政略結婚をして、お家復興を目指す悪魔   作:あさまえいじ

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第4話 治安維持を頑張りましょう

どうもゲーティア・バルバトスです。

 

グレモリー家との交流から帰ってきて、1週間が経ちました。

他家との交流に興味が出たので、もっと積極的にやろうとしたのですが、他家から色よい返事がもらえません。

色々挨拶回りをするべきかセバスに聞いてみよう。

 

「セバス、他家との交流の件、色よい返事は来ないか?」

「ゲーティア様、申し訳ありません。」

「いや、セバス、謝るな。いつもよくやってくれているセバスを責める謂れはない。」

「ゲーティア様・・・」

「だが、政略結婚を結ぶためにも、家同士の交流をするにしても、こうも門前払いでは、次に結びつかない。一度挨拶回りに直接出向いてみる等をしてみるべきか?」

「ゲーティア様、それは得策ではありません。バルバトス家は公爵家です。いくら何でも当主自ら行うなど品位を落とすことになります。」

「だが・・・」

 

セバスに止められてしまったか。

確かに公爵自ら行くというのはあまり、褒められた行為ではない。

だがこのままでは現状を打破できないだろう。

 

「それでしたら、当主の名代として誰かを行かせてみるというのもいいかもしれません。」

「そうか、なら誰に言ってもらうのがいいか・・・そうだ。惣右介を呼んでくれ。」

「は!」

 

惣右介は私の眷属だ。

駒はナイトを使った。

スピード、体術、剣術、魔法と様々な技能が高水準な万能な戦士だ。

端正な顔立ちと巧みな話術も使えるのでこういう面でも役に立つ。

 

「お呼びでございますか、我が主」

「惣右介、其方を見込んで頼みがある。私の名代として、他家との交流を行ってもらいたい。」

「分かりました。お任せ下さい。どこから交流を深めましょうか。」

「そうだな、私と同年代の令嬢がいる家を中心にしてほしい。最終的には我がバルバトス家のため、政略結婚を結ぶことを考えている。」

「分かりました。」

 

後は惣右介に任せよう。

さて、交流の件は後は待ちだ。

その間も仕事はしないとな。

 

 

side 惣右介

私は惣右介、ただの惣右介だ。

昔は藍染惣右介と名乗っていたが、主ゲーティア様に出会い、ただの惣右介になった。

主と出会ったのは尸魂界で、突然目の前に現れた。

 

 

「貴様、強いな。名は」

 

突然現れた男に名を尋ねられた。

 

「藍染、惣右介」

「惣右介、お前は強いな。」

「ああ、知っている。」

 

私に強いだと、そんなことよく知っている。

天に立とうとしている、私の真の力を知らない不届き者に力の差を教えようと思い、全力の霊圧をぶつけた。

そうすると男は喜んだ。

 

「ああ、実に強い。心地良い強者の力だ。やはり私は貴様が欲しい。我が眷属と成れ、惣右介。」

「なん、だと。」

 

私の全力の霊圧を受けて、そんな口を叩く男は不敵に笑いながら、私が欲しいという。

だが私を下に置くと言うならその力、どれ程のものか見せてもらおう。

 

「私は私より弱い者の下に付くことはない。」

「当然だ。ならば我が力見せてくれる。『ブルアアアアアアアアア!!!』」

 

それから力の限り戦った。

この私がまるで歯が立たない。

剣術も鬼道も意味を成さない。

この男、私よりも強い、圧倒的な程に。

 

「どうだ。惣右介。」

「・・・」

 

私は地に付したまま、天を見上げた。

そこには私を地に叩き落とした男が立っている。

力負け、ここまで完膚なきまでに力負けしたのは初めてだ。

ああ、認めよう。

 

「私よりもあなたの方が強い。喜んであなたの下に付きます。」

「惣右介、お前は強くなる。期待しているぞ。」

 

私はゲーティア・バルバトス様の眷属となった。

私を圧倒するほどの力に憧れた。

 

「いつか、あなたを越えてみせます。」

「いつでも待っている。」

 

眷属となり、死神から悪魔に変わった私は他の眷属に引き合わされた。

そこにいる眷属は、全員が強者と判断できる強さを持っていた。

ゲーティア様に膝を屈したが、それ以外に負けることはないと思っていた私を更に叩きのめした。

 

