もしも切嗣が喚んだセイバーがオルタ化してたら   作:ひきがやもとまち

3 / 37
ACT2

 そこは、日本にあるホテルとは名ばかりの安宿。

 ビジネスホテルに毛が生えた程度でしかない、寂れて潰れかけた建物の薄暗い室内で今、一人の男と一人の女が今後の人生に関わる大切な作業にいそしんでいた。

 

「・・・衰えたな」

「はい」

 

 男が言って、女が答える。そこには古びた安宿で男と女が交わし合うには全く以て似つかわしくない錆に塗れた鉄の臭いと硝煙の香りだけで満たされた血生臭さしかない。

 

「そこのワルサーよりもな、イリヤの体重は軽いんだ。もう八歳になるのに・・・」

 

 男の声が、暗く闇に沈み込む。それは、仕方のないことだった。

 なぜなら彼らが行っていたのは、通常の男女が新たな生命を生むためにする儀式などでは決して無い。その逆だ。誰かと誰かの間に生まれ落ちた命を奪うための技術と道具の錆落とし作業が、二人の異常な状況で邂逅しあった男女の馴れ初め。その全てなのだから―――。

 

「・・・いま必要なことだけに意識を向けてください。余計なことは、考えないで」

「・・・・・・」

 

 女が蠱惑的な舌使いで男に染みついた錆を落としていきながら、かつての研ぎ澄まされた刃のように鋭敏な感覚を取り戻させていく。

 女は、その為に切嗣が仕込んできた女だった。他ならぬ自分自身が戦場で拾った子供を、こういう女になるよう成長させてきてしまった。

 世界を救うための戦いで摩耗した心と体を癒やしてもらい、自分が戦場に立ち続けられるための機械として歪な関係を築き上げてきてしまった男と女。

 

 

 ―――尤も。

 言ってることは格好良いのだが、今風に要約してしまうなら『拾った幼女を自分に都合のいい女に育て上げたオッサン光源氏が養女とイチャついてるだけ』とも言える光景だったので微妙に残念さも醸し出していたのだけれど。

 

 

 

 

「ここが、切嗣の生まれた国・・・・・・」

 

 衛宮切嗣(別名:浮気ロリコン夫)と久宇舞弥(別名:献身的に義父に尽くす都合のいい美女)が新都の安ホテルで合流して仕事前のリラックスタイムに勤しんでいた丁度その頃。

 冬木市の最寄り空港であるF空港の滑走路にボラーレ・イタリア航空のドイツ発チャーター便が舞い降りて――――は、いなかった。

 

 

「・・・に、行くために乗る飛行機が出る空港なのね! 初めて見たわ!」

 

 

 絶世の美女ホムンクルス、アイリスフィール・フォン・アインツベルン大はしゃぎ中。

 聖杯の器になるため作られた人造生命体である彼女は、生まれたときよりアインツベルンの城から出たことがほとんどなく。見る物聞くもの全てが目新しくて斬新で驚きに満ちあふれたものだった。

 それは愛する夫の生まれ故郷日本だけの話ではなく、自分の生まれた故郷の地ドイツの空港であっても同じことだった。

 城の中しか知らない彼女にしてみたら日本とドイツで条件は違わない。ただ、夫の生まれ故郷か否かだけが差であり違いである。

 

 なんと言うべきか、人の夢で紡がれる幻想という名の儚い幻は、割とアッサリ壊せてしまうものかもしれない。そう思わせられる現実パワーがリアルに存在していたのだった。

 

「お母様、セイバー。お仕事頑張ってきてね? それで早く帰ってきて、またイリヤと一緒にみんなで遊ぼうね!」

 

 無邪気な幼女が母へと送る「いってらっしゃい」の言葉が地味に痛い。アイリスフィールは破顔しそうになりかけた表情を笑顔に戻して幼い娘に目線を合わせてしゃがみ込む。

 

 

 ・・・いけないいけない。せっかくイリヤがお見送りのため付いてきてくれたのに、寂しい顔で遠出しちゃったら母親失格だものね・・・

 

