ヒーローとは一種の狂人である   作:科葉諸友

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氏ね!この性悪白髪野郎め!!

恋愛。皆はしたことがあるだろうか。

 

俺の恋愛は、幼稚園の頃から片想いしていた幼馴染に告白するも、返事を貰う前に親父の転職で転校することになった小学4年生の春の思い出と、普通に振られた6年生の秋の思い出、そして長いこと片想いしてた子に実は彼氏がいた中学校3年生の夏の思い出くらいしかない。

 

泣きたくなるぜ。しかも中学校からは制服の着用が校則になったため俺の有り余るオシャレセンスを活かせなかった。

 

が、この高校のヒーロー科なら違う。この学校は授業で使うヒーローコスチュームがあるのだ。

だからそこでイケメンコスチュームを用意すればモテる。

きっとそうに違いない。

 

俺はそう考えていたが、どうやら違ったらしい。

 

今日行われるの救助訓練の場所に移動するバスの中、俺がこのカッコイイヒーローコスチュームを周りに話した所、

 

「…ヒーローは目立つことも重要やからね…」

 

「あはは!カラフルヒーローだ!」

 

「神出ちゃん。正直ダサいわよ」

 

と、上から麗日、葉隠、梅雨ちゃんだ。

あ、梅雨ちゃんってのは向こうがそう呼んでくれと頼んで来たからであって、俺が勝手に心の中でだけそう呼んでいるとかいう軽く引かれるようなことではないぞ。

 

…まああれだ。姉貴とか親父はいつも俺のセンスは悪いと言ってたいたが、どうやら本当に一般人にはついていけないセンスだったらしい。

親父は「俺に似てセンスが良い」って言ってたんだけどなあ。

 

ちなみに俺が派手な色が好きなのにはちゃんと理由があったりなかったりしたりしなかったりする。

 

実は俺の個性による転移は、今でこそ安定しているが幼少期は頻繁に個性事故が起こっていた。

例えば転移する時に自分の髪を転移するのを忘れてたしまい数日間坊主になったり。

例えば転移する場所を間違えて地面から数メートルある高さに転移してしまい怪我をしたり。

 

そんな数ある個性事故の中でも、一際数が多く個人的に気持ちが悪い個性事故があった。

それが「転移する際に自分の色を忘れてしまう」事故である。

 

これはマジで怖かった。転移したら、元々白かった髪はそのまま変わらなかったが、他の色という色が全部消えていたのだ。肌も完全な白になり、口の中や唇、爪、更には血液まで全部白になってた。

そして転移する前の俺がいた場所には俺の形に俺の色が取り残されていた。

取り残されていたといっても一瞬で、すぐに風に飛ばされていなくなったのだが、あれは本当に気持ち悪かった。

まるで自分からたましいだけ抜け出した用な感じだった。

 

照りつける太陽の光に暖かさを感じない身体は本当に気味が悪かった。

 

実はこの現象は今でも集中力が切れたり疲労困憊な状態で転移を連発したりすると起きてしまう。

 

そしてそれ以来俺は、鮮やかで派手な色が好きになった、

ような気がするしそうじゃないかもしれない。というかこの好みはそもそもの話親父譲りだし。

 

…何思い出してんだか。あ、別にそうなってもちゃんと色は戻るよ。

細胞が作り変わるからだろうね。

でもそれだと脳はあまり細胞が作り変えられないから白いままってことになるが、正直今考えると色が変わった程度のなんということもないんだよな。

…灰色の脳細胞(物理)。俺らしいじゃないか。

 

と、俺が無駄な思考をしているうちにバスが目的地に着いた。雄英は本当に良い人達が多いな。こういう必ずボッチが出てくるイベントでも誰一人として一人にならない。

バス内はとても賑やかだった。

 

…その後、あんなことが起こるとは知らずに…。

 

で、着いたはいいが、デカい。いや、ええぇ…。流石にデカすぎだろ。どんだけ金持ってんだよ雄英。え、何?USJ?

その有り余る金、他に使い道ないの?

