政略結婚をして、お家復興を目指す悪魔   作:あさまえいじ

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第35話 グレモリー眷属VSライザー・フェニックス(上)

side リアス・グレモリー

 

 時間は開始5分前、私達は最後の打ち合わせをしている。

 ライザーの特性を踏まえると、私の滅びの魔力しか有効打がない。だから全員で私を守り、私が魔力を溜める時間を稼ぐこと、それが勝利できる最善の方法だ。私がそのことを説明しているが、周りの反応は悪い。

 

「部長ではどれだけ溜めてもライザー様に有効打を与えることは出来ません。あまり無理をするのは止めた方がいいですよ。」

「裕斗!いくら貴方が強くなった言っても、ライザーには通用しないわ!私の命令に従いなさい!」

「‥‥‥部長、止めた方がいいですよ。木場の言う通りです、部長が溜めた程度の魔力でライザー様には通用しません。力の違いが分かりませんか?」

「イッセーも!何よ!みんなして、今この局面で一致団結しなければならないのよ!主である私の言うことが聞けないの!」

「‥‥‥ハッキリ言うと、従えません」

「裕斗!」

「僕にも目的が有ってここにいます。そのため、その目的を果たせないまま、無様を晒すことだけは出来ません」

「俺も木場と同意見です。‥‥‥本来ならこのようなことになる前に諫めて、止める事こそ本来の忠臣としての在り方です。‥‥‥ですが俺も木場も忠臣ではありません。ここには俺達の目的のために来ました。なので部長の命令は聞けません」

「い、イッセー!」

 

 裕斗とイッセーがこの場で反旗を翻した。私はリアス・グレモリーよ。貴方たちの命を救ってあげた大恩があるのよ。だと言うのに、この場での裏切りだなんてとても許せないわ。

 

「裕斗、イッセー、貴方たちは私の下僕よ。主である私に従いなさい」

「‥‥‥はぁ~、分かりました。では僕がライザー様に斬りかかります。その後もライザー様の近くで戦い続けます。それで後方へ攻撃させるスキを与えません。それでいいですね」

「なら、俺も前衛に回ります。基本は木場が牽制をして、スキが出来れば俺が強化した一撃を叩き込みます。それならいいですよね?」

「‥‥‥ええ、それでいいわ」

 

 全く、言うこと聞かない眷属達で苦労するわ。

 あ、そうだわ。今ならちょうどいいわね。

 

「イッセー、貴方に施した封印を解くわ。そこに横になりなさい」

「封印?もしかして俺の力を段階的に引き上げていく、アレですか?」

「イッセー!貴方気づいていたの」

「アレはゲーティア風紀委員長との鍛錬中に弾け飛びました。ゲーティア風紀委員長曰く、強化しすぎて封印が想定していた力を超えたことが原因だと言っていました」

「またゲーティア!全く私の邪魔ばかりして!」

「‥‥‥別に、ゲーティア風紀委員長は何もしてませんよ。そもそも俺にそんなものしていたことを教えてくれていなかったので、封印が解けた理由からゲーティア風紀委員長が検討してくれただけです。そういう目的だろうって。でもそのおかげで、めちゃめちゃ時間を無駄にしたんですよ。魔力量の向上訓練にも支障出てたし、身体強化の倍化数に影響でてたし、最初から言っておいてくださいよ、そういうのは」

「仕方ないじゃない。貴方は八個分のポーンの駒を使ったのよ。ただの人間から転生したばかりの貴方では八個分のポーンの駒の力に耐えれなかったから」

「‥‥‥まあ、当初は仕方ないにしても、今この場で言わないでください。いきなり力を解放して、はい戦え、なんて、せめて慣らし運転くらいさせてくださいよ」

「もう、分かったわよ。じゃあこの話は終わりでいいわ」

 

 イッセーは怪訝な表情をして、裕斗の方に歩いて行ったわ。アーシアもイッセーの傍に行ってしまった。

 もう、イッセーも随分反抗的になったわ。これも全部ゲーティアのせいね。人の眷属にちょっかいかけて、私がどれだけ迷惑しているか、分かっているのかしら。この戦いが終わったら一言文句言ってあげるわ!

