政略結婚をして、お家復興を目指す悪魔   作:あさまえいじ

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第3話 お友達を作ろう

どうも、ゲーティア・バルバトスです。

 

レーティングゲームに参加してから、一週間が経ちました。

あれから縁談は・・・・・・一件もありません。

何故だ。

あれほど頑張ったというのに、何故だ。

セバスに聞いてみよう。

 

「セバス、前回レーティングゲームに参加してから、特に状況が好転していない。私は何を間違ったんだ?」

「・・・ゲーティア様、申し訳ございません。私の想定があまりに愚かでございました。」

「どういうことだ?」

「はい、前回のレーティングゲームでゲーティア様の強さを世間に知らしめることが出来ると思っておりましたが、あまりにも規模が小さかったため、貴族がご覧になられておられぬようです。」

「なに、そうだったのか。ではまた違うときに参加してみるか。セバス、次は何時だ。」

「・・・大変申し訳ありませんが、前回ゲーティア様が参加されて以降、ルールが改変され、成人していない悪魔は参加できない、というルールが追加されました。これも偏にゲーティア様が優勝されたことが気に食わない一部の弱小悪魔の仕業にございます。」

「そうか、だがルールであれば仕方がない。私も前回はあまり余裕があったわけではない。些か緊張してな、技の連携にミスがあった。あのような醜態、万一見られていては武門のバルバトス家の名前に傷がつくところだった。」

「・・・ゲーティア様」

「セバス、終わったことはもういい。次だ。他に何か手はないか?」

「・・・それでしたら、他家と交流を深めてみては如何ですか?」

「交流、今までしたことがなかったな。」

「はい、これまでゲーティア様が当主と成られてから他家と交流をしておりませんでした。あれから7年経ちました、一度今のお姿を社交界にお見せになっては如何でしょうか?」

「そうだな、だがいきなり大多数の前に出るのは些か気後れする。」

「でしたら、先代様、先々代様が交流されておられた家とだけ交流してみてはいかがでしょうか?」

「どこの家だ。」

「それは・・・グレモリー家でございます。同い年のご令嬢もおられます。もう既にご婚約はされておりますが、同い年のご友人として、友好的になれればよろしいかもしれません。」

「そうか、セバスがそういうならそれがいいんだろう。分かった、セバス、グレモリー家との交流の件、進めてくれ。」

「は、お任せください。ゲーティア様。」

 

 

side リアス・グレモリー

「そろそろ時間ね。」

 

私の名はリアス・グレモリー

グレモリー公爵家の次期当主よ。

今日はバルバトス家の現当主との交流のため、我が家でパーティが開かれるのよ

今の当主は私と同い年なんですって。お父様がそう言っておられたわ。

お父様も心苦しかったそうね。

先代、先々代の当主とは大戦を共に戦い、何度も命を助けてもらっていたらしいわ。

なのに、8歳の子供を支援することは出来なかった。

何故かと私が聞くと、お父様は口を噤んでしまう。

何か事情があるのかしら。

 

「リアス、お見えになったようよ。」

「そうね、朱乃。」

 

車から降りた彼を見て、大きいと思ったわ。

いとこのサイラオーグも大きいけど、彼も負けず劣らずね。

 

「ようこそ、グレモリー家へ。私、次期当主のリアス・グレモリーですわ。」

「私はバルバトス家、現当主ゲーティア・バルバトスだ、今夜はお招きいただき感謝する。」

 

グレモリー家と同じ公爵家の同い年の現当主ということで、少し身構えてしまっていたけど、話してみると紳士的な印象ね。

どこかの私の婚約者とは大違いだわ。

 

「どうぞ、こちらにお父様がお待ちですわ。」

 

私が彼を先導し、屋敷の中に案内していると彼は私に小さく言ったわ。

 

「グレモリー家はこれほど多くの使用人を抱えているのか、家とは大違いだな。」

「あら、それほどかしら。公爵家ならこれくらいは当然ではないかしら。」

「うちには執事のセバスと私のクイーンの楓くらいだ。」

「それほどの人数で屋敷を維持しているの?」

「維持だけではない。我が領地の管理もしてもらっている。今だ未熟な私を支えてくれている忠臣だ。」

 

彼の誇らしげに語る姿が心に刺さる。

私にはそういう存在はまだいない。

確かに彼は現当主だ。そして私は次期当主。

差は明確だ。

私が次期当主なのはお兄様が魔王になったから、その埋め合わせ。

本当に望まれているのは甥のミリキャスの方だ。

私にそんな心から誇れる眷属を、家臣を得られるかしら。

 

