side イッセー
俺と小猫ちゃんは廃教会に来ている。
堕天使の根城、そこにアーシアがいる。
ここまで来るのに、部長は禁止した。
生徒会長が禁止したからだ。
それに駒王の魔王もだ。
でも、友達のアーシアを助けたいんだ。
だから、誰が言ったって俺は絶対にアーシアを助けるんだ。
「でも、小猫ちゃんまでついてこなくても・・・」
「イッセー先輩だけだと確実に死にますから、仕方ありません」
「だけど・・・」
「本当なら裕斗先輩にも来てほしかったですけど、たぶん来てくれません。剣道部の部員である裕斗先輩はゲーティア先輩に逆らいません」
「そうだ、木場。アイツ、部長の眷属なんだろ。俺のポーンと違ってナイト、っていうスピードが上がるタイプの駒の、アイツなんで部長の眷属なのに駒王の魔王の配下なんかしてんだ?」
「‥‥‥私も詳しく知りません。でも、裕斗先輩、剣道部に入ってから明るくなりました。心から笑ってます。私たちといた時は張り付けた笑顔だったのに‥‥‥」
「うーん、俺には理解できねぇ。だって剣道部、しかも男子剣道部なんて、ヤベェ奴らの巣窟だろ。そんなところにいてなんで笑えるんだ。俺なら美人揃いのオカルト研究部の方が断然いいぜ。」
「‥‥‥裕斗先輩もこれくらい単純だといいんですが‥‥‥そんなことよりさっさと行きましょう。えい!」
小猫ちゃんが俺の話を打ち切って扉にケリを入れた。
「うわあああ、何て力だ。これがルークの駒の特性か」
俺が驚きながら中に入ると白い頭の見覚えのある奴がいた。
「ご対面!再会だね!感動的だね!」
「お前、確かフリード!」
「はーい、フリードでーす。クソ悪魔に名前を憶えてもらえるなんて、うれしくないねぇ。どうせすぐに死んじまうだがね!」
この野郎、だけど悔しいけど俺じゃあの野郎には勝てねぇ。
俺がそんなことを考えていると後ろから足音が聞こえてきた。
「裕斗先輩、きてくれたんですね」
俺の後ろに木場の野郎が来ていた。
なんでここに?
俺の驚きをよそに、木場のやつは小猫ちゃんと話している。
「小猫ちゃん、どうしてここに来たんだい?ここに来ることはソーナ会長、それにゲーティア部長が許可していないはずだよ」
「イッセー先輩が来たいと言ったので、放っておくと勝手に死んでるかもしれないので、付き添いです」
「そう。でも、感心しないな。今ゲーティア部長が堕天使と交渉してくれている、大戦に発展しない様に尽力してくれている。なのに、こんな行動をとればその尽力を無駄にするかのしれない。小猫ちゃん、そのことが分かっているの?」
「--!」
木場の奴は小猫ちゃんを説教してやがる。
「おい!木場、小猫ちゃんに、なに説教してやがる。」
「君に言っても分からないだろうから、分かる彼女に説教、というより苦言を呈しているんだよ」
「何だと!」
俺が木場の襟首を掴もうと手を伸ばすと、アイツはあっさり躱し、俺を投げ飛ばした。
「イテッ!」
「では、お邪魔しました」
木場は地面に倒れた俺の襟元を掴み、引き摺って教会の外に出した。
「木場、離せ!俺はアーシアを助けるんだ」
「‥‥‥」
木場はガン無視で俺を外に連れて行く。
クッソー、俺はアーシアを助けれないのか‥‥‥
「この魔力は!」
木場が驚き、俺を放した。
一体どうして?
