政略結婚をして、お家復興を目指す悪魔   作:あさまえいじ

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第24話 事後処理

どうも、ゲーティア・バルバトスです。

この始まりも久しぶりだ。

廃教会の一件から数日が経った。

あの後の事を報告書にまとめて、セラフォルー様に報告したんだが、何故か渋い表情だった。

送った内容は次の通りだ。

 

・関係者全員に連絡したところ、グレモリー眷属の兵藤一誠、塔城小猫の両名が先行して堕天使に向かって行ったことが判明。

・グレモリー眷属を止めたのは同じグレモリー眷属の木場裕斗。

・はぐれエクソシストを撃破、撃破者は木場裕斗。

・堕天使のレイナーレを撃破、撃破者は兵藤一誠。

・アーシア・アルジェントは、神器を抜かれ一度仮死状態に陥る。その後、兵藤一誠のレイナーレ撃破により、神器を取り返す。神器をアーシア・アルジェントに返したことで、息を吹き返す。

・堕天使レイナーレは領地管理者リアス・グレモリーによって消滅。また、他に潜伏していた堕天使カラワーナ、ミッテルトの両名もリアス・グレモリーによって消滅。

・はぐれエクソシストはリアス・グレモリー管理地において悪魔の契約者を殺害。はぐれエクソシストは今回の一件で捕縛後に人間界の警察に引き渡し。またその際に力が使えないように封印を施した。施行者はゲーティア・バルバトス

・アーシア・アルジェントの処遇は領地管理者リアス・グレモリーに一任。後にグレモリー眷属に転生。

 

また本件とは関係ないが、気付き事項を以下に記載

・リアス・グレモリー管理地において、現地の人間がはぐれ悪魔によって死亡。管理者リアス・グレモリーはアガレス大公から連絡がない限りは積極的に動くことはない。また本件は日本で行われたことであるため、日本神話に対して、謝罪及び賠償が発生する可能性があり。

 

この内容で報告したんだが、どうしてだ?

細かすぎて不要な情報まで送ってしまったから読みにくかったのだろうか。

 

side セラフォルー・レヴィアタン

 

「以上が本件並びに駒王町内で起こった事件の報告となります。」

「うーん、そうか~」

 

私はゲーティア君から報告を聞いて、いくつか思ったことがあったけど一つどうしても言いたい。

『リアスちゃん、何やってたの!』

この一言に尽きた。

出てきた登場人物はリアスちゃんの眷属しかいない。

確かに眷属の功績は主の功績というのはある。

実際にファルビーだって、眷属任せだけど最後は一応自分でやる。

最後に消滅させたのがリアスちゃんなだけで、他は眷属が頑張ったことは分かった。

それに、これだけ的確に報告したと言うことはゲーティア君自身が近くにいた、ということなんだよね。

その上で、手柄だけはちゃっかり持っていくし、ゲーティア君が助けた、アーシアって子もリアスちゃんが持っていったし、今回の一件で一番頑張ったのはゲーティア君なのは私が一番よく知ってるのに、なんかムカムカするな~。

でも、ゲーティア君が特に気にしていないし、もうちょっと欲張りになってもいいのに、このままだといいように利用されるだけだよ、お姉さん心配だよ。

後、最後の管理地の人間が死んだことは‥‥‥またゲーティア君と一緒に外交に行かなくちゃ。

もう、リアスちゃんは‥‥‥後でサーゼクスちゃんに言いつけよう。

グレイフィアが代わりにお説教に行くだろうし。

それにしても、リアスちゃんからは何も報告が上がってこないし、サーゼクスちゃんの方に上がっているのかな?