金がかかり過ぎているこの雄英高校はこのヒーロー飽和社会の象徴なのかもしれない。

 

あ、象徴と言えば。ハトが飛んでる。しかも白いやつ。珍しいなー。

平和の象徴という称号をオールマイトに奪われたってのに全く知らんぷりで空を飛び回るやつらを見ていると、何となく平和の象徴だったことにも納得がいくような気がした。

俺も飛びたいなぁ。飛べるけど、最近は海ぐらいでしか飛んでない。流石に大っぴらに個性を使ったら注意されるからな。またどこか個性使ってもバレなそうないい所探すか。

…っと何を考えてるんだか。

あー、そんなこと考えてたせいで先生の話完全に聞き逃した。あの宇宙服さん何言ってたんだろ。

重要な連絡とかじゃなきゃいいけど。

 

と、これまた俺が既に過ぎた無駄なことを考えていると、突然相澤先生が

 

「一かたまりになって動くな!!」

 

と叫んだ。やべぇ。話聞いてなかったから全然意図が分からねぇ。

ん?何?敵?えっ。敵が攻めてきた!?

あ、本当だ。なんだあの黒いガス。気持ち悪。は?転移個性?キャラ被ってんじゃねぇか。何?ライバルポジ狙ってんの?俺が白でアイツが黒だから調度いい?

 

はぁ、落ち着け落ち着け〜。クールになるんだ。クールダウンだ。

 

「神出!校長に連らく…」

 

と、相澤先生が俺に何か伝えようとした時、いきなり身体に衝撃が走った。

 

「…っ!」

 

取り敢えず何かあったら転移する癖がある俺は、その「何か」の攻撃が完全に当たる前に空中に転移し避けることに成功した。

 

そして、何が起こったか確認すると、見えるのは黒いマッチョマンが俺のいた場所を通過した地点で止まっている光景だった。わぁーお。衝撃的。

 

あ、目が合っ…ッ!!

 

完全に目がイッちゃってる黒筋肉と目が合った瞬間、黒筋肉が俺の視界から消えた。個性上、動体視力にはかなり自信があったにも関わらずだ。

何をしたか分からないが、取り敢えず癖で考えるよりも先に転移した。

 

そしてその選択は正しかった。黒筋肉はまた俺のいた場所を通過して停止していた。…あの速さはヤバい。

っと、考えてる場合じゃねぇ!

 

また目が合う。

 

転移!転移転移転移!!

 

遅れて伝わる衝撃波が俺の傷を広げてる気がした。

…恐らく、敵は超加速とかそういう個性。俺の身体に正面からタックルしたのか?あばら骨が完全にイカれてやがる。後、左腕もかなりまずい。骨が折れた。取り敢えず使い物にはならない。

肺の空気が1度抜けたからか知らないが、呼吸がしずらい。俺の個性が呼吸とかが影響しない個性でよかった。

 

取り敢えずは敵を視界から外さないようにしながら、転移で攻撃を避け続ける。

 

まったく。突然なんなんだよ。というか何故俺なんだ。普通教師とか狙うんじゃないの?あれか?人質捕まえようとしたら逃げられたパターンか?いや俺捕まえられても逃げられるよ?

 

視界の隅に他の生徒が黒いガスに包まれて行くのを見ながら、それどころじゃねぇと転移を連発する。

…体力持つか?俺の個性は基本燃費が良いが、身につけている物が身体に馴染んだものじゃない場合恐ろしく燃費が悪くなる。

このヒーローコスチュームは着始めてまだ1週間ぐらいだ。

ちょっとキツイか?もういっそ脱ぐか?いや、でもそんなことしたら攻撃手段が無くなる。あの筋肉の塊に素手で勝つ自信など無い。

 

敵の攻撃を回避しながら考える。どこか遠くに転移するか。だがある程度遠くに転移するのには、というか視界に入ってる所以外に転移するのには集中力と少しの時間が必要だ。

隙が出来ればいけるんだけどなぁ。寧ろこっちから攻めるか?

…怖い。でも、攻撃して転移で即逃げるヒットアンドアウェイ(笑)戦法ならあまりリスクは無いか?