 私が内心で怒りを溜め込んでいると、アナウンスが流れてきた。グレイフィアの声ね。

 

『皆様、このたびグレモリー家、フェニックス家の「レーティングゲーム」の審判役を担う、グレモリー家の使用人グレイフィアでございます。我が主、サーゼクス・ルシファーの名の下にご両家の戦いを見守らせていただきます。よろしくお願いいたします。早速ですが今回のバトルフィールドは異空間に作ったリングの上で行います。勝敗はどちらかの陣営が全員戦闘不能になるか、王が投了するか、どちらかです。制限時間はございませんので、引き分けはございません。また、ポーンのプロモーションは戦闘開始後すぐに可能です。以上で説明を終わります』

 

 やったわ!いきなりイッセーがプロモーションできるわ。これなら眷属がいないライザーは断然不利ね。状況は全て私に有利に動いているわ。私は思わず口元に笑みが浮かんだ。

 

『開始の時間になりました。それでは‥‥‥ゲーム開始!』

 

行くわよ!ライザー!

 

side out

 試合が始まった。先陣を切ったのは‥‥‥朱乃だった。

 

「行きますわよ!雷よ!」

 

 カッ!

 一瞬の閃光。刹那の後に――――

 ドッゴオオオオオン!!!

 義兄殿を狙って雷が降り注いだ。その雷は確実に義兄殿を捉えている。

 

「うふふふふ」

 

 朱乃は上機嫌だ。だけどそんなもので義兄殿が倒せると思っているのか?

 煙が晴れたその場所に登場当時から微動だにしていない義兄の姿が見える。まるで意に介していない、当然だな。あれくらいの雷で倒されるものなど、この観覧席にもいない。‥‥‥それに今ので何か仕掛けをしたな。魔力が減っている。

 サイラオーグが言っていたが、朱乃は『雷の巫女』と呼ばれているらしいが‥‥‥あれならこの間戦った、はぐれ悪魔『黒歌』の方がよほど強い。それにバルバトス領の領民でもあれくらいの雷なら余裕で耐えれる。それに視界を塞ぐような攻撃では、相手の仕掛けに気付かない。開幕の景気付けにはいいだろうが、相手が一人しかいないときにやるべきではないな。

 ‥‥‥しかし、気になるのは裕斗と一誠だ。あの二人が何かしているようだ。裕斗の魔剣に何かしているようだ。どうやら二人は気づいていないようだ。これは減点だな。

 

「行くよ。イッセー君」

「おう、木場。プロモーション・クイーン」

「二人ともお気をつけて」

 

 裕斗と一誠が並走して義兄殿に向かっていく。一誠はクイーンの能力で全能力が上がっているので、裕斗の速度に付いていけている。裕斗が剣を持って斬りかかって行く。

 

「はあ!」

「ム!」

 

 裕斗の魔剣に対し、義兄殿は手に炎を集め、棒状に構成している。ん?義兄殿の表情に若干焦っているようだ。裕斗の魔剣は‥‥‥氷の属性を持っているようだ。だがそれくらいで何故焦っているのか?

