政略結婚をして、お家復興を目指す悪魔   作:あさまえいじ

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今回は後半が酷いです。
ご注意ください。


第9話 学生をエンジョイしてます。

どうも、ゲーティア・バルバトスです。

 

駒王学園高等部1年です。

真新しい制服に身を包み、春の桜の下を歩くのは前世の遠い過去以来2度目である。

懐かしさと真新しい気持ちになり、学校への道を行く。

前世では真面目に無遅刻無欠席で通っていたのが、今回はどうするべきか。

前世でできなかった、サボタージュというものをやってみたいな。

いいかな、しても・・・いや、いかん。私はバルバトス公爵家の現当主だ。

そのような不真面目な言動許されない。

自分を厳しく律しなくては、貴族たるもの下の者の手本とならねばいかん。

 

私は楓と一護と同じ一軒家に住んで学校に通うことにした。

後で、戸愚呂と幽助が合流することになっている。

食事などは楓が用意してくれている。

楓はセバスに鍛えられているので料理もプロ級だ。

楓の歳は私の一つ下のため、来年ということも考えたが、折角だし一緒に通いたいと言ってくれたので、年齢を誤魔化した。

 

一護は学生を卒業してから、すぐに私の眷属になったため、見かけでは高校生で通るから年齢を誤魔化して連れてきた。他の眷属とは違い、問題を起こす性格ではないので、ちょうどよかった。

 

そういえば、まだ二人がどの部活に入るのか聞いていなかった。

 

「楓、一護、二人は部活は決めたのか?」

「はい、私は文芸部です。」

「俺は剣道部です。」

 

なんと二人はもう既に決めていた。

私はまだ決めていなかったのに。

 

「ゲーティア様はどうされるんですか?」

「まだ、決めかねている。」

「まあ、じっくり決めればいいんじゃないんですかね。」

 

そうだな、一護の言う通りじっくり決めてみるか。

 

 

放課後になり、生徒が部活見学にあちこち行っているようだ。

私も見学に行ってみよう。

最初は一護が行った剣道部を見てみよう。

 

「あ、ゲーティア様。」

「一護、見学に来たが今日は休みなのか?」

「・・・男子剣道部ってないらしいんですよ。」

「ない、ってなんでだ。」

「駒王学園って元々女子校だったんで、女子剣道部はありますが男子剣道部はないらしいんですよ。」

「それだと部員を募って部を作ることから始めないといけないのか。」

「そうですね。まあ同好会でもいいですけどね。」

 

一護のやる気がみるみる落ちていく。

折角部活を頑張ろうとしていたのにこれでは、何か力になれないだろうか。

とりあえず人を増やしてみよう。

 

「一護とりあえず部を作ることからしてみよう。」

「部を作るってどうやってですか。」

「一護、生徒手帳を見ろ。こういう時にどうすればいいか、書いてあるかもしれん。最悪なければ教師に聞いてみれば分かるだろう。」

「ああ、そうですね。ええっと・・・ああ、部活の項目に新規設立って書いてありますね。」

「おお、あったな。何々、部を設立するには5人以上の部員が必要、生徒会に提出。つまり、5人集めて、生徒会に書類を提出する必要があるな。」

「あと、大会とかで優勝して、実績を上げるとかありますね。」

「いやそれは、部の存続に関してだな。でも、大会で優勝したという実績があればプラスにはなるな。だが当面クリアしなければならないのは部員の5人という方だな。」

「5人か、男少ないですしね。」

「眷属入学させて増やすか。幽助と戸愚呂とナツを連れてきて。」

「いや、戸愚呂さんは学生無理でしょう。ナツは口から火吹くの誤魔化さないとだし、幽助はすぐケンカするし、それは無理ですね。」

「あとは地道に勧誘するか。」

「まあ、それしかないですね。」

 

side 織田信長

「なあ君、剣道部に入らないか。」

「入ってくれよ~」

 

僕の名前は織田信長です。

有名なあの戦国武将と同姓同名です。

父が織田信長が好きだったので、その名が付けられました。

ケンカもしたことがない平穏な人生を歩んでいた僕に人生の危機に直面しています。

身長が180㎝以上ある、ムキムキの同級生と髪がオレンジの同級生に目を付けられました。

もしここで断れば命はないでしょう。

僕の中の織田信長の本能が叫んでいます。

 

