星の詩 - De stella absicht -   作:津梨つな

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プロローグ

 

 

 夜空に瞬き、彩る。

 時に小さく、時に大きく。

 

 まるで会話でもしているかのような、暗い海原(スクリーン)に広がる静寂の星達を眺めるこの時間が僕は大好きだ。

 例えそれらが、望まれない結末だとしても。

 

 

 ―――君はまだ聞こえているだろうか。この無数に広がる"星の声"を。

 

 

 

「願わくば…二度と聞こえる事無く、今度こそ幸福な人生を。」

 

 

 

「愛しの我が娘よ。」

 

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 2019年、日本。

 人類の持つ科学力は目覚ましい進歩を遂げ、繰り返される紛争・戦争に、留まる所を知らない技術力競争。

 付き物と言ってしまえばそれまでではあるが、この地球という惑星(ほし)に深刻なダメージを残しているのもまた事実。

 ここまで人類がやってきたことは果たして、正しい事なのだろうか。

 

 ――と、作り物の青空を見上げ考える。

 

 

 

「…ま、僕にはあまり関係のない話か。」

 

 

 

 オフということもあり、こうしてぼんやりと空を眺めることで時間を浪費、もとい気ままに生活している男。

 …それが僕、高宮(たかみや)誠司(せいじ)だ。歳は今年で26。俗にいう独身貴族ってやつさ。

 先述の通り、今日は"オフ"。実は僕、物書きをしつつ口に糊をする生活を……とまぁ所謂、作家。…その中でも、小説家って呼ばれるやつでして。

 今回の作品も無事チェックが通り、印刷所への入稿が終わったところ。要するに暫くは発刊待ちの暇な期間って訳なんです。

 

 

 

コン、コン

 

 

 

 控えめなノックの音。…普段であれば来客の証だが、今日の場合は相手がわかっている。この家に住む、僕の娘だろう。

 

 

 

「…開いてるよ。」

 

「…し、失礼します……。」

 

 

 

 畏まったような声と共に顔を覗かせるのは、高宮香澄(かすみ)。肩にかかる程の長さに赤茶の髪を下ろした大人しそうな彼女は、今年高校2年生になる僕の一人娘だ。

 …先程、僕は独身だと言ったがこうして10歳下の娘がいる。まるで矛盾の様ではあるが、色々都合というものがあってね。

 正直、ここに来るまで色々と大変な思いもしてきた。でも今思えばそれも全て、今のこの幸せな日々の為に必要なものだったんじゃないか。僕はそう思っている。

 

 

 

「香澄。どうしてそんなにかしこまってるんだい?」

 

「こ、ここの部屋、緊張するんだもん…」

 

「ははは!!そうかそうか…そういや前も言ってたね。」

 

「うん……。ね、リビング行こうよ、()()()()。」

 

「そうしよっか。」

 

 

 

 今のこの状況を説明するためにも、ここまでの僕達の道程を振り返ってみようと思う。

 香澄と僕が()()()()、8年前のあの日から。

 

 

 




週一更新を目標にやっていく事になるかと思われます。
独自設定・世界観が展開されますが、どうぞお付き合いくださいませ。
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