「あなたが新しい眷属ね。私は秋野楓。ゲーティア・バルバトス様の第一の眷属、あなたも私の指揮下に入ってもらう。」

「私は私より弱い者の下に付くことはない。」

「へえ、言うじゃない。よろしい、ならば、戦争だ。」

 

その言葉通りに私はクイーンと戦争になり、大敗した。

彼女もまた、強かった。

時を止められ、徹底的に斬られ続けた。

時を止められていることに気付かず、気付いた時には大量の焼き鳥の串が私に襲ってきた。

瞬歩で距離をとっても意味がなかった。常に私を背後から斬り続けた。

反撃に移るとすぐに消えた。

なにをやっても意味がなかった。

 

「あ、あなたに、従います。」

「分かればよろしい。」

 

またしても屈した。

仲間たちはそんな私を見て、温かく迎え入れてくれた。

 

「俺達もクイーンに序列を叩き込まれたんだ。あんただけじゃない。」

「そうか。私だけではないんだな。」

 

グラサンの似合う、ムキムキマッチョなルークが慰めてくれた。

ここには友人がいる。それだけで死神の時より、居心地がいい。

 

 

さて、昔の話はこれくらいにして、主の要望を叶えるにはどこから交流をしていくべきか。

主からは政略結婚を結ぶため、同年代の令嬢がいる家を中心にするように言われている。

シトリー家の令嬢は主と同い年だな。だが上の娘が魔王であるため、家を継ぐことが出来ないため、下の令嬢が婿を取らないとシトリー家が絶えることになる。

バルバトス家としては、嫁に来てほしいため、シトリー家では条件を満たせない。

次は、フェニックス家か、ここは主より二つ年下の令嬢がいるな。

フェニックス家には上に3人の兄がいる。

ならば彼女は嫁に出される。

それにまだ、彼女に婚約の話がないようだ。

ここがいいな。

まずは私があちらと交流を深めよう。その上で主と令嬢の政略結婚に結び付けよう。

 

side out

 

領内の報告書を見ているとあることに気付いた。

治安が悪い。

一日に何件、事件が起こっているんだ。

これでは移住もしてこない。

人口が増えなければ、経済は発展しない。

それでは税収が増えないため、領地を発展させることが出来ない。

一度セバスと相談しよう。

 

「セバス、相談がある。」

「はい、如何なさいましたか。」

「バルバトス領の治安が非常に悪い。これをどうにか改善したい。」

「・・・そうですね。ですがそれでも大分改善した方です。あの時に比べれば・・・」

「うーん、だがなセバス、いくら改善したとしても、悪いものは悪いぞ。」

「・・・・そうですね。」

「セバス、一度大掃除をしよう。」

「ーー!それでは領地内の産業にもダメージが!」

「セバス、やるからには徹底的だ。いいな。」

「・・・分かりました、ゲーティア様。バルバトス家の総力を持って大掃除を実行致します。」

 

 

side 旧魔王派工作員

俺は今の魔王の政権を認めない、旧魔王派のシンパだ。

このバルバトス領は今の当主の母親が旧魔王派の直属家系の家の女で、旧魔王派の隠れ蓑に使えていた。

だが、7年前に現体制に見つかり、当主と奥さんが死んだ。俺が殺した。

だが跡を継いだのが今の当主だが、まだガキだったから以前より規模は減ったが、物資と資金を流せていた。

だが、今日遂にバルバトス家が動いた。

 

「これより強制査察を行う。こちらの指示に従ってもらう。」

 

今の当主だ。

確か15だかのガキだ。

そんな奴が俺達の仕事を邪魔しようとしてやがる。

許せねえな。

 

「おい!俺達は昔からここでやってきたんだ。今更辞めれるか。」

「そうか、こちらの指示に従わないか。全員同じか。」

「ああ、全員一緒だ。」

 

ここにいるのは全員、旧魔王派だ、

ここでこいつを痛めつけて俺達に逆らえなくしておけば、また昔みたいに規模を広げられる。

俺達に図体がでかいだけのガキを怖がる理由はない。

 

「では、全員・・・・死んでもらう。」

 

そう告げた。

その後ここは血の海に変わった。

 

「北斗剛掌破」

「グヘーーーー」

 

