side 塔城小猫
私はオカルト研究部の部室から出ていく、ゲーティア・バルバトス公爵を追っていた。
私は、バルバトス公爵、ゲーティア先輩のことが怖い。
裕斗先輩達が慕っているのは知っている。
でも私は‥‥‥とても怖い。
強さの次元が違うから、ただ気まぐれで殺されるかもしれない、という恐怖心を抱いてしまう。
だけど、確かめなくちゃ、もしかしたら‥‥‥姉様かも知れないから。
私は恐怖心を抱き、足が震えながら、声を出した。
「ま、待ってください!」
こちらを見たゲーティア先輩、その眼光、視線だけで私は縮み上がりそうになる。
でも、どうしても確認しなくちゃいけない。
姉様なのか、そうでないのかだけでも‥‥‥
「何か用か?」
「あ、あの‥‥‥はぐれ悪魔のこと、何ですが‥‥‥」
勇気が出ない、怖いからなのか、知りたくないからなのか、分からない。
だけど、もう一言が、出てこない。
すると、ゲーティア先輩が声を掛けてきた。
「すまないが、あまり時間が無い。用がないなら私は行くが?」
「---!」
行ってしまう、姉様かも知れない、はぐれ悪魔の事を知る人が行ってしまう。
私は、俯いた顔を上げることが出来ない、だけど、もう少し時間が欲しい‥‥‥
「塔城さん、はぐれ悪魔の件でしたら私も報告を受けて知っています。私で良ければ答えますが、どうですか」
ソーナ会長が声を掛けてくれた。
私は失礼だとは思うが、ゲーティア先輩よりソーナ会長の方が話しやすい。
だからこの申し出は非常に助かった。
私は恥を忍んで頼んだ。
「‥‥‥お願いします」
「分かりました。塔城さん、生徒会室に行きましょう。ゲーティア、塔城さんのことは私が対応します。なので、自分の仕事に戻ってください」
「ああ、分かった。すまんが頼む」
そう言ってゲーティア先輩は風紀委員室に向かっていった。
私はその場で呼吸を整えていると、ソーナ会長はその場で待ってくれていた。
大きく深呼吸をして、呼吸を整えた。
そして、ソーナ会長に感謝と謝罪を行った。
「ソーナ会長、お待たせして申し訳ありません。‥‥‥はぐれ悪魔の件、よろしくお願いします」
「ええ、それでは行きましょうか?」
「はい」
私はソーナ会長の後に続いて、生徒会室に向かっている。
私は呼吸を整えたのは‥‥‥ゲーティア先輩と一緒にいるのがツライからだ。
元々強い威圧感を自然と放っていて、野生の勘とでもいうのか近づけば『死』というものを感じる。
それに先程、ゲーティア先輩の殺気を浴びて、なお一層『死』というものを感じた。
だから、自分を落ち着かせることと一緒に時間をずらした。
ソーナ会長には申し訳ないけど、どうしても‥‥‥怖い。
「やっぱりゲーティアは怖いですか?」
「--!」
見抜かれていた。
誤魔化してもしょうがないので、正直に答えることにした。
「‥‥‥はい。すいません」
「いえ、謝る必要はありませんよ。さっきの部室での出来事もありますし、付き合いが浅い者だとやっぱり怖がりますから。私の眷属もゲーティアに怯える子もいますし‥‥‥では行きましょうか」
「はい」
□
生徒会室に到着した、私とソーナ会長。
「少々ここで待っていてください。今、報告書を用意します」
「はい、ありがとうございます」
私はソーナ会長に頭下げると、会長は笑顔を浮かべ、席を離れた。
すると代わりに一人の男性が現れて、お茶を出してくれた。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
「いえ、失礼いたします」
お茶を出してくれたのはソーナ会長のポーン、確か匙先輩、でしたね。
執事のような、動きでお茶を置くときにも音がしなかった。
それに近づかれたときから去り際まで、音がしなかった。
猫魈であり、転生悪魔の私は耳が非常にいい。
なのに、匙先輩からは音が、呼吸音も足音もしなかった。
幽霊、と言われても信じてしまう程、とても小さい音でした。
かろうじて心音が聞こえたから生きていると思えたくらいでした。
‥‥‥もし私が匙先輩と戦えば‥‥‥負けたことに気付けるでしょうか?
