なんか、ハマーン拾っちまった。   作:ローファイト

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続きです。



クェス編【後】その2

「宇宙からの貨物船か……この進路には定期航路など無かったはずだが、いや正規の信号を発してる。臨時の貨物船か……」

ハサウェイのΞガンダムは、嘗てクワトロ・バジーナが演説を行ったダカールから西海上500キロに位置する海上基地を襲撃すべく、メッサー9機を率い海面ギリギリを航行していたが、進路方向上空に貨物輸送船らしき艦船が大気圏から突入してきた事を、センサーで確認する。

 

 

しかし……

「ミノフスキー粒子を散布だと!?かすかにモビルスーツの反応もある!偽装貨物船か?連邦宇宙軍が痺れを切らして、介入してきたか!?しかし、何故この経路を!?……言ってる場合じゃない……ガウマン!前方に頭上から敵襲だ!俺が先行し対処する!メッサー隊はそのまま、基地に向かってくれ!」

ハサウェイは敵襲と判断し、メッサー隊のガウマンに指示を出し、Ξガンダムを上空へ向け、ミノフスキー粒子が散らばる中心へと向かう。

 

 

「モビルアーマー?いや可変モビルスーツか?それにあの小さいガンダムは?……不味い、可変モビルスーツがメッサー隊に!……させるかーーっ!」

ハサウェイはΞガンダム高感度望遠カメラで上空から高速で降りてくるモビルスーツ小隊を確認したが、そのうちの可変モビルスーツらしき機影が、メッサー隊へと方向転換するのを見て、2機の可変モビルスーツに狙いを定めファンネル・ミサイルを射出した。

ファンネル・ミサイルは名前の通り、サイコミュシステムでハサウェイの意思通りに動き回る小型ミサイル群の事だ。ミノフスキー粒子散布下でも影響を受けずに、狙った相手を、まるで生きているかのようにミサイルが襲い掛かるのだ。

 

だが……。

ファンネル・ミサイルは2機の可変モビルスーツに進む途中で、まるで電池が切れたかのように、動きが止まり落下しだしたのだ。

ハサウェイは、その瞬間、ファンネル・ミサイルがハサウェイの意思から離れて行くのを感じる。

 

「なっ!?」

ハサウェイは驚きを隠せない。

今迄の戦闘でこのような事は一度もなかったからだ。

 

ハサウェイが狙った可変モビルスーツとは、バナージとマリーダが搭乗するユニコーンガンダム1号機2号機、ペルフェクティビリティ型飛行ユニットを装着した姿だったのだ。

そして、NT-Dシステムを起動させデストロイモードに移行したユニコーンガンダム1号機がサイコジャックを行い、ファンネル・ミサイルの制御をハサウェイから奪ったのだ。

相手のファンネル兵器やサイコミュシステム制御の奪取は、ユニコーンガンダムの十八番である。

元々ニュータイプキラーとして設計されたガンダムでもある事はこれらの機能を有してる事からもわかるだろう。

さらに、バナージとハサウェイのニュータイプ能力の差でもある。

バナージの方がニュータイプとしての力が上回っていた結果でもあった。

これが、相手がアムロであればこうもたやすくファンネル・ミサイルの制御を奪えなかっただろう。

 

「ぐっ!?」

ハサウェイが一瞬動きを止めた隙に、小さなガンダムがいつの間にかΞガンダムの懐に入り、何故だか頭部に蹴りを入れてきたのだ。

Ξガンダムの片方の頭部アンテナが大きく曲がり、

まるで、あんたの相手は私だと主張するかのように……。

 

ハサウェイは意識を正面の小型のガンダムに向けてから、振り払うように高速で移動し、ユニコーンガンダムを追おうとする。

「邪魔をするなーーっ!」

 

だが、小型のガンダムはそんなΞガンダムの先回りをし、正面に対峙する。

Ξガンダムは28m、対峙する小型のガンダムは16mに満たない、まるで大人と子供程の体格差だ。

 

「……そこをどかないと言うなら、お前を倒して押し通る!」

ハサウェイは肩部メガ粒子砲を放ち、腕部ミサイルランチャーで狙いを定めながら、小型のガンダムに迫る。

 

小型のガンダムはメガ粒子砲をひらりと避け、ミサイルランチャーを放ちながら迫るΞガンダムから、ガトリング砲でけん制しながら、上空へと後退する。

 

「速い、ミノフスキー・クラフト搭載機だと?しかもこんな小型のモビルスーツが存在するとは……アナハイムが隠していたのか?それとも……」

ハサウェイは、攻撃を縦横無尽に避け続ける小型のガンダムに攻撃をしながら追いすがろうとするが、一定の距離を保ったまま、迫る事が出来ない。

 