でも、そういうのは共有することにしているから、上がれば私の耳にも入るはずなんだけどな~。

それにもし上がっていないとなると管理者として資質が問われるということ分かっているのかな~、もうリアスちゃんの仕事、全部ゲーティア君に任せたいよ~。

 

「何か報告に不備がありましたでしょうか?」

「ああ、ううん大丈夫。報告自体には不備はないから」

 

報告自体には不備はないけど、リアスちゃんの対応自体には不備があった、なんてゲーティア君に言っても仕方がない。

言いたいけど、言えない、だからゲーティア君に不安な顔を見せれない。

でもこの際、少しぐらいご褒美を上げたほうがいいよね。

そうしたら、他の子ももう少し頑張ってくれるかも、よしゲーティア君が欲しいものを聞いて、後で用意しておこう。

 

「ゲーティア君、お疲れ様。今回の一件、一番の功労者は君だよ。だから後でご褒美を上げようと思うの。ゲーティア君は何か欲しいものはないかな。お姉さんが用意してあげるよ☆」

「いえ、レヴィアタン様。お心遣い大変ありがたく思います。ですが今回の一件は私が堕天使と遭遇し、事を起こしたことが発端です。ですので、そのような恩恵に預かるなど厚顔無恥も甚だしい限りです。」

「ちっがーう!そうじゃないのよ、ゲーティア君!ここはちゃんと受け取ってよ、そうでないと他の子たちが頑張ってもご褒美上げれないでしょう!信賞必罰は将の務め、て聞いたことがあるし、ちゃんとご褒美上げないと、下の子もやる気出さないし、それに、向上心が芽生えないでしょう!だからゲーティア君、今回から頑張った子たちにご褒美を上げる事にしたから、さあ言って。ゲーティア君が今欲しいものは何?」

 

ごめんね、ゲーティア君。

ちょっと、お姉さん、怒っちゃった。

大丈夫かな?ゲーティア君、怒ってないかな。

私がゲーティア君の様子を伺うとちゃんと考えてくれている。

良かった、ご褒美に上乗せするね。

 

「今欲しいものですか?‥‥‥優秀な技術者と人手でしょうか?」

「技術者と人手をバルバトス公爵領に派遣すればいいの?」

「ええ、実はうちの領地で新しい研究をしているんですが、何分技術者不足で手が足りていないのです。頭脳面は問題ないんですが、リソースが足りないので、発展が進まないのが現状です。なので、優秀な技術者たちを集めて発展速度を進めたいと思っていました」

「なるほどね~領地経営してる当主としての目の付け所だね☆よし、任せて。お姉さんが今回のご褒美として、技術者たちを集めてあげる。ちゃんとそういう伝手はあるからね。吉報を待っててねぇ~☆」

 

私はそう言って、通信を終了した。

とりあえず魔王会議を招集して、今回のゲーティア君の功績を伝えよう。

そうすれば、ゲーティア君のご褒美も通りやすい。

後はリアスちゃんのこともサーゼクスちゃんに言っておかないと。

サーゼクスちゃんのお気に入りのゲーティア君が困っている、て言っておけば、リアスちゃんを怒ってくれるだろうし。

サーゼクスちゃんもこれで認めるでしょう、私の妹、ソーナちゃんの方が、サーゼクスちゃんの妹、リアスちゃんより優秀だと証明したよね。

私はウキウキしながら、魔王会議の招集を出した。

あ、そうだ、技術者とか、アジュカちゃんに聞いてみよう。

きっといい人材いるよね。

 

side out

 

セラフォルー様との通信を終えて、息を大きく吐いた。

まさか、ご褒美を上げると言われ、辞退しようとしたら、『信賞必罰は将の務め』というお言葉に思わず感じ入ってしまった。

上の者が下の者を評価し、褒美を与える。

実に分かりやすく、とても難しいことだ。

さすが魔王様だ。

人間ではそう簡単にできないことだ。

ブラック企業の社長とかなら、そんなことは決して言わない、そうだ。

前世の自殺した友人はそう言っていた。

だが、丁度良いタイミング、と言って良いのか分からないが、領地の報告書が手元に有って良かったな。

先々の工程表が目に入り、人材不足が原因で並行作業も、作業加速も、有給休暇の取得も出来ない状況だと分かった。

ならば、人材を募る事は問題ないはずだ。

清麿とデュフォーなら最適な割り振りも可能だろう。

技術者も分野が色々あるから、今回は指定できなかったが、魔界の技術者というのは二人にとっても未知だろう。

だからこそ進化が生まれる、ぶつかり合うからこそ発展する。

そういう信念を持った人が来てくれると良いんだが。

 