 

「その魔剣から何かイヤな気配がするな。何をした!」

「少し、聖水を混ぜています。いいんですか、受け止めても。この剣が溶けると、聖水が出ますよ。それに温度を上げ過ぎると沸騰して気化しますよ。そうなると効力を無くすのか、それとも空気中に霧散した成分で悪魔に影響を及ぼすのか、どちらだと思いますか?」

「クッ!」

 

 ほう、考えたな。先程の細工は魔剣に聖水を掛けて表面をコーティングしていたのか。確かにこれでは義兄殿も余裕ではいられなかったか。流石に強くなったと言っても種族的な弱点まで無くなったわけではない。悪魔の弱点である聖水自体には義兄殿も脅威を感じたか。不死であると言っても嫌なものはイヤだろう。しかし、あの聖水を用意したのはアーシアか。10日程前には開始と同時にリタイアしろと言っておいたと言うのに、今だリタイアする気配はない。最後まで戦うつもりか、特訓中と違い、義兄殿がアーシアを脅威と見ると攻撃もしてくるぞ。‥‥‥いや、彼女も戦う者の眼をしている。ならばこれ以上の心配は無粋だな。

 しかし、ここまで派手な動きがないのは、リアス、小猫、一誠の三人だ。リアスは開始から魔力を溜めている。それを小猫が護衛のような形で傍にいる。だが、一誠は裕斗の後ろに張り付いている。義兄殿からは見えないようだ。おそらく力を一気に開放して、奇襲を仕掛けるつもりなんだろう。だが、本当にそれくらいの手だろうか?いや、予想するのはここまでにしよう。折角の戦いだ、これからどうなるか、お前達の成長を見せてもらうぞ裕斗、一誠。

 

side 兵藤一誠

 

「はあ!」

「ム!」

 

 木場の一太刀を受けられたか。朱乃さんの雷をまともに受けたから、こっちの攻撃をとりあえず受けてくれるかも、というこっちの目論見は外れたな。まあ仕方がないか、さっき聖水を魔剣に掛けていた時から嫌な感じがしていたし、不死であることは鈍感ではあるけれど、不感ではないんだろう。だから聖水のイヤな気配を感じ取って防御の姿勢を取ったんだ。だけど‥‥‥受け止めた。今だ!

 

「ブーステッド・ギア・ギフト!木場!」

「うおおおおおおおおおお!!!」

 

 木場に俺の力を譲渡だ。

 

「なに!ぐおおおおおおお!!!」

 

 木場がライザー様の力を一瞬だけ上回り、一太刀が届いた。木場の力を一気に強化したことで、ライザー様の意表をつけたようだ。一撃がライザー様に通り、倒れ込んで動かなくなった。

 よっしゃー!上手くいった。

 当初から二通りの方法を考えていた。一つが聖水コーティングした魔剣を受けた場合、これは今みたいに一気に強化して一瞬だけ剣速と力を上げること。これはゲーティア風紀委員長との特訓で得た駆け引き、緩急を使った方法だ。そしてもう一つは魔剣を躱された場合、魔剣を解除して聖水を吐き出して、それを俺が強化する方法だ。‥‥‥でもこれ、たぶんあんまり意味がなかっただろうな。さっきのライザー様の熱を考えると、結構蒸発して効果が落ちただろうな。まあいいか、これで俺達、ゲーティア風紀委員長の名誉を守れたな。俺は安心していた。だけど木場は訝しんでいる。どうしたんだ?

 

「木場、どうしたんだ?俺達、勝ったんだぞ」

「‥‥‥おかしいんだ。レーティングゲームの場合、退場者を知らせるアナウンスがあるんだ。‥‥‥でも今は‥‥‥!!」

「そうだな、今のは驚いたぞ」

 

 倒れ込んだライザー様が炎に代わり、消えた。一体どうして‥‥‥

 

「「甘いな」」

 

俺と木場は何かに蹴り飛ばされたような衝撃を受けた。

 

「くっ!一体、何、が」

「つっ!‥‥‥はぁ?」

 

 俺達が見たのは‥‥‥()()のライザー様だった。どうして、さっきまでは一人しかいなかったのに‥‥‥

 