そして、ミノフスキー・クラフト搭載モビルスーツ同士のドッグファイトが展開される。

一気に迫って、接近戦で決着をつけたいハサウェイに対し、小型のガンダムはガトリング砲とビームライフルでけん制しつつ、空中を踊る様に回避移動を続ける。

 

「……この感じ、どこかで感じたことがある。誰だ?相手のパイロットは誰だ!?」

ハサウェイはドッグファイトを展開していく最中、相手のパイロットの意思を感じ始める。

 

一方、小型のガンダム、FX93に乗り込んでいるクェスは……

「何よ!地球の重力での実戦は初めてなのよ!ちょっとは手加減しなさいよ!!まだこの子にも十分慣れてないのに!このーーっ!女の子には優しくって習わなかったの!?」

かなり必死に避けていたのだ。

 

「だが、誰であろうと、地球を守るためには……こんな所で止まっているわけには行かないんだーーーーっ!」

ハサウェイは対峙するモビルスーツのパイロットがクェスだとは全く思いもよらず、ファンネル・ミサイルを全弾射出し、小型のガンダムFX93に狙いを定める。

 

「わっ、やばっ、わわっ……あっーーーもう!」

クェスは、迫りくるファンネル・ミサイルを必死に避け続ける。

更に、Ξガンダムからもビームライフルが飛んでくる。

 

明らかにクェスのFX93が押されている。

「あああああっ!!いい加減にしろ!!」

クェスは癇癪を起した様に叫ぶ。

 

「え?……クェス?そんなはずは、もう僕は…俺は乗り切ったはずだ。そんなはずはないんだ!!」

クェスの怒りの魂の雄たけびが、FX93のサイコミュを通し、Ξガンダムのサイコミュが受信しハサウェイに届いたのだ。

その魂の叫びで、一瞬、ファンネル・ミサイルが制御不能に陥り、クェスのFX93のビームシールドとガトリング砲に全て落とされる。

ハサウェイはそんな声にも首を振り……、再び意識を小型のガンダムに持って行こうとする。

 

だが、その隙にFX93はΞガンダムの背後に一気に迫り、肩車のように圧し掛かった。

 

「何をーっ!!」

ハサウェイはΞガンダムの手首に仕込んであるビームサーベルを発振させ、肩に乗ったFX93を切ろうとするが、FX93のビームサーベルに阻まれる。

 

「ハサウェイ!!いい加減にしろって言ってるのよ!!」

 

「お、女?女の人の声……でも、え?……俺を…僕を知ってる?」

その声はモビルスーツ同士の接触による回線で、Ξガンダムのコクピットのハサウェイにまで届く。

 

Ξガンダムの動きが止まった隙に、FX93からノーマルスーツ姿の人影が飛び出し、Ξガンダムのコクピットブロックがあるフレームをガンガンと叩く。

「ここを開けなさい!!ハサウェイ!!」

 

「え……何を?……君は誰?」

ハサウェイは混乱の坩堝に陥り、何故か素直にコクピットブロックを開ける。

 

そして……

その女性がノーマルスーツのヘルメットを外して、エメラルドグリーンのロングヘア―をふぁさっとたなびかせながら、Ξガンダムのコクピットに入って来た。

 

その女性を見上げるハサウェイは、茫然とした顔でそんな感想を漏らす。

「……妖精?……綺麗だ……」

 

「ハサウェイ、久しぶりね。あんた、こんな所で何やってるのよ?」

その妖精は腕を組み、怒りの形相に表情を変え、ハサウェイを睨みつけていた。

 

「え?……ま、まさか、まさか、……クェス……なの?そんな……死んだんじゃ……」

ハサウェイはノーマルスーツのヘルメットを取り、唖然としつつもその目は女性の顔を捉えたままだ。

ハサウェイはその顔立ちに、12年半前に出会い淡い恋心を抱いたクェス・パラヤの面影を重ねていた。

 

「誰が死んだって?散々てこずらせてくれたわね…歯を食いしばれーーーー!」

そして、次にハサウェイの目に映った物は、女性の綺麗な手、では無く拳だった。

ハサウェイはそこで意識が途切れる。

 

クェスの怒りの拳がハサウェイの顔面にめり込み、ハサウェイはそのまま気を失ったのだった。

 




遂にクェスはハサウェイと決着を……

というわけで漸くクェス編も佳境に……
この後の展開は、ここまでお付き合いして頂きました皆さまは、多分お分かりだろうと思います……

この後のハサウェイの末路は……

  • ブライトに二回殴られる
  • クェスに再び殴られる
  • ミライさんにビンタされる
  • エドに説教+頭叩かれる
  • 真実を知って気絶する。

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