たぶん無理です。
それくらいの実力差だと思います。
『相手との力量差も測れないとは。猫妖怪が気配に愚鈍でどうする!』
先程のゲーティア先輩の言葉が頭をよぎった。
裕斗先輩もイッセー先輩も同じ眷属、仲間だから力を計ることはなかった。
裕斗先輩はともかく、イッセー先輩は無意識に下に見ていた。
最初に眷属悪魔になったとき、魔力がとても少なく転移すら出来なかった。
だからいくら成長しても、大したことないと、思っていた。
でも、ゲーティア先輩の言葉で注意深く探ってみるとよくわかった。
強い、私よりもずっと、強い、そう思った。
その強さはリアス部長や朱乃さんを大きく上回っている。
これではリアス部長と朱乃さんでは勝てない。
合宿から帰ってきて、少し強くなったと思っていた。
でも、そんなことはなかった。
残った裕斗先輩とイッセー先輩の方がずっと強くなっていた。
あれくらいで強くなった、なんて思っていて恥ずかしい。
私がそう思っていると、ソーナ会長が手にファイルを持って現れた。
「お待たせしました。塔城さん、こちらがはぐれ悪魔の報告書です。‥‥‥これがゲーティアが言っていたはぐれ悪魔です」
「‥‥‥!!」
黒い髪の女性型悪魔、猫耳で着物姿、魔力を飛ばす攻撃と青い炎を飛ばす攻撃を使い、転移して攻撃を躱す‥‥‥
目を通して、分かった。
これは‥‥‥姉様です。
「発見されたのは昨日の事です。巡回中の風紀委員が気配を感知し、即座に対応することになったそうです。剣道部の徳川君が発見し、今まで対峙したはぐれ悪魔とは力が桁違いと判断したため、ゲーティアが来るまで時間稼ぎに徹したそうです。その記録も徳川君が戦いながら、特徴を調べ、コンビを組んでいた、北条君が報告を送ってくれました。現場にはゲーティアが向かい、送られてきた報告から私が調べました。その過程で分かったことが、SSランクのはぐれ悪魔『黒歌』だと判明しました。現場に向かったゲーティアによると、戦闘中だった徳川君、北条君に大した怪我はなく、黒歌の方にも大したダメージはなかったそうです。その後はゲーティアが戦ったそうです」
「‥‥‥そう、ですか‥‥‥」
私には、そう答えるしか出来ませんでした。
黒歌姉様ははぐれ悪魔です。
討伐されることも仕方がありません。
でも、どうして、こんなに、悲しいの‥‥‥
私は涙がこぼれないようにするので精一杯でした。
私は、泣いてはいけない、だって姉様は、力に、溺れて、主を殺した。
そのせいで私は殺されそうになった。
それを助けてくれたのはサーゼクス様とリアス部長、だった。
だから、私は姉様のために、泣いてはいけない。
「‥‥‥ですが、ゲーティアでも討伐しきれなかったようです」
「え?」
「ゲーティアが言うには、ギリギリで躱されたと言っていました。敵は黒歌だけだと思っていましたが、悪魔以外にも、雲に乗ったサルのような者がいたそうです。黒歌に放った魔力砲撃を横から来たその者が躱させ、そのまま逃走されたようです。現在は駒王町全域に警戒態勢を敷いている状態です。また、駒王町の外に出ていることも考え、お姉さま、レヴィアタン様にご報告し、日本神話勢の方に連絡を入れてもらっています。また黒歌のことはゲーティアが戦闘中にいくつか会話をしたそうです。その内容は‥‥‥ここに纏めてあります。ただ、ゲーティアが戦闘中に聞いたことなので、全文そのままというわけではなく、要約したものですが」