「どうやら混乱しているようだな。まあいい種明かしだ。俺はさっきの雷で視界が塞がれたときに体を分離したんだ。体を分離と言っても、フェニックスの不死の特性を使い、魔力で体を構成させたんだが、それを俺は『分離』と呼んでいる。だから、さっきお前たちが攻撃したのは俺が用意した偵察用の分離体だ。‥‥‥義弟殿が鍛えたお前達を俺は過小評価しない。事前に集めていた情報を基にしても鵜呑みにはしない。あの宣戦布告から十日あったんだ。少しは成長していてもおかしくない。だから俺はお前たちの力を計ることにした。戦力分析、威力偵察は重要だからな。俺が学んだ兵法書にはこう書かれていた、『彼を知り己を知れば百戦殆からず』という言葉があった。勝負の原則が、『敵を知ること』とともに、『味方の内容をよく認識すること』であると言うことらしいな。実に深い言葉だ。‥‥‥さて、これが俺が俺が複数いる理由だ。この分離体は複数に魔力を分けているから全体的には脆さがあるし、力を一時的に分けているから再び統合しないと全力は出せない。まあ、魔力が回復すれば問題ないがな。それにこの分離体も維持できる時間も15分くらいだ。俺に代わって戦わせるとなると、精々5分くらいだ。」

「‥‥‥何故そのように技の秘密を教えていただけるんですか?」

「お前たちが俺の脅威に成り得ないからだ」

「!!」

 

 二人に分かれていたライザー様が一つに戻った瞬間、圧倒的な力に変わった。

 確かに、今の俺達では脅威に成り得ない訳だ。ここまでの力の差ではそれも仕方がない。

 

「はははは‥‥‥悔しいけど‥‥‥奇策以外に勝てる方法はないからね。‥‥‥これまでか」

「‥‥‥木場」

 

 悔しいけど木場の言う通りだ。もっと近づけていると思っていた。‥‥‥だけど今の力の差は‥‥‥あまりにも遠い‥‥‥せっかく、ゲーティア風紀委員長に鍛えてもらったのに‥‥‥これには勝てない、圧倒的な力の差だ。‥‥‥諦めるか‥‥‥

 俺の脳裏にそんな考えが浮かんだ。だけど‥‥‥

 

「イッテッ!!」

 

 俺が諦め様としていると、俺は何かに殴られたような衝撃を受けた。衝撃を受けた方向を見ると、その先にはアーシアがいた。腕を俺の方に向けて、魔力を込めている。

 俺を撃ったのは‥‥‥アーシアだ。

 

「アーシア、一体どうして」

「イッセーさんが諦めようとしているからです」

「!!だけど、これ以上の手はなかった。俺も木場も今以上の手はない。だから今のライザー様に俺達では勝てない。だから‥‥‥」

「諦めてどうするんですか!そもそも戦わずに諦めるくらいなら最初から、この戦いに参加しなければ良かったじゃないですか!それでもこの戦いに参加したのは何故ですか!」

「!!」

 

 俺はどこかで見ているであろう、ゲーティア風紀委員長を探してしまった。‥‥‥だけど、こちらからは見えないけど、あっちからは見えるんだろうな。

 ‥‥‥情けない。この十日の間、俺と木場を鍛えてくれていたゲーティア風紀委員長になにも返せていない。今回の戦い、俺達は参加しない方が良かった。ゲーティア風紀委員長の考えは政略結婚を重視し、純血悪魔と家を残すことを第一に考えている。この戦いで万一にも勝ってしまった場合、ゲーティア風紀委員長の考えと異なることになる。それに俺達を指導していた以上、俺達の結果次第でゲーティア風紀委員長の家の名にも傷がつきかねない。それでも俺達を出してくれた。戦う場をくれた。俺達は戦いたいから、参加した。ゲーティア風紀委員長に俺の成長した姿を見せたかったから‥‥‥。