 

…はぁ。このままじゃジリ貧。やるっきゃないか。

 

俺は、ズキズキと響く傷の痛みを無視して、腰についてるナイフを右手に取り、全力で振り被りながら転移をする。

 

「ッらぁ!!」

 

声を出して気合いを入れながら敵のアキレス腱を掻っ切る。

 

硬ぇ…。切れ味抜群特製ナイフでこれか。ガチのバケモンじゃねぇか。

 

…って、ええぇ!?回復してる!?はあ!!?

ちょっ!また来る!転移!!

 

…。なんだよあれ。あれか?個性「バケモノ」とかか?

あながち間違いではなさそうだな。

が、敵の足の怪我を負わせたお陰で少し余裕が出来、何とか相澤先生の所に戻れた。

 

「先生!どうなってるんですか!?」

 

よく見たら宇宙服マンも倒れてる。相澤先生は身体中に手が張り付いてる敵と戦ってた。何あれキモっ。

 

「敵、敵連合と名乗る奴らが攻め込んで来た。オールマイトを殺しに来たらしい。取り敢えずお前は校長に助けを呼んでこい」

 

と、相澤先生が落ち着きを持って状況説明をしてくれたところで、敵が口を開いた。

 

「脳無、やめろ。…神出キビトだったか、お前。いいなあ。俺と同じ臭いがする…」

 

…は?

 

「一緒にすんなこの白髪野郎!俺の髪は生れつきこういう色なんだよ!!という臭いって何だ!?お前もメリ○トか!?」

 

中学校の頃散々白髪といじられたが、誤解しないでほしい。これはそういう髪色だ。

 

「お前、本当はヒーローなんかなりたくないだろ。黒霧が他のガキ共をワープさせたのを見ても全く動じなかった。脳無と戦ってる時だって、自分の命を確実に守ることを考えて逃げて、ヒーロー特有の、なんだ?身を削る戦いを絶対にしなかった。それに、その光の無い目。世界に関心がない目だ…」

 

白髪が俺の声を無視して続ける。

 

「ああ…先生の言ってた転移個性がまさかこんな面白いとはなあ…

お前、敵側(こっちがわ)に興味は無いか?」

 

…何言ってんだコイツ。いきなり喋り出して。

取り敢えず、適当に言葉を選んで返していく。

 

「なあ敵。プルスウルトラって知ってるか?この高校の校訓、というか昔の偉い人が言ってた言葉なんだけどさ。

更に向こうへ、だとよ」

 

白髪が歪に笑いながら俺の声を聞く。

 

「おい、神出、何を言っている。早く校長に…」

 

相澤先生が注意して来るが、無視して続ける。

 

「例えばアンパ○マン。凄いよなぁ…毎回毎回元気を100倍にしてる。インフレもいいところだ。

けどな、俺みたいな奴はそ」

 

そして俺は、意味深なことを言い出したと見せかけ、絶対にそこで話を中断しないであろう所で個性を発動し、白髪の後ろに転移する。

そして、思いっきり脚を振り上げる。狙うは金的。サポートアイテムで脚力も上がっているし、鉄が仕込まれた、それも先端にギザギザのトゲ状の刃が付いた靴だ。威力は凄いだろうなぁ。

 

いっけぇええ!!不意打ち金的蹴り!!!!

 

いつもの如く技名を心の中で叫ぶ。

 

「…っがぁあ!」

 

っち…少しズレたか。勘がいい奴だ。避けようとしたな。確実に潰そうとしたのに、あれじゃあまだ子供を作れる程度だ。

だが、まあ、確実にトゲは刺さっただろうし、金的にも衝撃を走らせることに成功した。それに、外れた部分も尻に当たってる。ちゃんと血だらけだ。痔になってしまえ。

 

…概ね不意打ちは成功したと言ってたいいだろう。

 

最後に内股猫背になっている白髪野郎の前に転移して、最大限煽ってから逃げる。

 

「だぁれが敵の言葉になんかに耳をかすかばァあぁあか!!!足りねぇ脳味噌で少しは考えてみろ!!アァん?できないのかぁ??そらぁ残念だなぁ、敵連合(笑)さん?