俺は疑問に思っていると、突然の目の前に転移してきた大男がいた。
「う、うわああああ」
「戸愚呂さん」
俺が驚いていると、木場が大男のことを親しそうに呼びかけた。
「裕斗、ゲーティアさんから連絡があった。どうやら交渉はまとまった。堕天使達は好きにしていいそうだ」
「そうですか。ゲーティアさんは今何処に?」
「こちらに向かっている。先程クイーンに連絡が来られたので、もうすぐ来られるだろう。」
「そうですか、わざわざありがとうございます。戸愚呂さん」
木場が大男に礼を言っている。
だけど、木場の手を離れた。
今なら、アーシアを助けに行ける。
俺は体勢を立て直し、もう一度教会に走って向かう。
待ってろよ、アーシア
絶対に助けるからな
side out
side 木場裕斗
「彼、行っちゃったけどいいの、小猫ちゃん。さっきの話聞いたよね、もう堕天使を倒してもいいよ」
「裕斗先輩はどうするんですか?」
「僕?部活に戻るけど、もうすぐ部内対抗戦だから練習しないと」
「どうしてですか、どうして、助けてくれないんですか!」
小猫ちゃんが感情を露わにしている。
珍しいな、この子がここまで感情的になるなんて。
でも、どうでもいいや
「小猫ちゃんが助けるんでしょ?僕はいいよ。彼にはいろんな人が迷惑しているから、どうでもいいよ」
「どうでもいい、て、裕斗先輩はリアス部長の眷属なんですよ、彼も同じリアス部長の眷属なんです。だったら・・・」
「だったら何?」
「‥‥‥助けてください。私と一緒に彼を助けてください」
「‥‥‥はぁ~、さっさと終わらして帰ろ。戸愚呂さん、堕天使は僕が責任を持って、処理します。終わり次第、ゲーティア部長にご連絡致します。その旨、楓さん並びに眷属の方にお伝え下さい」
「ああ、分かった。そうだ一つだけ、あのエクソシストは殺すな。警察に引き渡すのでな」
「はい、分かりました」
それだけ言って戸愚呂さんが帰っていった。
僕は踵を返し、再び教会に向かう。
その後ろを小猫ちゃんがついてきた。
「うわああああああ!!」
兵藤君が傷だらけで教会から飛び出してきた。
どうやらエクソシストに斬られたようだ。
所々浄化されて、焼けただれている。
「クッソー!」
まだ立ち向かうようだ。
左手の赤い籠手がある。
どうやら彼も神器持ちのようだ。
仕方がない、彼ではあのエクソシストに勝てそうにないし、僕がやろう。
「どいてなよ、後は僕がやる」
「な、なんだよ、いきなり!さっきは連れ帰ろうとしたくせに!」
「状況は刻一刻と変化していくんだよ、アレの相手している時間、ないでしょう」
「グッ!」
「さっさと行きなよ。あれくらいなら大した時間かからないし」
「すまねぇ、頼んだ!」
兵藤君がエクソシストを抜けて奥に進もうとして、エクソシストが邪魔をしようとしている。
「ヒャハハ、ここから先は通れませーん!!」
「通してもらうよ」
僕がエクソシストの動きより先に兵藤君とエクソシストの間に体を入れて、エクソシストの動きを制した。
「クソ悪魔が!邪魔してんじゃないよ!」
「エクソシストの邪魔をするのも悪魔の仕事なんでね」
僕は神器魔剣創造から一振りの剣を作り出し、正眼に構えた。
僕が作った剣は竹刀、この一年に渡って最も長く使った、最も距離が測りやすい剣だ。
「ヒャハハ!!そんな恰好の剣でボクチンと戦うつもり、もうちょっと強そうなの作れないの?ププププ」
「安心しなよ、君を殺そうとは思ってないよ。そもそも相手にもならないんだ、君くらいなら。だからせめて怪我しないように刃がない武器にしてあげたよ。ほら掛かってきなよ、強者に挑むのは弱者の特権だよ」
「プッツーン!ボクチンのことなめてんじゃねーぞ!クソ悪魔風情が!」
エクソシストは一直線に僕に向かってくる。
物凄い形相で光の剣と銃を僕に向けてくる。
久しぶりだ、真剣な殺し合い。
「くらえ!クソ悪魔」
エクソシストは右手の光の剣で、僕に斬りかかってきた。
