誤字脱字報告ありがとうございます。
やっぱ伸びました。
次で終わらせたい。
ハマーンとジュドー。
サイド3宙域での決闘から、実に16年半ぶりの邂逅を果たす。
当時はキュベレイとZZで激しい戦闘を繰り広げていたが、今は直に顔を合わせ、静かに言葉を交わし穏やかな時が流れている。
ポツリ、ポツリとだが会話を始めた頃。
誰かが3階の居住スペースに訪れる。
「あ~っと、そういや来客があるって言ってたな」
少々目の鋭い白衣姿の中年の男が、そう言いながらリビングに入って来た。
ジュドーとルーとリィナはリビングの扉の方へ顔を向け、リィナは「お邪魔してます」と挨拶をし、中年の男は白衣を脱ぎながら「よお、リィナ」と手を上げて挨拶を返す。
ジュドーとルーはこの初対面の男に会釈する程度で収めたが……
ハマーン、いやローザは立ち上がり、その中年の男のそばに歩みより、ジュドーとルーに向かってこう言った。
「紹介しよう、私の旦那だ」
「エドワード・ヘイガーだ。街医者をやってる」
「はぁ~~!?」
「ええ!?」
ジュドーとルーはハマーンが紹介した人物の存在に大いに驚く。
「何を驚いている?私の自慢の旦那だ」
ローザはエドの左腕を抱き寄せ、ジュドーとルーに見せつけるようにし、不敵な笑みを浮かべていた。
「い、いや……その、まいったな。そのハマーンが結婚してるというのは意外というか……」
「そ、そう。イメージにないというか……」
ジュドーとルーがそう言うのはある意味仕方がないのかもしれない。
本人も女を捨てたと豪語する程の女傑だったからだ。
ハマーンに心酔する輩は、今も昔も多数いるが、それは恋愛等とは程遠く、女王様と犬のような関係だった。
「なんだ、そんなにおかしいか?」
ローザは憮然とする。
「お前言われてるぞ。……まあ、俺もそう思っていた時期もあったんだがな」
「エドに言われると辛いぞ」
「悪かったって」
エドはローザに告白される前までは、妹であったローザの将来を本気で危ぶみ、ローザと添い遂げる事が出来る伴侶はどこかにいないかと真剣に探そうとしていたという過去がある。
そんなエドの言葉に、ローザは上目使いで眉を顰めて見せ、エドはローザの肩に触れ、軽く謝る。
「……………」
「………なに、この敗北感」
ジュドーはローザとエドの仲睦ましい姿を見て、呆けたまま。
ルーは何故か、唇を噛んでいた。
「お兄ちゃんとルーさん。ほら、自己紹介しないと」
リィナはそんな二人に声を掛ける。
「あ、ああ。……ジュドー・アーシタです。ハマ……ローザさんの昔の知り合いです」
「ルー・ルカです。顔は合わせた程度でしたけど。……い、一応、ジュドーの彼女です」
リィナに促され、2人はソファーから立ちあがり、エドに対し自己紹介をし出す。
ジュドーはしどろもどろに、ルーも自己紹介をするのだが、最後の方は自信が無さそうに声が小さくなる。
「改めて、私はローザ・ヘイガーだ。エドワード・ヘイガーの妻だ。結婚から10年になる」
ローザは改めて、自信満々に二人に自己紹介を行った。
「………」
「………10年」
二人はまだ、立ったまま呆けてる。
そこに勢いよくリビングの扉が開け放たれ、小さな人影が入って来る。
「お母さん、お父さんただいま!」
「お母たん、おとたん、たたいぁ!」
ピンク色の髪色の、顔立ちがよく似た子供たち、見るからに姉妹なのはわかる。
しかも、どこか誰かの面影が多分にあった。
二人の姉妹は勢いよく、リビングに並んで立ってるエドとローザにしがみ付く。
「おかえり」
「おかえり、二人共手は洗ったか?」
エドとローザは二人の姉妹の頭をそれぞれ撫でる。
「へ?ほえ?」
「はぇ?へ?」
ジュドーとルーはその様子にまたしても驚き、さっきよりも衝撃を受けたようで、変な声が漏れる。
「二人とも、お客さんに挨拶をしなさい」
ローザは腰を落とし、二人の姉妹をジュドーとルーの方を向かせ、言い聞かせる。
「ミーナ・ヘイガーです。小学3年生8歳です」
「レオナ・ヘイガー…5ちゃいです。おいたんとおまたんはだ~れ?」
ミーナは礼儀正しくお辞儀と自己紹介をし、レオナもミーナに続いてお辞儀をし、たどたどしく自己紹介をジュドーとルーに向かってする。
「……………」
「………」
「うむ、私の娘達だ。もう一人下に1歳半になるアリスがいるが、今は寝室で昼寝中だ。後で会わせてやろう」
「お兄ちゃん、ルーさん。子供たちがちゃんと挨拶してるのに、返してあげないと」