「ゲーティア様、お茶が入りました」

 

私が考え事をしていると、レイヴェルがお茶をだしてくれた。

先程の報告で少し喉が渇いていた。

 

「ありがとう、レイヴェル」

 

私は一口お茶を口に含むと、オレンジの爽やかな香りが鼻を抜けた。

私は驚き、レイヴェルを見ると、笑った。

 

「今日はオレンジティーを作ってみました。ゲーティア様がお好きだと聞いておりましたので」

「え、私がこれを好きな事を知っているのなんて・・・・・・グレイフィアさん、か。」

「ええ、堕天使領に向かわれた後にこちらに来られて、教えて下さいました。帰って来たら驚かせてあげるように、と言って。」

「そうか。いや、驚いたな。」

「でも、本当に何事もなくお戻りになられて本当に良かったですわ。」

「ああ、実際どうなるか不安ではあったが、実際は何もなかった。今回の件も、本来ならあのような対応をしなくても問題なかったが、堕天使副総督殿とも面識ができた。今回の危険に対してリターンも十分な程だ」

「そうですか。でも、私は心配で心配で泣きそうでしたわ。」

「そうか、それは困ったな。レイヴェルを泣かせたら、義兄上殿の炎に焼かれてしまうな」

 

私の返しに目を丸くし、その後笑い出した。

だが、義兄上殿に言われたからでなくとも、私はレイヴェルを泣かせるつもりはない。

いつもこのように笑ってくれていれば良いんだがな。

私はもう一度オレンジティーを飲み、レイヴェルを見ながらそう思った。

 

side ライザー・フェニックス

とある峡谷、切り立った断崖にいくつかの横穴が空き、そこから大きな龍たちが姿を現す、周囲を深い山に囲まれた龍の谷。

俺は今ここにいる。

いる理由はただ一つ、己を鍛えるため。

 

「ウオオオオオオ!!ムダムダムダムダムダムダムダムダ、ムダァーーー!!」

 

ドスッーン!、大きな質量が倒れ行く音が周囲に響いた。

立っているのは、ライザー・フェニックス。

倒れたのは、最上級悪魔にして元六大竜王のタンニーン。

今から約一年前から、今日に至るまで己を鍛えるため、この谷で多くの龍と戦いを繰り広げていた。

そして、今日遂に、タンニーン殿を地に落とすことに至った。

 

「今のは効いたぞ、ライザー。だが只の一度俺を地に落としたくらい調子に乗るなよ」

「無論です。私が打倒する義弟殿は今の貴方よりもなお強い、いや今は貴方が強くても、いずれは確実に超えていく。ならば私、ライザー・フェニックスは義弟殿を更に超えていくまで。立ち止まる時間などただの一秒とて無い。」

「何故そこまで、その義弟に勝ちたい」

「我が妹の旦那になる男に突き付けた。我が妹を泣かすならば、我が炎で義弟殿を焼く、そう約束したのだ。私が強くなければ妹を悲しませた男を焼くこともできない。私が認めた男が道を誤ったのならば正すために焼くこともできない。故に私は義弟を超えなければならない。兄より優れた弟などいないんだ。ならば弟より劣る兄など在ってはならない!!」

「心意気は良し、だが力無き言葉などただの戯言。臆せず掛かってこい!!」

「このライザー・フェニックスの炎とくと味わえ!!」

 

俺の炎とタンニーン殿の炎がぶつかり、周囲に強烈な熱線が乱れ飛んだ。

その後は、力の限り挑み、周囲が焦土と化した。

 

「タンニーン殿、ありがとうございました。」

「うむ、強くなったな。ライザーよ。だが、まだまだ成長に余地がある。いつでもこい。相手をしてやろう。」

 

俺とタンニーン殿は互いに再開を誓い、拳を合わせ、私は谷を後にした。

 

 

俺はフェニックス家の屋敷に戻ってきた。

みんなはどうしているだろうか?

