ようこそ才能至上主義の教室へ   作:ディメラ

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大人の世界

 

 

 

 坂柳さんとの関係を矯正した翌日、僕は今日も金田くん達にクラス会議を任せ、放課後の時間を一人で行動していた。

 今日は木曜日。3月14日の日曜日が10種目の最終受付日であり、明日の金曜日も今日と同じように議論を積み重ねてもらう。そして土曜日に主要メンバーで集まって最終案を確定し、学校側に提出する予定だ。

 自由に動けるこの三日間に、土壌を整えるためにやらなくてはならないことがある。

 

 昨日は坂柳有栖。今日は月城理事長代理だ。

 

 試験の対戦相手を決める日、僕は話し合いの場を組んでもらうように坂上先生を通じて連絡していた。

 学校の理事長代理に一生徒が面会するという事態だが、辻褄合わせとなる理由はいくつか浮かぶので、不審には思われない。

 既に、諜報員と暗殺者の才能は併用しており、万全の態勢を敷いてきた。

 理事長室までの道のりにあったカメラはハッカーの才能ですり替えている。

 証拠は何一つ残さない。この世界に大きく影響を及ぼす可能性のある人物である以上、使える物は全て使っていく。

 

「失礼します」

 

 ノックをした後、理事長室へ。

 目的の人物は高価な机と椅子の上で職務に勤しんでおり、こちらの声に反応して顔を上げた。

 

「こんにちは、カムクラくん。待っていましたよ」

「こんにちは、月城理事長代理。本日はお時間を取っていただきありがとうございます」

 

 月城は僕の気配を察知できなかったことに驚きつつも、その感情を押し殺して礼節と笑顔を張り付けた。

 ペンを置き、組んで指を机に置いて構えるその姿は堂々としていて、余裕ある大人を想起させる。

 大した印象操作、僕でなければその真意を読み取ることはできないレベルだ。

 

「早速、本題に入りましょう。私も多忙の身なのでね。いくら学年一優秀な生徒の頼みとは言え、そう長い時間は取ってあげられないのですよ」

 

 その言葉に嘘はなく、理事長代理に就任した彼には多くの業務があるのだろう。

 僕は彼の職務机の前まで進み、座る彼を見下ろしながら本題を切り出す。

 

「今日はお願いをしに来ました」

「お願い、ですか。約束や命令ではなく、お願い……随分と興味深いですね」

 

 勿体ぶって言うが、月城の表情に変化はない。

 むしろ、視線を強くして先を話せと無表情で訴えてくる。

 

「僕のお願いは2つ。あなたの目的を教えて欲しいことと、僕の目的の邪魔をしないで欲しいことです」

 

 僕は包み隠さずに要求を告げる。

 しかし、漠然とした言い分のためか、月城の反応はなし。僕の言葉の裏を読もうと思考を回している。

 

「私の目的、ですか。理事長代理としてのこの1年の目標という意味だとすれば、さして君に話す必要性を感じませんね。そして、君の目的の邪魔と言っても、私は君の目的をそもそも知りません。説明不十分な質問では困りますよ」

 

 こちらを煽る言葉がゆっくりと話される。しかし、糸目には強い警戒が宿っている。たった1人の高校生を学校の最高責任者がここまで警戒する必要はない。

 だが、彼が僕を“超高校級の希望”と理解しているならば、この行動は正しい反応とも言える。

 

「前にも言いましたが、僕はあなた方の敵になるつもりはありません。だからこそ、この前の選挙ゲームであなた方の利が出るように立ち回りました」

 

 以前と同じように敵意がないことを、僕は明かす。

 前回の投票試験における僕と坂柳さんへの学校からの追加指示。明らかに第三者の意思が反映されたそれに対して、僕は現状における最優の結果を提供した。

 月城にはそのことを事前に説明し、その結果通りに事が運んでいるので、僕のこの言動は一定の信頼がある。

 