 決めただろ、アーシアとゲーティア風紀委員長、この二人は絶対に裏切らねぇ、裏切るぐらいなら死んでやるって、心にそう決めたじゃねぇか。なのにゲーティア風紀委員長のこれまでの苦労と俺のために使ってくれた信頼を、名誉を裏切るのか。アーシアの信頼も裏切るのか。だったら死ぬんじゃねぇのか、俺!‥‥‥なのに口先ばっかだ俺は‥‥‥ここでやらなきゃ男が廃る。命もかけずに死ぬなんて軽々しく口にすんじゃねえよ、俺!実際一回死んでるんだ。だったら‥‥‥賭けよう、全てを!なあ赤龍帝、起きてるか赤龍帝、起きてたら、聞こえていたら聞いてくれ。俺に‥‥‥信頼に応えるだけの力をくれよ。俺に出せるもんだったらなんだってくれてやる。だから俺に力をくれーーーーーーー!俺は自分の左手のブーステッド・ギアに願った。すると声が聞こえた。

 

『よかろう。力を貸そう、我が宿主よ』

 

 ―――!!俺の声に赤龍帝が反応した。俺は現実世界での意識を失った。

 

 

「‥‥‥ここはどこだ」

 

 俺は意識が遠くなっていくのを感じた。すると突然、全く知らない場所に俺はいた。一体どうしてここに‥‥‥

 

『起きたか、宿主』

「ーー!」

 

 俺が振り向くとそこには‥‥‥龍がいた。赤い、大きな、龍がいた。

 

『直接会うのは初めてだな。お前の左手にあるブーステッド・ギアに封印されている、赤い龍の帝王、ドライグだ。よろしくな宿主』

「‥‥‥ああ、よろしく。お前が俺の中に居たんだな」

『ああ、そうだ。何か言いたいことがあるのか?』

「ああ、ある!」

『なんだ?』

「‥‥‥俺に力をくれ!」

『ほう、どれほどの力が欲しい』

「俺が欲しいのは信頼に応える力、恩に報いる力だ。俺はゲーティア風紀委員長に恩を受けた、信頼を俺に使ってくれた。‥‥‥なのに今‥‥‥俺達が不甲斐ないばかりにあの人の名前に泥を塗っている。‥‥‥そんなの、我慢できるか!」

『ほう、面白い。だが、それには対価が必要だ。お前は何を俺に差し出す。』

「‥‥‥なにが欲しい。何でもくれてやる」

『‥‥‥何故それほどまでにその男を信用できる。お前は何故その男のために全てを賭けることが出来る?』

「俺のために頭を下げてくれた。俺のために信頼を、時間を、自分が築いてきたもん、使ってくれた。俺は恩も返せない外道に成り下がるつもりはない。だったらせめて俺に出来る、精一杯であの人に返したい。‥‥‥これは俺の意地だ。」

『そうか‥‥‥今の宿主では【至る】には少し足りない。もう少し時間があれば自分の力だけで【至る】。今すぐに【至る】のであれば、その分の対価が必要だ。それでもいいのか?』

「ああ。何でも好きなの持っていけ」

『‥‥‥いいだろう。対価としてその左腕を貰うぞ』

 

 俺の左手が龍の腕に変わっていく。赤く、鱗に覆われた腕に変わった。

 ごめんな、父さん、母さん。二人から貰った体、変わっちまった。だけど、魂だけは決して変わらない。恩も返せない、情けない男に成り下がるつもりはないから‥‥‥でも、ごめん。

 俺は悲しいと思っていないのに、何故だか涙が出ていた。

 

『いいか宿主。お前に禁手を発動していられるのは時間にして約15分だ。初めてにしては及第点だな。これもあの男の鍛錬のおかげだな。ただ、力を最大まで高めると、使用時間が5分減る。最高で3回、実際は2回までしか使えない。それまでにフェニックスを倒せなければ終わりだ。延長は出来ん』