 

 そう思い、自然な笑顔を浮かべられるよう努力している主の妻の傍らに立ち、セイバー・オルタは所在なげにイリヤスフィールの左右後方に控えている二人のメイド型ホムンクルスに目をやっていた。

 アハト翁がイリヤの世話係として付けたメイドらしい。

 

 無表情なのに胸がデカい、少し背の低めな北欧美女。

 背が高く、鋭利で知的な印象を与えるが貧乳なのは自分と同様な、横のと同じ北欧美人。

 

「・・・ふむ。なぜだか分からんが、今一瞬だけ『あのジジイは、そう言う趣味でもあるのか?』と言いそうになってしまったな」

「セイバー様。大変失礼とは存じますが、ハッキリと言ってしまっておられます」

「・・・と言うよりセイバーの方が失礼。でも、大方は間違ってない」

 

 合ってるのかよ、と。またしても理由不明なつぶやきを発しそうになってしまったセイバー・オルタは今度こそ口をつぐんで沈黙を貫けた。

 

 聖杯は呼び出されたサーヴァントに聖杯戦争を戦い抜くため、支障ない程度に現代知識を供与してくれる。それが御三家の一つ間桐と名を変えたマキリの生み出したサーヴァント・システムが持つ機能だからだ。

 

 ただ、それを作り出した間桐は衰退していく一方だし、間桐家最強と見られる臓硯も今年で百歳近くかそれ以上に達している老体である。

 おまけに古典的魔術師の典型例とも呼ぶべき復古主義と現代に対する偏見、魔術師としての優越感に満たされた老害と評すべき御仁であるため今いち聖杯の機能に信頼が置けない箇所が散見しており、おそらくはこれもその一つなんだろうなーとセイバー・オルタは勝手に憶測していた。

 

 だが、これについて確認は取らないし、必要も無い。なぜなら自分は暴君。他者からの理解も賛同も必要としない、自分が決めたらそうなのだを地で行く英霊なのだから問答は無用なのである。

 

「セイバーも、お母様のことをお願いね? ぜったい一緒に帰ってきて、また三人で遊びましょ」

 

 母と別れのやり取りを終えたらしいイリヤスフィールが、自分の方にも声を掛けてきたのを知ったセイバー・オルタは、いつも通りに自分らしい返答を彼女に返す。

 

「それは無理だ」

 

 と。

 

 その瞬間、アイリスフィールとメイドホムンクルスズの表情が凍り付き、イリヤスフィールの幼い美貌が「くしゃっ」と歪む。

 

 それらを見てもセイバー・オルタは、何も思わないし感じない。

 臣下が死のうと、人々が苦しもうと何も感じない彼女の心は、幼子の涙一つで揺らぐ程に安くなければ容易くもない。

 

「私はサーヴァントだからな。主を守り、敵と戦い、屠り続けて勝利をもたらすためだけに存在する戦うための剣でしかない。つまりは兵士だ。

 戦場で兵の命は路傍の石程の価値もなく、勝利のためには捨て石にされて当然の存在だ。生きて帰ってくるよう言われたところで確約は出来ん。

 私は法による統制を敷く暴君だからな、守れもしない約束を交わすような無法は働けない。私は出来ると確信出来もしない口約束は絶対に交わさない」

 

 にべもなく正論を吐き、幼い幼女の瞳を涙で一杯にし決壊寸前まで追い詰めてしまった彼女だが。

 

「しかし――」

 

 と、まだ言葉が終わっていない事実を告げる一言に、イリヤは伏せかけていた顔を上げて相手を見る。

 まっすぐに自分を見下ろしてくるセイバーの恐い瞳は相変わらずだが、そこには暴君なりの真摯さと誠実さが複雑に同居しているのを幼いながらもイリヤは理解できていた。

 

「出来ない約束は交わさないからこそ、出来ることに関しては絶対の確信と共に約定を交わし、誓いを捧げよう。

 私、アイリスフィール・フォン・アインツベルンと衛宮切嗣のサーヴァントであるアルトリア・ペンドラゴンは、お前の両親二人に勝利をもたらすため全力を持って敵と戦い屠り尽くすため死力を尽くすことを、騎士の名にかけて誓う。

