なんか、ハマーン拾っちまった。   作:ローファイト

63 / 102
感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

漸く、修羅場編が終了致しました。
ここまで長くなるとは……




アムロ・キャスバル・エド男達の挽歌編⑤終幕

俺の目の前で、若い女二人が視線を交差させ火花を散らしていた。

いや、俺の事でじゃないぞ。俺はモテないし、女と複数人と付き合うなんて器用な真似もできん。

その若い女というのは、アムロの前カノのチェーンと本カノのベルトーチカだ。

2人は思いっきり睨み合って、一触即発の雰囲気だ。

もちろん、この諍いの原因はアムロだ。

2人はアムロの恋人は自分だと主張し合っているのだ。

 

しかも俺ん家で……。

 

彼女らの主張を聞くに、アムロが悪いのだろう。

アムロからも詳細を聞かないといけないような気もするが、まあ、あいつは私生活がホント適当だからな、機械いじり出したら、飯も何日も食わない有様だ。

多分、彼女らに対しても、適当な返事をしたか、女心の裏を読まずに返事をしたのだろう。

……これに関しては俺も言える立場じゃねーけどな。

とりあえずだ。この二人を止められるのはアムロだけだ。

俺が止めたところで解決にはならんだろう。

 

それにしてもだ。

3年も死んだ奴の事を思っていたって事は、よっぽどアムロの事が忘れられなかったのだろう。普通は踏ん切りつけて、次の恋に生きてもいいようなものだがな。

アムロの奴、罪作りなこった。

 

こう言うのは苦手なんだが、アムロにはローザとの結婚の時とかオードリーの事とかで借りがあるからな。

それに、年上の友人ってところを見せておかねーとな。

 

「アムロはもうすぐ来るだろう。それまで落ち着いて待っておけって」

俺はそう言って紅茶とクッキーを2人の前に置く。

 

「すみません」

「取り乱しました」

2人はそう言って再びソファーに腰を下ろす。

 

「ちょっと俺の話を聞いてくれるか?」

アムロが来るまでにちょっとは落ち着かせておく方がいいだろう。

 

「……はい」

「どうぞ」

2人とも渋々という感じで返事をする。

 

「……アムロが3年間、あんた達に連絡しなかった理由は聞いてないが、大体の予想がつく。本当はアムロの口から言わせるつもりだったんだが……。3年前、アムロが乗ったモビルスーツの脱出ポッドを偶然俺が拾った。その後、あいつが目を覚ますまで半年程掛った……。アムロは目を覚まして入院してる時だ。俺にこう言った。

『俺の役目は終わった』と。

聞くところによると、アムロは連邦内部じゃ随分と立場が危ういものだったようだ。連邦に戻ると何をされるか分かったもんじゃない。また、軟禁生活が始まったのかもしれん。それ以上の辛い立場に置かれるかもしれん。だから、すべてを捨てて、此処に隠遁したのだろう。

そんで、身内にも連絡を一切していなかった。親友のブライト・ノアにもつい最近までな。迷惑が掛かると思ったのだろう」

 

「……だからって、……私は……納得できません」

チェーンは涙ぐみ、こう言った

そりゃそうだろ。アムロが戦場で行方不明になる前まで、恋人同士のようなもんだったんだからな。

 

「ヘイガーさん。それでもこれはアムロと私の問題です。本人としっかりと話し合う必要があります」

ベルトーチカははっきりと俺にそう言う。

まあ、そうだろう。俺はこの件に関しては部外者だしな。

ただ、友人として擁護だけはさせてくれ。

 

「そりゃそうだ。俺は飽くまでも部外者だ。アムロと納得できるまで話し合ったらいい。だがアムロの友人として言わせてくれ。

二人ともアムロが好きなのはよくわかった。……だが一方的な押し付けだけはやめてあげてくれ。

アムロだって人の子だ。間違いや気分が乗らない時だってある。

それに今回の事は逆にいい機会だと思わないか?アムロの本音を聞けるだろ?アムロが本当は誰が好きなのかを」

 

「私に決まってます!」

「当然私よ」

 

「そういきり立つなって、アムロも3年間で頭が冷えてるだろう。あいつにとってどんな伴侶が相応しい女性かを……」

 

「……アムロにとって相応しい女性」

チェーンはどうやら懐柔できたようだが……

 

「ヘイガーさん。アムロを助けていただいた事には感謝します。ですが、アムロとの男女の関係については当人同士の問題です」

 

「だから、友人からのお節介だって言っただろ?後はアムロと話せばいい」

ベルトーチカも俺の言葉に納得はいっていないが、さっきに比べれば随分と冷静さを取り戻しているようだ。

ふぅ、何とかうまく行ったようだ。

 

 

 

そこで、インターフォンのチャイムが鳴る。

今度こそ、アムロだろう。

場の空気は幾分か冷やして軽くして置いたぞ。

後はお前が何とかしろ。

だが、またアムロの何カノだったら、俺は家を出るぞ!