馬に乗った大男は掌をかざしただけで、仲間がはじけ飛んだ。

 

『ザケル』

「ぬおおおお!!」

 

銀色のガキの手から電撃が出て、仲間が焼けていく

 

「火竜の咆哮」

「ぐわあああああ!!」

 

桜色の髪の男が口から炎を吐き出し、辺りが火の海に変わっていく。

 

「氷結は終焉、せめて刹那にて砕けよ!『インプレイスエンド』」

「・・・・(氷漬けのため声が出ない)」

 

ただ一人いた女が氷漬けにした。

 

「さぁ!見せてもらおうか!貴様らのもがきとやらを!」

「せ、せめて、てめえだけは殺してやる、くらえ!」

 

俺は全力の魔力弾を奴に放ち、直撃した。

 

「や、やった。へ、へへ、ざまあみろ。」

 

全く馬鹿な奴だ。

他の奴に任せて、後ろにいればいいのに、当主のくせに、15のガキのくせに、調子に乗って前線にいるからこうなるんだ。

俺は煙が晴れると、無惨な亡骸が出来上がっていると思っていた。

だが、そこにはまるで効いていない奴の姿があった。

 

「効かんなあ。それで攻撃のつもりかあ。」

「ああ、ああああああ・・・」

 

化け物だ。奴には俺の魔力弾がまるで効かない。

俺は奴の存在に圧倒され、体が縮こまると、奴は怒り攻撃してきた。

 

「縮こまってんじゃねえ!『灼熱のバーンストライク』」

「うわああああああああ!!」

 

俺が放った以上の魔力が、炎の雨となって降ってきた。

 

「鼠のように逃げおうせるか、このまま死ぬか、どちらか選べ。」

 

俺は奴の前に跪く様に、倒れこむと、それすらも許されなかった。

 

「土下座してでも生き延びるのかぁ!裂砕断」

「グハァ!も、もうゆるしてくれ。」

 

俺はもう立つことも出来ず、地面に這いつくばり、命乞いをした。

だがあの悪魔はそれすら、気に入らなかった。

 

「軟弱者は消えうせろ!『断罪のエクセキューション』」

「ああああああああ!!」

「貴様の死に場所はっ!ここだ!ここだぁぁ!!ここだぁぁぁぁ!!!『ルナシェイド』 」

「ぬうおおおおおおおおお!!」

 

奴の攻撃を受け続け、俺は意識を保てなくなり、気を失った。

 

「こ、ここは・・・ヒ、ヒィ」

 

俺は意識を取り戻すと、奴が目の前にいた。

 

「今から貴様には全て吐いてもらう。知っていること全てな。」

「な、なにをする気だ!」

「安心しろ。俺は何もしない、俺はな。ケンシロウ、やれ。」

 

奴が何もしないと聞いて俺は安堵した。

出てきたのは、ケンシロウ、と呼ばれた男だった。

男は俺の体の触れた。

 

「お前の経絡秘孔【新一】をついた。これでお前は自らの意志とは関係なく、相手の質問に答えてしまう。主、質問を。」

「よし、ではまずお前たちはなんだ?」

「お、俺達は、げ、現体制に反対、する者たちだ。」

「ではお前たちはバルバトス領内でなにをしていた?」

「活動、資金や物資を、調、達していた。」

「なぜ、バルバトス領でしていた。」

「ここは以前から使っていた。先代当主の時代に大規模に動けていた。今でも裏では規模が縮小したがそれでも、冥界でも随一の稼ぎがでる。」

「では、なぜ先代当主の時代には大規模に動けていた?」

「・・現当主の母親は俺達の魔王様、クルゼレイ・アスモデウス様の、アスモデウス家の直属家系の出身だ。親を人質にされ、俺達の言うことを聞いていた。だが、その親も殺した。そして前当主とその女も殺した。」

「お前がやったのか?」

「ああ。」

「そうか・・・セバス!こいつを現政権に付き出せ!父上と母上を殺したことを証言した。」

「は!直ちに。」

 

なんでだ!なんで、勝手に口が動く。

まずい、このままでは俺がクルゼレイ様に殺される。

俺は連行されながら、そう考えていた。

 

side out

 

 

