究の協力者だ。どうもかなり変わったところから次元を飛び越えてきたらしくてな。そっちの研究が進むかもしれん」

 

「へー、そうなんだー」

 

どうでも良さそうに目線が明後日の方向を向いている。

彼女はあまり研究に興味がないのでしょうがないが。

 

「あ、そういえばちょっと前の地殻変動で近くにネフィアが出てきたらしいから行ってきてもいいー?」

「いいぞ。ただしちゃんとマーレスかシュナックとパーティを組んでいくように。もし死んでしまったら必ず這い上がること。いちいちネフィアまで行って復活の書を読むのも面倒だからな……」

 

「もー、心配性ねー。そんな失敗なんてもうしないってばー!」

 

「そう言って混沌の奈落の地獄の異形の羅刹の孤独のネフィアに突撃してうっかり埋まりかけたのは何年前の話だったかな……」

 

「ほんとに大丈夫だってばー! 入る前に確認もするようになったしホントに大丈夫ー!」

 

「お前は時々予想もしないようなミスをするからな……気をつけていって来るように」

 

「はーい!」

 

ダルノは元気よく返事をすると風のような勢いで飛んでいった。

 

 

「あの……今の人は?」

「黒天使のダルノだ。シュナックと同じ様にずっと昔からいるペッ……仲間だ」

「……? はあ……そうなんですか。ではさっき話に出てきたマーレスという方も?」

「そうだ、黄金騎士のマーレスという。今は近くに居ないようだがそのうち会うだろう」

 

 

 

「さて……では我が研究室にようこそ。正直散らかっているから適当なところにでも座って待っててくれ」

「本当に散らかってますね……男の人ってみんなこうなんでしょうか」

「ふむ……その辺は人によるな。知り合いの中には異常なほど几帳面なヤツも居てな……家の中が完全に整理されているのはともかく倉庫や博物館に並べた剥製までキッチリ並べているらしい」

 

「それは異常とは言えるほどなんでしょうか……?」

「博物館の数が100個ほど、倉庫に至っては200個以上あってもか?」

「へっ?」

「本当に異常なほど几帳面でな……盗賊に遭うのも嫌だからと町から町を繋ぐ道の上をすべてを倉庫で埋めてしまったんだ……ほら、ここの窓からも見えるだろう? ずらりと並んだ倉庫の道が」

「……」

「あの道は大陸の端のルミエストという街までつながっていて中身も完全に整理されている……といえばどれだけ几帳面かがわかるだろう?」

「その人は頭がおかしいんですか?」

「まあ極まった奴はたいていそういうとこがあるからな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして。

 

1週間経過した。

 

 

 

 

「ただいまー!」

「ただいま帰還しました!主殿(あるじどの)!!」

シュナックは髪についた埃を払っている。

 

「ああ、おかえり……随分かかったな?割と深いネフィアだったのか?」

 

「そう!! そうなのです主殿!! またダルノがネフィアの確認を怠って突撃したのです!!!」

「えー? ちゃんと確認したよー?孤独でも魔法でもなかったしー!」

「混沌の地獄の羅刹の奈落の暗闇の洞窟245階相当に飛び込んでおいて何を言っているのでありますか!!!!!松明を適当に使って真っ暗闇の中を何日彷徨ったと思っているのですか!!!!!!!」

「……ダルノ。今度は暗闇も避けるように」

「えー! 私が悪いのー!? ボスの首ちょん切ったのは私なのにー!」

ダルノはふてくされて頬をふくらませると城の奥まで飛んでいってしまった。

 

「ふう、全く……ダルノといると退屈はしないでありますが……おや? 新顔ですな!! はじめまして!! 黄金騎士のマーレスというであります!!! よろしく!!! フハーン!!!!」

「あ、真田 雪音といいます……よ、よろしくおねがいします……」

「この城にいる限りお互いに世話になるかもしれないので困ったら助け合いましょう!! 真田 雪音どの!! それでは!! 戦利品を置いて風呂に入ってくるであります!!!!」

 

話し終えると、マーレスは宝箱を4つ背負ったまま宝物庫へと歩いていった。

 

 

「……あれ、重くないんですか?」

「重いぞ、ものすごく。俺だと一つ持ったら潰れてしまいそうだ」

「ですよね……あの方はなんで平気なんですか?」

「そういう種族だから、としか言えないな……」

「はぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

「……背が高くてかっこいい人だったなぁ……もう少し口調がそれぽかったら惚れてたかも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして。

 

1ヶ月経過した。

 

 

「あの……」

「……」

 

「あの!」

「……ん? 雪音か……どうした?」

 

「ご、ご飯できたってシュナックちゃんが言ってましたよ?」

「ん……ああ、もうそんな時間か」

 

