もしも切嗣が喚んだセイバーがオルタ化してたら   作:ひきがやもとまち

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セイバー・オルタZEROか、TS切嗣ゼロ魔のどちらかを更新しようと頑張ったんですが、どうやら混乱してるみたいですね私(苦笑)一旦頭冷やして出直しながら次話を考えてきまーす。


ゼロの幼馴染みはTS転生『魔術師殺し』1話

 夜でなくとも二つの月が輝く異世界ハルケギニアに生まれ変わっていた衛宮切嗣は、かつて自分が養子として迎えた少年と同じように、自分の運命と出会う。

 

「あんた誰?」

「誰って・・・・・・。俺は平賀才人」

 

 抜けるような青空をバックに、黒いマントの下に白いブラウスを着てグレーのプリーツスカートを掃いた自分のカワイイ娘のように可愛がっている幼馴染みの女の子が体をかがめて、呆けたように見上げてきている男の子の顔を覗き込んでいる。

 

 場所はトリステイン魔法学院。

 時間軸は入学してから二年近くが過ぎた生徒たちが、進級できるかどうかを決める『使い魔召喚』の儀式の真っ最中。

 

「ねえ、あんた」

「はい」

「感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」

 

 生まれ変わった自分の幼馴染みであるピンク髪の少女が、明らかに地球人で日本人らしい見た目を持った冴えない少年を使い魔として喚びだしてしまい、儀式で決められている規則のせいで渋々ながら彼と使い魔契約せざるを得なくなった末に。

 

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ・・・」

 

 

 ――――チュッ。

 

 

 と。・・・・・・相手の唇にキスをする。

 それは、【サモン・サーヴァント】で召喚する事に成功した使い魔と契約するため手順に則り、【コントラクト・サーヴァント】をきちんと実行しただけであって、相手が人間の男の子で異性でさえなかったなら特別な意味合いなど全くないはずだったのだけれども。

 

「ル・・・ルイズ・・・・・・ッ! 君は・・・君はなんてことを・・・・・・ッ」

 

 だが、キリツグ・アインツベルンとなった切嗣は知っている。知っているからこそ愕然とさせられざるをえなくなってしまうしかない。

 女が男を完成させる部品として、キスによって本来あるべき姿へ戻す儀式の最中。

 

 ――キスした後に、どこまでやって、どこまでの行為へ至ってしまうのかをキリツグは、衛宮切嗣だった前世で実体験しまくっていたから、よく知っていたのである!!

 

「お、終わりました・・・」

「なに顔真っ赤にしてるんだよ! 照れるのは俺だ! お前じゃない! いきなりキスなんかしやがって!」

「か、勘違いしないでよね! あんたは平民の使い魔で、召喚者であるご主人様のわたしから犬猫も同然で、アレは契約の方法がキスだから仕方なくやっただけで、別にやましいところなんて少しもなくて―――」

 

 

「破廉恥だ! ルイズ、僕は君をそんなことする子になんて育てた覚えはない! 目を覚ますんだ! 君はまだ大人の階段を上るには十年以上早すぎる!!!」

 

 

「なんの話してんのよアンタは!? いきなり横から割り込んできて誰よりも恥ずかしい言葉を大声で堂々となに言ってんの本当に!?」

 

 ルイズ、赤面イベント続きだった今日で一番赤面させられた瞬間は今だった。むしろ彼女の前に座り込だままのスケベだけど童貞なせいで純情少年の平賀サイト十代半ばまで頬を赤らめさせてしまっている。

 だが、キリツグは止まらない。基準が違うから止まらないし止まれない。

 

 伊達に前世では、若く美しい新妻と妻子持ちで愛人も作って、巨乳貧乳無表情にツンツンと色々なタイプの美人ホムンクルスメイドさんたちが奉仕してくれる大金持ちの屋敷に婿養子として入ったり、父親殺しちゃって傷心中の自分を拾ってくれた義母とも呼べる殺し屋美人とも結構いい仲になっていた経験があるわけではないのだ。

 

 ファーストキスが、二人の恋のヒストリーの始まりに発展してしまいやすいという事を!

 一度火をつけた若い男女の恋心が、若さ故の過ちでどこまで間違えまくってしまうものなのかという事を!

 

「僕は全て知っている! 知り尽くしている! だからこそ自信を持って断言できんだ! ルイズ、君にはまだ早い! 早すぎる! 僕が子供の頃には君の年齢だと、せいぜいが抱擁止まりで手をつなぎ合うぐらいが健全だったとされていた世代であって、君にはそれぐらいの行為にとどめておいた方が一番正しくて似合う―――」

 

「わたしは子供か―――――――――――――――――――――ッッ!!!!!!!」

 

 

 ズガ――――――ッン!!!!!