「確かに、君はこちらに有利な展開に事を運んでくれました。その点は正しく評価しましょう。しかし、それだけで私の目的を教えられるほど友好関係を築けたとは思っていません」

「そうですか。では、あなたの目的は今後信頼を築いてから教えてもらうとしましょう」

 

 月城の目的は聞ければラッキー程度のものなので、深く追求しない。

 現状は綾小路清隆の退学を狙っているか、彼の成長を促すための試練としての役割を持っているかが有力候補。大方の推測はできているので、下手に相手の機嫌を損ねる必要はない。

 

「では本題に入りましょうか」

「君の目的の邪魔をしない、でしたね。まずはその目的について教えてもらいましょう」

 

 煽るような口調はなくなり、スムーズに会話が進む。

 

「僕の目的は舞台を整えること。次の一年間で各クラスを成長させ、二年後に成長した彼らが100%の実力で競争できる舞台を作り出す予定です」

「それはまた、大層なことを考えていますね。それを邪魔しないために、私はどうすれば?」

「投票試験のような理不尽なイレギュラーを止めてください。不要な退学者が出て、未知が狭まるのはツマラナイ。やるのならば、綾小路清隆にのみ狙いを定めてください」

 

 月城の眉が僅かに動く。

 これまで表情を全く動かさなかった男の僅かな変化。少しの沈黙の中、互いの視線がぶつかり、出方を探り合う。

 しかし、それは数秒の出来事。すぐに、彼は諦めるかのように溜息を吐いた。

 

「もし、その言い分を聞けなかったら?」

「あなたを排除すべき敵と認識します」

 

 この学園で起きる競争をよりオモシロイ未来にするために、その土壌を作り出す。

 それが、今の僕の目的。しかし、前回の投票試験のようなイレギュラーは必要ない。くだらない不運によって退学者が出るような試験は未知を狭める。

 もったいない。この学園内で起きるイレギュラーならまだしも、綾小路清隆を退学にするだけの余計な茶々を入れられるのはツマラナイ。

 混沌は歓迎だが、それで起こり得た大きな未来も捻じ曲がってしまうのはツマラナイ。

 邪魔。僕の目的の障害にならない程度、それこそ彼だけに追加で縛りを与えるような負荷を与える形ならば歓迎だ。

 

「困りましたね。君とは敵対しない方針が決まったばかりだと言うのに。できるなら君の要望を聞きたいのですが……、私にも立場というものがある」

 

 やれやれと言った様子で、月城は情報を小出しにしていく。

 敵対しない方針、まるで誰かとともに決めたかのような発言だ。

 

「何も彼へ仕掛けるのをやめろとは言っていません。むしろ、彼への試練は歓迎します。しかし、無駄な被害を出さずにして欲しい。そんな小さなお願いです」

「難儀なお願いですよ。しかし……、良いでしょう。私としても、上から余計な小言を貰うのは避けたいですからね」

 

 すんなりと了承の言葉が出てきた。

 少しの予想外。こうも簡単に事が運ぶと、何か裏があると想定してしまう。

 これで目的は達成。一旦の要求は通せた。ポイントを払った所で強制力は与えられないので、今は後手で良い。

 

「綾小路篤臣は正しく僕を警戒しているようですね」

「はい。あの方は、あなたをひどく警戒しています」

 

 月城はそこで一度言葉を切る。

 視線は僕に固定されている。僅かに見開いたことで見えた瞳がこちらの反応を測っている。

 踏み込んだ肯定によって僕から生じる情報を、自分たちの組織についてどこまで知っているか、何を知っているか、その境界線を探ろうとしている。

 しかし、僕の動くはずのない表情を眺め飽きたようで、月城は小さく肩を竦めた。

 

「もっとも、あの方は基本的に他人を信用するということはしません。その中で、あなたへの警戒は比重が大きい。だからこそ、不思議で致し方ありません」

「ただの一高校生を、権力持つ大人が警戒することがですか?」

「はい、その通りです。だからこそ、私も少し興味が湧いてきました」

 