「研究に熱心なのはいいですけど、そのうち死んじゃいますよ? この前だってご飯も食べずに1日じゅう研究してたじゃないですか」

「まあ昔は何度か餓死して這い上がったこともあったが……今は対策しているから問題はない」

 

「対策って……一体どんなことををしてるんですか?」

「これだ。☆祝福された気高き盾『壊さない不浄』」

 

「……これがなにか?」

「割と最近開発された技術でな? こいつには143%の確率であらゆるダメージを無効にするエンチャントがついている」

 

「…………それで?」

 

「餓死のダメージも無効にできるから死ぬことなくいつまでも作業や研究ができる」

「餓死してる時点でダメじゃないですか!? 早くご飯食べましょう!?」

 

「いや、研究が今いいとこでな……もうすぐひと区切り付きそうなんだ」

「もう……たしかに私も最近研究のために本を読んでると時間が立つのがものすごく速く感じますけど……お料理冷めちゃいますからすぐ行きますよ! ほら!」

 

 

「待て待て! 引っ張るな! すぐ終わらせるから!」

「待てません! わざわざマーレスさんがクジラ釣ってきてくれたんですから!」

 

「何……? クジラが釣れるほど釣りスキルを上げていたとは……いつの間に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして。

 

1年経過した。

 

 

「……やはり次元の未定義連結空間の観測結果からして次元の扉をどんな形で開いても地球には戻れない……? ううん、でもあの時の大気のざわめきは帰還(リターン)の魔法に酷似していた……それとも前提がそもそも間違っているの? あれは大気のざわめきなんかではなくて……」

 

「ねえ」

 

 

「……となるとやっぱり、アプローチを変えるべき? 例えばムーンゲートを解析して新たな種類の転移魔法を作るか、あるいは願いの魔法などのもっと上位の権限による空間移動で……」

 

 

 

「ねえってば!」

 

 

「うわっ! な、なんですか!? 何かありましたか!?」

 

 

「ご飯、できたわよ。聞いてたー?」

「いえ……すみません。すごく、集中してて」

 

黒天使のダルノはため息を付いて呆れたような表情で雪音を見つめ……しかし、声には心配するような色が混じっていた。

 

「……大丈夫なの? 最近、根を詰め過ぎよー? この前だって食事を忘れて餓死しかけてたじゃない」

 

 

「あはは……」

 

 

「もう……笑ってごまかそうとしてもダメよー。最近のあなたは昔のイリアス見てるみたいでちょっとつらいわ」

 

「ぅ……」

 

「今のアイツはねー、研究とかしててもすごく楽しそうなんだよねー」

 

「……」

 

「でも今のアンタは……全然楽しそうに見えないかなー」

「それは……」

 

「アイツにも……どうやったらこれ以上強くなれるかわからなくてすごく悩んでた時期があったのよ。すごくつらそうだったし、見てる方もすごく辛かったわー……うーんやめやめ!説教終わり! ご飯冷めちゃうから早めに来てねー!」

 

 

 

 

 

 

「………………楽しくなんて、出来るわけないじゃないですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして。

 

10年経過した。

 

 

 

 

 

最近の研究室は、とても静かだ。

本のページをめくる音と身じろぎによる衣擦れの音しか聞こえない

 

「……」

 

とても、静かだ。

居心地の悪ささえ、感じるほどに。

 

「……」

 

 

とても、静かだ。

いつからこんなに静かになったんだったか。

覚えていない。

 

 

静かな室内に本を閉じる音が響く。

大きな音ではないはずなのに、やけに響いた気がした。

 

 

「……やはり、私が自分の世界に帰るのは……無理なんでしょうか」

「……なぜそう思う?」

 

「だって、願いの魔法は『願いの神の力を超えることは願えない』じゃないですか! 前に自分の世界への帰還を願ったときの結果は知ってるでしょう!? 「その願いは私の力を超えている」!? おまけにもう一回同じことを願ったら帰還の巻物が降ってきた!? 馬鹿にしてるんですか!? 願いの神でさえ無理なら一体誰が可能なんですか!? ふざけないで! こんな、こんなの……10年も頑張ってきたのにこんなのって、グスッ、う、ううううぅぅぅ……! ふ、ふざけて……」

 

……ぽろぽろと、黒い瞳から雫がこぼれ落ちてゆく。

 

 

「もう、やだぁ……帰りたいよぉ……パパ……ママぁ……! う、うううううぅ……!」

 

 

 

 

 

 

 

「……なんだ、問題点はわかっているじゃないか」

「ぅううう……問題点、ですかぁ?」

 

「一つ。『願いの神の力を超える願いは不可能である』こと」

「それが! 一体何だって言うんですか!?」

 

 