 

俺はインターフォンの端末を手に取り画像を見る。

 

…………アレ?

 

確かにアムロだ。

アムロなんだけどよ。

小学生低学年ぐらいの男の子の手を引いてるんだけど……

しかも、となりに優しそうな雰囲気の女性とならんで。

アムロも何か楽し気だし……その女性も微笑んでるし……

 

おい……お前、結婚して…子供まで居たのかよ。

…………これは……予想外だ。

 

いやいやいやいやいや!!

可笑しいだろ!!

おいーーーーー!?

お前、セイラが来てるって喜んでたじゃねーーーか?

年上の元カノじゃないのか?

なんで、子連れでしかも奥さんつれて、のんびり来てんだよ!!

 

しかもだ!!

ベルトーチカと4年も同棲してたんじゃねーーーのか!?

チェーンともキスをした仲じゃねーーのか!?

 

ち……血を見るぞ。おい。

 

 

『エド?…開けてくれ』

インターフォン越しにアムロの声が聞こえる。

どうやら俺は、インターフォン端末の画像を見ながら意識が飛んでいたようだ。

 

「ちょっと待ってろ!!」

俺は全力疾走で、玄関に駆け下り、扉を開ける!!

 

 

「エド、待たせた」

「こんにちは」

アムロは呑気に挨拶をし、隣の優し気な女性も挨拶をする。

 

「こ、こんにちは」

俺は女性と男の子に挨拶を返し……アムロの首根っこを掴み、アムロだけを玄関の中に引きずりこむ。

 

「どどどどど、どいう事だ!!お前結婚して、子供までいたのかよ!!」

俺は額が当たる位にアムロに迫る。

 

「エ…エド、どうしたんだ?」

 

「どうしたんじゃねーーー!!あれは何だ?」

 

「フラウの事か?フラウ・コバヤシは幼馴染で……ああ、俺の子じゃない。友人の子だ。エドの勘違いだ。コロニーの船舶ドッグでバッタリ会って一緒に来た。俺を訪ねてきてくれたらしい。セイラさんとも昔馴染みだ」

 

「…奥さんじゃない。…お前の子供でもない。……幼馴染の友人ってことか?」

 

「そうだ。エドにしては珍しい勘違いをするもんだ」

アムロは苦笑気味に俺にそう答えた。

ふぅ、俺の早とちりだったようだ。

という事はセイラは元カノじゃないのか?セイラも友人関係か?

いや、あのセイラの様子だと、もうちょっと深い仲に見えたんだがな。

だったらあの二人は……?

 

「………じゃあ、チェーンとベルトーチカは?」

 

「何故その名を?……まさか!?……エド、すまない。俺は用事を思い出した。セイラさんには後で連絡する」

焦りだすアムロ。

これはまずい方の奴だな。

しかもキャスバルの奴と同じ反応だ。ニュータイプは皆同じ言い訳をするのか?

 

「アムロ……手遅れだ」

俺はアムロの肩を強く掴む。

 

「「アムロ!」」

階段から勢いよく降りてくるチェーンとベルトーチカ。

 

チェーンはアムロの右腕に抱き着き、ベルトーチカはアムロの左腕を引っ張る。

「アムロ、生きてたのね。さあ、私と帰りましょ」

「アムロ。地球に一緒に戻るわよ」

2人はそう言いつつも、お互いを睨みけん制し合っていた。

 

「ち、チェーン、それにベルトーチカ、君まで……どうしてここに?」

アムロの顔は真っ青だ。そりゃそうだろう。

 

「アムロは私の事が好きなんでしょ?だから帰りましょ?」

「何言ってるのかしら、この泥棒ネコは!?アムロは私が昔も今も好きに決まってるわ」

 

「その、二人とも落ち着いてくれ……エド」

アムロは二人を宥めようとするが、2人はぎゃあぎゃあ言いながら、アムロの腕を引っ張り合い、アムロの言葉が聞こえてないようだ。

アムロは俺にすがるような目を向ける。

 

どうやら俺が先ほど、場を静めたのは無駄だったようだ。

まあ、こうなるわな。

アムロ、こればっかりは俺でもどうしようもない。自分で何とかしろ。

俺はアムロに手を上げ、降参のポーズをし首を横に振って見せる。

 

 

そこで、診療所の従業員用扉が開く。

「少々騒がしい様だが、アムロが来たようだな。アムロ、アルテイシアを任せたぞ………」

両頬を赤く腫らしたキャスバルが、こんな時にとんでもない事を言いながら出てきた。

どんなタイミングだ!最悪だ!!何を?何を任せる気だ!?この状況でだ!?