 我が剣は貴様ら家族に勝利と幸福とをもたらすために捧げた誓いは、今生に於いてのみ絶対であることを、黒く染まった聖剣にかけて誓う。

 私は身命を持ってアイリスフィールを守り抜くため敵と戦い、衛宮切嗣を勝利させるため敵を倒し尽くすための戦に心臓を捧げることを、ブリタニアの暴君の名にかけて誓う。

 たとえ力及ばず異境の地で朽ち果てようとも、命の炎が燃え尽きるその瞬間までイリヤスフィール・フォン・アインツベルンが生きて家族と再会するための戦いに我が身を捧げて戦い続けることを、黒く染まった騎士王の名において此処に誓うものである」

 

 朗々とボーイソプラノの美声で紡がれる騎士の誓い。

 その情景を四人の人造生命体、ホムンクルスたちは戯曲の世界に迷い込んだかのような錯覚と共に惹き付けられ、締めの言葉で途切れた後もすぐには現在の現実に帰還することは叶わなかった。

 

 唖然としたまま、陶然とした瞳で熱に浮かされたように頬を紅潮させている四人の内、三人までは無視してセイバー・オルタは一人に対してのみ視線の高さを合わせてくれる。

 

 

「・・・今、私が交わせる約束はこれだけだ。失望させたか? イリヤスフィール」

「・・・・・・ううん。セイバー、とっても格好良かったわ! 本当に、物語の騎士様みたいでスッゴくスッゴく格好良かったの!」

 

 童女からの賞賛に、黒く染まった騎士王は「フン」とつまらなそうに鼻を鳴らす。

 

「もはや王も騎士もない。今の私は、お前たちのサーヴァントだ。お前たちの敵を倒し尽くすために喚ばれた英霊だ。

 故に、貴様の両親が敵に対して膝を屈する無様を晒しでもしない限り、私はお前の両親にとっての剣であり続けるだろう。それまでは私に頼ってくれて構わない。

 つまりは、イリヤスフィール。お前の願いが叶うも叶わぬも、お前の両親の心がけ次第と言うことだ。せいぜい発破を掛けてやるといい。これから戦場に赴く者へ送られる激励に、過剰などと言う程度は存在しないのだからな」

 

 

 ・・・・・・こうして始まった、愛する娘から愛される母に送られる激励は飛行機の出発時間ギリギリまで続けられ、メイド二人が力尽くで押しとどめなかった場合には飛行機のキャンセル料金か出発時間を延期させるための膨大すぎる予算の無駄遣いを払わされ兼ねない事態に発展していたかも知れない。

 

 

 そのため。

 

「・・・疲れたぁっ!」

 

 と、飛行機に乗った直後に疲労困憊していたアイリスフィールが叫んでから、椅子に身を投げ出しジタバタ暴れ出しても文句を言われる筋合いはなく、

 

「そうか。良かったな。出陣前に交わす家族との挨拶を綺麗な形ですませた兵ほど早く死ぬのが戦場というものだ。

 あれでアイリスフィールの生還率が少しでも上がるのなら、苦労した甲斐もあるというものだろう?」

 

 平然とした口調で言ってのけてくる、自分を守ってくれるはずの剣の英霊サーヴァント(両手一杯の機内食満載モード)に怒りの籠もった視線を送って睨み付けても「貴婦人らしくない」などとお説教される謂われのものでは絶対無いと声を大にして主張したくなるアイリスフィールであった。

 

「人ごとだと思って・・・・・・だいたい私は――」

「ストップ」

 

 勢いで思わず口走らせ掛けたアイリの秘密、この戦争から生きて帰ることは絶対に出来ない――それを言いかけた彼女を言葉の途中で遮ったのは、誰あろうセイバー・オルタ本人だった。

 彼女は親指だけを立てた拳で自分の顔を一閃させるジェスチャーをして見せてから、こう続けた。

 

