どうも、ゲーティア・バルバトスです。
兵藤一誠が悪魔に転生していた。
休日の前までは人間だった、一体どうして。
私はとにかく事情を知っていそうな人に聞きに行くことにした。
「失礼する、ソーナはいるか?」
私が登校早々、ソーナを訪ね、生徒会室に来た。
私が入ると生徒会役員が一斉に私を見た。
早朝から来たことはないので、驚いているようだ。
「どうしたんですか、ゲーティア」
ソーナが奥からやって来た。
ソーナも私が早朝から来たことに驚いているようだ。
「ソーナ、兵藤一誠が悪魔に転生した事、知っていたか」
「どういうことですか」
私の質問にソーナの顔つきが困惑に変わった。
どうやら、知らないようだ。
「今日私が登校していると、悪魔の気配があった。私が知らない気配だ。気になって見に行くと、そこには兵藤一誠がいた。彼は転生悪魔になったようだ。そして、ソーナの今の驚きようからして・・・」
「ええ、私の眷属ではありません。ということはリアスの眷属ですね」
なるほど、やはりか。
ソーナから聞いていたが、やはりリアスが悪魔に転生させたか。
だが一体いつだ?
休日の前には人間だった。
休日中に何かあったか。
「ソーナ、すまないが一つ頼まれてくれないか」
「いつものリアスへの調査ですね。分かっていますよ」
「ああ、いつもすまない」
「いえ、それに私も気になりますので」
「あ、そうだ、もう一ついいか?」
私は昨日の件を報告していない事を思いだした。
リアスの状況を調べるついでに、リアスに伝えてもらうことにしよう。
「他になにかありましたか?」
「堕天使達の目的がわかった」
「ーー本当ですか?!」
ソーナも堕天使の存在には気がついていた。
だが下手に刺激して、戦争の火種になることは避けたかった。
「都合が良いことに、私に仕掛けて来てくれた。まあ、実際は彼方がこっちに声をかけて来ただけで滅したが、まあ死人に口無し、という事で対応しようと思う。それにグリゴリ所属の堕天使ではないようだし。」
「そうですか、なら下級が暴れた程度で済ませましょう。で、目的というのは?」
「あいつら、人間から神器を抜く事を目的にしているそうだ。抜かれる人間の名前はアーシア・アルジェント。元教会の聖女だ」
「堕天使は人間から神器を抜く技術があるんですね」
「・・・・・・ただし、抜かれた人間は死ぬらしい。まあ生まれつき持っているものを抜かれて、異常が無いわけがない」
「・・・・・・なるほど、そうですね。では、そのことも伝えておきますね」
私はソーナに調査依頼と報告をした後、風紀委員室に向かった。
□
風紀委員室に到着し、私は報告書を探した。
その報告書は先週一週間の兵藤一誠の監視記録だ。
その報告書には学内のことは記載されているが、学外の事は記載されていない。
当然だ。
学内の事は風紀委員の責務で対応可能だが、学外ではさすがにまずい。
でも一つ分かったことがある。
先週、兵藤一誠に彼女が出来たようだ。
そして、その彼女が『天野夕麻』という名のようだ。
後で、報告書を出した物に確認しよう。
□
昼休みになって、報告書を書いた男に確認してみた。
すると、その報告書を書いた者は『天野夕麻』と言うのは知らないと言った。
なるほど、そういうことか。
私は勘違いだったと言い、報告書を書いた男を帰らせた。
私は風紀委員室の報告書をもう一度確認してみると、内容が変わっていた。
わたしの予想通りだ。
『天野夕麻』は堕天使だと、理解した。
すると、先日の堕天使の反応は『天野夕麻』かもしくはその仲間か、あの時の男の堕天使もう少し生かしておけばよかったな。
私は少し後悔した。
私は確認が終わったので風紀委員室から出て、教室に戻ろうとして、あることを思い出した。
私がソーナに伝えようとしたが、時間が無いので後回しにすることにした。
□
放課後、私は生徒会室にいる。
私はソーナと向き合って話をしている。
「リアスが昨日、兵藤君を転生させたようです」
「昨日、そうか。どこで転生させたか聞いたか?」
「公園のようです。この町の」
「ーー!だとすると昨日の堕天使はリアスが倒したのか?」
「いいえ、堕天使を倒したとは聞いていません」
「そうか・・・・・・」
私はあることを考えていた。
今回の一件、堕天使がグリゴリ所属ではないとはいえ、堕天使は堕天使。一度上に正式に報告しておくべきではないだろうか?