私はその会話の内容に目を通す。
その内容は私の心に突き刺さった。
side out
side 黒歌
「おーい、生きてるか、黒歌」
「‥‥‥なんとかね」
私は昨日から今日まで眠り続けていた。
体が休養を欲していた。
当然だ、昨日は魔力も仙術も妖術も全てを使い、いや、全てを超えて使い続け、かろうじて命を繋いだ。
「しかし、何だったんだ?あの化け物は。各地の勢力の奴らが集まったこの中でもあんな奴はそうはいないだろう。この組織の各派閥のリーダーくらいの力はあったな」
「‥‥‥」
私はその言葉に答えなかった。
いや、思い出したくもなかった。
昨日の出来事は生涯で最も恐怖を覚えた一日だったから。
~~~~~~~~~~
「はぁ~漸く仕事も終わったにゃ」
私は組織の仕事で駒王町から2か月程離れていた。
私は白音が心配で影ながら様子を伺ってきた。
この駒王町には私の妹がいる。
だけど面と向かって会うことは出来ない。
私ははぐれ悪魔だから、妹に会うこともできない。
私があの時、妹も連れて逃げることが出来ていれば、こんなことにはならなかった。
だけど妹は魔王サーゼクスの妹の眷属になっているから、表立って危害を加えられることはない。
私が近づけば、妹の、白音の立場を悪くすることは分かっている。
だから、これはただの自己満足。
妹を見守っている、という私の自己満足。
本当に妹が大事なら私は捕まって、処分された方がいいのかもしれない。
でも、私は生きることを選んだ。
もし白音があの力を無理矢理使わされて、潰されそうになった時、助けることが出来るように、力を求めた。
そして今、ある組織に所属している。
「だけど、猫づかいが荒いにゃ」
思わずそんな言葉を呟いてしまう。
だけど、そろそろ警戒しないといけない。
駒王町へそろそろ侵入することになる。
ここには妹の主である、現魔王サーゼクス・ルシファーの妹のほかに現魔王セラフォルー・レヴィアタンの妹がいる。
そして、公爵の位を持つゲーティア・バルバトスがいる。
一番警戒しなくてはいけないのはゲーティア・バルバトスだ。
旧魔王のシンパを一掃した男として、旧魔王達が敵視している男。
危険な男だけど、以前までは侵入しても気づかれなかった。
だから、2か月ぶりくらいに戻ってきたけど、警戒はしているが心配はしていなかった。
「いたぞ!!」
そんな声が聞こえた時、自分には関係がないと、思っていた。
「そちらの悪魔、私はゲーティア・バルバトス様直轄の対はぐれ悪魔特別編成チームに所属する徳川と申します。何用でこちらに来られました。正規ルートでの訪問ではなく、また事前の連絡もありませんでした。手違いであれば、我らが主ゲーティア様に事情を説明して頂きたい」
「!!!!!」
まさか私の隠形でバレるなんて‥‥‥
だけどいきなり攻撃してこなかった。
私をどこかの眷属悪魔だと勘違いしている?
だったらこのまま、話を合わせようかしら‥‥‥
「徳川!そいつはSS級はぐれ悪魔の黒歌だ。今、確認が取れた。交戦用意!」
「了解」
いきなりバレたにゃ!
まだ何もしていなかったのに。
それにもう一人いたにゃ。
もしかして、私の顔を確認するために一人が話しかけてきたのかにゃ?
もう騒ぎを起こしたくなかったけど仕方ないにゃ。
ちょっと寝ててもらうにゃ。
「くらいなさい」
私は魔力弾を向かってきた男に放った、だけど‥‥‥
「ふん!」
一刀両断された。
「え!」
嘘でしょ!