「たとえ、生きては帰れぬ戦いだった場合だろうと口には出すな。助からぬ命と承知の上で、最後まで生き足掻く努力を怠るな。

 死ぬ覚悟はいざという時、突撃以外の選択を選ばせなくなるものだ。潔く死ぬにはどうすればいいのかだけを考えるようになるものだ。

 そんなものは殉教だ。敵を倒してでも己の願いを叶えんと欲した欲深き者の死に方ではない。

 死体の上に己が願いを成就させたいと願うなら生き足掻け、臆病になれ。生き延びて願いを叶えるためには恥など捨てて、未練を残せ。

 生きる事への執着だけが、絶対の死の運命から遠ざけてくれる。死ぬ覚悟は死と滅びしかもたらさない。生きるために必要なのは生きる事への執着と未練だけだからな」

 

 驚いた表情でイリヤスフィールは自分の騎士を見つめ、やがて意外さに包まれた声を発した。

 

「驚いたわ。セイバー、あなたってそんなに命に対して想いがあったのね・・・。てっきり人を死なせても平然としていられるから暴君を名乗っているのだとばかり思っていたのだけど・・・」

「・・・アイリスフィール、さては私を民を殺して楽しむ類いの暴君と同類だと勘違いしていたな?」

 

 不満げに眉根を寄せるセイバー・オルタは、邪気のない照れ笑いで返してくるアイリスフィールを軽く睨み返してやりながら、自分にとっての王道・・・あるいは『暴君定義』についてを語ってくれた。

 

「多くの者の命を奪い、人を殺し、死なせることで、より多くの者の命を守り幸福の幅を広げる道を選んだのが暴君だ。聖者とも称される名君とはそこが違う。

 助けられた者たちにとっての名君であり、捨てられた者たちにとっての暗君であるのが暴君だ。捨てるべき命と拾うべき命を選別し、救えない命を切り捨てることで命を拾った者たちの数を広げる、命を数字で見るヒトデナシの王者。それが暴君の定義だ。

 奪ったあげくに、守れもしない、ただただ死なせることしか出来ない無能王と暴君を一緒くたにされるのは非情に不愉快だし困る。

 捨てるべきところで捨てる決断をしたからこそ、捨てさせた命を決して無駄にはしない誓いを立てることが出来るのだからな。人の死に則った幸福しかもたらせないのだから、暴君と呼ばれるのは当然のことなのだ。―――だが」

 

 

「だが、世の中は非情でな。捨てさせたヒトデナシの暴君よりも、捨てられなかった聖者の方が結果的に多くの命を奪い、無駄に人を死なせてしまう様に出来ている。

 もともと拾うつもりで泣く泣く切り捨てていた聖者ほど、この矛盾に苦しめられて生きていくことになる。

 ・・・困ったことに、こういう手合いほど死ぬ段になって今までと逆の道に夢を見て迷うのだ。

 生きてるときには聖者だった名君ほど、死後に化けて出て墓から這い出し不死者と化してしまう。生前に討伐していた者たちの側に自らもまた立ってしまう。

 捨てられぬ弱さを認めぬ為に、強く生きようと足掻いた結果、死して後に弱さに気づいて絶望者となる。

 ああいう奴を見ていると、正直言って辛くなる・・・」

 

「名君として生きようと足掻いた王は、暴君として終わるのが世の常だ。

 自分の強さで拾えた命、自分の弱さが捨てさせた命。他者の命で己の力量を計ろうとしない王は、自らの生きた人生を結果でしか計れない暴君となって最期の刻を迎えてしまうものだから・・・・・・」

 

 

つづく

 

 

おまけ「セイバー・オルタさんの服飾事情」

 

「えーと・・・セイバー? その格好はいったいどこで、どうやって・・・」

「空港で見つけた、日本の免税店で買ってきたのだ。東洋には郷に入りては郷に従えという諺があるのだろう? ならば日本へ赴く際に日本風の装飾で身を依ろうのは当然だろう」

「えーと・・・・・・私が採寸してオーダーして、空港に着いたときに受け取って渡したばかりのダークスーツは・・・」

「この服装は気に入った。私は決して着替えない」

「・・・・・・そうですか(クスン・・・)」

 

 

 

おまけ2「切嗣お父さん、出発前日の夜に」

 

「・・・もう行ってしまうの? せめてこの子が目を覚ましてから、一言だけでも告げて・・・」

「いいんだよ、アイリ。未練は引き金を引くのを躊躇わせる。いざという時に撃てない暗殺者のままでは、世界を救うための戦いで勝ち残ることなんて出来はしな―――」

 

 バタン!!