少なくとも今回の一件が堕天使と悪魔の戦争の火種にならない様にしておく必要があると思っている。
その辺りを魔王様にキチンと報告し、指示を仰ぐべきではないだろうか、そう考えている。
「なにか考えていますね」
「分かるか?」
「ええ、分かります」
どうやら私が考え事をしていることはソーナには分かるようだ。
もう3年目だ、長い付き合いだ、と言っていいだろう、私の中では。
私は少し、フフ、と笑ってしまった。
ソーナが訝し気に私を見ている。
いかん、顔を引き締めないと。
私は顔に力を入れ、ソーナを見据えて提案した。
「ソーナ、今回の一件、正式に魔王様に報告すべきだと思う。その上で指示を仰ぎ、今後の対応を考えるべきだと思う」
「確かにその通りだと思います。ですが、それはリアスがするべきです。・・・ですが、彼女が報告を上げるでしょうか?」
「・・・・・・無理だろうな。彼女の性格上、きっと自分の領地だから自分で解決する、とでも言いそうだ。」
「・・・・・・そうですね。私もそう思います。ただ、そういう状況ではないと思いますけど・・・・・・」
私とソーナは揃ってため息を吐き、別の方向から報告をすることを考えた。
「今回の一件、直接的に戦闘したのは私とリアスの二人。だから私から報告を上げることが出来る。それにリアスよりも私の方が公爵で位は上だ。上に報告を上げた際、すぐに話が通るはずだ」
「そうですね。ではサーゼクス様に報告を・・・」
「ん?ソーナの姉上のセラフォルー様ではないのか、外交担当だし、姉の方が話しやすいんじゃ・・・」
そう言ったとき、ソーナの顔は今まで見たことがない程の渋い表情に変わった。
「えええええ、お姉さま、ですか~・・・」
凄まじく渋い表情だ。
心底嫌そうだ。
私はまだセラフォルー・レヴィアタン様にお目通りしたことはない。
外交を担当している魔王様、唯一の女性での魔王様だと言うこと、そしてソーナの姉、と言うことしか知らない。
だが今回の一件は外交問題に発展する可能性がある。
早急に対応するべきだと私は考えている。
サーゼクス様に説明してからセラフォルー様に説明して頂くのは時間が掛かるだろう。
であれば、渋い表情をしているソーナを説得して、セラフォルー様に報告した方がいいと私は考えた。
「ソーナ、事は一刻を争うかもしれない。その際、個人の感情を押し殺してでも行動するのが上に立つ者の責務だ。姉上と仲が悪く、どうしても顔も見たくない程、憎み合っているのか。そうであれば、流石に止めるが・・・」
「・・・・・・いいえ、そんなことはありません。ただ・・・・・・ひかないでくださいね」
「あ、ああ」
ソーナが暗い目で囁くような小さい声で言った。
何故か切実な表情だ。
どういう姉なんだ。
私は気になったが、ソーナに通信をしてもらった。
そして、ソーナの言葉の意味を思い知った。
「ああ~ん!ソーナちゃん!お姉ちゃんに連絡してくれてうれしいぞ☆」
・・・・・・言葉が出ない。
これが魔王様、セラフォルー・レヴィアタン様。
い、いかん。表情に出すな。
人は外見、格好で判断してはいけない。
もしこれで、無礼な態度を取ればそれは忠を失うことになる。
なんとしても耐えるんだ。
私はバルバトス公爵家の当主。
こんな苦難、耐えて見せる。
「お初にお目にかかります、セラフォルー・レヴィアタン様」
「あれ~、君は誰かな☆」
「はっ、私はバルバトス公爵家当主ゲーティア・バルバトスでございます」
「ああー、君がゲーティア君なんだね!私はセラフォルー、セラフォルー・レヴィアタンだよ~。ソーナちゃんのお姉ちゃんでーす☆」
「はい、存じております。ソーナ殿には日ごろ、大変お世話になっております。」
「そうでしょう~ソーナちゃんは自慢の妹なんだから~」
「はい、とても素晴らしい女性です」
「うんうん、ゲーティア君はとっても見どころがあるよ~」
「お褒めに預かり光栄でございます」
よし掴みはOKだ。
後はこちらの要望を出して、その後は・・・・・・ソーナに任せよう。
姉の事は妹に任せよう。
ソーナ、君には期待している。
「レヴィアタン様、この度はソーナ殿のおられる駒王学園近郊にて、堕天使が現れました」
「えええ!堕天使~、ソーナちゃん怪我してない、大丈夫、今からそっち行こうか~」
「ご安心ください。幸いソーナ殿には怪我はありません」
「そっか~、それは良かった~、もしソーナちゃんが怪我したら堕天使と全面戦争しちゃうぞ☆」
アレェェェェェ、人選間違えた?