 初めて、月城が個人の感想を告げる。

 組んでいた指を解き、小さく息を吐けば背もたれに軽く背を預ける。

 リラックス状態、それが演技ではないことをこの目は既に分析している。

 となれば、こちらへの警戒が十分に緩んできたと見ていいだろう。

 

「今回は踏み込むのが早かったですね」

「好奇心ですよ。あの方が“存在してはいけない怪物”とまで言っていた高校生、その意味が実際に相対してみて分かりましたから」

 

 その言葉に嘘はないが、違和感を覚える。

 僕の存在を知っているからこそ、綾小路篤臣は月城に多くの情報を共有している。そう想定していた。

 だが、月城の様子から察するに僕の素性までは知らないようだ。

 月城が綾小路くんを退学にする、あるいは成長を促す試練として派遣されたとして、それにしては持たされた情報が少なすぎる。

 理事長代理として、僕に接触する機会が多いならば尚のこと。危険視して敵対を避ける選択肢を取るつもりならば、ボロを出さないためにも多くの情報を話しているはず。

 しかし実際は、規格外の存在であることは伝えたようだが、その素性や本質は話していない。

 知らないまま、警戒している。つまり、情報を伏せている。

 意図的だろう。世界の真実を知っているのは彼のみ。オールデリートの影響によって、この世界で希望ヶ峰学園の話をしても腫れ物として扱われるのは目に見えている。

 しかしだとしても、本来なら共有しておくべき情報すら渡していない。

 

(なるほど、大人の世界とは面倒ですね)

 

 小さな矛盾、推測を続けると1つの可能性に辿り着く。

 一枚岩じゃない。月城は優秀だから送ったが、綾小路篤臣からすると完全な信頼を置けない可能性がある。ゆえに、全ての情報を与えなかった。

 はたまた、綾小路清隆同様に自分以外の人間を信じていない性格ゆえか。

 何にしても、月城の立場は複雑な位置にありそうだ。

 

「そろそろ腹の探り合いもやめましょう。君のようなモンスターとこれから何度も話し合っているとこっちの方が気が滅入ってしまいます」

 

 月城は再度腕を組み直して、姿勢を正す。

 ゆっくりと警戒を解していき、ようやく彼の本音を引き出すに至る。

 どんな情報が出てくるか。より複雑な未知になる言葉を、僕は期待する。

 

 

「────君はいったい何者なのですか? 素性を探ってみましたが、至って普通の経歴しか出てきませんでした」

 

 

 職場として来た学校にいた未確認のモンスターに対しての当然の疑問。

 何者か。その質問はもう聞き飽きている。

 だから答えても良かったが、僕を正しく認知していない人物に説明しても効果的とは言えないので、その質問には答えない。

 僕の経歴は日向創がうまく設定しているのだろう。いくら戸籍を探った所で僕の素性は明かせない。

 

「至って普通の高校生ですよ」

「面白くない冗談ですね。あの方が警戒している以上、天然モノのモンスターではないでしょう。同時に、あなたが私の知らないホワイトルーム生でないことも確定です。となれば、どこかの陣(・)営(・)から送り出された秘策という可能性が高い」

 

 どこかの陣営。

 率直に考えるならば、ホワイトルームを運営している綾小路篤臣を中心とした陣営と敵対している陣営。どこかという言葉から敵対陣営は複数いる可能性もある。

 そして、この情報は心当たりがある。

 学園の外で渦巻いている大きな陰謀。その台風の目が、綾小路清隆。その父親である綾小路篤臣と敵対している陣営は、既に日向創から聞いている。

 

「そして、これは個人的な分析によるものですが……、どうにも、あの方はあなたを酷く毛嫌いしているようだ。その理由までは知りませんが、少なくともあの方を害することができるような陣営にあなたは所属しているのでは?」