 

 

「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

 

 キリツグ・アインツベルン・エ・ミヤ・ユスティーツァ、自業自得の失言で爆発食らって吹っ飛ばされる被害者第一号の称号を与えられるの段。

 やはり、ご近所付き合い最低水準な裏社会一筋だった元中年男で、ヤクザものの親分に義理の息子託した父親に十代少年少女の複雑な青春心理を思いやれというのは不可能事だったらしい。

 根っからの社会不適合者である彼だった過去を持つ彼女にとって、重要視すべき問題とは命に関わる危機であり、世界中全てに蔓延っている人の世の矛盾であって、どんな幸福にも代価となる犠牲があるという、世界を統べる非常にして残酷な理。

 

 それらが持つ危険性と、ルイズが今激怒した年頃乙女の羞恥心とを天秤の両端に載せたとき、秤はどちらかに傾くのかは自明の理。

 だからこそキリツグは、年頃幼馴染みのルイズにとって恥をかくかもしれないと承知の上で先の言葉を言った。彼女を守るための警告を発するために。

 たとえ大事な幼馴染みに多少の恥をかかせることになろうとも、その歳で妊娠してしまう危険性を避けられるのであるならば、少女となった元男は決して怯まないで突き進む。

 手段の是非を問わず、目的の是非を疑わず、ただ無謬の天秤たれと自らに課す。

 

 決して優先順位を今度は間違えぬこと。

 会ったこともない世界中全ての命よりも、たった一人の愛する家族を守り抜くと誓った、あの夜の尊い想いを決して違えることのないように。

 

 ・・・・・・衛宮切嗣でなくなっても、衛宮切嗣だった過去を覚えたままのキリツグ・アインツベルン・ユスティーツァは、相変わらず切嗣のまま両極端になっただけだったことを、昔の彼を知る者がいないこの異世界では誰も知ることができることはない・・・・・・

 

 

 

 

 

「――まったくもう! キリツグはほんとのほんとにまったくもう! 相変わらずなんだから!!」

 

 頭から湯気を立てさせながら、自分のご主人様ということになってしまったらしいピンク髪の少女を見つめ、平賀サイトはトリステイン魔法学院内になる彼女の自室のベッドに深く腰掛けながら「えーと・・・」と言葉を探して頬をかき、思い出したように適当な話題として“例の変な女の子”について聞いてみることにする。

 

「えっと・・・ここが異世界だってことは信じたくはないんだけど、信じなきゃいけないってことはいい加減わかってきた。今んところ俺が地球に帰る術がないってことも、認めたくはないけど今はとりあえず仕方がないんだって割り切っておく」

 

 せいぜい殊勝な口ぶりで話はじめる前の前振りして、相手を刺激して逆鱗に触れてしまわないよう気をつけながら慎重に会話をはじめていく。

 なぜなら自分には、先ほど吹っ飛ばされても平然と復活してきて、デリカシーのないこと言って、また吹っ飛ばされては戻ってきてた銀髪巨乳の美少女みたいな真似はできそうにないと感じさせられた直後だったからである。

 周囲で見物していたルイズのクラスメイトらしい生徒たちの独り言によると、毎度のようにやっていることだから慣れているんだろうとの事だったんだけど・・・あれに慣れるまで続けるとしたら自分は一体何度死の淵を彷徨わされなくてはならなくなるのかガチで怖くなってきたので先に予防線張っとく術を自習自得で身につけていたのが、この平行世界に飛ばされてきた平賀サイトであった。

 良くも悪くも衛宮切嗣は、純粋で無知な少年に影響を与えやすい極端さを持った生き方をする元男なのである。

 

「あの銀髪の子って、なんだったんだ・・・? えっと・・・昼間にお前が吹っ飛ばしまくっていた髪が長くてスゴい美人でオッパイも大っきいのに、なんて言うかこう・・・お前が絡むとスゴく残念そうになる印象の女の子のことなんだけどさ・・・」

「キリツグのこと? わたしの幼馴染みよ。キリツグ・アインツベルン・エ・ミヤ・ユスティーツァ。詳しいことは・・・・・・明日起きた後にでも説明してあげることにするわ。怒ったせいで眠くなっちゃったから・・・ふぁ~ぁ・・・」

「・・・ずいぶんな言い草だな、オイ・・・」

 

 優しくて王子様みたいに守ってくれて格好いいんだけど、ときどき無神経なんじゃないかと誤解してしまうほどデリカシーのない乙女心赤面ものの発言を時と場所選ばず言ってくることがある幼馴染み少女を持って生まれたせいで本来よりかは図太さを身につけてしまっていた【ゼロのルイズ】は、ことキリツグに関連した事柄では対応が時々テキトーになることで知られていることを出会ったばかりのサイトはまだ知らされていない。