戦争回避しようとしたのに戦争に突入しそうな人に連絡してしまったか?
私は猛烈に後悔し、頭を抱えそうだった。
「お姉さま、その堕天使の事でご相談が有ってご連絡致しました」
ソーナが代わりに話してくれた。
助かる、私はもう限界だ。
私はその場に片膝をつき、控えるようにした。
実際はもう立つ力がないので、膝をついただけだが。
「・・・・・・お姉さま、以上が報告の内容です。できれば今後の対応に関してご指示いただきたいのですが」
「う~ん、そうだな~・・・・・・だったら、直接堕天使に文句言いに行こうか☆」
「・・・・・・へ?」
ソーナがほけぇとしている。
私も同じだ。
ただ顔を伏せているので、気付かれていないだけだ。
だが、いきなり文句と言っても、何処に行くんだ?
私は考えが追いついていない。
「じゃあ、堕天使の本部に乗り込むのはソーナちゃん・・・・・は怪我しちゃうかもだから、ゲーティア君にけってーい☆」
「頑張ってください、ゲーティア」
セラフォルー様が私を指名し、ソーナは私を売った。
私に味方はいないようだ。
仕方がない、覚悟を決めよう。
「かしこまりました。レヴィアタン様」
私は精一杯の礼で答えた。
□
私とソーナは通信が終わり次第、その場に項垂れた。
「ソーナ、レヴィアタン様は・・・その・・・えーと・・・んん・・・個性的な方だな」
「・・・・・・・・・・ひかないでって言ったのに・・・・・・」
ソーナは泣いている。
ひたすらに・・・
「まあ、その、なんだ、どんまい?」
「慰めは結構です!」
ソーナは目尻に涙を溜めながら、キッと私を睨みつけた。
しかし、先程のやりとりを思い出すと、これからの私の方がかわいそうだと思って欲しい。
「ソーナは私を裏切ったよな」
「ぐ!で、ですがここは私が残った方が得策です。貴方ではリアスを止めることは出来ません。ですので、貴方が堕天使の本部に行ってください。頑張ってくださいね」
「はぁ~、分かった。私が戻るまで、リアスを止めておいてくれ。・・・・・・あと、はぐれ悪魔の件だが、トドメはリアスたちに譲る代わりに確実に仕留めたことを私の眷属に見せておいてくれ」
「・・・・・・それでいいんですね?」
「・・・・・・私の個人的な感傷だ。ならせめて確実に死んだことを知れればそれで納得する」
「大人ですね、貴方は」
「公爵を10年やれば歳は関係なくなる」
「分かりました。ではリアスにはそのように伝えます。必ず約束させます」
「ああ、よろしく頼む。では私は用意が出来次第、レヴィアタン様の下に向かう」
そう言って私は生徒会室を後にした。
□
私は風紀委員室に人間界に来ている眷属とレイヴェルを呼び出した。
これからの動きについて説明しておく必要がある。
「ゲーティア様、眷属集まりましてございます。」
代表して楓が声を上げた。
「ご苦労、実はこれからの動きに関して、指示しておくことがある。まず、堕天使の件は一旦引き上げとする。これから私がレヴィアタン様と共に堕天使と交渉に向かう。そして、はぐれ悪魔の件、これは殺さずに捕らえ、リアスに引き取らせる。その上で確実に殺したことを私に代わり見届けろ」
「ゲーティア様、堕天使の事は後で聞きますが、はぐれ悪魔の件はその対応で宜しいのでしょうか?ゲーティア様の手で撃たれることを望んでおられたと思いましただが・・・」
「・・・・・・構わん。私はそのはぐれが死んだことが確認できればそれでいい」
「分かりました。失礼な質問を致しました」
「全員はぐれ悪魔に対応してくれ」
「は、次は堕天使と交渉の件ですが・・・」
「簡潔に話すと、レヴィアタン様に今後の対応を聞いたところ、堕天使の本部に文句を言いに行こうと、いうことになった」