「こちらになります、バルバトス公爵様。」

「ありがとう、リアス殿」

 

考えていると何時の間にか、パーティルームにたどり着き、彼は中に入っていった。

その後ろ姿を見て、ため息をついてしまった。

 

「どうかした、リアス。」

「いえ、何でもないわ、朱乃」

 

彼女に言うことはできないわね。

私が朱乃達を信じれない、というようなものだから。

 

side out

 

side ジオティクス・グレモリー

「お久しぶりです、ジオティクス殿。」

「大きくなられたな、ゲーティア殿。」

 

私はグレモリー家の現当主である、ジオティクス・グレモリーだ。

久方ぶりに見た親友の息子は非常に大きくなっていた。

親友は大きな体で、豪快な性格をしていた。

彼には親友の面影を持ち大きな体ではあるが、豪快な性格、ではなさそうだ。

親友が亡くなってもう7年、一人残されたゲーティア君は苦労した、のかもしれない。私には察することしかできない。

私が親友の訃報を聞き、一人だけ残ったゲーティア君のことが心配だった。

一度は彼を引き取ろうかと思ったが、実現させることはできなかった。

同じ公爵家であったため、グレモリー家の乗っ取りと見られてしまうことが問題だった。

ならば影ながら支援をしたかったが、それも出来なかった。

 

全ての原因は親友の妻が旧魔王派の関係者だったことだ。

旧魔王派の直属家系であることを隠し、親友と一緒になり、ゲーティア君が生まれた。

彼女自身に旧魔王派としてどうこうするつもりもなく、穏やかに親友とゲーティア君と暮らしていくこと望んでいた。

グレイフィアという例もあったので、私は彼女の考えに理解を示していた。

だが、旧魔王派はそんな彼女の平穏を打ち破った。

バルバトス家を隠れ蓑に旧魔王派への資金や物資を流していた。

当然、秘密が漏れないわけがなく、現体制の知ることとなり、その結果、暴走した旧魔王派は彼女を人質にして盛大に暴れた。

親友も共犯とみなされ、投獄されることとなった。

だが親友は彼女を助けるために、単身乗り込み、帰らぬ人となった。

彼女も親友が乗り込んだ時には既に亡くなっていたようだった。

親友も彼女も帰ることはなくなり、ゲーティア君一人残された。

 

結果として、バルバトス家は旧魔王派に支援する反体制側だと判断された。

私も擁護したかったが状況が悪すぎた。

親友は現政権に従わず、逃走したため共犯ではなく主犯だと判断された。

彼女も生まれが旧魔王直属家系のため、同じく主犯だと判断された。

そしてバルバトス家を取り潰すことも考えられたが、それだけは何とか回避させた。

サーゼクスにも色々苦労を掛けた。

だがそれ以上はもう何もできない。私もサーゼクスも。

これ以上支援すれば、こちらが疑われる。

サーゼクスも敵が多い身だ。これ以上手を出せば余計な苦労をまた掛けてしまう。

 

先日セバス殿から交流の件を受け、正直悩んだ。

ここでまた交流を持てばグレモリー家、ひいてはサーゼクスも立場を危なくすることだろう。

だが、どうしても会いたかった。

親友の忘れ形見を直接見たかった。

つい先日レーティングゲームに参加したことを知って、その映像を手に入れた。

映像を見て、昔を思い出した。

大戦の時代、親友と肩を並べ、戦った日のことを、上官であった親友の父の背を思い出した。

 

「ジオティクス殿、これまでご挨拶にも伺えず大変申し訳ありませんでした。」

「何をおっしゃるゲーティア殿、貴殿の元気な姿が見れたこと、心から嬉しく思う。さあ、こちらに、まずは乾杯をしよう。」

「申し訳ありません。ジオティクス殿、まだ未成年ですのでアルコールはご容赦ください。オレンジジュースを頂けますか。」

「ははは、安心したまえ。リアスと同い年だと言うことは覚えているよ。オレンジジュースを彼に。」

 

体が大きくなって親友を思い出したが、もちろん彼がリアスと同い年だと言うことは覚えている。

それに親友も酒ではなくオレンジジュースを好んでいたからな、思わず笑ってしまったのは彼が親友と同じ言い方だったからだ。

頼んでいたオレンジジュースを手渡され、ようやく乾杯が出来る。

 

「では、ゲーティア殿、乾杯。」

「乾杯」

 

side out

 

 