私が手を抜いたとはいえ、それでも並みの相手なら反応も出来ずに圧倒出来る程の威力だ。
それを竹刀で斬るとか、一体どういうこと!
私は驚き、思考が停止していた。
だけど目の前の相手が待ってくれるわけもなく、斬りかかってきた。
「ハアッ!」
「--!させないわよ!」
魔力で壁を作って、攻撃を受け止めた。
だけど、何で竹刀が壊れないのよ!
あんな竹刀、私の魔力障壁にぶつかれば壊れる、と思っていた。
なのに私の魔力障壁と拮抗している。
それどころかむしろ、押されている。
相手の気で強化されているから?それともこの竹刀に何か付与されているの?
えーい、今は考えても仕方がない。
「ハァ!」
「!!」
私はとにかく距離を取るために、魔力障壁を爆発させ、それと同時に後ろに飛んだ。
よし、今なら距離が離れた。
こちらの距離よ。
私は魔力だけでなく、妖術と仙術も使い、遠距離からの攻撃を行った。
「くらいなさい」
「くっ!」
やっぱり、遠距離は私に分があるようね。
ならこのまま、遠距離から攻めさせてもらうわ。
「隙あり!」
「!!」
私の背後からもう一人が攻撃を仕掛けてきた。
しまった、こっちは囮か!
間に合え。
「くっ!」
「ハアッ!!」
何とか片手で魔力障壁を作って凌げた。
でも、まずい。
また、窮地に追い込まれた。
この二人、戦い慣れている。
それに本当に人間なの?
エクソシストにしては神聖な気配はない。
どちらかと言うと魔の気配が近い、だけど悪魔じゃない。
ということは、やっぱり人間。
英雄派の幹部クラスに匹敵するほど強い。
そんなのが二人もいるとか、この町一体どうしたにゃ!
とにかく今は何とか逃げなきゃ!
「えーい、吹っ飛べにゃ!」
私は魔力を使って爆発させて、また距離を取ろうとした。
だけど‥‥‥
「北条!離れろ!」
「おう!」
目の前にいた方の剣が光を放っていた。
剣に気が纏っていく。
なにアレ!
私の野生の勘が告げている。
あれはヤバい。
私は転移に全力を使って用意した。
「くらえ秘技、東照大権現」
「て、転移!!」
光が剣から放出されて、一直線上に伸びていく。
その力はとんでもない光力を誇っている。
何とか転移が間に合って躱せたけど、あれを直接受けたら‥‥‥消滅させられていたかも知れない。
本当に何なの、アレ。
曹操の神器並みに嫌な感じがしたにゃ。
これ以上こんなのと戦っていられないにゃ。
白音のことは心配だけど、今日は逃げるにゃ!
「逃がすか!秘技、五色備え」
「今度は何にゃ!」
もう一人の方は五つの刃を飛ばして、その刃が私を追ってきた。
一つ目の刃を躱したと思ったら、二つ目が飛んできてそれを魔力障壁で防いだ。
三つ目の刃で魔力障壁にヒビが入り、四つ目の刃魔力障壁が砕けた。
そして五つ目の刃が私に直撃した。
「グハァ!!」
私は刃の衝撃で飛ばされた、でもそれほどのダメージではなかった。
どうやらさっきの剣から光線を出す奴より威力はないようだ。
それでも悪魔の私にダメージ与えている段階で、結構ヤバい。
五つの刃のうち一つの刃でこれだけのダメージだ。
五つとも食らうのは避けたい。
でも飛ばされたから距離が開いた。
今なら転移の時間が稼げる。
「て、転‥‥‥」
「貴様、こんな所で何をしている? 」
ゾワァ!!
何この気配!!