「ああ、分かった。俺にも分かるさ。今までにない程の力を感じる。‥‥‥なあ、ドライグ」

『なんだ、宿主』

「俺がもっと強くなれば、お前の力をもっと使えるようになるのか?」

『ああ、そうだ。宿主よ、お前はいずれ俺の宿敵と戦うことになる。そのときまでにもっと強くなれ。そうでなければ俺の宿敵、白いのに負けるぞ』

「ああ、俺はゲーティア風紀委員長に指導してもらっているんだ。俺の敗北はゲーティア風紀委員長の名に傷がつく。そんなの出来るか!」

『期待しているぞ、宿主‥‥‥いや相棒、兵藤一誠』

 

 世界が崩れていく、俺の体が消えていく。だけど、分かる。これは俺の意識が覚醒していくんだ。

 

 

 俺が目覚めると、俺に手を向けて魔力を溜めている、アーシア。俺の横には木場がいる。そして、俺の後ろにはライザー様がいる。

 どうやら、戻ってきたみたいだ。ただ、どれくらい時間が経ったんだ。

 

『現実世界と精神世界では時間の進みが違う。こちらの世界では時間はほぼ経っていない』

 

 ーー!頭の中に声が聞こえる、ドライグか。

 

『ああその通りだ、相棒』

 

 そうか。悪いが相手を待たせるわけにはいかないんだ。早速で悪いが、力を使わせてもらうぞ。

 

『ああ、行くぞ』

「行くぞ、ブーステッド・ギア!‥‥‥アーシア、俺、目が覚めたよ」

「イッセーさん」

「俺達が戦う理由はゲーティア風紀委員長の指導に、期待に応えることだ。だから、俺達の力を見せるんだ。その果てに何が有ろうと、俺達を鍛えたゲーティア風紀委員長の眼に、指導に、間違いはなかった。それを見せつけるんだ」

「‥‥‥はい。そうですね」

「木場、俺達が這いつくばっていいのはゲーティア風紀委員長との指導の時だけだ。立て!」

「‥‥‥ああ、そうだね」

 

 アーシアも木場も俺と同じゲーティア風紀委員長に鍛えられた仲間だ。これだけで言いたいことも伝わるんだ。

 俺達が再び闘志を取り戻し、ライザー様を見据えた。

 

「お待たせしました。ライザー様」

「さして待っていない。それにお前達が何をするのか興味がある。何か奥の手でも用意しているのか?」

 

 奥の手‥‥‥用意はしていなかった。だけど‥‥‥

 

「‥‥‥奥の手ならさっき出来ました。行くぜドライグ、バランスブレイク!!」

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!』

 

 籠手の宝玉が光、周囲を赤い光が覆い、俺の体をオーラが覆う。周囲の光が収まると俺は赤い鎧を身に纏っていた。

 これが‥‥‥赤龍帝の力。‥‥‥すごい、今まで感じたことがない程の力だ。

 

「赤龍帝の籠手、禁手『ブーステッド・ギア・スケイルメイル』。これが俺の奥の手です、ライザー様」

「‥‥‥ククククク、ハハハハハ‥‥‥まさか、神滅具の禁手が見れるとは‥‥‥実に面白い」

「申し訳ありませんが時間がありません。ゆっくりとご挨拶する暇はありません」

「良いぞ、来い!」

 

 ライザー様は俺に向き合い、構えを取った。

 凄い力を感じる。圧倒的な闘気、魔力、様々な力の圧力を感じる。少しでも気を抜けばこの場にへたり込みそうだ。‥‥‥だけど、何故か分からないけど‥‥‥笑みが浮かんでしまう。

 これほどの力を前にして、今の俺ではまだ超えれない程の力を前にして、笑みが浮かんでしまう。これが強者との戦いを楽しむ、ということか。

 確かに俺では‥‥‥今はまだ届かない。だけど、それでいい。届かぬからこそ挑むんだ。俺はまだまだ強くなれるんだ。

 

「行くぞ!ブルアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「来い!兵藤一誠!!!」

 

俺の拳とライザー様の拳が激突し、衝撃がリング全体に響いた!

 

side out

 

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