「ぼ、僕も剣道に興味があったんだ~」

「おお、そうか。それはいい、一護。部員一人確保だ。」

「おお、幸先いいっすね。次行きましょ。」

「そうだ、名前聞いてなかったな。私はゲーティア・バルバトスだ。こっちは黒崎一護だ。よろしくな。」

「ぼ、僕は、お、織田信長、です。」

「おお、戦国武将と同じ名前か。カッコいい名前を付けてもらったな。ではいくぞ、信長。」

「う、うん。」

 

僕は二人に肩を組まれながら廊下を・・・・浮いて移動していた。

僕、身長160㎝くらいしかないから、地に足が付きません。

 

side out

 

一護と共に勧誘して回り、私を含めて5人になりました。

メンバーは私、一護、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の5人だ。

この5人で申請をしてみよう。

申請が通らなければ実績作りのため大会に出てみよう。

 

「失礼します。部活動の申請に来ました。」

「あら、ゲーティア。」

「あ、ソーナ。部活動の申請はここでいいのか。」

「ええ、でも今はちょっと部活の申請が多くてすぐには通らないわ。」

「そうか。実績があれば多少は通りやすくなるか。」

「ええ、なると思うわ。」

「よし、どこかの大会に出よう。そこで優勝して実績を作ろう。」

 

私は大会を調べると5人一組との団体戦の大会があった。

これに出てみよう。

 

「みんな、この大会なんかどうだ。5人一組の団体戦だ。」

「あ、あの僕たち、剣道をやったことがないんだけど。」

「まあ、俺もないし、みんなで覚えようぜ。」

 

信長はしたことがないから不安だというが、私と一護も剣道という競技はやったことがない。

競技のルールから学ぼう、幸い人間界には何でもわかる凄いもの、インターネットというものがある。

これでルールを覚えよう。後は体を鍛えれば何とかなるだろう。

大丈夫だ。筋肉は裏切らない。

 

side 審判員 宮本小次郎

「面!」

「それまで!」

 

私は剣道大会の審判員の宮本小次郎だ。

今回の大会は史上類を見ないハイレベルな戦いをしているチームがある。

駒王学園男子剣道同好会、このチームは5人中3人が先取したチームの勝ちである今大会で、常に3連勝をし続けている。

先鋒織田信長、次鋒豊臣秀吉、中堅徳川家康。

この3人で勝ち上がっている。

先鋒の織田は奇襲を仕掛けたり、堅実な試合運びをしたり、相手にペースを掴ませない戦い方をしている。

次鋒の豊臣は常に奇襲を仕掛け、相手を翻弄する戦いを見せた。

中堅の徳川は常に堅実な試合運びでどっしりした戦いを見せた。

そして決勝もまた圧勝だった。

相手は実業団のチームだったのに3人で圧勝した。

剣道界に3人もの10年に一人の新星が生まれるとは、彼らこそ奇跡の世代という奴なんだろう。

 

side out

 

「三人ともよくやった。これで正式に部になるだろう。」

「「「ありがとうございます、ゲーティア様!」」」

「ではこれより、生徒会に申請に行く、みんな付いてこい。」

「「「了解いたしました、ゲーティア様!」」」

 

彼ら3人を鍛えてみたところ、あっさり大会で優勝できた。

私と一護も戦ってみたかったのだが、残念だ。

でも、3人とも鍛えたところ、若干言動はおかしくなったが、それを補い余りある強さを手に入れた。

中級悪魔くらいなら倒せそうなくらいだ。

集中トレーニングで急激に育てた反動で、顔が更けてしまったがまあいいだろう。

あとは3年みっちり指導すれば上級にも手が届くだろう。

彼らならそれが出来ると信じている。

 

さて、剣道部の申請は後は承認待ちだな。

楓の文芸部はどうなんだろう。

ちょっと覗いてみよう。

 

side 楓

ゲーティア様のクイーンの楓です。

私が文芸部に所属して、一月経ちます。

そんな私が何をしているかというと、

 

「ムフフフフフフフ」

 

読書(意味深)をしています。

文芸部では一般流通している名作から、裏社会に関わるご禁制まで、取り揃えています。

そんな禁書に触れると、前世の私の記憶が蘇ってくる。

2次元よ私は帰ってきた!