圧倒的な気配を発する存在が私の傍にいる。
声を聞いたときから、背筋に嫌な汗が流れた。
私はゆっくり、声の方を見ると、そこにはゆっくりとこちらに歩いてくる存在があった。
大きな体と体から放出される魔力は私を超えている。
これが‥‥‥ゲーティア・バルバトス。
魔王の妹以外での要注意悪魔、いや魔王の妹なんてこれに比べれば危険でも何でもない。
何よこれ!
本当に何よこれ!
こんなの最上級悪魔だと言っても遜色ない程だ。
自然に流れ出る魔力でも、他を圧倒する程の量だ。
逃げなきゃ、こんなのと戦っても無駄にゃ。
私は全力で転移をして逃げようとすると、それする暇もなかった。
「どこに行くつもりだ」
「ヒッ!」
私の首元に斧が付きつけられている。
これ以上何かをすれば切り捨てる、と言わんばかりだ。
私が反応出来なかった。
だから潔く‥‥‥抵抗することを選んだ。
「逃げるつもりよ」
「ほう」
瞬時に後ろに飛びながら、魔力と妖術と仙術のミックス技を叩き込んだ。
至近距離から食らえば、いくら何でも‥‥‥ならなかった。
「今、何かしたか?」
「!!」
効いていなかった。
いや、意に介してもいなかった。
私の全力ではないにしても、仙術を混ぜていたのにまるで効いてない。
コイツ一体何なの!
「はぐれ悪魔『黒歌』だな。我が名はゲーティア・バルバトス、現在駒王町のはぐれ悪魔を対応している。代理だがな」
「‥‥‥どうも、バルバトス公爵。ものは相談だけど、見逃してくれないかにゃ」
「生憎だがSSランクのはぐれ悪魔を見逃すわけにはいかないな」
「‥‥‥やっぱり、そう、ね‥‥‥なら、全力で逃げるまでにゃ!」
何とか逃げないと、このまま死んだら、白音に真実も告げられない。
妹を守れなくなる。
それだけはイヤ!
命がけで逃げてみせる!
私は全力で魔力と仙術と妖術を駆使して、たくさんの弾丸を形成した。
「ほう、なかなかの量だな」
「くっ!」
これくらいじゃ脅しにもならない。
それに余裕も崩せない。
これを一気に使って一瞬でもスキを作り、転移して逃げよう。
私は意を決して、戦いに挑んだ。
「くらえーーー!」
私は全力で複数の力で作った弾丸をゲーティア・バルバトスに放った。
よし、このスキに逃げよう。
そう思っていると雄たけびが聞こえた。
「ブルァァァァァァーーーーー!!!」
「!!」
大量の弾幕を突破してきた。
当たっている弾丸を防御、いや無視している。
全力で無視している。
あれだけの攻撃を受けているのにまるで効いていない。
防御するまでもないっていうの!
私は理不尽なまでの力の差に憤りを感じた。
そして距離を詰められた。
距離を取ったつもりだったのに、もう眼前に迫っている。
眼前に迫り、右手に持っている斧を構えている。
すでに攻撃体勢に入っている。
魔力障壁を必死で張った。
間に合え!