リィナはまたしても呆けてる二人に、挨拶をするように促す。
「あ、ああ……えっーと、ジュドー・アーシタっていうんだ。えーっ、お母さんの友達だ」
「おまたんって…おばさん?…私の事?……う…。ルー・ルカです」
「こっちは私のお兄ちゃんで、ルーさんはお兄ちゃんの恋人なのよ」
リィナは二人の子供達に捕捉する。
「リィナたんのおにたんが、おいたんで、おいたんのこいーとが、おまたんなの?」
レオナはいまいちわかっていないようで、首を傾げながらリィナに聞きなおす。
どうやら、二人の子供達とリィナは親しいようだ。
「もう少ししたら、ご飯にするから二人とも、部屋で遊んでなさい」
「「はーい」」
二人の姉妹は元気よく返事をして、子供部屋へと駆けて行く。
「………」
「………」
「3人とも昼食はまだだな。今から作るから待っててくれ」
「ありがとうございます」
「………」
「………」
「俺が作るぞ。折角再会したんだろ。お前は客の相手をしてればいい」
「いや、私が食事を2人に振舞いたいのだ。エドが相手をしてくれ」
「そう言う事なら、まあ、しゃーないか」
「………」
「………」
「私も手伝いましょうか?」
「リィナは客だ。座っておけ」
「じゃあ、せめてお皿洗いだけでも」
「そうか、頼む」
「………」
「………」
「リィナとローザから君らの事はあらかた聞いてる。んん?座ったらどうだ?」
エドはソファーに座り、未だ立ったまま呆けてる二人に座るように言う。
「そのすみません。余りにも衝撃的だったので……もっと、こう、なんていうか、昔はその、家庭的な事からかけ離れていたと言うか……その、もっと、こう、なんていうか」
「………………」
「言いたいことはわかる。あいつと出会った際は、常に上から目線のいかにも女王様って感じだったからな」
「随分と感じが変わったと言うか……印象が変わってて、髪型とか髪の色が違ってたというのもあったんですが、最初は誰だかわからなかった」
ジュドーはさっきローザと対面した時の印象をエドに素直に話す。
「そうだろうな」
「その、ハマ…ローザさんとはどうやって知り合ったんですか?」
「それな。多分あいつと君が戦った後だ。俺は戦時医療派遣のために医療船で移動中に、あいつの脱出ポッドを拾ったんだ。かなり重症で、半年以上目覚めなかった」
「そうなんですか。……ハマーンと分かって助けたんですか?」
「いいや、最初は分からなかった。途中で分かったが、そのままってわけには行かねーだろ?リハビリも含めて、回復までに1年以上かかったな」
「どうして、エドワードさんは……」
「エドでいいぜ。あいつがやって来た事は俺も許せなかったが、あいつ自身は悪い奴じゃなかったんだ。それが分かったから、最初は身分を隠すために、俺の妹として置いてやったんだ」
「妹として……」
「結婚は何故?」
ちょうどその会話の途中にローザはエドのために紅茶を置きに来る。
「それは、私から告白したからだ。私がエドに拾われてから5年目にな、私はその前からエドに懸想していたからな。私の旦那は色恋沙汰には鈍感でな。苦労した。気が付いてもらうだけでも1年半、あの手この手を使ったのだが、最終的には友人連中に頼んでようやくだ。そこからも長かった」
「ああ、それについては、言い訳のしようがねえよな」
エドは苦笑気味に応える。
「………あの、ハマーンが告白?」
「…………なに、この惨敗感」
ジュドーとルーはそれぞれ独り言のように小声でこんな感想を口ずさんでいた。
そんな会話をしていると、再び3階のリビングの扉が開き、人が入って来る。
「ただいま」
「ただいま戻った」
亜麻色の髪に顔立ちがそっくりな二人の女性が入って来る。
髪型がショートカットの方は姉のリゼ、サイドダウンでまとめている方が妹のマリーダだ。
「帰って来たか」
「リゼさんにマリーダ、こんにちは」
「おかえり。頼んでいた、食材は?」
エドとリィナ、ローザはそれぞれ挨拶を返す。
「リィナ、もう来てたんだ」
「ローザ姉さん、頼まれたものはこれだ。そこでシムスさんに会って、卵を貰った」
リゼとマリーダはキッチンに持っていた食材を置く。
「…………」
「…………」
ジュドーとルーはその二人の姉妹の顔をボーッと眺めていた。
まるで、誰かと誰かの面影をそのまま、この二人に重ねていたようだ。
その誰かというのは、プルとプルツーの事だった。