 

「愚かな! 未練なき兵など役に立たん! そのような愚考をするのほほんマスターの惰弱を、このセイバー・オルタが一から鍛え直してやる! 覚悟して表に出るがいい!!」

「またお前か!? いちいち扉を蹴破るなと何度言えば分かるんだ!! あと、夫婦の寝室に夜勝手に入ってくるな! 場合によってはお前の方が気まずくなるんだぞ!?」

「構わん! それでいいし、その方が良い! 未練を残して帰ってくる理由があった方が生還しやすいのが戦場というものだからな! 恋慕だろうと恥だろうと何でもいいから未練を残せ! 帰ってきたときに処分しておかなかったことを後悔しそうなヤバい遺物をどこかに残してから死地へと赴け! 生きて帰ってくる覚悟がある者だけ付いてくればそれで良い!」

「う。言ってることは分かるけど・・・・・・だが、お前が仕切るなよ! これは僕の戦いであって、お前はただの代理で剣なんだからな!?」

「うぅぅ・・・キリツグ、うるさぁい・・・どうしたのぉ・・・?」

 

 その結果。

 

「うおおおおおおっ!!!!」

 

 ズドドドドドド!!!

 

「・・・凄まじい猛練習ですね。何か振り切りたい未練でも残してきてしまったのですか?」

 

 

おまけ3「イリヤちゃんの『いってらっしゃい』」

 

「いい? イリヤ、これからお母さんがする話をよく聞いて」

「はい、お母様」

「お母さんは、これからお父さんのお仕事を手伝うために日本へ行って、多分これからはイリヤと会えなくなってしまうけど・・・でも、私はずっとイリヤの傍にいるわ。

 だから貴女は一人じゃない。誰から何を言われても、自分は寂しい子だなんて思わなくていいのよ・・・。それだけは分かっていてちょうだい」

「??? はい、わかりました。イリヤはずっといい子にしてお母様の帰りをお待ちしてます」

「・・・いい子ね、イリヤ。

 大丈夫、私が傍にいられなくなっても、お父さんが貴女をきっと守ってくれるから・・・。だから――」

 

 バタンッ!!

 

「アイリスフィール! 愛する娘と、そんな別れ方をしてどうする!? そんなことでは、ここぞと言うときにつまらぬミスを誘発して失敗してしまうかもしれんのだぞ!?」

「ええ!? せ、セイバー・・・それは一体どう言うことなの・・・?」

「先ほど聖杯から日本という名の戦場で禁句となりそうな言葉や言動があるかどうかを尋ねたときに供与された知識にあったのだ。『死亡フラグ』という忌まわしき呪言がな!」

「・・・!!! な、なんですって!?」

「どれほど腕が立つ武人であろうと、最後に生死を分かつのは運なのだ! 迷信だなどと思って侮るなよ! 私の時代にも似たような会話を交わしてから出陣して二度と帰ってこなかった猛者たちが山のようにいるからな!

 特に! 私はLUCが低い!! 低すぎるのだ! どんなに些細なことでもいいからツキを味方にしておかないと洒落にならんかもしれんのだぞ! 冗談抜きで!!」

「!!!! 分かったわ! セイバー! イリヤちゃん! 明日はお母さんと一緒に空港へ行きましょう! 娘に見送られて出立することで幸せな気分になれば幸運値上昇補正がかかるかもしれないものね!」

「うむ! それでこそアイリスフィール! 私に相応しいマスターだ!!」

「・・・セイバー、夜なのにうるさい・・・」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。