 

「アムロ?……これは!?」

その後ろにセイラが続いていた。

 

「えっ?誰?え……シャア?……それにこの人は?」

「なぜシャアがここに?だからアムロは戻ってこれなかった!?……セイラ…あ!?アムロがたまにニヤニヤと見てた写真の人ね!!」

チェーンは目を丸くし、ベルトーチカはシャアとセイラを噛みつかんばかりに睨む。

キャスバル、やっぱお前有名人だな。そりゃそうか。

お前、逃げた方が良いぞ。診療所で刃傷沙汰なんて勘弁してくれ……

 

 

更にだ。

玄関の外に置いてけぼりにしていたフラウ・コバヤシ夫人が子供の手を引いて、玄関から子供と共に顔を出していた。

「あの…なにか騒がしいようですが?大丈夫ですか?……アムロ?…セイラさん?」

 

「え?……子供……アムロに子供……そんなーーー!?」

「これはどういう事かしらアムロ!子供まで余所に作って!!」

チェーンとベルトーチカはやっぱりというか勘違いをした。

 

 

………これどうする?

いや、どうしようもないだろ?

 

 

 

 

そこに……

「貴様ら!何をやっている!人の家の玄関先で騒がしいぞ!!」

ローザが何故か帰って来てくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4時間後……

俺は今、バー茨の園のカウンターに座ってる。

隣には、両袖が引きちぎられ、ノースリーブのようになったトレーナーをそのまま着てるアムロ。所々顔にひっかき傷がある。

バーのカウンターの中には両頬を腫らし、頭に包帯を巻いたキャスバルがシェーカーを振っていた。

 

俺はカクテルのグラスを片手にアムロに語り掛ける。

「アムロ、3年間連絡してなかったお前が悪いんだぞ」

 

「まさか、皆が一斉に来るとは思わなかった」

 

「いや、それもそうだが、チェーンとベルトーチカをどうすんだよ」

 

「ベルトーチカとは当時、別れ話を申し込まれたと思っていたのだが……、そうか……、俺の為に身を引いてくれていたのか。チェーンの方はもう俺の事なんて忘れているだろうと思っていたのだがな……」

どうやら、アムロの奴はベルトーチカの言葉通り受け取ったようだ。

チェーンについては、恋人未満って感じな付き合いだったらしく。そこまで惚れられているという認識は無かったようだ。

 

「お前、鈍感なの?」

 

「エドには言われたくない。エドよりはましだという自負はある。だが……そうか。」

 

「で、どうすんだよ?……お前、セイラも好きなんだろ?」

俺の見立てではセイラもまんざらでもないって感じだ。

 

「なる様にしかならない……が、どうしたものか」

頭を抱え本気で悩みだすアムロ。

 

そこに、バーテン姿のキャスバルがカウンター越しに話に入って来る。

「アムロ、語るに落ちたな。お前にアルテイシアを預けるわけにはいかん」

 

「なんだよ。お前も妹のセイラとの話は決着ついたのか?20年もほったらかしにしやがって!」

 

「ついたと言った方が良いだろう。これから私の贖罪の日々が始まる事が決定している」

成る程、一応話の終着点は見えたが、これからという事か。

 

「で、キャスバル、セイラはやっぱアムロに気があるのか?」

 

「ふん。アルテイシアは自分を押し込めるタイプだ。なかなか言い出せんのだよ。アルテイシアの立場を理解できる人間は数少ない。アルテイシアもまんざらでもなさそうだ。今は連邦やジオンにもしがらみもなく、資産も仕事も充実したアムロだったらとは思ってはいたのだがな………、過去の女の清算をしていないとは、これがかつてのライバルの姿だと思うと情けない」

というか、セイラの立場って、8割がたお前のせいじゃないのか?キャスバル。

 

「セイラさんが俺を……本当か?」

嬉しそうな顔をするアムロ。

 

「おい、お前はそこで喜ぶな」

お前はチェーンとベルトーチカを何とかしろ!