「個人的な物言いと抽象的な言葉、説明不十分な質問では困りますよ」

「多少は表情が変わっていれば、可愛い子供と思えたのですがねぇ。まったく、度し難いほどにあなたは感情を表に出さない」

 

 質問する側が変わったので、初めの趣旨返しを兼ねて言葉を使う。

 しかし、彼は冷静な大人。こちらの煽りを意に介さずに会話を続けるため口を開く。

 

 

「単刀直入に聞きましょう。あなたは────鬼島陣営の手の者ですか?」

 

 

 粛々と語る月城によって、さらに新しい情報が追加される。

 鬼島、やはり日向創が言っていた名前だ。綾小路篤臣と敵対している陣営の長。

 綾小路篤臣の指示でここに赴任してきた月城がそう疑うことは妥当ですね。

 

「綾小路篤臣が僕に憎悪に近い感情を抱いていることは間違いありませんが、僕は鬼島陣営に所属していません」

「……そうですか。ならば、猶のこと君の素性は謎が深まってしまいましたね」

「だから、あなたが僕を信用することはないと? それは早とちりです。別に、あれが僕に憎悪を抱く理由くらいなら説明しますよ」

 

 月城の目がさらに細まった。

 僕が素性を隠しきると踏んでいたのだろう。しかし、僕としてはわざわざ隠す必要のない情報だ。

 

「彼は見てしまったんでしょうね、僕が生まれるその過程を」

「その過程とは?」

「自分の教育施設と似て非なる環境で、何の才能もない人間が才能を植え付けられ、その成功例が出てしまったということをですよ」

 

 日向創は綾小路篤臣のことを元政治家と言っていた。

 ならば、それなりの権力を有していて、どこからかのつてでカムクラプロジェクトを覗き見れた可能性は十分にある。

 徹底した教育によって実力ある人間を育てる組織の最高責任者。そんな彼にとって、より合理的で倫理観が消えているプロジェクトは見ざるを得ない。

 そして見てしまったからこそ、己の理念を否定している存在を許せない。至極単純で、当然の帰結だ。

 

「つまり、あなたもホワイトルームのような過酷な環境で育った子供だと?」

「はい。そして、その環境が綾小路篤臣にとっては許せない場所であった。ただそれだけの関係ですよ」

 

 嘘は言っていない。

 あのプロジェクトを過酷という言葉で片づけていい訳はないが、説明が面倒なので、月城には勝手に納得してもらおう。

 賢い彼ならば、自分の知らない研究機関や国家が隠している、あるいは他国育ちの人間と推測していくだろうが、どれも確証を得ないことに辿り着く。

 そこから分からない存在と断定させ、そういう理不尽な存在と捉えて接してくるはずだ。

 

「話は以上です。くれぐれも、次の試験では余計な茶々を入れないようにお願いいたします」

「私が子どもの言い分を本当に聞くと思っているのですか?」

「この話し合いを断らなかった時点で、僕があなたたちにとって影響のある存在ということは理解できましたから」

 

 どこまでいっても、僕の今回の目的は彼らにお願いをすること。

 強制力は決してない。たかが高校生の一お願いなど、業務命令が下れば無視されてしまう。

 たとえそうなっても、こちらとしては彼らを排除する段階にシフトすればいい。

 しかし、僕の推測ではこちらの要求が通る可能性は高いと見ている。

 彼らは綾小路清隆を本気で退学させようとは思っていない。

 本気で退学させるつもりならば手緩いからだ。となれば、綾小路清隆にはこの学校において何かしらの役割を担わせられていると思う方が納得がいく。

 圧力をかけるように選挙ゲームで接触したことから、退学させようと仕掛けることは間違いない。しかし、本気では退学させないはずだ。

 そして、仮に退学に仕向けられてもやりようはある。彼が自ら退学を望まない限り、助けることは可能だ。

 今回は見極め。僕の目的の障害になるか否か。今回はそれを判断する基準になればいい。

 