わざわざ脳無だかを止めてまで俺を逃がしてくれてありがとうなぁあ!!!!」

 

いつもより少し言葉が過激だ。仕方ない。アドレナリンがドバドバだもん。というか傷の痛みが俺を乱暴にする。

その際にチラッと相澤先生を見て、「後は頼みました」と言葉に出さずに伝える。

きっと伝わったはずだ。顔が引きつってたけど、多分大丈夫だろう。

相澤先生なら脳無とかいう黒筋肉の個性を消せる。

異形の個性は消せるか分からないが、流石に個性の発動無しであの怪力はないだろう。

 

取り敢えず今は校長に報告だ。俺は転移を発動し、校長室前に移動した。

そしてあの毛並みの良いネズミにことを伝える。

 

敵が攻め込んで来ましたぁあ!転移個性がいます!!後、オールマイトが狙いらしいです!!!

 

だいたいこんなことを伝えた。俺のセリフのビックリマークは使われる度に段々数が増える。覚えててほしい。…何を言ってるんだろうか。

 

なんか隣にいたガリガリの老人が悔しそうに顔を歪めていたのが印象的だった。

 

取り敢えず、少しでも戦力になる為戦場に戻る…と、見せかけて、空中に転移して皆の様子を伺う。

流石にまたあの黒筋肉と戦うのは嫌だから…じゃなくて、俺が行くことで状況が良くなるようなことが無いか探す目的だ。

 

…お?上鳴が人質に取られてる?良し。助けに行こう。

落下でたっぷり加速して…

 

俺式ライダーキック!!

 

「がぁあっ!!」

 

フハハハ。鉄で強化されたライダーキックは痛かろう。

ちなみに俺はあまり痛くない。どういう構造か知らないが、こっちにはあまり衝撃が来ないが、敵側には衝撃が行くようになってるらしい。画期的だね。

 

取り敢えず上鳴の救出に成功。そして吹っ飛んだ敵に追撃を与える。金的…は、流石にやめとこう。敵の腹、みぞに蹴りを放つ。トゲトゲがいい仕事するんだよな。

 

「神出さん!!」

 

「神出!!」

 

八百万と耳郎が俺の苗字を呼ぶ。良いよ。もっと呼んでくれ。もっと称えてくれ。というか惚れちゃってもいいよ?

あ、耳郎には上鳴がいるか。…そういえば八百万には轟とかいうイケメンがいたな…。

畜生。この世に救いは無いのか。

 

「おう。元気か?」

 

変なこと考えていたら返事が適当になってしまった。

まあいいや。助けたという事実が大切なのだ。これで俺の個性株が爆上がりするだろう。多分きっとメイビー。

 

「ええ…。神出さん、その左腕、大丈夫ですの?」

 

だいじょばない。痛い。リカバリーガールのところ行けば良かった。…いや、あの人の治療は体力消費するらしいし、個性で体力使用する俺は治癒してもらわない方が良いか。

 

「もう使い物にならないな。けど、俺の個性にはそんなに関係ないから平気だ」

 

「…そう、ですか。いや、そうでわすね。プロになれば怪我の一つや二つ、関係なく動けるようでなければいけませんものね」

 

八百万はそう言いながら何かを身体から出した。これが創造ってやつか。

 

「神出さん、じっとしてて下さい。応急処置をしますので」

 

「分かった」

 

出したのは板と包帯だった。おお。すっげぇ。器用に縛るな。だいぶ痛みがマシになった気がする。

 

「ありがとう」

 

「いえいえ」

 

くぅ…。可愛い。轟め。羨ましい。

 

「あ、そうだ。上鳴、今なら通信できる?」

 

と、耳郎が上鳴に言う。やっぱりこの2人、できちゃってるのか?

 

…って、通信?ああ…。

 

「報告なら俺がしといた。上鳴は休んどけ」

 

流石俺。有能だ。というかなんで人質が上鳴なんだよ。もっと敵役がいるだろ。なんで巨乳ポニテJKとクーデレボブJKがいるのにウェイ系チャラ男を選ぶんだよ。敵失格だ。まったく。近頃の敵はこれだから…。

 

「流石…早いね」

 

流石だって!嬉しい!