僕は竹刀で、それを逸らし、彼の動きを崩した。
彼は倒れながら、僕に銃口を向けて、
「甘ーい!」
至近距離から放った。
「裕斗先輩!」
小猫ちゃんが悲鳴を上げた。
でも遅い。
「どこが」
僕は竹刀でその銃弾を逸らした。
彼は驚き、唖然としている。
「面」
僕は驚き、隙だらけな彼に、ビシッと、的確な手ごたえの一撃を与えた。
「うっそーん」
エクソシストの最後の声はそんな情けない声だった。
そんな倒れこんだエクソシストを僕は拘束した。
後でゲーティア部長に引き渡すことになるだろうし、確かこの町で人殺しをしていたのはエクソシストだそうだから、たぶん犯人はこれだろう。
多少手荒でもいいかな。
僕は魔剣創造で針金のように形状を細く、長く、頑丈に、それでいて柔らかく作り、体を拘束していく。
よし、これで簡単には抜け出せないだろう。
僕は拘束した彼を地面に転がし、その上に腰かけた。
ふっと気づくと小猫ちゃんが僕を見て唖然としている。
彼女、兵藤君の付き添いで来たんじゃなかった?
僕が疑問に思っていると、小猫ちゃんが正気に戻ったのか、僕に質問してきた。
「ゆ、裕斗先輩!大丈夫ですか?さっき銃弾が飛んできてましたけど・・・」
「あれくらい大したことじゃない、あんな遅い弾丸なんか止まっているようなものだし、竹刀で弾けばいいだけだし。それより、小猫ちゃんここにいていいの?さっきの彼、奥に行っちゃったけど」
「え、ああ、そうでした。裕斗先輩は?」
「僕はここで待ってるよ。これが動くかもしれないし」
「分かりました。‥‥‥裕斗先輩、変わりましたね」
「そう、まあ肩ひじ張らなくてよくなったからかな」
「そうですか。では私は行きます」
「うん、行ってらっしゃい」
僕は小猫ちゃんに手を振って見送った。
さて、今日の分の素振りがまだ終わってないな。
彼らが帰ってくるまで時間があるし、やっておこう。
少しの時間でも僕の
彼らの成長速度は光のようだ。
そして先輩たちも今年が最後ということで今まで以上の気迫を感じている。
織田先輩は背後にオーラで出来た人型が出てきたし、豊臣先輩はゲーティア部長に憧れて肉体改造した結果、筋肉の鎧を纏ったようになったし、徳川先輩なんて、竹刀が光輝きだしたし、他の先輩達も人間卒業しだしたし、僕も負けていられない。
今頑張らないと先輩達を倒し、剣道部序列一位の僕の夢が終わる。
僕を育ててくれた、黒崎先輩そして僕のあこがれのゲーティア部長の前で成長した姿を見せるという僕の夢が終わる。
それだけは出来ない、他の何を置いてもそれだけは成さないと。
僕は心も頭も冷静に、落ち着いて一心に素振りをし始めた。
一つの動作も雑にならない様に、心を落ち着かせ、一振り一振り丁寧に振る。
最近では素振りの風切り音が遅れてくるようになってきた。
少しずつ振る速度が速くなったようだ。
少し嬉しい、いかんいかん雑念が混じった。
もう一回最初からだ。
一万回を丁寧に連続で振る、これを自分の日課にしたところ、序列が上げるようになっていき、今は序列11位。
上は先輩と柴田、本多の同級生二人だ。
もう少しだ、もう少しで先輩たちに手が届く。
僕は一心に素振りをしていく。
その風圧で、教会の壁が崩れていくが気にしてはいけない。
雑念を捨てたその先に僕の求める一振りがある、そう信じて素振りを続けた。
side out
私は駒王町の廃教会の近くまでやってきた。
さっき戸愚呂から連絡があったが、リアスの眷属が廃教会に乗り込もうとしていたようだ。
まだ連絡していないのに見切り発車した形で対応しようとしていたようだ。
全く連絡を受けてから動いてほしいものだ。
こういうデリケートなことを大雑把な対応されては折角、骨を折ったというのに無駄になってしまうじゃないか。
こういうことは主がしっかり責任を感じて説教してほしいものだ。
私がそんなことを考えていると、楓達が近づいてきている気配がしてきた。
どうやら、廃教会の前で合流できそうだ。