「本日はお時間を頂き、ありがとうございました」

 

 僕は一礼せずに彼に謝辞を述べる。

 そのまま理事長室を後にし、帰路についた。

 

 

 

 ──────

 

 

 

「今日の話し合いはこれくらいにしておきましょう。皆さんの行いたい種目、要望は全てカムクラ氏に報告しておきます」

 

 カムクラ率いるBクラスは、金田を纏め役として椎名、矢島、園田、木下の計5名で特別試験についての議論を進めていた。

 今日はクラスメイト一人一人の得意なことと要望を把握しつつ、10個決めなければならない種目の提案を行っている。

 カムクラからはある程度行う種目を決めている旨は伝わっているが、金田はクラスの意思確認も兼ねて自身でも確認していた。

 

「椎名氏、今回のことで疑問に思ったことはありますか?」

 

 放課後から30分程経過し、今日の議論は終了前。金田は一目置いている椎名から何か意見があるかどうかを問う。

 

「ありません。議題は円滑に進められていたと思います」

「ありがとうございます」

 

 目敏い分析力を持つ椎名からも問題なしの評価がもらえれば、確認作業は終了する。

 参謀としてこれまでも議論に参加することはあったが、自らが中心になって進めるとなると、疲労はより多く、金田の想定以上に溜まっていた。

 議論は教卓で行われていたため、彼は教卓前の席に腰掛けることで一息つく。

 かつてのリーダー龍園のように教卓の上に座り、集団を見下ろしながら纏めるようなことはしない。そんな柄でもない上に、金田はこの行動で学校から減点を受けたくないからだ。

 

「お疲れさん」

 

 腰かけた金田の元へ、園田が飲みかけのコーヒーが入ったペットボトルを持ってくる。

 これは先程まで教卓の上に置いておいた金田の私物だ。気を利かせて持ってきてくれた園田に、金田は感謝を告げた。

 

「薄々分かってはいたけどさ、金田もリーダーの素質あるんだな」

「ありがとうございます。ですが、僕は参謀役の方が向いていると自負していますよ」

「参謀も向いてると思うけど、リーダーとしても頼りがいがあるように感じたぜ。しっかりと話し合いの場を設けてくれたしよ」

 

 中心人物とともに円を作り、同じ目線で全員を見渡せる形を取りながら議論を進める。

 金田の取った方法は特別なことではないが、絶対的なリーダーを中心にしたものとはまた違う。

 

「今までは……僕がまとめる必要はありませんでしたからね。龍園氏然り、カムクラ氏然り、どちらも僕など比べるまでもないほどにリーダーの才をお持ちですから」

「……まぁ、そうだな」

 

 龍園よりもカムクラをリーダーとして推す園田はやんわりと肯定した。

 龍園がリーダーであることは気に入らないが、それでも集団を率いていく才は認めざるを得なかった。

 

「園田くんは龍園くんが嫌いなのですか?」

 

 帰り支度をしていた椎名が会話に参加する。

 龍園本人は既に帰宅しているとはいえ、躊躇いなく聞く椎名の度胸に、園田は内心驚く。

 

「好きな奴は少ないだろ。あの性格と日頃の行いを知ってる奴なら、なおさらな」

「確かに、龍園くんの普段の態度はあまりよろしくはないですね。でも、私は嫌いじゃないですよ」

「……椎名さんってああいう系が好みなの?」

「好みではないと思います。ただ、今の龍園くんはリーダーとして常に学ぼうとする姿勢が見受けられますし、最近は前より危うい様子もありません」

 

 椎名の言い分に、金田と園田は納得を示す。

 

「確かに、12月頃のDクラスへのちょっかいを最後に、大分大人しくはなった気がするな」

「12月……丁度X探しの頃ですね」

 