 

「取り敢えず俺は他にヤバそうな奴らを助けに行く。八百万達は…まあ、判断はまかせるわ」

 

八百万と耳郎が頷く。上鳴はアホ面のままである。

 

「じゃ、バイバイ」

 

…バイバイ。これ、地味に口癖なんだよね。さようならじゃなくて、バイバイ。なんかこう、言いたくなるんだよね。…はい。どうでも良いですね。ああ、緊張するとこういう余計なことを考えちゃうのも俺の癖だな。

 

そんなことは置いといて。また空中に転移してピンチな仲間を探してるわけだが、皆平気そうだった。

 

…いや、平気なのは生徒で、相澤先生はピンチだった。

うわぁ…。あれ、生きてるの?ヤバくね?

だって、ほら。うわっ。腕曲がっちゃ行けない報告に曲がってるし。いや俺も左腕そうだけど。でも先生もっとヤバいし。

 

相澤先生は黒筋肉に上に乗っかられ、拘束された上で痛めつけられていた。

というか、なにあの肘。ボロボロで筋肉が丸見えになっている。なんというか、崩れた?とい言えば良いのだろうか。めちゃくちゃ痛そうだ。

 

正直、助けに行ける自信が無い。体力もそろそろ底をつきそうだし。…そろそろコスチュームを脱いで戦うか。これ以上体力が減ると行動にも制限がかかりそうだし。

 

取り敢えず、完全に相澤先生に意識が向かっているあの白髪野郎に背後から俺式ライダーキックをプレゼントしよう。黒筋肉は無理でも白モヤシならいける。

 

そうと決まれば、加速。さっきの敵を蹴っても反動がそんなに無かったから、もうちょっと加速しても平気だな。

…よし。こんくらい。

 

今だ!!俺式ライダーキック!!!

 

「…ッグぁ!!」

 

はッ!カエルみたいに鳴きやがって。…って、うわっ!

 

敵が一瞬で反応し、俺の足を掴んできた。咄嗟に転移するが、俺の靴とその下の足の皮膚が崩れた(・・・)

そういう個性か…。痛てぇ…。

 

あ、白髪が俺を睨んでる。何?オコなの?え?なんで?俺何か悪いことした?もしかして金的やられたこと根に持ってるのん?まーったく。器が小さいやっちゃのう…。

 

「ッ!神出!何故来た!!」

 

「いや、先生が死にそうだったんで」

 

これまた空中に逃げながら答える。

俺は、他人が死のうがどうでもいいが、流石に知り合いが死ぬのはあまり好きではない。それに、「俺の中での安全ライン」は戦いの中でも死守している。俺には最悪アレ(・・)があるしな。

ついでにコスチュームも脱いでおいた。中シャツとかは着てないので、正真正銘パンイチだ。今日は黄色に黒の水玉模様!

 

「お前、現れる時、空気に割り込んで現れるよなあ…。そうすると、やっぱり風が起きる。それなら、気づくのだって簡単だ…」

 

どうした白髪。なんでお前そんな冴えてるんだ。馬鹿だったあの白髪はどこに行ったんだ。もっと頑張って馬鹿やれよ!もっとお前は情けなかったはずだろ!?

 

「脳無」

 

白髪がそう言っただけで脳無が俺に攻撃を始めた。何?言葉無くとも意思疎通できちゃうの?黒筋肉と白モヤシでラブラブコンビやってるの?結婚して、どうぞ。

 

と、馬鹿なことを考えつつ攻撃を躱す。といっても、転移するだけなんだけどね。

いやー、コスチューム脱いだだけでめっちゃ楽だわ〜。

 

ついでに転移する場所をできるだけ白髪の後ろにする。

要するに黒筋肉が俺を殴る時についでに白髪も殴ってくれないかな〜という狙いだ。

いけ!やっちまえ黒筋肉!