「フン!」
「ぐうううう!」
もうだいぶ減ったけど、魔力を使い耐える。
残りを全部使わないとこの攻撃を凌げそうにない。
辛うじて防げた。
「セイ!」
「きゃあああ!!」
けど、無慈悲な二撃目が飛んできて、障壁は砕かれ、私は吹っ飛ばされた。
「わ、わたしは、いき、る、んだ」
私は飛ばされても、逃げることをあきらめない。
これくらいで諦めるくらいならもっと前からあきらめている。
「悪いがはぐれ悪魔を生かしてやるつもりはない」
目の前の怪物はそんな私を許してはくれそうにない。
「わ、たしは、間違って、なんて、いない。間違って、いるのは、悪魔の方、よ。アイツが、白音に、仙術なんて、使わせ、無ければ、‥‥‥約束を守って、くれて、れば」
私は意識が朦朧としている。
自分でも何を言っているのか分からない。
でも、何かを言っていた。
抱えてきたものを吐き出したかったからなのか、分からなかった。
「‥‥‥そうか、悪いが俺も現政権に従う悪魔だからな。お前が何を抱え、不満に思っていても、関係ない。私は私の成すべきことを成そう。次の一撃、生きていれるか、どうか運しだいだ」
そう言って、ゲーティアは私に近づいてきた。
そして私を空高くに放り投げられた。
「今死ね!すぐ死ね!骨まで砕けろ!ジェノサイドブレイバァァァァァァー!!!!!!」
私に向かって、とんでもない魔力砲撃が迫ってきた。
私は意識朦朧としているが、何とか避けようと魔力を使おうとしてけど、無理だった。
もう力がない、魔力が、妖術も仙術も使えない程、力がない。
迫ってくる魔力砲に諦めていた。
「黒歌ーーーーー!!」
声が聞こえた。
最近まで組んでいた男、美猴の声だ。
美猴は筋斗雲に乗っていて、猛スピードで私に迫ってくる。
私は美猴に手を引かれ、射線上から逃げられた。
そしてそのまま、飛んで逃げた。
どうして美猴がここにいるのか分からなかった、だけど今はどうでもいい。
生き残れた、ただそれだけで良かった。
私はそのまま意識を失った。
~~~~~~~~~~
「美猴、ありがとう。本当に助かった」
「おいおい、どうしたよ黒歌。お前が素直に礼を言うとは」
「あんなのから逃げられたから、感謝しているわ」
「‥‥‥お前、まだ調子悪いな。もう少し寝とけ」
「ええ、そうするわ」
私はそれだけ言って、また意識を失うように寝入った。
side out
side 塔城小猫
『わたしは間違っていない。間違っているのは悪魔の方。アイツが白音に仙術なんて使わせ無ければ、約束を守ってくれてれば』
私にはこの言葉の意味が分かってしまった。
姉様は仙術を私に使わせたくなかったんだ。
仙術はとてもすごい力だけど使い方を誤れば危険だ、と教えてもらっていた。
だから、その力を姉様の主は私に使わせようとした。
約束というのは、私に仙術を使わせないこと、きっとそうだ。
だから姉様は、私のために‥‥‥罪を犯した。
私は涙が出そうになった。
だけど泣いてはいけない。
今の私に泣く資格なんてない。
姉様が守ってくれた命なのに、今まで姉様を恨んできた私が涙を流せない。
流すなら、姉様に謝って、お礼を言ってからじゃないと泣くことは出来ない。
「私が知っていることは以上です」
「はい。ありがとうございました」
私はお礼を言って、生徒会室を出た。
私は生徒会室の隣にある風紀委員室の扉を見た。
この中にはもっと詳細を知っている人がいる。
怖い、とても怖い人がいる。
そして、姉様を傷つけた人がいる。
だけど、私が知らない姉様に秘密を暴いてくれた人がいる。
正直私は今何を言えばいいのか、分からない。
嫌えばいいのか、怒ればいいのか、感謝すればいいのか分からない。
怖いから、嫌い。
姉様を傷つけたから、怒っている。
秘密を暴いてくれたから、感謝をしている。
直接会うには、怖い、それに怒って、ゲーティア先輩の機嫌を損なうのはまずい。
だから、扉の前でお辞儀をすることにした。
直接会いたくないから、差し引き、扉の前で感謝を示すことにした。
「ありがとうございました。」
それだけ言って、オカルト研究部の部室に向かった。
心持ち、気分が軽くなったような気がする。
side out
次回からライザー戦に入ります。
使用武器の説明
・竹刀(指導棒)攻撃力700
出展作品:テイルズオブヴェスペリア
作品内では上の中クラスの攻撃力です。
ちなみに作品内でサブイベントや宝箱を除く手に入るストーリー上の武器の
最強攻撃力は720(明星弐号)です。
楓の神器から出した風紀委員の標準装備です。