そうか、父上と母上はあいつに殺されたか。

俺の手で殺したいと思ったが、ここで殺しても父上と母上の無念は晴れない。

あいつは俺達の魔王、クルゼレイ・アスモデウスと言っていた。

母上の生家もアスモデウス家の直属家系だと・・・

確か今の魔王様に先の大戦で魔王様が亡くなり、力が4人が魔王になったと勉強した。

そして、その中にアスモデウスの名を継いだのはファルビウム・グラシャラボラスが継いで、ファルビウム・アスモデウスとなったはずだ。

奴が言うクルゼレイ・アスモデウスではなかったはずだ。

セバスに聞いてみよう。

 

「セバス。」

「は、ゲーティア様」

「先程の奴が言っていたこと、父上と母上は事故ではなく、奴らに殺された、それで間違いないな。」

「・・・・はい。その通りでございます。」

「そうか。当時8歳の私に言っても、分からないことだったから、言わなかったことには異論はない。」

「ーーッ!・・・申し訳ありませんでした。ゲーティア様」

「だからいいと言っている。聞きたいことは別にある。現在のアスモデウスの名を持つ魔王様はファルビウム・アスモデウス様でクルゼレイ・アスモデウスではないと思っていたが、間違いないか。」

「はい。その通りでございます。」

「では奴が言った、俺達の魔王様、とは何か分かるか。」

「はい。まず、現在の4人の魔王様は先代魔王様の名を継いだ、謂わば名誉職のようなものです。ですが元々は家名でした。ルシファー、レヴィアタン、ベルゼブブ、アスモデウス、この家名を持つ者が魔王でした。ですが先の大戦に4人の先代魔王が亡くなり、4人の魔王の血縁から魔王が生まれました。しかし、先の大戦で疲弊し、戦争の継続が困難であるため、停戦を主張したものが現れました。そして、先代魔王の血族と停戦派で戦いが起こりました。最後は停戦派が勝利し、先代魔王の血族から魔王の称号を取り上げました。停戦派の主力4人に魔王の称号を与え、今の4大魔王になりました。先代魔王の血族を旧魔王派と呼び、僻地に隔離致しました。ですが旧魔王派もあきらめておらず、現体制に戦いを起こします。その代表が先代魔王の血族の者です。クルゼレイ・アスモデウスとは、おそらくアスモデウスの血族の者でしょう。」

「それが、我が母上を苦しめた親玉か・・・」

「旧魔王派のやり方についていけないものも多くいました。先代の奥方様もそうでした。奥方様も結婚なさる前に全てを打ち明けましたが、先代様は特に気にしておりませんでした。奥方様もそんな先代様に惹かれ、ご結婚成され、ゲーティア様が誕生なさいました。ですが、旧魔王派は奥方様を見つけ、旧魔王派に協力を要請しました。奥方様は先代様にお伝えし、事態を抑えようと致しました。ですが、奥方様に魔法が掛けられており、奥方様は人質にされました。先代様は奥方様を助けようと致しましたが、現体制にバルバトス領内に旧魔王派がいること、旧魔王派の温床となっていることが知られました。その結果先代様にも、容疑が掛けられ、取り調べを受けることになりました。ですが、旧魔王派は人質にした奥方様を助けたければ、一人で奴らの本拠に来るよう指示しました。先代様は悩み、単身で向かわれました。ですがそれは現体制からは逃走と判断されました。・・・単身で向かわれた先代様ですが、旧魔王派の本拠で亡くなっていました。奥方様もお亡くなりになっておりました。現体制は旦那様も旧魔王派の支援していたとみなされ、バルバトス家もお取り潰しにまで追い詰められました。」

「その状況でなぜバルバトス家は残った。」

「・・・現魔王様、サーゼクス・ルシファー様がお助けしてくださいました。正確に言えば、サーゼクス様のお父上であるジオティクス殿が、ですが。」

「そうか、ジオティクス殿が・・・」

「これが、私が知る全てです。」

「・・・・そうか、セバスよく教えてくれた。」

「・・・・ゲーティア様。」

「セバス、掃除はまだ終わっていない。終わり次第ゴミ出しにいくぞ。社会のゴミを集めろ。」

「は!お供いたします。」

 

旧魔王派か、そいつらを潰さないと我がバルバトス家の復興はないようだ。

まずは領内から徹底的にホコリを出さないとな。

 

 


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