 

「大丈夫よ。どうしても気になるんだったら、後でこの部屋に来るでしょうから、その時に聞いときなさい。じゃ、おやすみ~」

「って、おい!? 後でこの部屋にくるからってお前、あの子はさっき――ッ。・・・ちぇっ、もう熟睡しちゃってるとか早すぎるじゃないかぁ・・・」

 

 いきなり寝入ってしまっていたルイズに質問の答えを聞けずじまいで終わってブー垂れるサイト。

 後で来るもなにも、キリツグは自分がこの部屋に来る寸前「反省のために」と言われて牢屋っぽい部屋に入れられてたはずであり、他の生徒たちも見ている前で鍵もかけられてるところを一緒に見てたんだから来れるはずないと思うんだけど、それすらも魔法でどうにかしてしまうのだろうか? この世界に来たばかりではその辺りのさじ加減は想像も付かない。

 

「・・・・・・もっとも、気絶した状態で牢の中においてある綺麗なベッドに寝かされてただけだったから、閉じ込められてるわけでもなさそうだったし、案外もう釈放された後だったりするのかもしれないけどなぁー・・・・・・んん?」

 

 ルイズが寝るため、ベッドから追い出された後で与えられた藁の上に座って、窓枠から見える二つの月の月明かりを見上げたとき。

 サイトの視界にヒラヒラと舞い落ちてくる一枚の紙片が目に入った。

 

 生来の好奇心旺盛な性格も相まって、その紙切れをなんとなく拾ってしまって文字が書かれていた裏側をひっくり返して読んでみる。

 

 

『―――ご主人様の見ていぬ間に死にたくなければ、声を立てずに後ろを見ろ――――』

 

 

 不幸の手紙の方がよっぽどマシな内容が書かれてあって、青ざめた顔色のままサイトがゼンマイの切れたクルミ割り人形のようにぎこちない動作で書かれていたとおりに後ろを振り返る。

 

 そこには淡く光る月の光が窓に映り、その窓枠の下から幽鬼のように浮かび上がってきた黒と白のコントラストで彩られた死神のような影が浮かび上がってきて、怯えるサイトに向かってもう一枚の紙片を舞い落ちさせると、音もなくその場を去って行き、後には何も残っていなかった。

 

 その紙片は、この世界特有の魔法でもかかっていたのかサイトに見えやすい一まで自分の方から飛んでくると。先ほど同じく不吉な内容を彼の視界に突きつけてくる・・・・・・。

 

 

『束縛契約書:対象―――ヒラガ・サイト。

 ユスティーツァの家名によって命ず:下記条件の成就を前提とし:誓約は戒律となりて例学なく対象を縛るもの也:

 :誓約:

 ヴァリエール公爵家三女、ルイズ・フランソワーズ・ヴァリエールを対象とした、以下の行動を取ることを永久に禁ずる。

 :条件:

 男女7才にして同衾せず。ペットの身分を悪用し主人の下着にイタズラするべからず。相手が無防備に裸体を晒した際に据え膳食わねばと思うべからず――――』

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 とりあえず、コレ読み終わった平賀サイトは。

 ―――キリツグ・アインツベルンを、ヤンデレ百合女だと解釈して、ゴミみたいなこと書いてある紙切れをビリビリに破り捨ててゴミにして窓から捨ててから寝た。

 

 白い紙切れとなった紙片の残り糟たちが風に乗って、まるで花弁のように儚く飛んでいく姿を見届けた後。

 

 白と黒のコントラストで縁取られた影も元の場所へと帰還していく。

 そこは反省室とも呼ばれている魔法的セキュリティが万全に敷かれた、杖を奪われたメイジにとっては鬼門のような場所であったが、『魔術を重視する余り科学を軽視する悪癖の付いた魔術師たちの裏をかいて殺す技術』に特化した戦い方を得意としていた魔術師殺しの元中年男性で現美少女の闇にとっては、ザルと言うより枠のような穴がボコボコの場所でしかない。

 

 そんな場所に閉じ込められたところで、扉が開かれる朝の時刻までに戻って寝ていることぐらい彼女にとっては朝飯前には間に合ってしまう程度の些末事に過ぎなかった。

 

 さぁ、明日は新学年最初の授業だ。

 事前に集めた情報によるとミス・シュヴァールズとかいう、自分が教える生徒の情報を事前に調べようともしない思い上がった貴族バカおばさんがルイズをはじめて担当するとのことだったし、また色々と準備と仕込みをしておく必要があるだろう。

 朝日が昇るまで、残り約五時間弱。時間は限られ、できることは無限ではないが0ではない。

 

「さて、行くか。――魔術師殺しがおこなう狩りの準備時間だッ」

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