それから少しして、楓達と合流した。
「みんな、一週間ぶりだ。一週間の間の報告は急ぎを除き、後にしてくれ。まずは堕天使の対応をする。いいな」
「はい、ゲーティア様」
楓の返事と共に眷属達は頷き、俺と共に廃教会の向かう。
□
ここが廃教会か、実際来たのは初めてだな。
中から、ミシミシと音がしているが気にせず中に入る。
「ブンブン・・・」
中では裕斗が一心に素振りしている。
良い振りだ。
力みのない、鋭い振りだ。
音を置き去りにした、鋭い振りだ。
だが、その振りで実戦にどう生かす。
私は、床の剥がれたタイルを一欠けら掴み、裕斗に投げつけた。
「ーー!ハァッ!」
裕斗は反応して、私の投げたタイルに反応し、振り返り様に切り伏せた。
だが、その後はどうだ。
「ハッ!」
「遅いぞ、裕斗」
私は裕斗に気付かれずに背後に迫り、首に手刀を当てた。
「ゲ、ゲーティア部長」
「お前の素振りは見事だ。実に良い振りだ。だが、振ることに意識が行き過ぎだ。常在戦場の気構えを持てと常に剣道部員には指導してきたつもりだが‥‥‥」
「も、申し訳ありません!」
裕斗はその場に跪き、謝罪の言葉を述べた。
だが、謝罪の言葉など実戦では何も意味がないことも教えたつもりだが。
「裕斗、謝罪など不要。必要なことは実戦すること、ただそれだけだ。」
「は、はい!」
「よし、ここで一本、試合といきたいが、だがお客さんのようだな」
どうやら地下から、上がってきた者がいるようだ。
この気配は‥‥‥あのときの力の波動を感じる。
いや、これは‥‥‥目覚めようとしている。
「待ってろ!もうすぐアーシアは自由なんだ!いつでも遊べるようになるんだぞ!」
奥から声が聞こえてきた。
この声、変態三人組の一人、兵藤一誠か。
リアスの眷属になったようだが、その結果、中の奴の覚醒が早まったか。
でも、まだ完全ではないな。
おそらく彼の感情の昂りで目覚めるかもしれない。
それに一緒にいるのはアーシア・アルジェントか。
どうやら、レイナーレの計画通りに事が運んだようだ。
もう少し早く来ていれば結果は違ったかもしれないが‥‥‥
彼女に罪はない。
ならば、助けるとしよう。
私は目の前の消えゆく命を見捨てるような外道に堕ちる気はない。
「いくぞ」
私の言葉に全員が奥を目指す。
side イッセー
「・・・ありがとう・・・」
アーシアの最後の言葉だった。
何でだ、何でだこの子が死なないといけないんだ。
「なあ神様!神様いるんだろう!?悪魔や天使がいるんだ、神様だっているんだよな!?これを見ていたんだろう!?この子を連れて行かないでくれよ!ただ友達が欲しかっただけなんだよ!ずっと俺が友達でいます!だから頼むよ!この子にもっと笑って欲しいんだ!なあ頼むよ!神様!俺が悪魔になったからダメなんすか!?この子の友達が悪魔だからナシなんすか!?」
俺が天に届け、とばかりに張り上げた声は、悪魔に届いた。
「その者の命、私が、私たちが救おう」
入口に近い扉から出てきたのは『駒王の魔王』
俺は無意識に願った。
「お願いします!アーシアを助けてください」
俺は縋り付いた。
神でも悪魔でもアーシアを助けてくれるなら、誰でもいい。
助けてくれ、俺の叫びは届いた。
「いいだろう、楓。時の魔剣を」
「はい、ゲーティア様」
綺麗な女の人、確か秋野先輩、て言ったけ、その人が剣を出して、アーシアにかざした。
「時間停止」
アーシアの体が動かなくなった。
どうしてだ、助けてくれるって言ったのに。
俺が『駒王の魔王』を睨むと、アイツは言った。
「この子は神器が抜かれている。このままでは回復させることが出来ない。だから取り返せ、彼女の神器を。今は楓の力で時間を止めている。今ならまだ神器を取り戻して、彼女に帰せれば助けることが出来る。さあ、言え。お前はどうしたい?」
俺にどうしたいと聞いてきた。
俺はアーシアを助けたい。
だけど、ここでこの人たちの力を借りて助けたいんじゃねぇ!