 金田が思い出したかのように告げれば、園田はその年月とX探しの結末を振り返る。

 12月のX探しを最後に、龍園の危険な行動は鳴りを潜め始めた。

 Dクラスの裏にいる実力者、龍園はその存在をXと呼んでいて、その捜索に力を入れていた。

 最終的には、なかなか見つからないXの存在に龍園が腹を立て、石崎、アルベルト、カムクラの3名を呼び出して粛清を行おうとしたのだが、返り討ちになってそのままX探しが突如中止になった。

 少なくともそう石崎からは聞いているが、実際の所は不明瞭な点が多い。

 

「まぁ、あの一件の後からカムクラさんが台頭してきたし、その影響もあるのかもしれないな」

「混合合宿が始まる前、龍園くんを一度リーダーの座から下ろしたとカムクラ氏は言ってましたし、2人の間には複雑な因縁がありそうですね」

「因縁……ふふ、確かにそうですね。あの2人の奇妙な友情関係はそう表現するのが正しいのかもしれません」

 

 椎名は金田の発言にお淑やかに笑う。

 曇りない純粋な異性の笑み、整っている表情の椎名のそれは破壊力抜群で、2人の男子生徒は思わず声を漏らしそうになる。

 

「……椎名氏、奇妙な友情関係というのはどういう意味でしょうか」

「そうですね、直感的にそう表現しただけで深くは考えていませんでしたので、言葉にするのは難しいのですが……2人は、まるで師と弟子のような教えを説く側と乞う側の立場ですよね。しかしその距離感は近く、ただの友人のように思える時もあって……でも、やっぱり敵であってほしいことを互いに願っているような矛盾を内包した関係というのが私の感じた二人の関係性なのです」

 

 分析力の高い椎名にしては歯切れの悪い言葉だったが、園田も言わんとしていることは分かった。

 龍園からすれば、カムクラは自分より凄い人間で競い合いたい。カムクラからすれば、自分を越えようとしている者へ未知のために成長を促す。

 互いに自分のために動いているのに、袂を分かつことなく協力してクラスの成績を上げていた。確かに、奇妙な関係だ。

 

「でも、今やカムクラさんがリーダーとなってその関係性も変わりそうだぜ。この前の投票試験で2人のリーダーとしての決着はついたしよ」

「そうですね。龍園くんは、これからカムクラくんから学べる所を探すのでしょうが、カムクラくんがこれからどのように行動するかで大きく変わりそうです」

 

 Bクラスのリーダーとなったカムクラの行動は今や一学年で最も注目が集まっていることと言っていい。

 暴君の退陣、怪物の台頭。今回の試験がこれからの将来が変わる節目となっていることは3人とも異論なかった。

 

 

 

 




よう実0巻、あれ酷いよね。売り方がカス。
それはそれとして、政治関係は本当に難しい。出来れば書きたくない。

神座クラス⇒金田を中心にして特別試験の準備中。他の中心人物は園田と椎名。頭脳面で優秀な3人を採用していて、種目の話し合いと選定を頑張っている。龍園がリーダーなら絶対にやらない放任主義。龍園目線、ここを付け入る隙と思っていたが、最終的な判断がカムクラに依存しているため、反旗を翻すには弱いと判断して途中から参加していない。相変わらず問題児。
また、前回の選挙ゲームでボコボコにされたが、カムクラとは普通に話す。クラスからは相変わらず嫌われているが、実力だけは認められているので誰も文句は言えない。

園田⇒原作だとサッカー部所属くらいしか情報がない。実質オリキャラとして運用している。本作では船上試験で竜グループに参加していたことから優秀な生徒と判断。クラスの中心人物とまではいかないが、人気な男子という感じで書いてる。サッカー部という事で運動神経、コミュニケーション能力が〇。竜グループだったことから勉強面も〇。カムクラの指示に忠実で真面目に頑張っているから平田に近しい生徒として活躍中。

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