「簡単なことだ。願いの神を超える力を持つやつに願えばいいんだ」

「……はっ?」

 

「神を超える力を持つやつなんてザラに居るぞ? 中の神含め、ノースティリスで知られている全部の神を殺したやつだって何人か知ってる。何なら願いの神を召喚して殺したやつすらいるぞ? だから、自作魔法で願い(ウィッシュ)の魔法を改変して願う対象をもっと力のあるやつに変えれば解決だ」

 

「い、いえ、しかし……え、ええと、そう! 『願い(ウィッシュ)』そのものは『自分に関することしか願えない』じゃないですか! そんなとんでもない魔法を作ったとしても私には唱えられませんよ!?」

 

「唱えられるように鍛えればいいだろう?」

 

「……それ、何年かかるんですか? 私の寿命はせいぜいが100歳ぐらいですよ?」

「ここに祝福された鈍足のポーションが100服ほどある」

 

「…………」

「効率的な能力の上げ方だって知っている。潜在能力のポーションや下落のポーションだっていくらでも作れる」

 

「………………」

「泣いて嘆いて首を吊り、埋まってしまうよりはよほどマシじゃないか? 少なくとも時間さえかければ必ずできる」

 

「……………………私は、イリアスさんほど才能に溢れた人間じゃ、ない、です」

「俺が? 才能に溢れた人間? 根本的になにか勘違いしているようだな……」

 

それは。

それは、その言葉は。

それだけは────絶対に認められない。

 

「俺も、俺だってな……最初はプチ3匹に囲まれればそれだけで死ぬような雑魚だったんだぞ? それが、時間を掛けて、何度も何度も這い上がり、諦めずに鍛錬と探求を繰り返したからこそ!ここまで!強く!なれたんだッ! 掛けた時間を、積み重ねた努力を、全て才能という言葉で片付けることは、たとえお前でも絶対に許さんぞ……!」

 

 

「……ッ!」

「10年……10年頑張ったんだ。それだけの時間……徒労に終わるかもしれないことを続けてきたんだ……少なくとも俺よりは遥かに才能がある。それは、間違いない……」

 

 

 

 

 

 

「……やります」

華奢な指が、力強く握りしめられる。

 

「やります。ええ、やってやりますとも……!たとえ100年、いえ、1000年かかっても……!」

噛みしめるように。あるいは埋められまいと這い上がるかのように力強く、立ち上がる。

 

 

「必ず! 成就させてみせます! 必ず!絶対に!」

こちらを見つめる黒く輝くその瞳は、強い決意と意思に満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~すくつ廃人が少女をすくつに潜れるようになるまで鍛え上げるお話~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、まずはこの各種1000個ほどあるクミロミに祝福されたハーブをすべて食べてもらおうか」

「……は?」

 

「もちろん一日でだ」

「物理的に無理では?」

 

「大丈夫だ。ここに速度以外の能力が1になった餓鬼がいるだろう?」

「嘘でしょう?」

 

「嘘なわけがないだろう? 俺は正直者なんだ。まあ、これが嫌なら遺伝子合成で全能力を2000になるまで分裂生物を合成する方法や、魔力の限界を覚えてサンドバッグに吊るして延々マナ吸収武器で殴られ続けてレベルを上げる方法なんかもあるが……」

 

「やります。いいえやらせてくださいお願いしますそれだけは勘弁してくださいお願いですからやりますから!」

 

「手っ取り早いんだがなぁ……」

 

 

 




黒髪少女の真田 雪音 女 26歳 156cm 45kg


種族 : 人 信仰 : ????
職業 : 魔術師 所属 : 魔術師ギルド
レベル : 14
残りBP : 57
金貨 : 15780

筋力 : 4(4) Great 生命力 : 100(100)
耐久 : 6(6) Great マナ : 80(80)
器用 : 8(8) Good 狂気度 : 0
感覚 : 6(6) Great 速度 : 70
習得 : 57(57) Hopeless 名声度 : 0
意思 : 34(34) Hopeless カルマ : 20
魔力 : 30(30) Hopeless DV : 18
魅力 : 27(27) Bad PV : 15

武器1 : 75% 1d10+0 x1.0
射撃 : 63% 1d12+0 x1.0
回避 : 45%
軽減 : 10% + 1d4

---------------------- 装備品 合計重量4.7s (軽装備)


神に祝福されたハーブ:
ヴァリアント、elona_omake_overhaulにて追加された要素。
時々神に祝福された食べ物が生成されることがある。
祝福した神に対応した能力の潜在能力が回復する。
経験値が入るわけではないので経験値を入れる手段は別に用意すること。

今回利用したクミロミに祝福された食べ物は速度・生命・マナ以外の全ての潜在が回復するため主能力上げのお供としてよく用いられる。

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