俺がアーシアを助けるんだ!
「俺がアーシアの神器を取り戻すまで、待ってもらっていいですか」
「私たちが取り戻してもいいが?」
「‥‥‥俺が、友達の俺がアーシアを助けます。俺にやらせてください!」
「フッ、好きにしろ!お前の魂の赴くままに進め!」
『駒王の魔王』いやゲーティア先輩が俺に笑いかけ、託してくれた。
アーシアを助ける事を許可してくれた。
待ってろ!アーシア、俺が絶対に助けて見せるから!
「アハハハハハ!!アーシア、死んでしまったのね、残念だわ。でも、ありがとう、貴方のおかげで私は治療が出来る堕天使としての地位が保証されたのよ」
「レイナーレ!!てめえをぶっ倒して、アーシアを取り戻す」
『Dragon booster!!』
「アーシアを返せぇぇぇぇぇぇぇ」
俺の叫びに呼応して、左手の神器が動きだし、宝玉が輝く。
籠手が変形して、紋様が浮かび、力が高まっていく。
この力、体から湧き上がる力が増幅されていくみたいだ。
今の俺なら、レイナーレをお前をぶっ倒せる!!
「ウオオオオオオオオオオ!!!」
side out
あれはドラゴン、神殺しの一つ、『赤龍帝の籠手』だ。
初めて見たな、確かあれは持ち主の力を十秒毎に倍化していく。
力が小さいうちはまだいい。
だが、あれは持ち主の限界が来るまで、際限なく力を増幅していく。
ああ、いい。
実にいい、力の化身たる龍を宿す神器。
アイツが強くなれば強くなるほど力が強くなっていく。
戦いたい、アイツと戦いたい。
だが、今は違う。
アイツが何百、いや何百億以上に強くなろうとも今のアイツでは私は満足できない。
もっともっともっともっと‥‥‥強くなってくれ。
私の渇きを満たすほどに強くなってくれ。
あの程度では、何百億倍強くなっても、軽く一撃で消し飛ばしてしまう。
それくらいなら織田の方がよほど相手になる。
だから今は我慢しよう。
立派な花を咲かせるその日まで。
□
どうやら、レイナーレはここまでだな。
兵藤の一撃で、気絶しているようだ。
では、早くこの子を助けてやろう。
「兵藤、立てるか」
私は座り込んでいる、兵藤に手を差し出し尋ねた。
「は、はい」
「早く彼女を助けてやろう、お前が助けたかった彼女を」
私の視線で兵藤は頷いた。
どうやらレイナーレが神器を取り込んだようだが、まだ馴染んでいない。
これならすぐに剥がせるな。
私はレイナーレに近づき、魔力を使い、異物を取り外した。
緑の光が出来上がった。
どうやらこれが神器のようだ。
「兵藤、これを」
「はい」
私は兵藤に神器を渡した。
兵藤は私から受け取り、アーシアの体に神器を乗せると、吸い込まれるように彼女の体の中に入っていった。
これで大丈夫だろう。
「楓、頼む。」
「はい、ゲーティア様。時間回帰、肉体のみ対象」
楓がアーシアの体を少し巻き戻す。
死ぬ寸前ではなく、元気な時間まで。
彼女は一度死んでいるので、体の細胞が死んでいる可能性もあるし、何より障害が残るかもしれない。
なら、体だけ元気な状態に戻せば、神器が戻っている今なら全て問題なくなる。