乾杯をしてから、ジオティクス殿は上機嫌になり、父の話を色々された。

私は父のことはよく知らなかったので、色々知ることが出来た。

質問してみると、それは嬉しそうに語ってくれた。

更に祖父のことも語ってくれた。

私も祖父のことは全く知らなかったので、これも質問するとまた上機嫌になり語ってくれた。

生前のサラリーマン時代にも年長者に昔のことを聞くと、上機嫌で語りだす人が多かった。

こういう時は聞き役に徹し、適度な感覚で相づちを打つと更に機嫌が良くなる。

色々話をしてみて、とてもいい悪魔だということが分かった。

だから、今後のことを考えていい印象を与えておきたい。

私がそう考え、上機嫌にしていると

 

「ゲーティア君には婚約者はいないのかね。」

「ええ。おりません。」

「・・・そうか。」

「仕方がありません。今のバルバトス家に政略結婚を考えてくれる家はありません。」

 

私がそう返すと、声が挟まれた。

 

「あら、婚約者がいないだなんていいじゃない。自分で自由に相手を探せばいいじゃない。」

 

リアス・グレモリーだった。

 

「リアス殿は政略結婚には否定的ですか?」

「ええ、政略結婚なんて女性を馬鹿にしているわ。自由に恋愛する権利さえないわ。」

「そうは思いません。貴族に生まれ、その恩恵を受ける以上、家を続けていくことが義務です。満足に義務を果たさないのに権利を主張するのは図々しいと思いませんか。」

「なんですって!」

「リアス殿は婚約者がおられますか?」

「ーー!ええ、不本意ながらね。」

「そうですか。それはうらやましい。」

「うらやましい?」

「ええ、家を続けていくことが出来るではないですか。私には政略結婚の相手はおりません。それは私の代でバルバトス家が終わってしまうことにつながります。私の身に流れる血は父から、祖父から、先祖から受け継いできたものです。もし私が子を成さず死んだとき、バルバトスの血は、家は永遠に失われるのです。・・・私には責任があります。バルバトスの家に生まれた責任があるんです。だからこそ政略結婚が必要です。」

「・・・・別に家が決めた結婚でなくてもいいじゃない。」

「それはリアス殿が私とは違い、余裕がある立場だからです。」

「・・・余裕?」

「ええ、リアス殿には、いやグレモリー家には力があります。奥方殿はバアル家のご出身です。その二つの家を繋いだのがリアス殿と兄上殿のサーゼクス殿だ。お二人はそのグレモリーとバアルの両方から力を借りることが出来ます。ですが私にはバルバトス家にも、母の生家にも力がありません。あなたにはその余裕があるから政略結婚が不要だと言えるんです。」

「・・・・・・」

「権利を主張する前に義務を果たされることを成すべきですよ、リアス殿。」

 

 

「本日は大変お世話になりました。ジオティクス殿」

「ああ、またお会いできるときを楽しみにしているよ。ゲーティア殿」

「ゲーティア殿」

「奥方殿、本日はありがとうございました。」

「いえ、こちらこそ。・・・リアスに言われたこと、大変ありがたく思っています。」

「・・・いえ、少々言い過ぎたと思っており、大変申し訳ありませんでした。」

「あの子にはいい薬です。私たちも、いえ、主人が大変甘やかしましたので、我がままに育ちまして、お恥ずかしい限りです。」

「大変お美しいお嬢様でしたので、ジオティクス殿も甘くなってしまったんでしょう。」

「そうだぞ、ヴェネラナ。」

「あなたは黙っていなさい。」

「はい。」

 

二人のやりとりを見て、亡き父と母もこうだったのだろうか、と思いを馳せた。

 

「では、これで失礼いたします。」

 

私は車に乗り込み、バルバトス家に帰っていく。

疲れたな。初めての交流だったからこれで良かったのか分からない。

帰るときも当主と奥方自らお見送りして頂いた。

悪印象ではないと思いたい。

だが、リアス殿はあれ以来、部屋に戻られてしまった。

 

同い年だと聞いていたから、どんな女性か気になっていた。

実際に会って思った。ものすごい美人だった。

こんな人が貴族の令嬢か、これは是が非でも政略結婚したくなった。

私も男だ。美人は大好きだ。

眷属を美人で構成している悪魔がいると、聞いたことがある。

私もそっち方面の眷属を考えたことはあったが、すぐにその考えは消し飛んだ。

私は武門のバルバトス家の当主だ。

そんな甘い考えで家を存続できるだろうか、否、断じて否である。

別に男女差別をしているわけではない。

現に私のクイーンである楓も女性であるが、彼女が弱者か、否、断じて否である。

眷属に求めたのは純粋な強者だ

だから婚約者には美人がいい。

しかし彼女も婚約者がいるのか、その婚約者がうらやましいな。

 

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