「・・・・・・」
眷属は沈黙している。
「ハハハハハハハハ・・・」
幽助だけが笑い始めた。
好きなだけ笑うがいい。
後で笑えなくしてやるから。
「レイヴェル、私に代わり風紀委員の指揮を頼む」
「はい、分かりましたわ。ゲーティア様」
これでこっちは大丈夫だろう。
レイヴェルの指揮能力は私とは段違いだ。
必ずうまくいく。
□
side リアス・グレモリー
「何ですってソーナ、ゲーティアが戻るまで堕天使に手を出すなって、どういうことよ!」
私はソーナが告げてきたことに非常に怒っている。
「言った通りです。リアス、ゲーティアが堕天使の本部に交渉に向かいます。それが終わるまで、堕天使に手を出すことは禁止です」
「それが認められないのよ、ここは私の領地よ。堕天使たちに好き勝手させてられないわ!」
「戦争の火種を作るつもりですか?そんなことをすればリアス、悪魔全体の問題に発展します。ですのでそうならない様にお姉さまとゲーティアが堕天使たちと交渉します。対応はその後です」
「なんで私がゲーティアの指示に従わなければならないのよ。それに私に勝手に魔王様に報告するなんて、越権行為よ」
「堕天使と直接戦闘したのはリアス以外だとゲーティアだけです。そのゲーティア自身が報告を上げることの何が勝手ですか。ゲーティアは公爵家の当主です。そのゲーティアがリアス、貴方の領地で襲われたんです。それは本来なら貴方の管理不行き届きだと咎めることも出来たんです。だと言うのに、そういう内容ではなく、堕天使との交戦という内容で報告しているんです。貴方の口を出せる事ではありません。・・・それに貴方は堕天使と接触したというのに何の情報の横通しもありませんでした。堕天使の目的も知らないようですし。」
「堕天使の目的?一体なによ?」
「・・・・・・ゲーティアが堕天使から聞き出しました。とある神器を手に入れることが目的の様です」
「ふーん、神器。へぇー」
「リアス、堕天使よりもはぐれ悪魔の件、どうなっているんですか?」
「まだ見つからないわよ。そう簡単に見つかったら苦労しないわ」
「・・・・・・ゲーティアから連絡です。ゲーティア眷属が総出で探してくれます、トドメは譲る、だそうです。」
「何ですって!私の領地よ、勝手なことしないで!」
「だったら、早く対応したらいいじゃないですか。何でしたら私の眷属も探索に駆り出しましょうか」
「結構よ!」
「では、早急な対応をお願いします。決して堕天使に手を出さない様に」
「分かっているわよ!」
ソーナが私に告げて部屋を出ていった。
イッセーが私の近くにやって来た
「部長、ソーナ生徒会長って、もしかして」
「ソーナも悪魔よ。この学園にいる上級悪魔は私とソーナと・・・・・・ゲーティアの三人よ」
「ゲ、ゲーティア!!あの『駒王の魔王』が悪魔、何だってあんなバケモンまで悪魔なんですか」
「イッセー君、ゲーティア君はバルバトス家の当主ですわ。決して無礼な態度を取ってはいけませんわ。もしそんなことをすれば私たちでは庇えませんわ。」
「もしそんなことをすれば・・・・・・どうなるんですか?」
「殺されても文句言えませんわ」
朱乃がイッセーを脅している。
いや事実だ。
この学園では私よりも公爵家当主のゲーティアの方が立場は上だ。
私の領地だと言うのに・・・・
私は内心面白くない感情が渦巻いている。
「イッセー、貴方には期待しているわ」
私はイッセーの方を見て、小さく呟いた。
私のためにその力、使いなさい。
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