楓もその辺りは分かっているようで、少しづつ時間を戻していく。
「ふう、終わりました」
楓が時間の回帰を止めた。
するとすぐに、アーシアは目覚めた。
「あれ?私、どうして・・・」
「アーシア!!」
目覚めたアーシアに抱き着いていく兵藤。
さすがに止めるのはやめてやった。
今回は頑張ったからな、それに純粋な気持ちの発露だ。
邪でなければ、今回は大目に見よう。
「良かったな。アーシア、もう大丈夫だ。」
「イッセーさん」
さてこっちはこれでいいだろう。
後は‥‥‥
□
私たちは廃教会を出た。
アーシアは楓が適当にだした、マントを身に纏っている。
私が居た場所の下にはリアスの眷属が神父と戦っていたから、戸愚呂と幽助に助けに行かせた。
裕斗が捕縛した、エクソシストは後で警察に引き渡そう。
もう逃げれないように、力を奪っておこう。
私以上の力でないと解けないように頑丈に、そして雑に作っておこう。
封印は精密に作るより、適当、いやランダムに作っておくと、解除をするには力尽くでしか無理になる。
「よし、これでいい。あとで目暮警部に連絡しておこう」
「クッソ、クソ悪魔、これを解きやがれ!」
「人間よ、人間として裁かれろ。一生かけて罪を償え!」
私は威圧を込めて、睨むとエクソシストは気絶した。
まあいい、うるさくなくて都合がいい。
さて、後は堕天使たちの処理だ。
ここからは領主様の御仕事だ。
side リアス・グレモリー
「遅かったな、リアス」
私にそう言ってきたゲーティア。
私は、その言い方にカチンときた。
「久しぶりね、ゲーティア。随分と待たせてくれたじゃない、それでどうなったのよ堕天使との交渉は」
「これだ」
ゲーティアは私に一枚の書類を渡してきた。
その内容を見て、私は驚愕した。
「写しのコピーだが、今回の一件に関して堕天使副総督シェムハザ殿、我らが魔王セラフォルー・レヴィアタン様の間で取り交わされた証文だ。私も調印の見届けとして、サインしている。その書類は先程、堕天使レイナーレに
見せて、彼女は堕天使から見捨てられたことを理解して、この調子だ」
「‥‥‥」
反応がない。
当然ね、堕天使の副総督、いや堕天使全体に見捨てられたようなものだ。
彼女はもう堕天使でもない、存在として生きていくことになるだろう。
「さて、リアス。私はもうこれ以上、手は出せない。堕天使の一件は証文として残された。後はこの領地の管理者であるリアスの采配次第だ。ただ、魔王レヴィアタン様への報告があるので見届けさせてもらう。さあ、どうする」
「ッ!、分かってるわよ。レイナーレは私の領地を荒らしたのよ、よって死を与えるわ」
リアスはそう言い、手に魔力を集め、レイナーレに放った。
「‥‥‥」
レイナーレは何も言わずに消滅した。
「さて、他の堕天使たちも頼んだぞ。では私たちは帰る」
「ええ、さっさと帰りなさい」
全く、私の領地で好き勝手してくれて、今に見ていなさい、ゲーティア。
でも、彼女のことは感謝しておくわ。
side out