おっといけない、禁書に私の鼻から溢れた愛(意味深)がついてしまうわ。

これは重要文化財(意味深)として、大切に保管しないと。

こんな姿、万一ゲーティア様に見られたでもしたら、・・・死にたくなるかも。

 

「楓、いるか。」

「--!!!!!!ゲーティア様!いかがいたしましたか!」

 

何でこんなタイミングで来るんですか。

 

「剣道部が承認待ちでな、まだ楓の文芸部を見たことがなかったので、見に来たんだ。」

「そ、そうですか。ぶ、文芸部なんて見ても面白い物なんてないですよ。」

 

私は早急にお帰り頂こうとした。

でも、ゲーティア様は見つけてしまった。文芸部の禁書を。

 

「なんだ、これ。」

「あわわあっわわわわあああ」

 

もうだめだ。おしまいだ。

前世でも当時付き合っていた彼氏に見られた時、彼がフリーズからフェードアウトして、シャットダウンされた記憶が蘇ってきた。

この世に神はいない。

私は今日確信した。

 

「うーん、実にいい絵だ。魂がこもっている。」

「え!」

 

神は死んでいなかった。

ありがとう神様、イタ!

思わず悪魔なのに祈ってしまった。

 

「だが、この部分はもう少し変えた方がいいな。楓、描く物あるか。」

「あ、はい。こちらに。」

「こういう時は・・・・で、こうすれば・・・・で良くなるんだ。」

「!!!!!!!」

 

そこには神が宿っていた。

あまりにも神々しく、悪魔の私が浄化されてしまうかもしれない程に聖なる光を放っていた

 

「ゲーティア様、この絵、描けますか」

 

side out

 

side 文芸部部長紫清(むらさきせい)

文芸部部長の紫清よ。

今年3年の私は誰を次期部長にするか決めかねていた。

2年にいい人材はいなかった。

このまま私たち3年が卒業してしまえば、文芸部の火が消えてしまう。

偉大な先輩方が築いてきた、歴史を汚してしまうかもしれない。

私はそう不安に思っていた。

だが、彼女が現れた。

 

「ムフフフフフフフ」

 

新入部員の秋野楓さんだ。

一年生でありながら、卓越した才覚を持つ彼女に誰もが一目置いた。

だが私たちはまだ、知らなかった。

彼女は真の力を。

彼女は書に触れて急激に成長していった。

いや違う。あれはまるで何かを取り戻しているようだ。

時間と共にその技巧が洗練されていった。

最早誰もが彼女で決まりだと、次期部長は彼女だと誰もが認め、受け入れた。

 

「楓、いるか。」

 

ゲーティア・バルバトス君だ。

大きな体と服の上からでも分かる筋肉がたまらない男の子だ。

楓さんがお仕えしている外国の貴族様だ。

マジモンの貴族様だ。

そんな彼が禁書を見た時、楓さんはこの世の終わりでもしないような顔をしていた。

だが、彼は言った。

 

「うーん、実にいい絵だ。魂がこもっている。」

 

彼は違いの分かる男だった。

だがその後の彼の言動に我々は怒りを覚えた。

 

「だが、この部分はもう少し変えた方がいいな。楓、描く物あるか。」

 

この小童、愚かにも神に歯向かおうとするなんて、なんと不敬な。

この背教者が。

 

「こういう時は・・・・で、こうすれば・・・・で良くなるんだ。」

「!!!!!!!」

 

そこには神がいた。

さっきのは神ではなく紙だった。

 

その後の彼は数多の神を産みだし続けた。

私たちはその神を奪い合い、醜い争いを繰り広げた。

だがその醜い争いすら、神は収めてくださった。

 

「次、描けたんですけど、いります?」

 

私たちは理解した。

今日、新たな神が生まれたことを。

創造神ゲーティア・バルバトスが誕生したことを。

間違いないわ、次期部長は彼で決まりね。

 

side out

 

いや、疲れたな。

久しぶりに描いたな、絵。

前世の頃以来だからな、定年を迎えた後、風景を描いてたらハマって、それから時間の許す限り描き続けた。

水彩画、油絵ジャンル問わず描いたからな。

まだ、覚えていたな。

また描いてみるかな。

部長さんもいつでも来ていいと言ってくれたし。

うちの学校的に掛け持ちはOKらしいし、やってみるかな。

 


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