すると、帰宅に気付いた俺の眷属達が飛んできた。

 

「お帰りなさいませ。ライザー様」

「ああ、今帰った。みんな、変わりはないか?」

 

俺の問いかけに皆一様に首を振った。

そうか、特に変わりはないか。

俺は安堵した。

 

「あの、ですがいくつかご報告するべきことがございます」

 

ユーベルーナが申し訳なさそうにそう切り出した。

 

「なんだ、何かあったのか?」

「もう既に終わったことですが、ゲーティア様のことで一つご報告しておきたい事項がございます」

 

ユーベルーナが私に一枚の書類を渡してきた、俺はそれを受け取り、目を通していく。

 

「な!」

 

俺はその内容を見て、驚愕した。

 

「堕天使の本拠地にセラフォルー・レヴィアタン様と共に外交交渉に赴いた。その上で証文を取り付けた‥‥‥ハハハハハハハハ、流石義弟殿だ。俺達に出来ないことを平然と遣って退ける。」

 

俺はその内容に驚きと共に義弟殿の対応に笑いが止まらなかった。

悪魔と堕天使、そして天使の三つ巴の大戦が終わっても、悪魔と堕天使が出会えば殺し合いをしてきた。

態々、交渉するようなことは決してなかった。

だが、結果としてその行為は堕天使達との戦争への火種を消したことになった。

だがそれ以上に思ったのは、相変わらず何をするか分からない面白い男だ、ということだった。

 

「で、これだけか。話しておきたいことは」

「いえ、もう一点お話しておきたいことがございます」

 

俺はその声に聞き覚えがあった。

だが、ここで聞くことはないと思っていた。

だから、その姿が見えた時、驚愕した。

 

「グレイフィア殿!なぜここに」

 

魔王サーゼクス様のクイーン、グレイフィア殿だ。

ここに来たと言うことは俺か、レイヴェルに用があるんだろう。

俺がそう辺りを付けると、やはりそうだった。

 

「本日こちらにお邪魔したのは、ライザー殿にお願いがありまして、間借り越しました」

「お願い?」

「はい。ライザー様、リアスお嬢様との婚姻を早めていただくことは出来ませんか?」

「なぜですか?本来ならもう5年程先のはずでしたが‥‥‥」

 

グレイフィア殿にそう言うと、ため息を吐きながら言いにくそうに話し出した。

 

「先程の報告書に目を通して頂けましたよね」

「ええ、義弟殿の行動には驚きと笑いがありましたね」

「‥‥‥ですが本来ならその行動はお嬢様がすべきことでした。それに領地での行動も目に余る、とセラフォルー様が魔王会議で提出されまして、サーゼクス様としてもゲーティア殿にこれ以上迷惑をかけるわけにもいかず、対応策を協議いたしました。その結果‥‥‥」

「俺と婚姻させて、リアスの面倒を俺に見させろ、そういうことですね?」

「‥‥‥その通りです。ライザー殿にとっては不本意だと思いますが、何卒お願い致します。」

 

グレイフィア殿が俺に頭を下げている。

どうせ、結婚するんだ、それが早くなったところで大したことでは無い。

 

「グレイフィア殿、頭をお上げください。その件、了承致しました。」

 

俺がそういうと、グレイフィア殿は頭を上げ、再度礼を言った。

 

「ライザー殿、ありがとうございます。そして、申し訳ございません。身内の恥でこのようなことになりましたこと心よりお詫び申し上げます。」

「はい、謝罪を受けます。ですので、そのくらいで結構です。‥‥‥ところで、その話はリアスは承知の上ですか?」

「‥‥‥いいえ、知りません。ですが、問題ありません。旦那様、奥様、サーゼクス様、そしてもちろん私も、全員一致でこの件に賛同いたしました。ですので、ライザー殿にご迷惑をおかけすることはありません」

 

どうやら、リアス以外が賛成しているそうだ。

だが、この後リアスが必ず不満を言うだろうな、と思っていた。

 

side out

 


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