 

まあ、当然白髪を避けて俺を殴りに来るんだが。

 

ちなみに白髪は俺式ライダーキックをくらってだいぶダメージを受けたようだが、それでも案外平気そうだ。

おいおい。常人ならトマトのように潰れるぞ?なんで平気なんだよ。

…いや、良く考えれば相澤先生とか黒筋肉に顔面をコンクリに打ち付けられてるのに生きてるしな。

というかなんでコンクリの方が壊れるんだよ。相澤ヘッドの方が硬いのかよ。

あ、これ、イレイザーヘッドのヘッドと頭の英語訳のヘッドをかけた高度な洒落な。

 

そんなことを考える余裕がある程度には余裕で避けられる。

教師陣は既に呼んである。それまで時間を稼ぐくらいだったら平気だ。

 

と、そこで白髪の横に黒いガスが現れれた。どうやら「黒霧」というらしい。

…白髪程度なら俺と脳無の高速戦闘についていけないから戦力に入らないが、黒霧は転移個性だからな。警戒しとかないとな。

 

と、そこで黒霧が報告を始める。え?何?飯田天哉に逃げられた?あ、そう。それ以前に俺を逃してるけど?

大丈夫でちゅか〜?ガバ警備先輩?

 

と、俺が心の中で煽っていたら、黒霧がワープを発動した。

来るか?

俺はそう警戒したが、ワープ先は梅雨ちゃんのところだった。

 

…って、アイエー!?梅雨ちゃん!?ナンデ梅雨ちゃんナンデー!?

恐らく敵を倒して駆けつけてくれたのだろう。俺と同じだ。が、性悪白髪はその善意を踏みにじる。

いきなり白髪が動いたと思ったら、梅雨ちゃんの頭に手をかけようと…。

 

「俺を忘れてない!?」

 

梅雨ちゃんの可愛い顔を崩壊させるわけにはいかない。崩壊の犠牲になるのはいもいもだけで十分だ。

俺は転移ですぐに駆けつけ白髪を蹴り飛ばす。

なんというか、俺らしくないな。なんで他人を助けてるんだろう。人の消しゴムが落ちてても拾わない主義者なのに。

 

「忘れてないさ…」

 

が、その蹴り飛ばした足を掴まれる。

 

転移!!

 

…ッ。いっっってぇぇぇええええ!!!。骨見えちゃってるんじゃない!?ヤバいよ!!というかアイツの手カサカサすぎ!!痛てぇ!!!

 

はぁ…、はぁ…、はぁ…。落ち着け。アドレナリンさんに頑張って貰うんだ。

…何。梅雨ちゃんの笑顔を守れたんだ。これくらい安いもん…って、危ねぇ!!また脳無が!!

本当に気を抜けない!助けてドラえもん!助けてオールマイト!

 

と、そこでUSJのドアが音をたてて壊されながら開けられる。

そこから出てくるのは、俺たちとは画風が違うマッチョ。

黒筋肉と対象的な存在。金筋肉だ。語呂悪っ。

 

「もう大丈夫。私が来た!!!!」

 

…ヒュー。カッコイイ。思わず痺れちまうぜ。もう、あとは任せよ。立ってるだけでキツイ。やっぱり柄にもないことするのは疲れる。どれもこれも敵のせいだ。せいぜい金筋肉にぶっ倒されるんだな!!(小物並感)

 

俺は最後の力を振り絞り保健室に転移し、そのままたおれるように意識を手放した。もうそれただの気絶じゃん。あぁ…事前に保健室に来ておいて良かった…。こうして転移す、ることが…できる…か…ら…。

 

今度こそ本当に、俺は意識を手放した。その顔はどこか安心していたらしい。

はぁ…。雄英の教育はヤバいって父さん言ってたけど、多分父さんの思ってるヤバさより3倍くらいヤバいわ。

 

ー俺はまだ、プルスウルトラなんてしない。

 




後に神出はこう語る。

「なんでリカバリーガールが若い頃に会えなかったんだ!!
若い頃にちゆーってして欲しかった!!!」

オリキャラ追加について。

  • 許すまじ
  • マジ許す
  • 助言だけ残して去っていく謎キャラを出せ
  • 出すんだったらキチンと設定を練って欲しい
  • 適当な他原作から引っ張って来い

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