 

「そうだぞアムロ。今の情けないお前にアルテイシアを任せておられんよ」

 

「お前に言われたくないぞ!レッドマン……いや、シャア!」

 

「そりゃそうだ。13、4の頃のローザを道具扱いしやがって……なんか腹が立ってきた。一発殴らせろキャスバル」

こいつの場合、女を弄ぶというよりも、政治や戦争に利用していた節があるからな。

 

「エド……もう、それは済んだ話だったはずだ。私にはもう女をどうこうするつもりは無い」

 

「そういえばローザとクェスから聞いたぞ。お前3年前、女が居たそうだな。確かナナイとか言っていたな。その女とはどうなんだ」

ローザに拷問まがいの尋問をやった女だとか。

今となってはその女にどうこう言う気持ちなんてない。

 

「ふっ、男女の関係にもいろいろある。ナナイとはドライな関係だった。私はアムロとは違うのだよ」

 

「そうか。そういえばトラヴィス社長が言っていたが、ジオン残党を併合した際、ニュータイプ研究所の所長も居たそうだ。社長は根っからの人道派で強化人間否定派だが、研究手腕は買ってるそうだ。根性叩き直してから、俺のハロ開発部門の部下に付けると言っていたが……確かナナイ・ミゲルといったか?知ってるか?シャア総帥?」

アムロはワザとらしくそんな事をキャスバルに言った。

 

「………アムロ、今の私はデニス・レッドマンだ。それ以上でもそれ以下でもない」

 

「キャスバル。早めに謝っておけよ。アムロの部下になるんだったら、お前と顔を会わす可能性もあるぞ。まあ、ナナイって女の方がお前を忘れてるって事もあるがな」

 

「俺の部下になったら、真っ先にここに連れてきてやるさ」

 

「アムロ!貴様というやつは!」

 

「お前らどっちもどっちだ。とことん女心が分からん連中だ」

 

「エドにだけは言われたくはない」

「エド、自分の胸に手を当てて見ろ」

俺は勢いよくアムロとキャスバルに言い返される。

まあ、そのなんだ。

女心というものを読み解く事は、男にとって永遠のテーマみたいなもんだと……。

 

 

 

結局あの後、ローザが介入し、その場を取り仕切って修羅場は収まった。

流石は俺の嫁、元ネオ・ジオンの鉄の女と呼ばれた摂政官だ。

何でもローザは俺が苦境に陥る嫌な予感がし、様子を見に戻って来たそうだ。

ニュータイプの勘って奴か?

アムロとキャスバルはニュータイプの勘は働かなかったようだがな。

 

チェーンとベルトーチカの2人には、アムロの自宅高級マンションの鍵をそれぞれに渡した。……気が済むまでアムロの家に滞在しろって……おい、二人同時はまずいだろう。

俺はそう思うのだが、ローザがこの裁定を下したのだ。

先に出て行った方が負けだとか……。

セイラにもキャスバルの家の鍵を渡す。暫く、キャスバルの自宅に住むようだ。

彼奴ん家、農業区域の貯水池畔にあるオシャレなロッジみたいだし、兄妹で住んでもまだ広いぐらいだ。

フラウ・コバヤシ夫人は、アムロが手配したホテルにしばらく滞在し、地球に戻るようだ。

2人の養子が既に成人して地球で働いているらしい。

まあ、セイラとフラウ・コバヤシ夫人にはいつでもこの診療所に遊びに来るようには言ってある。

チェーンとベルトーチカはまあ、ケンカしなきゃ別に来てもらっても問題無いが……

 

 

でだ。この4人に連絡したのは……どうやら、ブライト・ノアのようだ。

アムロがブライトと会った際、ブライトにアムロの生存を彼女らに話しておいてもいいかと聞かれ、アムロはOKの返事をしたらしい。

そんでブライトは、アムロにかかわりが深い女性にメールだったり、電話だったりで伝えたとか。

アムロはてっきり話の流れ的に、ブライトの奥さんであるミライと娘のチェーミンの事だと思ったらしい。

 

それはそうと、そもそも何で俺ん家に来るんだ?

しかも何でよりによって同じ日なんだよ?流石におかしいだろ?

 

ふう、とりあえずだ。

何とかまとまったが、アムロもキャスバルもこれからだという事だ。

 




賛否両論あろうとおもいますが、何とか修羅場編が終了。
アムロ君にはもう、爆弾はないですよね。……たぶん

キャスバル君にはナナイさんが………
外伝系を入れちゃうと…不味いような。

セイラさん34歳
ベルトーチカさん28歳
チェーンさん25歳
フラウ夫人32歳
こんな感じかな?間違ってたらごめんなさい。

一応、後3話を脳内で用意してます。
それで一旦終了という事で……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。