リゼとマリーダの姉妹が、プルとプルツーが生きて成長すれば、丁度こんな感じになるだろうと思わずにはいられなかったのだ。
リゼとマリーダはエドの座るソファーの後ろに立ち、二人に自己紹介をする。
「リゼ・ヘイガーです。リィナのお兄さんのジュドーさんとその恋人のルーさんですね」
「改めて、マリーダ・クルスだ。まさかリィナの兄だったとは、邪険にして済まなかった」
「俺の妹達だ。ん?どうした二人とも?」
固まったようにリゼとマリーダの顔を眺める二人に、エドは声を掛ける。
「あっ、そのジュドー・アーシタだ。……似てる。やっぱり似てる」
「……ルー・ルカ………似てるわ」
ジュドーとルーは漸く声が出せたというように、名乗るが、それよりも二人が自分達の古い知り合いに似てることに衝撃を受けていた。
「似てるって、プルさんって人ですよね。リィナからは聞いてます」
リゼがそんな二人に微笑みながら、その名を口にする。
「そ、そうなんだ」
「ええ、そう」
「それは似てて当たり前だ。遺伝子上は私達と同じだからな」
マリーダの口から、さらに衝撃的な事実をサラッと出て来たのだ。
「やっぱり、…プルとプルツーの……戦場で生き残った姉妹」
「………まさかとは思ってたのだけど、そうなのね」
「私はそうだ。あの戦場で唯一生き残った。元プルシリーズと呼ばれる存在だった。だがリゼは違う」
「私はその前に廃棄処分されるはずだった素体。能力が発現しなかったから、処分されるはずだったのを助けられて、エドお兄ちゃんの元に」
マリーダとリゼはジュドー達に真実を告げる。
「………そ、そんな事が………プルの姉妹が生きて」
ジュドーはまた、目尻に涙が溜まっていた。
「エドワードさん……貴方は?どういう方なんですか?元ネオ・ジオンの研究者?」
ルーはそもそもの質問をする。ハマーンを救い、プルの姉妹たちを救った人物だ。
そう思うのも無理もない。
「いいや、俺は唯の街医者だぞ。まあ、昔は連邦軍で軍医やってた事もあったが、もう20年以上ここで医者をやってる」
「………」
「………」
二人はリゼとマリーダの過去に、後の言葉が出ないのか、沈黙の間が少々訪れる。
そこでリゼはジュドーとルーに感謝の意を述べる。
「私達の姉妹を助けようとしてくれた事に、感謝します」
「いや、俺は……救えなかったんだ。あの時の俺は子供で……あの子達を……ごめんな」
「ごめんなさい。私は……何も……」
ジュドーとルーは、戦場で死なせてしまった二人の事を思い出しつつ、今こうやってその姉妹が穏やかに生活をしてる事実を知り、再び後悔の念が沸き上がり、二人に謝った。
「まあ、アレだ。人生なんて何があるかわからない。その時々で精一杯やるしかない。君らも精一杯やって来たんだろ?」
「……やり様はあったはずだった」
「………」
「あー、俺も二度の戦場を経験した。一年戦争とデラーズ・フリートだ。まあ、直接戦ったわけじゃないが、軍医として前線に出ていた。特に一年戦争では、俺も後悔をいっぱいした。あの時にあの医療機器が有ればとか、薬があれば助かった命はもっとあったってな具合にな。今もあの時の事を思い出す事もある。それは仕方がない事じゃないか?あとだ。慰めにも何にもなんねーけど。君らが十数年経っても後悔する程大切に思っていたってのは、その子達にとって救いじゃねーか?」
「……だといいですね」
「………」
「湿っぽいんのは無しにしようぜ。苦手なんでね。もうそろそろ飯も出来るが……激甘料理は得意か?」
エドはそう言って、話を終わらせる。
そして、昼食が始まる。
ローザ手製の、激甘オムライスにチキンソテー、ヘイガー家特製ジャガイモスープとサラダ盛りがテーブルに並ぶ。
エドにローザ、リゼ、マリーダ。幼い3人の姉妹に、リィナとジュドーとルーが加わり、和気あいあいと食事が進んでいく。
「甘っ、だけど美味いなこれ」
「でしょ、ローザさんは何でも甘くしちゃうんだけど、みんな美味しいの。特に甘口カレーは物凄く美味しいのよ」
「…………すべて負けた。何この完膚なきまでの敗北感」
ジュドーとリィナはローザの激甘料理を堪能し、ルーは何故か敗北感を感じていた。
次はセイラさんでるよ。
という事は…………アムロガールズが……
ジュドー達とは、チェーンさん以外はちょっとは関りがあるかもしれませんね。
その他の方々も出ます。
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